不妊治療とは?費用は?保険はきくの?検査や治療の流れ・タイミングを解説

日本では、結婚する平均年齢が上がるとともに、不妊に悩むカップル・夫婦の数が年々増加しています。不妊治療とは、いったいどういったものなのでしょうか。ここでは、不妊検査・治療の方法や流れ、費用、治療を始めるタイミング、治療のやめどきなどを解説します。

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目次

  1. 不妊治療とは?
  2. 不妊治療は早めのスタートを
  3. 不妊の原因は?
  4. まずは不妊検査から
  5. 不妊治療の流れ
  6. 不妊治療にかかる費用と保険
  7. 不妊治療のやめどきは?
  8. 夫婦で話し合って早めの相談を
  9. あわせて読みたい

不妊治療とは?

赤ちゃんが欲しいと思う健康なカップルが避妊をせずにセックスし、一定期間妊娠しなければ不妊症の疑いがあります。WHO(世界保健機構)や日本産科婦人科学会では、1年間の不妊期間がある場合を不妊症と定義しています。

不妊治療とは、不妊症のカップルに対して、原因に応じた治療を行うことです。まずはタイミング法や排卵誘発法で、排卵された卵子が精子と受精するサポートを行います。そこで妊娠しなかった場合は人工授精を行い、妊娠しない場合はさらに体外受精や顕微授精などの高度な生殖補助医療へとステップアップしていくことが多いでしょう。

晩婚化が進み初産年齢が高くなっている日本では、不妊に悩むカップルが増えています。2015年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、不妊を心配したことがある夫婦の割合は35.0%いることがわかっています。さらに実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は、全体の18.2%にのぼります。

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不妊治療は早めのスタートを

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では、不妊治療はいつから始めれば良いのでしょうか。

1年間の不妊期間がある場合を不妊症と定義する場合が多いため、なかなか妊娠しなくても、1年間は病院に行かずに自然妊娠を目指すという方が日本では多いようです。しかし、女性の年齢が上がれば上がるほど、病気がなくても自然妊娠できる確率は下がります。

最近では、専門医への不妊の相談を行うタイミングを下記のように考える医師が多いようです。

・女性の年齢が34歳未満:1年間妊娠しなかった場合
・女性の年齢が35歳以上:半年間妊娠しなかった場合
・女性の年齢が40代:子どもが欲しいと思ったらすぐに

日本では、なるべく自然に妊娠したいと考え、不妊治療になかなか踏み切らない人が多いことを指摘する専門家もいます。自己流のタイミング法・生活習慣の改善での自然妊娠を目指した結果、本格的な不妊治療を取り組むころには高齢になってしまい、不妊治療をしてもなかなか妊娠できないというケースも増えています。

不妊治療と聞くと心理的ハードルを感じる方もいるでしょう。しかし、不妊治療もいくつかのステップがあります。本格的な治療を行わなくても、医師の指導のもとで性交渉のタイミングをはかる(タイミング法)だけで、自然妊娠にいたるカップルも多いのです。また、何らかの不妊の原因がわかった場合も、年齢が低ければ低いほど、治療によって妊娠できる確率が上がります。

妊娠率の高い20代であれば、しばらく自己流のタイミング・生活習慣の改善での自然妊娠を目指しても良いかもしれません。しかし、30代以上ではじめての妊娠を目指す場合は、早めに検査を受け必要であれば不妊治療を開始することが望ましいでしょう。

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不妊の原因は?

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妊娠は、女性の卵巣から排卵された卵子が、男性の精巣で作られ射精された精子と出会い受精し、子宮内膜に着床することで成立します。この過程のどこかに障害があると、不妊の原因になると考えられます。

不妊は女性に原因がある場合だけでなく、男性に原因がある、もしくは男女ともに原因がある場合があります。

女性側の不妊には主に下記の原因があります。
・卵管に異常がある(卵管因子障害)
・着床がうまくできない(子宮因子障害、着床障害)
・精子が子宮の中まで進入できない(頸管因子障害)

男性側の不妊には主に下記の原因があります。
・精子を作る機能が低下している(造精機能障害)
・精子の通過が妨げられている(精管通過障害)
・うまく性行為できない(性行為障害)

不妊治療は、こういった不妊の原因を検査で特定することからスタートします。不妊の原因を特定できると、原因に合った治療によって妊娠をめざすことができるでしょう。

ただし、一般的な不妊検査を受けても、明らかな原因を見つけられない場合も多いものです。加齢によって妊娠しにくくなっていることもあるでしょう。また、ストレスがホルモンバランスを乱し、妊娠しにくくなっている場合もあります。

