高齢不妊でも妊娠できる?治療法や妊娠確率は?

不妊治療や妊娠・出産を支える技術の進歩で、高齢不妊でも出産にいたる件数は増加しています。高齢不妊で妊娠するために心がけることや、治療法にはどのようなものがあるのかみていきましょう。高齢妊娠・出産におけるリスクや心構えについても解説します。

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目次

  1. 高齢不妊とは?
  2. 高齢で妊娠するリスクを知ろう
  3. 高齢不妊でも妊娠したい!妊活のコツは?
  4. 高齢不妊の治療とは?
  5. 高齢不妊の治療で妊娠できる確率は?
  6. 高齢不妊の治療のやめどきは?
  7. 高齢不妊は治療のリスクと効果を理解することが大切
  8. あわせて読みたい

高齢不妊とは?

晩婚化で高齢出産が増加している

大学への進学や女性の社会進出が一般化する中、結婚に対する意識は変化し年々晩婚化が進んでいます。厚生労働省の2011年の調査では、女性の平均的な初婚年齢は29歳です。しかし初婚年齢が30歳を超えるケースも多く、40歳以上で結婚する女性も増加しています。

晩婚化の流れは、そのまま第一子を妊娠する年齢にも反映されています。1950年では、第一子を出産したときの母親の年齢は平均で24.4歳でしたが、2012年になると初産の平均年齢は30歳を超えました。厚生労働省の統計によると、2015年には約54,000人が40歳以上で出産しており、そのうち52人が50歳以上です。

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高齢だと不妊になりやすい

高齢出産の数が増えているというデータは、年齢を重ねても出産できるという可能性が示されている一方で、医学的には30代に入ると妊娠にいたる確率は年々低下するという報告があります。

理由はいわゆる「卵子や精子の老化」です。子宮や卵巣は加齢によって機能が低下し、妊娠する力が衰えていきます。卵子の元となる卵胞細胞の数が減少するため、規則的に月経があったとしても、排卵がないこともあります。また卵子の質が落ちて、染色体や遺伝子に異常がみられることも増えるのです。

男性の場合は、老化の程度が女性ほど顕著ではありませんが、加齢に従い精子の運動能力が低下したり、染色体異常が起きやすくなったりします。一度の射精で排出される精子の数も、徐々に減少してきます。

不妊症の定義は「健康な男女が避妊しないで性交をしているにもかかわらず、1年以内に妊娠しないこと」です。しかし、女性も男性も35歳をすぎると妊娠にいたる確率が著しく低下するため、性交をしていても半年以上妊娠にいたらないときは、不妊治療の検討をすすめられることが多くなります。

高齢で妊娠するリスクを知ろう

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妊娠中の異常のリスク

女性は30代後半を迎えるころから、さまざまな変化があらわれやすくなります。卵巣の機能が衰え、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下しはじめる時期だからです。

生活習慣病を発病しやすいのもちょうど40代にさしかかったころで、40歳をすぎてからの高齢妊娠は、妊娠適齢期といわれる25~35歳と比べても妊娠中のリスクが高いことがわかります。

特に気をつけたいのは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など、高齢妊娠がリスク要因となっている病気です。妊娠高血圧症候群は妊娠20週以降から産後12週までに発症し、妊娠糖尿病は妊娠初期から発症する可能性があります。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は、年齢もリスクになりますが、もともと肥満傾向だったり、高血圧や糖尿病を患っていたりするとさらに発症しやすいものです。高齢で妊娠を望んでいるときは妊娠前から生活習慣病の予防に努めることが大切です。

分娩のリスク

高齢妊娠では通常より胎盤が低い位置にある前置胎盤や、妊娠高血圧症候群などを発症するリスクが高くなります。20~40歳代に多くみられる子宮内膜症を合併していることもあり、妊娠異常と常に隣りあわせであることを意識する必要があります。

