更新日:2017年11月17日

男性不妊とは?どんな原因があるの?男性不妊の検査や治療方法をまとめて解説

不妊は女性の問題と考えられがちですが、不妊症の原因の約半数は男性側にもあるといわれています。男性不妊とはどのような症状なのでしょうか。ここでは、男性不妊の原因や種類について解説します。また、男性の不妊検査や、男性不妊の場合の治療方法をご紹介します。

監修 : mamanoko 医師・専門家
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男性不妊とは?

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不妊とは一般的に、妊娠を希望した健康な夫婦が、避妊せずに1年間子どもができない状況をさします。2015年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、実際に不妊の検査や治療を受けたことある夫婦の割合は18.2%にのぼります。

そのうち、男性側に原因があって子どもができない場合を男性不妊と言います。

妊娠の仕組みと精子の役割

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妊娠は、女性の卵巣から排卵された卵子と精子が出会い受精し、子宮内膜に着床することで成り立ちます。

性交渉をし、1回の射精で女性の身体の中に送り込まれる精子は数億個とされます。しかし、そのうち99%の精子は卵子と出会う前に死んでしまい、卵子にたどり着ける精子は数十~数百個とされています。

卵子にたどり着いた精子のうち1個だけが卵子と受精することができます。しかし、卵子は透明帯というもので周囲を守られており、精子が受精するためには、一定の数の精子が酵素を出して透明帯を溶かす必要があります。

男性不妊は多くの場合、射精~受精の流れの中で何らかの理由により、精子が卵子にたどり着けないことが原因と考えられます。

不妊の原因の半数は男性側の原因

日本では、子どもができないと女性に問題があると考えられ、女性が苦しい立場に立たされることが多くありました。しかし、世界保健機構(WHO)が不妊症の原因を調査したところ、不妊に悩む夫婦のうち約半数は、男性にも不妊の原因となる異常があることがわかっています。

男性不妊の専門医は全国的にも少なく、女性の不妊治療に比べて治療法がまだ確立されていません。女性の不妊に比べ原因が特定できない症状も多いのが現状です。

しかし、治療の技術は日々進化しています。以前であれば妊娠の可能性がほとんどないとされていた無精子症の場合であっても、精巣内に精子がひとつでも見つけることができれば、妊娠できる可能性があります。

男性不妊の原因にはどんなものがある?

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精子をつくる機能が低下している(造精機能障害)

精子をつくる機能が低下し正常な精子をうまく作れないと、不妊をおこす原因となります。男性不妊の原因の80~90%が、精子をつくる機能が低下する造精機能障害(ぞうせいきのうしょうがい)によるものだとされています。

造精機能障害には主に下記のような症状があります。

・無精子症(むせいししょう):精液中に精子が1個も存在しない状態
・乏精子症(ぼうせいししょう):精液中の精子の数が少ない状態
・精子無力症(せいしむりょくしょう):精子の運動率が悪い状態

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造成機能障害の原因のひとつに、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)というものがあります。精巣や精巣の上の精索という部分の静脈にこぶができ、精巣の温度が上昇したり血液の流れが悪くなったりすることで、精子をつくる機能が低下してしまいます。男性不妊の患者の約4割が精索静脈瘤といわれています。

精子の通過が妨げられている(精路通過障害)

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精巣で作られた精子は、精巣上体と精管を通り、精嚢(せいのう)と前立腺で作られた精液のもとになる液体と混ざり合います。これが精液であり、射精のときには尿道を通じて外に出されます。

クラミジアなどの細菌感染により精巣上体が炎症をおこしてしまったり、生まれつき精管が備わっていなかったりすることで、精子が通過できないと、精子が卵子にたどり着けず不妊の原因となります。

精路通過障害には主に下記のような症状があります。

・閉塞性無精子症(へいそくせいむせいししょう):
精子の通り道である精管の一部がつまってしまうことで、精液中に精子が存在しない状態
・逆行性射精(ぎゃっこうせいしゃせい):
精液が尿道に送られず膀胱側に射精される状態

精路通過障害では、問題が小さければ、手術で精管をつなぎあわせることで、妊娠を目指すことができるでしょう。

うまく性行為できない(性行為障害)

セックスがうまくできないことが不妊の原因になることもあります。性器の形の異常や全身疾患、交通事故の後遺症などによる機能障害によって性行為ができないケースもあるでしょう。また、精神的な理由から勃起不全・勃起障害(ED)がおこったり、腟内に射精ができなかったりする場合も少なくありません。

性行為障害による男性不妊の場合、精液中の精子には問題がなければ、適切な治療によって妊娠できる可能性が高いでしょう。

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男性不妊検査とは?

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夫婦で産婦人科や不妊専門クリニックに通う場合は、その病院で検査することが一般的でしょう。女性の多い産婦人科での受診に抵抗がある場合は、男性不妊専門のクリニックを受診するのもおすすめです。

精液検査

男性側の不妊検査では、まず精液検査を行うのが一般的です。2~7日禁欲した後、精液をマスターベーションで採取し、精液の量や精子濃度、精子の運動率や精子の形などを調べます。

病院内の採精室で精液を採取することが一般的ですが、病院によっては自宅で採取した精液を持参する場合もあります。

男性の精液の状態は、体調や環境で影響を受けて大きく変動するため、精液検査は複数回行うことが望ましいとされています。

血液検査・尿検査

病院によっては、血液検査でホルモンの値を調べたり、尿検査で腎臓や膀胱・前立腺に異常がないか調べたりすることもあるでしょう。

泌尿器科的な検査

精液検査で異常が見つかった場合、さらに詳しい検査を行います。精巣の大きさを測定したり、男性不妊の多くの原因となる精索静脈瘤がないか触診したりすることになるでしょう。症状によっては、染色体検査や遺伝子検査、男性器の形を調べるMRIなどを受けることになるかもしれません。

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男性の不妊治療方法は?

