更新日:2018年12月25日

排卵誘発剤の副作用とリスクは?双子が生まれやすいのは本当?

排卵誘発剤は、不妊治療につかわれる内服薬や注射です。妊娠に必要なホルモンを調整し、排卵を促してくれます。タイミング療法の次の治療や、体外受精などの採卵などに使用されます。妊娠の可能性をあげてくれますが、そのぶん副作用にも気をつけなくてはいけません。多胎妊娠やOHSSなど、排卵誘発剤の副作用を詳しく解説します。

監修 : ままのて 医師・専門家
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排卵誘発剤とは?

女性の身体では月経周期ごとに一度、排卵が起こります。自然妊娠では、もっとも大きく成熟した卵胞から、通常ひとつの卵子が飛び出します。月経に異常があったり、卵子の成熟に問題があったりすると、この排卵がうまくいかず、不妊の原因となります。

卵胞の発育をサポートし、成熟させ、排卵をスムーズにするのが排卵誘発剤です。飲み薬や注射など、さまざまな種類があり、妊娠に関係するホルモンを補充したり、分泌を促したりします。不妊治療では、医師の指導で排卵のタイミングにあわせて性交をする「タイミング療法」がうまくいかない場合、処方されることが一般的です。

また、体外受精や顕微授精でも、排卵誘発剤は使われます。体外受精ではより多くの良質な卵子を採取することが重要となるので、排卵を薬で誘発するのです。月経異常の治療や不妊治療では、この排卵誘発剤と上手につきあっていく必要があります。

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排卵誘発剤とは?注射するの?効果や副作用、妊娠確率、使うタイミングは?

排卵誘発剤の種類と効果は?

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排卵誘発剤にはさまざまな種類があり、不妊の原因や程度、治療のタイミングによって使い分けられます。飲むタイプの内服薬と、ホルモンを補充する注射薬がありますが、一般的に注射のほうが排卵誘発の効果が強く、そのぶん副作用もあるといわれています。

クロミッド(クロミフェン)

クロミッドは飲むタイプの排卵誘発剤です。クロミッドは販売されている薬の名前で、含まれる有効成分が「クロミフェンクエン酸塩」となっています。一度処方すればしばらく来院せずにすみ、副作用も少ないため、多くの病院で使われています。

クロミッドは比較的軽度の排卵障害に効果があるといわれています。服用すると、脳に作用してゴナドトロピン放出ホルモンを分泌させます。その結果、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の分泌が促され、これらが卵巣を刺激して排卵が誘発されます。

一般的にクロミッドは白い錠剤で、においはありませんが、味は少し苦いようです。通常1日1錠~2錠を月経開始5日目から、最長5日間飲むことになります。副作用や多胎妊娠の確率は、注射に比べると軽いといわれています。

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クロミッドの不妊治療への効果とは?服用後の排卵と妊娠の確率について

セキソビット(シクロフェニル)

セキソビットもクロミッド同様、内服薬の排卵誘発剤です。セキソビットは薬の名前で、有効成分は「シクロフェニル」となります。クロミッドよりも排卵誘発効果は弱く、そのぶん副作用もほとんどないといわれています。

たとえば、セキソビットには、子宮頚管粘液の減少や、子宮内膜が薄くなるといった副作用はないとされます。多胎妊娠が起こる確率も非常に低くなっています。1日に4~6錠を数回に分けて、5~10日間服用します。

有効成分シクロフェニルが脳に作用し、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)を分泌させます。とくにLHの放出が促進されるといわれています。LHが放出されると、「LHサージ」という状態になり、排卵が誘発されます。

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セキソビットの効果と副作用は?飲み忘れや排卵日についても解説

ドーパミン作動薬

不妊治療の検査において、まずはホルモンの値を測定します。血中のプロラクチンというホルモンの値が正常であれば、クロミッドやセキソビットをつかった治療がすすめられます。しかし、プロラクチンの値が基準より高い場合、ドーパミン作動薬を用いる治療が選択されることがあります。

プロラクチンは、乳腺を発達させ、乳汁を分泌させるホルモンです。妊娠の終わりごろから多く分泌されますが、その時期以外にプロラクチン値が高くなると、プロゲステロン(黄体ホルモン)に働きかけ、排卵を抑制してしまいます。これを高プロラクチン血症とよびます。プロラクチンが、妊娠していないのに体内で「妊娠後」と同じ環境をつくるため、妊娠できなくなってしまうのです。

このプロラクチンは、ドーパミンで抑制することができるため、ブロモクリプチンやテルグリドなどのドーパミン作動薬が治療に有効とされます。血中のプロラクチン値が下がり、排卵が認められても、妊娠にいたるまで服用を継続することもあるようです。吐き気や便秘などの副作用がありますが、それほど発生率は高くないようです。

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プロラクチンとは?正常値より高いと男性・女性ともに不妊の原因になる?
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高プロラクチン血症の症状、原因、治療法は?妊娠はできるの?

