【産婦人科医監修】着床出血後の妊娠検査薬は陰性?陽性反応はいつから?生理との見分け方や早期流産の可能性

妊娠の初期症状のひとつである着床出血が起こったとき、妊娠検査薬はどのような反応を示すのでしょうか。着床出血の特徴と妊娠検査薬の仕組み、生理との見分け方や着床出血後に妊娠検査薬を使用するタイミングについても解説します。その他の注意すべき出血についても知っておくことで、妊娠時のトラブルに対する不安を取り除いていきましょう。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 着床出血とは?
  2. 妊娠検査薬でいつから陽性反応が出る?
  3. 着床出血後に妊娠検査薬を使うタイミングは?
  4. 着床出血と生理との見分け方
  5. 妊娠初期に起こるその他の出血
  6. 着床出血と妊娠検査薬に関する体験談
  7. 性器出血があった場合は陰性・陽性にかかわらず医師の診察を受けよう
  8. あわせて読みたい

着床出血とは?

受精卵が着床するときに起こる出血

「着床出血」とは、精子と卵子が受精して受精卵が子宮に着床するときに起こる生理現象です。受精卵は子宮内膜の表面に取り込まれたところから着床を開始します。その後、4日間ほどかけて子宮内膜の奥深くに潜り込んで着床を完了させます。着床の開始から完了まではおよそ6日間かかります。

着床の際に子宮内膜から出血することがあり、この現象が「着床出血」と呼ばれます。着床出血は妊娠の初期症状のひとつとして広く認知されていますが、医学用語ではなく、医療の現場では「月経様出血」とも呼ばれています。

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着床出血が起こるのは生理予定日の1週間前から生理予定日当日

受精卵は受精してから6~7日間ほどかけて卵管を移動し、子宮にたどり着くと着床を開始します。この時期はちょうど生理予定日の1週間前に該当します。そのため、着床出血は生理予定日の1週間前~生理予定日当日に起こるのが一般的です。

しかし、排卵や生理周期がずれていたり、生理開始予定日を勘違いしていたりする場合は、想定していた生理開始予定日を過ぎてから着床出血を確認することがあります。

着床出血か生理かというのは大きな違いです。とくに妊娠を希望しているときは、正確に生理開始予定日を把握するためにも、基礎体温や排卵日チェッカーなどを使って生理周期を管理することが望ましいでしょう。

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出血量は少量でにおいはほとんどない

着床出血に伴う出血量は、少量であることがほとんどです。おりものにわずかに出血が混じっていたり、排尿後に少しティッシュに付いたりする程度の量で、下着が汚れても直径5cm以内というのが一般的です。

また、着床出血と生理とでは出血のメカニズムが異なるため、生理の経血のような独特のにおいはほとんどないといわれます。

出血の期間は1~3日間

着床出血は1~3日間ほどで収まることが多く、1回の出血で終わる人もいれば、3日間少量の出血が続く人もいます。まれに1週間近く続く人もいて、出血の期間は生理と同じように個人差がみられます。

着床出血には腹痛を伴うと感じる人も

着床にあたるタイミングでチクチクとした軽い腹痛や生理痛のような痛み、腰痛を感じたという人が多く、一般に「着床痛」と呼ばれます。しかし、着床時に起こる腹痛ひいては着床出血に伴う腹痛に医学的な根拠はありません。

着床出血は起こらないこともある

着床出血はすべての人に起こるものではありません。むしろ着床時に着床出血が起こらないケースのほうが多いといわれます。

着床出血が起こる頻度に関しては、すべての妊娠中およそ2%の人だけに起こるとする説もあれば、25%の人に起こるという説もあります。着床出血が見られたすべての妊婦さんが婦人科の診察を受けているとは限らないこと、また、妊娠初期の身体にはさまざまな変化が起こるため、出血があった場合の原因の特定が難しいということから諸説あるようです。

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疑わしい出血は受診を

出血量には個人差があり、生理の多めの日と同等量の出血が認められることもありますが、まれなケースです。出血の量が多かったり痛みを伴ったりする場合、1週間以上出血が止まらなかったりする場合は一度産婦人科を受診してみましょう。

また、排卵日や生理周期が基礎体温などから把握できているうえで、生理予定日を大幅に過ぎてから出血があった場合は、生理の発来あるいは着床とは無関係に起こる不正出血と考えられます。このような場合はすみやかに医師の診察を受けましょう。

妊娠検査薬でいつから陽性反応が出る?