合併症などの妊娠異常があると、総じて分娩のリスクも高くなるものです。高齢出産の増加に伴い、帝王切開や、吸引分娩・鉗子分娩などの器械分娩の報告例も増えてきました。高齢出産は血管内皮障害による胎盤早期剥離との関連も指摘されています。ある調査では、1,500cc以上の出血があったとされる分娩は、高齢出産に多くみられました。

子宮筋腫などの器質的異常があったり、糖尿病などで母体が疲れやすい状態にあったりすると微弱陣痛となる傾向があり、分娩誘発や陣痛促進剤が使われることも考えられます。とはいえ微弱陣痛は分娩に対する不安が引き金となることも多く、高齢出産であることを必要以上にネガティブにとらえないことも肝心です。

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流産のリスク

通常妊娠であっても流産は15%前後の頻度でみられるものです。しかし、流産となる確率は年齢を重ねるごとに高くなり、40歳をすぎると40~50%という高い頻度となります。

初期の流産の原因の80%は、染色体異常によるものです。卵子や精子の老化は染色体異常をまねくため、高齢で妊娠すると流産にいたる可能性が高くなると考えられます。

一方で、過度な若年層での妊娠は、高齢妊娠と比べて早産や切迫早産の件数が多くなるというデータがあります。妊娠・出産はどのようなことが起こるかわからない、命を生み出すための大変な営みです。どの年代においても種々のリスクがあることを理解しておきましょう。

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染色体異常のリスク

卵子や精子の染色体異常は、新生児の障がいが発生するリスクを高める要因となるといわれています。代表的な障がいとして知られているのは、ダウン症や自閉症です。

染色体異常により出生児に障がいが認められるのは約0.6%の割合です。ダウン症がもっとも多く、出現する確率は0.12%となっています。両親の年齢との関係が指摘されているのが、先天性心疾患です。

ただし、新生児の障がいと親の年齢との関連性は研究途上のことも多く、高齢だからといって障がいが必ず認められるものではありません。たとえ障害を持って生まれてきても、それが親の年齢によるものかどうかは判断することができないのも事実です。

高齢不妊でも妊娠したい!妊活のコツは?

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規則正しい生活

妊活でなにより大切なことは、健康的で規則正しい生活を心がけることです。質の高い睡眠をとり、適度に運動をして妊娠しやすい身体づくりの第一歩となります。

睡眠の質を高めるためには、生活リズムを整えることが欠かせません。朝起きて太陽の光を浴びることから意識すると、自律神経やホルモンのバランスが整いやすくなります。適度な運動は身体の筋力をアップして、血流の改善に役立ちます。

ホルモンの分泌が整い、血流がよくなることで子宮や卵巣、精巣の機能が高まり、卵子や精子の質を維持する効果が期待できるのです。

また過度なストレスがあると、血流が滞ったり活性酸素がたまりやすくなったりします。活性酸素は身体のはたらきを維持するために必要な物質ですが、過剰な活性酸素は正常な卵子や精子を攻撃することがあるため、ストレスをコントロールすることも大切です。

バランスの良い食事

妊娠しやすい身体をつくるために、バランスのとれた食事で必要な栄養素をまんべんなくとりいれるよう心がけましょう。必要な栄養素はタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、そしてミネラルの5大栄養素があげられます。

身体を冷やす食材や冷たい食べ物は控えめにして、血行をよくすることも大切です。身体の中で生成されない必須アミノ酸を含む鶏卵や牛肉などの食品、抗酸化作用のあるポリフェノールを含んだ食品も注目されています。

漢方、サプリメント

血行を改善し、身体の機能を高めるようはたらく漢方薬や、食品では摂取しにくい栄養素を手軽に取り入れられるサプリメントは、妊活をサポートしてくれる心強いアイテムです。