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まずは不妊検査から

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専門医のもとで不妊治療を行うことになった場合、まずは不妊検査を行う場合が多いでしょう。上記で解説したとおり、不妊の原因は女性側ばかりではなく、男性側にあることもあります。そのため、女性だけでなく男性も検査を受けることが必要です。

男性の不妊検査では、精液を採取して、精子の数、形、運動の様子などを観察する精液検査を行います。精子を作る機能に関わるホルモンを血液検査によって調べることもあるでしょう。男性不妊は女性よりも自覚症状がない場合が多く、検査に抵抗がある男性も多いようです。しかし男性も一緒に検査を受けることで、短期間で妊娠につながる確率が高くなります。

女性の不妊検査には、超音波検査や卵管造影検査、血液検査などがあります。生理周期に合わせて行う検査が多く、一通りの検査を受けるために1~2ヶ月かかるでしょう。だいたい3~4回通院する必要がある場合が多いようです。

不妊治療には、ある程度長い期間が必要となることがほとんどです。夫婦どちらかが多忙な場合は、通院日程の調整も難しくなり、検査・治療期間が伸びがちです。治療の最初のステップである検査にも時間がかかることから、早めに検査に取り組むと良いでしょう。

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不妊治療の流れ

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一般的に、最初はタイミング法や排卵誘発法による一般不妊治療で妊娠を目指します。一般不妊治療で妊娠しなければ、人工授精を行います。人工授精がうまくいかない場合は、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療(ART)にステップアップする場合もあります。

以下で、それぞれの不妊治療の方法をご説明します。

一般不妊治療(タイミング法、排卵誘発剤)

一般不妊治療は、医師の指導のもと自然に近い形で妊娠を目指すものです。検査によって明らかな原因がなかった場合は、まずは一般不妊治療を行うことが一般的です。

一般不妊治療では最初に「タイミング法」で妊娠を目指します。これは、基礎体温、超音波検査などから女性の卵巣から卵子が排卵する排卵日を予測し、性交渉のタイミングを医師が指導するものです。

基礎体温や排卵検査薬から排卵日をある程度予測することはできますが、自分で正確な排卵日を特定することは難しいものです。腟からの超音波検査で排卵前の卵子の大きさを測定したり、尿中のLH(黄体ホルモン)濃度を測ったりして、より正確な排卵日を特定してもらうことができます。

排卵が整っていなかったり、排卵してもなかなか妊娠しなかったりする場合は、内服薬や注射で卵巣を刺激して排卵を発生させます。これを排卵誘発法(はいらんゆうはつほう)と言い、タイミング法と合わせて行われます。

一般不妊治療で妊娠できるカップルは、治療を始めてから早い時期に妊娠することがほとんどです。通常タイミング法は4~6周期行うことが一般的ですが、女性の年齢が35歳以上の場合は早めに人工授精にステップアップするようにすすめられることが多いでしょう。

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人工授精

人工授精は、女性の身体の中に受精に必要な精子を直接届ける方法です。男性から採取した精液から動きの良い成熟した精子だけを取り出し、妊娠しやすい時期に、細いチューブを使って子宮内に注入します。

男性側に精子が少ない・精子の動きが悪いといった症状があったり、うまく性交ができなかったりする場合に有効です。

人工授精で妊娠できるカップルは、5~6回以内に妊娠できる可能性が高いと考えられています。人工授精で妊娠にいたらない場合は、体外受精や顕微授精にステップアップすると良いでしょう。

特に、高齢妊娠では1~3回の人工授精で妊娠しないと、その後人工授精を続けても妊娠できる可能性がとても低いことがわかっています。30代後半以降の高齢妊娠を目指す場合は、2回前後を目安に体外受精や顕微授精にステップアップすることをおすすめします。

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体外受精・顕微授精(ART)

人工授精で妊娠しない場合は、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療(ART)にステップアップすることがあるでしょう。これは、女性の身体の中から成熟した卵子を取り出し、身体の外で精子と卵子を受精させ、受精卵を培養した胚を子宮に移植する治療法です。

受精障害がない場合は、培養液の中で精子と卵子を受精させる「体外受精」を行います。一方、受精障害があると考えられる場合は、顕微鏡で見ながら精子を卵細胞の中に注入する「顕微授精」を行います。

ただし、体外受精や顕微授精では、女性の身体から良い卵子を取り出すために排卵誘発剤を注射しなければならなかったり、卵巣から卵子を取り出すための処置(採卵)があったり、受精した胚を移植する処置があったりします。それぞれ強い痛みやホルモンバランスの崩れによる不快な症状を伴う場合もあり、女性にとっては負担があることを認識しておきましょう。