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生活習慣の指導

精子の数が少なかったり、精子の質が良くなかったりした場合、まずは生活習慣の改善により男性不妊の症状改善を目指すことになるでしょう。

たとえば喫煙やアルコールの過剰摂取は、精子の質を低下させる恐れがあります。男性不妊の原因になりうる生活習慣があれば、可能な範囲で中止します。また、漢方治療やサプリメントによって体質改善を試みる場合もあるでしょう。

その他の高度な治療を行う場合でも、生活習慣の改善による体質改善は効果的だと考えられます。

薬を使った治療

ED(勃起不全・勃起障害)による男性不妊には、ED治療薬による治療が効果的です。ED治療薬によってEDが改善した場合には、自然妊娠にいたる可能性も高いでしょう。

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また、精液が膀胱側に射精してしまう逆行性射精の治療には、抗うつ剤など膀胱の一部を閉じる作用がある薬が使用されることがあります。逆行性射精の患者の約3分の1の割合で薬による治療が有効だといわれています。

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ホルモン欠損(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)が原因で、精子を作る機能が低下している場合は、薬によりゴナドトロピンを補充することで、妊娠を期待することができます。

手術

精子の通り道である精路がふさがっている場合は、軽度であれば、ふさがっている部分を取り除く精路再建手術が有効です。手術によって精子が精路を通れるようになれば、精子が射精によって女性の身体の中に入ることができるようになるため、自然妊娠が期待できます。

精巣や精索部の静脈にこぶができる精索静脈瘤には、手術によって自然妊娠を目指すことができる場合もあるでしょう。ただし、精索静脈瘤の手術では、効果があらわれるまでに半年から1年程度の時間がかかります。年齢的に早めの妊娠が望ましい場合は、体外受精や顕微授精の実施をすすめられるかもしれません。

人工授精

人工授精では、男性から採取した精液のうち、動きの良い成熟した精子だけを取り出し、細いチューブを使って女性の子宮内に送り込みます。精液中の精子の数が少なかったり、精子の運動率が悪かったりする場合は、人工授精による不妊治療で妊娠できる場合があります。

ED(勃起不全・勃起障害)や腟内に射精できない場合にも、人工授精は有効です。精子に問題がないのであれば、人工授精により妊娠できる可能性は高いでしょう。

体外受精・顕微授精

精液中の精子の数が非常に少ない、精子の運動率が非常に悪いという場合には、体外受精や顕微授精をすすめられることがあるでしょう。

特に顕微授精は、顕微鏡を使って卵子に直接精子を注入するため、精子の数がひとつしかない場合でも受精させることができます。無精子症や重度の精子無力症の人でも、顕微授精で妊娠できる可能性があるのです。

最近ではどんどん技術が進歩し、従来よりも精子を拡大して観察することができる顕微鏡を導入しているクリニックもあります。その場合、より良質な精子を選別し、正確な受精を行うことができるため、妊娠の成功率も上がっています。

ただし、最新の機材を導入しているクリニックでは治療費も高額になる傾向になるため、夫婦でよく話し合って治療に取り組むようにしてくださいね。

精子回収法

いろいろな方法を試みて精液中から精子を回収できない場合でも、精巣内に精子がひとつでも見つけることができれば、顕微授精を用いることで妊娠の可能性があります。

精子回収法は、手術で精巣や精巣上体から精子を探し回収するというものです。陰のうの皮膚を小さく切り精巣組織の一部を採取する方法や、全身麻酔のもと顕微鏡を使用して精子がつくられる精細管を採取する方法があります。

特に顕微鏡を使用した採取方法は高度な技術が求められるため、日本で実施できる医師や医療機関は限られています。

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男性不妊の改善におすすめの生活習慣

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男性の精子の数や状態は、体調や環境に左右されやすいものです。そのため、男性不妊の改善のためには、日常生活の過ごし方が大切です。質の良い精子を作るために、下記のことに気を付けるようにしましょう。

・禁煙する
・精巣(睾丸)を温め過ぎない
・下半身を締め付ける下着を避ける
・週に2~3回射精をする
・自転車・バイクに長時間乗らない
・適度な運動をする
・アルコールは適量にとどめる
・ストレスをためない
・質の良い睡眠をとる

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男性不妊の治療は夫婦で協力して

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不妊の原因の半数は男性側にも原因があるとされています。男性不妊であると診断されると、精神的にショックを受ける男性も少なくありません。また、男性不妊が原因の不妊治療であっても、人工授精や体外受精・顕微授精を行う場合には、薬や注射、採卵や胚の移植を受ける女性は、肉体的にも精神的にも負担が大きいものです。

不妊治療に対する夫婦間の気持ちの温度差から、夫婦の気持ちがすれ違ってしまったり、夫婦関係がぎくしゃくしてしまったりすることもあるでしょう。特に男性に不妊の原因がある場合、子どもを持つことを諦められない女性が離婚を考えるケースもあるようです。

男性不妊がわかった場合には、今後どのように治療を進めていくか、お互いがどうしたいかを夫婦でよく話し合い、協力して治療にのぞめると素敵ですね。

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