妊娠しているかどうかを自分で確認することができる妊娠検査薬は、手軽に購入できてとても便利なものです。しかし使用する時期を間違えてフライングしてしまうと正しい結果を得ることができないので注意しましょう。

hCGを検知して陽性・陰性を判定

妊娠検査薬は、尿中の「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンに反応し、その濃度によって妊娠しているかどうかを判定します。

hCGの尿中の濃度は妊娠していないときは0.7mIU/mL以下が正常値ですが、受精卵が子宮に着床すると分泌量がぐんと増えます。一般的に購入できる妊娠検査薬は、hCG値が50mIU/mL以上となったときに「陽性」反応、それ以下であれば「陰性」反応が出るように設定されています。

一般に早期妊娠検査薬と呼ばれる海外製の検査薬や、薬剤師のいる薬局で購入できる体外診断用医薬品は感度が高く、25mIU/mLから検知することができます。

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hCGの分泌は妊娠3週から

hCGは、子宮内膜を維持する黄体の働きを促す作用を持っています。黄体は、妊娠を継続するためになくてはならない物質です。黄体が退化して寿命を迎えると、子宮内膜が剥がれ落ちて生理が起こります。すると、せっかく着床した受精卵が体外に流れ、妊娠継続の危機となってしまいます。

受精が成立した女性の身体はhCGを分泌することで黄体の寿命を延ばし、子宮内膜が剥がれ落ちるのを抑制しているのです。hCGの分泌は着床後の妊娠3週以降から始まり、分泌量は胎盤形成前の8~10週頃に最大となります。

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検査可能になるのは生理開始予定日の約1週間後から

一般的な妊娠検査薬で正確に反応が出る時期は、hCGの分泌量が50mIU/mL以上で安定する「生理開始予定日の約1週間後から」です。ただし海外製や薬剤師のいる薬局で購入できる妊娠検査薬の中には検出感度が25mIU/mLのものがあり、生理開始予定日当日から検査が可能とされています。

hCGの分泌量には個人差があるため、インターネットの掲示板などでは「生理開始予定日前でも陽性反応が出た」という投稿が散見されます。結果を早く知りたいという気持ちがあるかもしれませんが、正確な判定を得るためにも、商品によって決められている検査時期を守るようにしましょう。

「どうしても待ちきれない」というときは、検知感度が12.5mIU/mL、生理開始予定日の2~3日前から検査可能という医療用の妊娠検査薬があります。かかりつけの病院で取り扱いがあるか、相談してみてはいかがでしょうか。

妊娠検査薬のフライングに注意

排卵日から生理予定日まではおよそ2週間です。そのあいだ、「妊娠しているかどうかを一刻も早く確認したい」と思う気持ちが抑えられないこともあるのではないでしょうか。

しかし、hCGが分泌される前や分泌が始まっていても微量であるうちは、いくら検査をしても正確な判定は得られません。着床出血後であっても、妊娠検査薬が陰性を示すことは不思議ではないのです。妊娠検査薬を使用する場合はあせる気持ちを抑えて、商品ごとに決められた使用期間を待ってから検査するようにしましょう。

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着床出血後に妊娠検査薬を使うタイミングは?