ゴナドトロピン製剤

ゴナトロピン製剤は、注射による使用が一般的で、排卵誘発剤のなかでは強力なものです。クロミッドやセキソビットでの治療が進まない場合、このゴナドトロピン注射が選択肢となります。また、高プロラクチン血症でドーパミン作動薬を使っても排卵が起こらない場合や、人工授精や体外受精の採卵のためにも用いられます。

ヒュメゴンやパーゴナルなどの「hMG製剤」は、ゴナトロピンとよばれるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が含まれています。このふたつのホルモンを補充することで、多数の卵胞が発育し、排卵につながります。内服薬はホルモンの分泌を促しますが、ゴナドトロピン注射は直接卵巣に作用するので、排卵誘発の効果が大きくなります。

hMG製剤の他にも、できるだけLH(黄体形成ホルモン)をのぞいた「精製hMG製剤」や「高純度FSH製剤」などもあります。遺伝子組換え技術で作られた、より純粋なFSH製剤なども使われるようになってきました。

ゴナドトロピン療法の場合、排卵の可能性をさらに高めるため、LHに似た作用をもつhCG注射をしてLHサージを人工的に起こすのが一般的です。そのため、「hMG-hCG療法」ともよびます。排卵誘発効果が強い分、ゴナドトロピン療法は副作用にも注意しなくてはいけません。

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排卵誘発剤の副作用・リスクとは?

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多胎妊娠になりやすい(双子、三つ子)

排卵誘発剤をつかった不妊治療では、多胎妊娠の確率が上がることが知られています。自然妊娠では双子以上の子どもが生まれる確率は、1%以下となっています。

ゴナドトロピン製剤を使った注射では、多胎妊娠の確率が15~20%ほど、クロミッドなどの内服薬は4~5%ほどといわれています。そのほとんどが双子ですが、まれに三つ子になることもあります。

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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵の誘発によって、過剰に刺激された卵巣が腫大してしまい、さまざまな悪影響をおよぼす症状を卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。とくに、hMG注射によって過剰に刺激された卵巣に、hCG注射を投与した場合に発生することが多いようです。

おもな症状としては、腹水がたまることによる下腹の膨満感、腹痛、吐き気、下痢、むくみなどがあります。排卵誘発後、のどが渇いたり、体重が増えたり、尿の量が減ったりした場合は注意が必要です。

OHSSは重症化すると、血栓症や腎不全など、命に関わる合併症を併発することもあります。気になる症状がある場合は、すぐに病院に相談して検査してもらいましょう。

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卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の症状、原因、治療法は?妊娠への影響も

子宮内膜が薄くなる・子宮頸管粘液が少なくなる

クロミッドには、エストロゲンの分泌を抑制する抗エストロゲン作用が存在します。エストロゲンは、女性ホルモンの一種で、受精卵のベッドとなる子宮内膜を分厚くしたり、精子の動きを活発にする子宮頚管粘液を増やしたりする作用があります。

そのため、抗エストロゲン作用がはたらくと、逆に子宮内膜が薄くなってしまったり、子宮頚管粘液が減少してしまうこともあります。これらの現象が認められると、ゴナドトロピン療法に変更されることが多いようです。ただし、クロミッドによる子宮内膜の変化や頚管粘液の減少の可能性は、非常に低いといわれています。

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クロミッドの副作用は?双子が生まれる・太るうわさは本当?頭痛や腹痛がある?

頭痛や吐き気

女性ホルモンと頭痛は大きく関連しているといわれています。エストロゲンが減少すると、脳の血管が拡張して頭痛が起こることもあるようです。排卵誘発剤はホルモンの分泌に作用するため、頭痛などの副作用がみられます。

また、排卵誘発剤を使用するとホルモンバランスが変動するため、自律神経が乱れ、吐き気や食欲不振がおこることもあります。しかしこれらの副作用の可能性は、他のホルモン剤などに比べて特別高いとはいえません。

アレルギー反応

hMG製剤は更年期の女性の尿から作るため、異物を完全に除去できていないこともあります。そのため、注射によるアレルギー反応がおこる可能性があります。

症状としては、注射部位に強い疼痛があったり、赤く腫れてしまったりします。また、何度もhMG製剤をつかうことで薬剤耐性ができて、反応がなくなってしまうこともあります。

排卵誘発剤の副作用、多胎妊娠とは?