また、1回につき数10万~100万円の高額な費用がかかるため、経済的な負担もあります。体外受精や顕微授精にステップアップするかどうかは、夫婦でよく話し合ったうえで決めるようにしてくださいね。最近では、高度生殖医療を補助する自治体も出てきました。不妊治療をはじめる時には、それらの制度もよく調べておくと良いでしょう。


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漢方による体質改善も

不妊に悩む夫婦の中には、検査で特に問題がなかったもののなかなか妊娠しなかったり、不妊治療を続けても妊娠できなかったりする方もいるでしょう。そういう方は漢方による体質改善の治療を受けてみても良いかもしれません。

漢方による治療では、西洋医学とは違ったアプローチで、妊娠しやすい身体作りを目指します。自分の体質に合った漢方薬を飲むことで、身体の調子を整え、妊娠しやすくなる可能性があります。

ただし、漢方治療のみで妊娠を目指そうとすると、別の不妊の原因を見落とし、妊娠の可能性を低くする恐れがあります。漢方のみで妊娠を目指すのではなく、不妊治療と併用するようにしましょう。

不妊治療にかかる費用と保険

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不妊治療にかかる費用は、選ぶ治療法によって大きく変わります。治療を受ける産婦人科のクリニックによって費用も違いますが、一般的な費用の目安は下記の通りです。
・一般不妊治療(タイミング法+排卵誘発法):1周期あたり1万~2万円
・人工授精:1周期あたり2万~3万円
・体外受精:1回あたり10~100万円
・顕微授精:1回あたり30~100万円

体外受精や顕微授精は、クリニックや選ぶ治療メニューによって費用に幅がありますが、1回で30~60万円かかるケースが多いようです。一度目の治療で複数の受精卵ができ凍結しておくことができれば、二度目は受精卵を移植のみをすることで、費用を抑えることもできるかもしれません。

タイミング法では一部の治療で健康保険が適用されますが、それ以外の不妊治療では健康保険が適用されず、高額になることがほとんどです。そのため不妊治療の経済的負担が大きく、本格的な不妊治療になかなか取り組めないという夫婦も多いのではないでしょうか。

体外受精・顕微授精を行うときの経済的な負担を軽くするため、厚生労働省では「特定治療支援事業制度」を定めています。これは、体外受精や顕微授精にかかった費用のうち、1回につき最大15万円(初回は30万円)までの助成金を受けることができるというものです。自治体によっては独自に助成金を追加して、制度を運用している場合があります。ぜひ自分の住む自治体の情報を調べてみてくださいね。

また、不妊治療は医療費控除の対象になります。申請をすることで不妊治療にかかった費用の一部が税金から差し引かれるだけでなく、住民税が安くなる可能性があります。不妊治療は高額になることが多いため、この医療費控除の制度も上手に活用しましょう。

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不妊治療のやめどきは?

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不妊治療の技術の進歩によって、自然に妊娠できない夫婦が赤ちゃんを授かることができるケースが増えてきています。しかし残念ながら、不妊治療による妊娠率が100%になることはありません。日本では、赤ちゃんを欲しいと思うカップルの年齢が上がっていることで、不妊治療によって出産することができる確率が他の国よりも低いといわれています。

最近では40代での出産も珍しくなくなってきました。まれにではありますが、50代での出産も存在しています。しかし、一般的には40歳を過ぎると妊娠できる確率は下がり、妊娠しても流産や障害のリスクが高くなる傾向にあります。

日本産科婦人科学会のデータによると、1回の体外受精や顕微授精での出産率は、30代前半までは20%程度で一定しています。しかし、30代半ばからはどんどん下がり、45歳での1回の体外受精・顕微授精での出産率は1%をきります。

不妊治療の現場では一般的に、女性が42~43歳くらいになると、高齢を理由に不妊治療の終わりを提案することが多いようです。

不妊治療を受けても妊娠できない夫婦にとっては、赤ちゃんを授かるという願いを諦めるというのは簡単なことではないでしょう。治療をいつまで続けるかは、夫婦でよく話し合って納得したうえで決めることが大切です。

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夫婦で話し合って早めの相談を

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妊活をしている方の中には、「そのうち妊娠するだろう」「なるべく自然妊娠したい」と考えている方がいるかもしれません。しかし、そう思って過ごしている間に年齢を重ね、本格的な不妊治療を始めるころには妊娠の可能性が低くなってしまうこともあります。

赤ちゃんが欲しいのになかなか妊娠できないと感じたら、まずは夫婦で不妊の専門医に相談をしてみてはいかがでしょうか。

また、本格的な不妊治療を始めることになったら、体力的にも精神的にも経済的にも、治療による負担が生じるでしょう。夫婦でどのように不妊治療に取り組むか、しっかり話し合って協力していけると良いですね。

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