妊娠検査薬は着床出血の何日後に使えるようになるのでしょうか。妊娠していた場合、着床出血から何日で陽性反応が出るのでしょうか。

生理予定日前に出血があった場合

着床出血は妊娠の兆候のひとつです。しかし、生理予定日前に着床出血と認められるような現象が起こったからといって、妊娠検査薬を使えばただちに陽性となるわけではありません。

妊娠検査薬が陽性反応を示すのは、hCGが検出可能な濃度まで上昇したときです。着床出血の有無にかかわらず、生理予定日前の検査では正確な反応が得られません。着床出血が認められた場合でも、一般的な妊娠検査薬が使えるタイミングは「生理開始予定日の約1週間後から」と考えましょう。

生理予定日後に出血があった場合

生理予定日後に出血が見られた場合でも、一般的な妊娠検査薬が使えるタイミングは「生理開始予定日の約1週間後から」となります。

着床出血が起こる時期は通常、生理開始予定日の1週間前から生理予定日当日までです。生理予定日を過ぎてからの出血は妊娠以外の可能性も考えられるので、妊娠検査薬の使用とあわせて医師による診察も視野に入れましょう。

なお妊娠検査薬の多くは、検査結果に出血の影響を受けません。出血が起こっているときに妊娠検査薬を使っても判定は可能です。

下腹部痛を伴う場合や出血が長期にわたる場合は早めに受診を

出血の他に下腹部痛を伴う場合や、出血が長期にわたる場合は注意が必要です。異所性妊娠(子宮外妊娠)や生化学的妊娠(化学流産)の可能性、また重度の疾患が潜んでいる可能性があり、早期に医科的処置が必要となるケースもあります。

下腹部痛を伴う出血が見られたり、生理時に下腹部痛がある人でもいつもとは様子の違う痛みや症状が見られたりしたら、できるだけ安静を保ちつつ、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

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生理予定日を過ぎても生理が来ない場合は数日後に再検査

着床出血とみられる出血があり、一度は検査をしたものの陰性の反応が出たときは、妊娠初期でhCGの濃度がまだ低かったということも考えられます。生理予定日が過ぎても生理が来ず、下腹部痛や大量の出血も見られない場合は、初めの検査から数日後、もしくは定められた検査日を待ってから新たな妊娠検査薬を使って再検査をしてみましょう。

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着床出血と生理との見分け方

量と色で判断

着床出血は生理予定日のおよそ1週間前に起こることがあるため、生理時期が早まったと解釈する人も多く、数日経ってから普段の生理と違うことに気付くパターンもあるようです。

それでは、着床出血と生理との違いは何でしょうか。もっとも顕著なのが量と色の違いです。正常な生理では、1回につき20~140mLの経血が排出されます。洗濯の際に使う液体洗剤や柔軟剤の量が1回分で20~40mLなので、この量を目安にするとわかりやすいですね。着床出血はそれに比べるとごく少量で、下着の汚れも限定的です。

出血の色に関しても違いが見られます。通常、生理の経血の色は濃い赤の鮮血~茶褐色です。一方着床出血は、おりものに茶色や赤の出血が混じったような色で、うすい茶色やピンク色をしていることがほとんどです。

量や色では見分けがつかない場合も

妊娠初期の症状は個人差が大きいため、出血が起こったとき、それが着床出血なのかそれ以外の不正出血なのかについては色や量だけでは判断が難しいことがあります。

着床出血の定義にあてはまる出血が見られたとしても、それだけで妊娠の可能性を判定することはできません。妊娠についてはその他の兆候もあわせて見極めることが大切です。

基礎体温や生理周期を管理しているとわかりやすい

着床出血は起こるか起こらないかわからないものであり、妊娠の判定材料とするにはいささか不安定です。着床出血後の妊娠検査薬では陰性だったものの、実際は妊娠していたというケースもあります。妊娠の判定を総合的に行うためにも、基礎体温や生理周期を把握しておくと良いでしょう。

基礎体温は、妊娠すると、非妊娠時では生理日に下がるはずの高温期がそのまま続きます。また、排卵から生理の発来までは通常14日間前後なので、排卵が起こってから出血が見られるまでの日数がこれに当てはまらない場合は、生理と区別しやすくなります。