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複数の卵子が排卵され双子や三つ子に

自然周期で妊娠した場合、一番大きく育つ可能性のある卵胞のみが「主席卵胞」として成熟し、卵胞からひとつの卵子が排卵されます。しかし、排卵誘発剤を使用した周期においては、同時に多くの卵胞が発育し、複数の卵子が排卵されることがあります。そのため、双子や三つ子などの多胎妊娠の可能性が上がってしまいます。

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胎児や母体のリスクが大きい

多胎妊娠は、母体、胎児へのリスクが多くなります。単体の場合より早産になる可能性が高いため、低出生体重児となる確率も上がります。死産や流産率も、近年は大幅に低下していますが、やはり高めといえるでしょう。早産となった場合や分娩時の異常などの影響で、脳性小児麻痺などのリスクもあります。

また、母体にも大きな負荷を与えます。切迫流早産や、貧血、妊娠高血圧症候群、その他の妊娠合併症などの発症率が単胎と比較すると高くなります。

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生活や育児の負担が増えることも

多胎妊娠では、生まれた後の負担が増えることも事前によく考えなくてはいけません。まず、ふたり以上を同時に育児することによる、体力的負担です。寝る時間や休む時間がゆっくりと取れなくなるかもしれません。さらに、洋服や食費などの経済的負担も増えます。

子どものことに関する不安や心配事も増えるため、精神的負担も乗り越えていく必要があります。出産後、理想と現実のギャップに苦しむ夫婦も多いようです。家族の協力や地域の支援が必要になることもあるでしょう。

排卵誘発剤の副作用、OHSSとは?

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排卵誘発剤の使用によって卵巣が腫れ、その表面の血管から水分がお腹に出てしまい、さまざまな症状が出ることがあります。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の人は発症の確率が高いといわれています。

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下腹部の痛みや張り

OHSSは重症化する前に早期の発見が大切です。初期の自覚症状に、腹部膨満感があります。食事をしていないのにお腹がいっぱいに感じたり、ガスがたまっているような気がしたり、張っているように感じたりします。

腹部膨満感にともなって、腹膜が刺激されることによる下腹部痛もおこります。これは、腹水がたまることによる症状です。この腹水が腹部全体におよぶと重症とされ、入院が必要になります。

吐き気や嘔吐(おうと)

腹水がたまることで胃が圧迫され、吐き気や嘔吐の症状も現れます。軽度なら問題ありませんが、重症化すると点滴などの治療が必要になってきます。

急激な体重の増加

水分が尿として排出されず、腹水や胸水としてどんどんたまっていくため、急激に体重が増加していきます。排卵誘発剤をつかったあとは、自宅でも体重を測ってチェックしてみましょう。体重が1日で1kg以上増えた場合は注意が必要です。

腹水が増えると同時に、血液の水分は減り、尿も減ります。これはさまざまな合併症を引き起こすため、尿量の維持と血液濃縮の防止が重要になります。腹水穿刺や卵巣穿刺などの手術は負荷も大きいため、妊娠を望む場合は点滴などの治療が一般的です。

血栓症や腎不全、呼吸不全

腹水や胸水が大量にたまってくると、その分血管の水分が移行してしまうため、血管内の脱水や血液濃縮がすすんでしまいます。これは最悪の場合、腎不全や血栓症、呼吸不全を併発してしまいます。この場合、早急に入院し、医師の管理のもとで治療を進めていく必要があります。

最近ではOHSSの発症を予防するために、さまざまな排卵誘発剤の投与方法が考えられています。GnRHアゴニスト併用療法、FSH漸減投与法、hMG律動的皮下投与法、FSH-GnRHパルス療法などが有効といわれています。排卵誘発剤を使用するときには、必ず医師からOHSSのリスクなどを十分に説明してもらいましょう。

排卵誘発剤の副作用・リスクを知ってから治療を受けよう

排卵誘発剤は、不妊治療において大きな意味を持ちます。妊娠に必要なホルモンを調整し、排卵をサポートし、妊娠率をあげる働きがあります。しかし排卵を促す力が強い分、副作用にも十分に気をつけなくてはいけません。

頭痛などの軽いものから、OHSSなどの重いものまで、事前にリスクを知っておきましょう。多胎妊娠の可能性も増えますから、パートナーとも話しあう必要があります。そのうえで医師と相談し、十分な説明を受け、不妊治療を進めていけると良いですね。

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