とくに水溶性ビタミンの一種である葉酸は、胎児の先天異常を予防するために、妊娠前から積極的にとることが推奨されています。

妊活サプリとしてはマカやミトコンドリアなどが有名ですが、効果に対しては医学的な研究で解明されていないところも多いのが本当のところです。漢方薬やサプリメントに頼りすぎず、バランスの良い食事と並行して活用していくようにしましょう。

喫煙や過度な飲酒は控える

喫煙は血管内皮障害を引き起こしやすく、妊娠・分娩のリスクを高める要因となります。活性酸素を発生させることから、男女ともに影響を受けるものです。妊娠を望む場合はカップルで喫煙を控えるようにしたいですね。

適度なアルコールはリラックス効果を生むことから、たしなむ程度であれば問題ありません。しかし過度な飲酒はEDになったり、生活習慣病を引き起こしたりすることが懸念されます。習慣的に飲酒する場合は、飲み過ぎに十分注意しましょう。

高齢不妊の治療とは?

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まずは不妊検査

避妊せずに性交をしていても半年で妊娠にいたらなかったときは、不妊をうたがい医療機関で相談してみましょう。不妊の原因は、女性ではなく男性側にあることもあります。受診の際はカップルで診察を受け、不妊の原因がどこにあるのか探っていきます。

不妊の原因を探るためには、いくつかの検査を受ける必要があります。女性は触診やエコー検査などで器質的な問題がないか調べます。月経周期にあわせホルモン量や卵子の発育状態を測定するため、すべての検査が終わるまで数ヶ月ほどかかるのです。

男性は精液検査を行い、精子の運動能力や数、形を検査して精子を作る能力と精子を外に出す能力に異常がないか調べます。これまでは不妊の原因は女性側にあると考えられてきました。しかし、研究や技術がすすみ、不妊の48%は男性にも原因があることがわかっています。検査の結果異常がみつかったときは、適切な指導・治療にすすみます。

不妊症の検査や治療は身体的、精神的な負担が大きく、そこに金銭的な負担も大きくのしかかります。通院回数や入院・外科的処置がおこなわれるかどうかは人それぞれです。治療については不妊原因やカップルの年齢、希望などを考慮して、いくつもある選択肢の中から決定することが求められます。医師やお互いのパートナーと納得のいくまで相談し、話しあいをすすめていきましょう。

タイミング法

タイミング法は卵子、精子に大きな異常がなく、通常の性交で妊娠にいたる可能性があるときに指導される方法です。基礎体温や排卵日前に分泌されるLH(黄体形成ホルモン)量の変化や、卵胞のサイズをみながら受精に適した期間に性交をします。

受精に適した期間は、排卵日の2日ほど前から排卵日当日ごろまでです。排卵日前にはおりものが変化したり、尿中のLH量が増加したりといくつかの変化があらわれます。排卵の有無は、基礎体温や市販されている排卵検査薬でもチェックすることができるため、医療機関を受診する前に簡易的に調べることも可能です。

人工授精

タイミング法で妊娠にいたらなかった場合、人工授精がこころみられます。人工授精は射精した男性の精子を洗浄し、受精の場である卵管膨大部まで届けるために子宮口腔内にカテーテルを使って注入する方法です。

精子を注入するタイミングは、排卵日にあわせます。人工授精の対象となるのは、精子の運動能率が低い精子無力症、精子の数が少なかい乏精子症、性交では射精にいたることができない性機能障害などが含まれます。注入前に精子を洗浄することで、運動率が高く形態異常などがみとめられない元気な精子を届けます。

人工授精の適応条件や、行うことができる回数は厳密に決められています。人工授精が行えるのは6回までで、それでも受精が成立しなかったときは体外受精が選択肢としてあがります。

体外受精

体外受精は、生殖補助医療のひとつです。卵巣の中から成熟した卵子を取り出す「採卵」、射精・洗浄した精子を卵子と一緒にする「媒精」、受精した受精卵を培養し、胚に育ってから子宮内に注入する「胚移植」が一連の流れとして行われます。

