【小児科医監修】インフルエンザの特徴や初期症状!検査方法や風邪との違いは?

冬になり乾燥しはじめると流行するインフルエンザ。この時期に体調を崩すと、風邪なのかインフルエンザなのかと迷うことがありますよね。今回は、インフルエンザを疑ったときにチェックすることや具体的な症状、受診するタイミング、感染経路や予防方法について紹介します。

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この記事の監修

相坂 明
小児科医
相坂 明

目次

  1. インフルエンザとは?風邪とは違うの?
  2. インフルエンザの初期症状
  3. インフルエンザの症状が出た際に受診するタイミング
  4. インフルエンザの検査方法
  5. インフルエンザウイルスの潜伏期間
  6. インフルエンザウイルスの主な感染経路
  7. インフルエンザにならないために
  8. インフルエンザと診断されたときには
  9. 事前にしっかり予防しましょう
  10. あわせて読みたい

インフルエンザとは?風邪とは違うの?

インフルエンザ

インフルエンザは、他の風邪の病原体とは違う「インフルエンザウイルス」に感染することによって起こる病気です。感染力が通常の風邪よりも強く、気温や湿度が下がる冬に流行りはじめることもインフルエンザの特徴のひとつです。

通常の風邪との違いは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身に倦怠感などの症状が急速に現れることです。ただし、インフルエンザでものどの痛み、鼻汁、咳など通常の風邪と同じような症状を伴うこともあります。子どもでは重症化すると肺炎になったり、まれに急性脳症を引き起こしたりすることがあります。高齢者や免疫力の低下している方は肺炎を伴うなど、深刻な症状に陥るケースもあります。

風邪(普通感冒)

風邪はさまざまなウイルスによって起こります。通常の風邪の多くは、のどの痛み、鼻水、くしゃみや咳などの症状が中心で、インフルエンザのように、全身の倦怠感や痛みを伴う症状はあまり見られません。

発熱は、インフルエンザほど高くなく、重症化することはそう多くないでしょう。喉の痛みや鼻水といった呼吸器系の症状が熱よりも先に現れやすいことが、風邪の初期症状の特徴です。

インフルエンザの初期症状

熱が出ないインフルエンザもある

インフルエンザの症状に「急な高熱」をあげましたが、条件によっては、インフルエンザに感染していても高熱が出ない場合があります。つまり、症状だけでインフルエンザと他の疾患を完全に区別することはできません。熱が出ないからといってインフルンザではないと自己判断して放置していると、インフルエンザに感染していた場合、家族に感染を広げてしまったり、治療が遅れて重症化してしまったりということもあり得ます。

特に免疫力が低下している人や、乳幼児・妊婦・高齢者は、重症化するリスクが比較的高くなるので注意が必要です。

インフルエンザA型の初期症状

インフルエンザA型では、突然の高熱(38℃以上)が出ることが多いようです。高熱は最初の3~4日間程度続きますが、人によっては1日で急速に下がることもあるようです。

高熱が出てから約1~3日間は、それにあわせて全身症状が強く現れるでしょう。全身症状とは、寒気、悪寒、関節痛、筋肉痛、頭痛、倦怠感、食欲不振などのことをいいます。A型は、全身症状が先に現れ、やや遅れて鼻水や咳などの呼吸器症状が出る傾向があります。12~2月にかけて流行することが多いでしょう。

インフルエンザB型の初期症状

インフルエンザB型では、熱があまり上がらず、微熱程度であることも多いでしょう。症状としては、下痢や吐き気、嘔吐などの消化器症状が強く出る傾向があるようです。A型の流行が終わった2~3月にかけて流行することが多くなっています。

インフルエンザの症状が出た際に受診するタイミング

インフルエンザか風邪か、また他の感染症なのか、自己判断は難しいものです。新型コロナウイルスと初期症状が似ているため、区別がつきにくいこともあります。思い当たる症状がある場合は、なるべく早く医療機関に行くことをおすすめします。医師に自分の身体に現れている症状や、インフルエンザの感染が疑わしいことを伝えましょう。

インフルエンザは、初期に対処することが大切です。診断がついた場合、元来健康な人ではインフルエンザは安静、十分な休息と栄養などを取ることによって、無投薬でも治癒します。しかし抗インフルエンザ薬を症状が出てから48時間(2日)以内に使用すれば、ウイルスの増殖を抑えて、症状を軽くし、完治まで短期間で済ませることができます。

インフルエンザの検査方法

一般的なインフルエンザの診断は、鼻や喉の粘液を綿棒で採取する方法がとられており、15~30分程度で結果がでるようです。熱が出ていなくても、思い当たる症状が出ている場合、症状を医師に伝えて、検査を検討しましょう。

病院によってはさらに高感度の検査キットを利用している場合もあります。

検査のタイミング

発症後間もないと、インフルエンザであっても検査で陰性になることがあります。発症後12時間を過ぎると、検査で判定できる量までウイルスが増えます。また、抗インフルエンザ薬は、症状が出てから48時間(2日)以内に使用することで望ましい効果が得られるとされています。したがって、検査のタイミングは、発症してから12時間以降かつ48時間以内がベストといえるでしょう。

検査料金

インフルエンザの検査は、通常の診療においては料金は保険適応され自己負担分のみの費用が掛かります。病院にもよりますが2,000円前後であるところが多いでしょう。

高感度迅速検査機や高感度検査キットでの検査

医療機関によっては、高感度迅速検査機という機械で検査を行ってくれるところもあります。また従来の検査キットでも、発症早期から診断可能なものもがでてきました。これらの高感度迅速検査では、通常のインフルエンザ検査のタイミングより早い、発症から6時間~8時間程度で検査結果がでます。


この機械を導入している病院やクリニックでは医療機関の入口や受付にポスターや張り紙などがされていることがほとんどです。インフルエンザの流行の前にかかりつけ医のところはどうかチェックしておいても良いかもしれませんね。

市販のインフルエンザ検査キットはある?

