慌てないで!妊娠初期の出血の原因と対処法

妊娠初期に出血があると不安になりますよね。着床出血によるものなのか、流産など何か赤ちゃんに危険があるものなのか、気になるママは多いのではないでしょうか。妊娠初期の出血=流産というわけではありません。ここでは、妊娠初期に出血する原因と対処法について、医師監修の記事でご紹介します。

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この記事の監修

産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠初期の着床出血とは
  2. 妊娠初期の出血の原因
  3. 妊娠初期に出血した時の対処法
  4. 妊娠初期の出血で不安になったら早めの受診を

妊娠初期の着床出血とは

妊娠したかなと思うころに少しだけ出血することがある、と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。「出血」と聞くと赤ちゃんに何か影響があるのではないかと心配になりますが、これは「着床出血」と言い、まったく心配のない出血です。量もごく少量なことが多いです。

精子と卵子が受精し、子宮の内膜に着床するときに絨毛(じゅうもう)が子宮の壁を傷つけてしまうことがあります。この際に、着床部位から少量の出血が起こってしまい、これが着床出血となります。

着床出血には個人差があり、まったくない人もいます。後々になってから「あれが着床出血だったのかな」と思う人も多いようです。着床出血がないからといって妊娠していないわけではないので、妊娠を望まれている方はあまり気にしすぎないようにしてくださいね。

時期的には、生理予定日の1週間ほど前~生理予定日までに着床出血が起こることが多いです。一回だけ出血して終わる方もいれば、まれに一週間近く続く方もいます。日頃から不正出血を起こしやすい方は、着床出血を見極めるために基礎体温をつけておくと良いでしょう。

妊娠初期の出血の原因

着床出血以外にも、妊娠初期の出血の原因はあります。心配される方が多いかもしれませんが、出血の理由をしっかり知っていれば、慌てることなく対処できますよ。

絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

妊娠5週~20週にかけて起こりやすい病気です。切迫流産の症状のひとつです。子宮を包んでいる絨毛膜の外側にある子宮内膜の血管に、胎盤ができる際に傷がついて血液がたまり、出血量が多いと体外に排出されます。妊娠初期からこの症状が見られる方もいます。自覚症状があるかどうかには個人差があり、出血やお腹の張りで気付く方もいれば、なにも感じない方もいます。

切迫流産と聞くと心配になりますが、まずは出血や違和感を感じたら安静にすることを心がけてください。ただし、出血と同時に下腹部に鈍い痛みやその他の症状があるようであれば、すぐに医師に連絡をして受診するようにしましょう。

絨毛膜下血腫の診断が出ても、その他の妊娠経過に異常が無ければ、経過観察として様子を見ていくことになります。

月経様出血

妊娠4週ごろに起こりやすい症状です。月経様出血とは、妊娠をしていても身体の中のホルモンが妊娠前と同じように働き、月経のような出血を引き起こすことを言います。また、受精卵が子宮内膜に着床するとたくさんの血液が子宮に集まるため、出血を引き起こしやすくなっています。通常の月経と比べて出血は少量で、2~3日で終わることがほとんどです。

子宮腟部びらん

妊娠14~15週に起こりやすい症状です。子宮腟部びらんは子宮の入り口がただれている状態のことを言い、妊婦さんのみならず、若い女性に多く見られる症状です。下腹部痛やお腹の張りなどはなく、少量の出血があったりおりものに血が混ざったりすることがあります。

また、内診やセックスで腟を刺激したときにも起こり得る症状ですので、出血前にどのような刺激を受けたか思い出してみると良いでしょう。特に思い当たる原因がなく心配なようでしたら、病院を受診するようにしてください。

胞状奇胎

妊娠4週~20週にまれに起こる病気です。胞状奇胎とは、染色体の異常により異常な増殖をする受精卵のことで、胎児には育ちません。胞状奇胎には大きく分けて2種類があります。

ひとつは「全胞状奇胎」といって、核のない卵子に精子が入り込む、または受精後に卵子の核が消失してしまい、精子の核だけが残って増殖するものを言います。もうひとつは「部分胞状奇胎」といって、ひとつの卵子に、一度にふたつの精子が入り込んでしまって異常な増殖をするものを言います。

いずれにしても、胞状奇胎と診断されてしまうと、妊娠を継続するのは不可能となってしまいます。ただし、これは染色体の異常が原因ですので、このような診断を受けたとしても自分を責めてはいけません。

異所性妊娠

妊娠5週を過ぎたころからわかる症状です。異所性妊娠とは、いわゆる子宮外妊娠のことです。妊娠を確定させるhCGの血中濃度が高くても、子宮内に胎嚢が確認できない場合には、異所性妊娠を疑うことになります。

異所性妊娠の99%は卵管妊娠ではありますが、まれに、卵巣妊娠や腹膜妊娠、子宮頸管妊娠が見られることがあります。放っておくことにより、卵管や卵巣など、着床した組織が破裂し大量の出血を伴うことになりかねません。そうなると緊急手術になってしまうので、早めに気づくことが重要です。異所性妊娠は多くの場合腹痛と出血を伴いますが、出血はある場合とない場合があるので注意が必要です。

自然流産

自然流産とは、妊娠22週に至らない時点で妊娠が終了してしまう場合のことを言います。何らかの原因でお腹の中で赤ちゃんが育たなくなり、流産してしまいます。

自然流産の一部に「稽留流産」というものがあり、これは自覚症状がないまま、お腹の中で赤ちゃんがなくなってしまい、子宮内に留まっていることを言います。

自然流産は妊娠12週までに起こることが多く、その原因の多くは染色体の異常です。万が一流産となってしまっても、自分を責めないようにしてください。

このように、万が一のこともあるので、妊娠初期は自分の体調をしっかりと把握し、下腹部痛や出血があった場合は必ず病院を受診しましょう。

妊娠初期に出血した時の対処法

出血とともに痛みなどがある場合、何かしらのトラブルを抱えていることも考えられます。そのときはできるだけ安静にして無理をしないことが大切です。着床出血のように、赤ちゃんに影響のない出血の場合もありますが、身体に負担がかかっているために出血が起こっているということには違いありません。

また、出血が数日続いたり下腹部痛がある場合は、必ず医師の指示に従うことが大切です。日ごろから不正出血を起こしやすい方は、不正出血かどうかの見極めが大切です。妊娠の兆候があったり、すでに妊娠の診断を受けた後に出血を伴っているならば、早めに受診をすることをおすすめします。

妊娠の全期間を通じて、ふとしたことで出血が起こる可能性がありますので、外出時は常に生理用ナプキンを持ち歩いておくと安心です。

妊娠初期の出血で不安になったら早めの受診を

筆者も妊娠初期に少量の出血を経験し、毎日不安になりました。しかし、医師には「ママがドンと構えておけば大丈夫だ」といわれ、不思議と気持ちが落ち着いたものです。不安がってオロオロしても、今起こっていること変わりませんからね。

妊娠初期の出血にはさまざまな理由があります。少量でも出血すると不安になるでしょうが、すべてが流産につながるわけではありません。原因を判明させ安心するためにも、早めに病院を受診するようにしましょう。