採卵は卵胞の中に細い針を刺して行われるため、強い痛みをともないます。また胚移植では、移植後数時間の安静の処置を取られるのが一般的です。

体外受精では、一度に複数の胚がつくられることがあります。複数の胚を体内に戻すと、多胎妊娠の可能性が高まるため、日本では一度に移植できる胚の数は3個までです。残った胚は凍結して保存が可能です。

顕微授精

顕微授精は体外受精よりも高度な不妊治療で、顕微鏡で確認しながら卵子に精子を直接注入していきます。顕微授精にもいくつかの段階があり、受精にいたる確率は50~70%です。

受精の確率は格段にあがりますが、顕微授精を行うことができるのは難治性の受精障害があるときに限定されます。顕微授精の治療は複雑で、子どもに染色体異常や形態異常が認められるケースも否定できません。

顕微授精に限らずすべての生殖補助医療にいえることではありますが、リスクや負担をしっかりと理解したうえで、治療にのぞむことが大切です。

高齢不妊の治療で妊娠できる確率は?

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不妊治療における出産率

体外受精が行われる件数は年々増加しており、日本産婦人科学会の発表によると、2016年に実施された体外受精は約40万件です。そのうち約4万7,000人が妊娠・出産にいたっています。

厚生労働省の報告では、2010年に行われた体外受精のうち、新鮮な胚の移植が行われたのは約6万7,000件、凍結胚の移植は約8万4,000件です。胚移植から出生にいたる確率は新鮮胚で15.9%、凍結胚で22.4%というデータになっています。

体外受精が行われる年齢は2011年時点で35~44歳で6割以上を占めており、40歳以上では約3万4,000件の実施数があります。しかし、体外受精を行っても40歳以上の出生率は約7~8%と、30代の20%と比べ低下していきます。45歳以上になると、出産にいたるのは約1%まで低下します。不妊治療を行うにしても、若いうちから取り組むほうが出産にいたりやすいといえそうです。

不妊治療における流産率

一般的に自然妊娠で流産する確率は15%ですが、生殖補助医療の流産率は年齢を追うごとに上昇します。35歳で約20%だった流産率は40歳で約35%になります。45歳では、60%を超える確率です。高齢であるほど、妊娠の継続が難しいことであるのがわかります。

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高齢不妊の治療のやめどきは?

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経済的に治療継続が難しい

高度生殖医療の場合、40歳以上の治療回数は3回までと決められており、1回あたりにかかる費用は30~60万円と高額です。特定不妊治療費助成制度や自治体の助成を利用することも可能ですが、年齢制限や所得制限により適応が除外されることもあります。

経済的に治療継続が難しいことは、多分に考えられます。治療にのぞむ前に、カップルで「何回まで治療を実施するのか」「支払える金額はいくらまでか」を明確にしておくと、難しい選択を続けることが少なくなります。

不妊治療による疲労・ストレスが限界に

不妊治療は女性、男性ともに多くの負担がかかるものです。不妊治療を続けているうちに自分をせめてしまったり、相手を精神的に追い詰めてしまったりという悩みは多く、お互いの気持がすれ違ってしまうこともしばしばです。

ストレスや疲労は、自律神経やホルモンバランスを乱し、体温の低下や活性酸素の増加をきたすことから、妊娠にとって悪影響があるでしょう。穏やかな気持ちで妊活にのぞめないときは、一度不妊治療を休止するというのもひとつの選択肢といえます。

高齢不妊は治療のリスクと効果を理解することが大切

厚生労働省や日本生殖医学会、日本産科婦人科学会の報告をみても、高齢での妊娠・出産の件数は増加していることから、高齢妊娠に悩む人にとってはまさに光明といえます。

しかし、年齢を追うごとに出産のリミットが近づいてくるのも事実です。高齢妊娠や高齢不妊の治療にのぞむときにはリスクがともなうことをしっかり理解し、結果に一喜一憂しない心構えをしておきましょう。

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