他の検査などでは、市販の検査キットを使用し自宅で簡単に検査ができるものなどもありますが、インフルエンザの検査ではあるのでしょうか。

検査キットは「体外診断用医薬品」に分類されており、一般的に医療機関で使用されるものです。一般に販売はされていないため、自宅で検査することは難しいでしょう。初期症状が現れた場合は、医療機関へ行って検査をしましょう。

インフルエンザウイルスの潜伏期間

インフルエンザは、ウイルスに感染してもすぐに症状が出るわけではありません。ウイルスに感染してから、体内でウイルスが増殖し、発症しない期間を潜伏期間といいます。インフルエンザウイルスの潜伏期間は通常ならば1~3日、長い場合は約1週間といわれています。

潜伏期間もウイルスを保持しており、発病の1日前から感染源となりまわりの人にもうつすようになります。そのため、日ごろからの予防が大切です。

インフルエンザウイルスの主な感染経路

インフルエンザウイルスの感染経路は主に3つあげられます。

飛沫(ひまつ)感染

感染した人の咳やくしゃみなどに含まれたウイルスを直接吸い込んでしまうことにより感染します。ウイルスに感染した患者の1度のくしゃみで、ウイルス入りの飛沫が約200万個、1度の咳で約10万個が飛び散るといわれています。

空気感染

空気中を小さな粒子となって漂っているウイルスを呼吸とともに吸い込んでしまうことで感染します。

接触感染

感染している人が触れたものに触れ、そこに触れた手で目や鼻や口に触れてしまうことで感染します。

どの感染経路においても、呼吸もしくは触れた物からの感染となり、生活をしている限り、ウイルスにまったく触れないということは難しいでしょう。

インフルエンザにならないために

予防接種

インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低くさせる効果と、発症した場合の重症化を防止する効果があるといわれています。通常、インフルエンザの流行は12月下旬ころから始まるので、できれ12月上旬までには必要な回数の接種を済ませておくことが望ましいです。

手洗い・うがい

手洗いは手指など身体についたインフルエンザウイルスを除去するために有効な方法です。石鹸を使って丁寧に手洗いすることが大切です。インフルエンザウイルスはアルコールによる消毒も効果が高いため、アルコール消毒液を用意するのも良いでしょう。

うがいに関してはインフルエンザの予防のために大切だといわれていますが、科学的根拠は今のところはないようです。インフルエンザウイルスは、うがいでは対処できない可能性があります。このため、厚生労働省ではうがいの推奨はありません。

しかし、インフルエンザの予防効果の根拠がないからといって、うがい自体が悪いわけではありません。うがいは他の風邪の予防には効果的だとされています。インフルエンザの流行期には他の病気の予防にもなるので、うがいもしっかりしましょう。

マスク

インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみの際に口から発生される小さな水滴(飛沫)による飛沫感染です。したがって、マスクをして、飛沫を浴びないようにすればインフルエンザに感染する機会は大きく減少します。

また、自分自身が咳やくしゃみがある場合もマスクをつけましょう。手のひらで咳やくしゃみを受け止めたときはすぐに手を洗い、鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨てましょう。

感染者が使用したものは使わない

感染者が使用したものにはウイルスが付着している可能性が高いため、それを別の人が使うことは感染の可能性があるので、注意しましょう。特に、家族が感染してしまった場合には、タオルやコップ、ティッシュなど共用で使っていたものなどは分けて使うようにしましょう。

適度な湿度の保持

空気が乾燥すると、のどや気管支のウイルスをはねのける機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことが効果的です。

十分な休養とバランスのとれた栄養摂取

身体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。

人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザが流行してきたら、特に妊娠中、疲れ気味、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えたほうが良いでしょう。やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、マスクの着用をおすすめします。ただし、人混みに入る時間は極力短いほうが良いでしょう。

インフルエンザと診断されたときには

お薬について

WHOなどは抗インフルエン薬の使用を推奨していませんが、日本感染症学会などでは、抗インフルエンザ薬の使用を推奨しています。子どもの年齢に応じて合う薬が処方されるでしょう。

基本的にインフルエンザはウイルス性の病気なので、休養と十分な栄養がとれていれば、治るとされています。保護者や医師の考え方、症状が軽い場合などには、抗インフルエンザ薬は処方されないこともあります。

出席停止の期間について

学校保健安全法によると出席停止の期間は
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱したあと2日(幼児にあっては3日)を経過するまで。」とされています。幼児とは小学校入学以前までの小児のことを言います。

日数のカウントの仕方は、発症した日、解熱した日はカウントに含めず0日とし、翌日から1日、2日と数えます。

感染拡大予防のためにも、身体の回復のためにも、決められた期間は不要な外出は控え、自宅で休むするようにしましょう。

事前にしっかり予防しましょう

ここでは主にインフルエンザの症状について説明しましたが、感染経路について知り、インフルエンザにならないように予防をすることが一番です。それでも、どうしてもかかってしまうのがインフルエンザの感染力の強さです。かかってしまった場合には、早めの受診と周りへの感染予防に努めましょう。

※2023年9月時点で、2022/23シーズンの流行が終息しないまま2023/24シーズンに入り、各地でインフルエンザ注意報が発令されています。新型コロナとの同時流行の可能性も懸念されているため、引き続き感染症対策をとるようにしましょう。

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