もともと生理不順であったり基礎体温をつけていなかったりしても、最近の体調はどうか、熱っぽい、眠い、だるい、胸が張るなどの症状がないか、いつもの生理と異なる症状があるかどうかもあわせて振り返ってみましょう。

妊娠初期に起こるその他の出血

妊娠の継続が困難となる出血

着床出血は妊娠の兆候のひとつなので、妊活中の人にとってはうれしい現象ですね。とはいえ、妊娠の経過は複雑なプロセスを経るものであり、現代医学では解明されていないことも多いのが事実です。

妊娠検査薬で陽性反応が出ていても、妊娠初期に出血が見られた場合、妊娠の継続が難しい症状に起因するケースもあります。たとえば、異所性妊娠(子宮外妊娠)や自然流産、胞状奇胎などです。

妊娠の継続が困難となると、「陽性だったのに」「妊娠していたのに」と、受け入れがたい気持ちになるかかもしれません。しかし、異所性妊娠や自然流産、胞状奇胎では、発見後の処置が重要です。次の妊娠に備えるためにも、信頼できる医師のもとで、できるだけ早く子宮をもとの状態に戻してあげましょう。

妊娠継続の可能性がある出血

妊娠初期は何かとナーバスになり、「出血=流産」という思いが頭をもたげるのではないでしょうか。不安な気持ちになるのは当然でしょうが、治療や経過観察が必要な出血でも、適切に処置をすれば妊娠の継続が可能なケースも多いものです。

絨毛膜下血腫や子宮頸管ポリープ、子宮腟部びらんといった症状は、比較的現れやすい出血となります。特に子宮頸管ポリープや子宮腟部びらんは妊娠の有無にかかわらず起こります。妊娠中期・後期にも見られることがあり、いずれの出血も感染症の原因となることがあるため、処置については医師の指示に従いましょう。

着床出血と妊娠検査薬に関する体験談

着床出血と妊娠検査薬について、ままのて編集部に寄せられた先輩ママの体験談を紹介します。

陰性から陽性になるあいだに着床出血がありました

私にはふたり子どもがいます。一人目のときは、気付かなかっただけなのかも知れませんが着床出血はありませんでした。

二人目のときは、妊娠検査薬をフライング検査してしまって陰性でしたが、生理予定日当日に着床出血がありました。普段の生理とは明らかに違う薄い血の色で、量もごくわずかでした。生理のときのように日に日に量が増えることはなく、微量な血が数日間出ていましたが止まりました。

妊娠を希望していたので、「これが着床出血?」と思うと同時に「大丈夫なのかな?」と、とても不安だったのを覚えています。一人目のときには経験しなかったので、余計に心配になってしまいました。

その後、妊娠検査薬で陽性の反応が出たときは嬉しかったですが、病院で診察してもらうまで不安でした。

性器出血があった場合は陰性・陽性にかかわらず医師の診察を受けよう

妊娠初期は身体の中でダイナミックな変化が起こっています。また、何回出産を経験したとしても、「絶対こうなる」というパターンは決まっていないものです。

妊娠検査薬は、心身ともに急激な変化にさらされる妊娠初期に、ひとつの指標を示してくれます。着床出血か生理かの見分けがつかないときも、妊娠検査薬で確認できると思えば心強いのではないでしょうか。検査結果が陰性から陽性に変わる経験は、妊娠を望む人にとっては忘れられない出来事となるでしょう。

しかし、性器からの出血で生理以外のものはすべて「不正出血」です。また、妊娠すると経過が正常であっても医師の確定診断が必要となります。妊娠検査薬の検査結果が陰性か陽性かにかかわらず、生理以外の出血が認められた場合は医師の診察を受けましょう。あせりや不安にとらわれず、自己判断に頼りすぎないことが大切です。

※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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