乳腺炎の予防法は?授乳の姿勢や食事で予防できる?
母乳育児をするママが恐れることのひとつが乳腺炎です。一度でも乳腺炎にかかったことのあるママは2度とかかりたくないと口をそろえて言う乳腺炎。乳腺炎にかからないためにどんなことに気をつけたら良いのか、乳腺炎予防のための食事やマッサージ、自宅でできるケアなどを紹介します。
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目次
乳腺炎とは?
乳腺炎は乳腺が炎症を起こす病気です。母乳が過剰に作られたり、母乳の飲み残しがあったりすると、母乳をつくる乳腺と母乳を運ぶ乳管につまりが起き、乳腺炎になりやすくなります。
母乳のつまりやたまりなどが原因の乳腺炎を「うっ滞性乳腺炎」とよびます。また乳輪や乳頭の傷口から細菌が入ったことが原因で起こる乳腺炎を「化膿性乳腺炎」といいます。
乳房がカチコチに固くなったり、赤く腫れあがったり、しこりができたり、というのがよく知られる乳腺炎の症状です。悪化すると発熱や悪寒などの症状を引き起こすこともあり、投薬による治療やなかには手術が必要となる場合もあります。
乳腺炎の予防法1:乳頭を赤ちゃんに深くくわえさせる
赤ちゃんの口はアヒル口に
乳腺炎にならないために、乳頭に吸い付く際の赤ちゃんの口の形に気をつけましょう。赤ちゃんに乳頭を丸ごと口の中に入れてもらえるように、赤ちゃんの口が大きく空いた瞬間に乳頭を入れます。上手に赤ちゃんが乳頭に吸い付けたときは赤ちゃんの口が下記の写真のようにアヒル口になっているでしょう。このとき、赤ちゃんの下唇が口の外に出ていることを確認してください。
授乳中にママがおっぱいに違和感や痛みをおぼえるときは、赤ちゃんの口の形がゆがんでいたり、赤ちゃんが乳頭を深くくわえられていなかったりする可能性があります。授乳を中断して、乳頭を赤ちゃんに深くくわえさせて授乳を再開しましょう。
赤ちゃんにうまく吸い付いてもらうコツ
うまく赤ちゃんに吸い付いてもらうコツは、授乳直前の乳首の位置が赤ちゃんの口ではなく鼻くらいの高さになるよう抱っこをすることです。その方が赤ちゃんの口が大きくあきやすいようですね。赤ちゃんが口をあけたら、赤ちゃんを乳房に引き寄せ、できるだけ深く乳首を赤ちゃんの口の中に入れましょう。
もし毎回、赤ちゃんに大きく口を開けさせるのがむずかしい場合は、赤ちゃんを床やテーブルなど平らなところに寝かせましょう。おっぱいが赤ちゃんの真上に来るように覆いかぶさると赤ちゃんの口にすっぽり乳頭が入りやすいようです。赤ちゃんが母乳を飲みだしたら赤ちゃんの顔の向きが変わらないように抱き上げて、授乳を続けてください。
授乳のときに「ママのおっぱいを赤ちゃんに近づける」というよりも「赤ちゃんをママのおっぱいに引き寄せる」のが赤ちゃんの口元をコントロールするコツです。
乳腺炎の予防法2:いろいろな角度から授乳する
毎回同じ抱き方で授乳をしていると、飲み残された母乳がたまる場所ができやすくなります。たまった母乳がしこりになったり固まったりすると、さらに母乳を滞らせ、乳腺炎になりやすい状態を作ります。授乳の場所などにあわせて横抱き、縦抱き、添い乳など、1日のうちにいろいろなやり方で授乳をするようにしましょう。
ママが授乳しやすい抱っこの仕方や、子どもの癖などで抱っこの向きなどがあるというママも多いでしょう。添い乳は癖になりそうだから避けているという意見もあるようです。しかし乳腺炎予防という観点から、いろいろな角度の抱っこで授乳をするということも意識してみてください。
特に首がすわった赤ちゃんの授乳におすすめなのが、縦抱っこやフットボール抱っこでおっぱいをのませる方法です。赤ちゃんの口元からママの乳輪の位置が近いため、赤ちゃんの口が乳輪にフィットしやすくなります。
赤ちゃんの顔と身体がまっすぐになっているかチェック!
また授乳中にチェックしてほしいのが、赤ちゃんの顔と身体をまっすぐにさせることです。大人でも首を傾けて飲み物を飲むのはむずかしく、誤嚥の可能性もありますよね。赤ちゃんも顔と身体はまっすぐな方がおっぱいを飲みやすいのです。飲み残し防止や、母乳をしっかり吸いだせるために、どの体勢で授乳するときも、赤ちゃんの顔と身体がまっすぐになっているか確認してくださいね。
乳腺炎の予防法3:ママの授乳の姿勢に気を付ける
授乳の際に赤ちゃんにおっぱいを近づけるために、無意識に猫背になってしまうというママが少なくないでしょう。授乳にかかる時間が数分から数十分となることもあるため、楽な姿勢をとってしまいがち、ということもあるかもしれませんね。
しかし授乳中の姿勢でも正しい姿勢で授乳をすることがおっぱいのつまりを防ぐ重要なポイントでもあるのです。椅子に座って授乳をするとき、背もたれに垂直に背中をつけて座ると自然と胸を張る姿勢が取れます。床などに座って授乳をするときも背中が伸びているかを確認しながら授乳をすると赤ちゃんがおっぱいを吸いやすい位置に胸がくるようになるでしょう。
赤ちゃんも顔だけをママの乳房に寄せておっぱいを飲むのは疲れてしまったり、赤ちゃんの口とママの乳輪の位置がずれてしまって飲みづらかったりするようです。しっかり胸を張って授乳をすることで、おっぱいの全角度から母乳が出やすくなりますし、母乳の飲み残しを防ぐことにもつながります。
授乳のために赤ちゃんを抱っこした際、横抱きにすると赤ちゃんとふともものあいだに隙間ができるというママは、授乳クッションや座布団などで高さを調整すると良いでしょう。
ボリュームたっぷりの授乳用クッションです。授乳クッションとしてはもちろんですが、枕やひじ掛けとして、家族みんなで使うことができます。専用カバー付き。
乳腺炎の予防法4:授乳間隔を空けない
授乳の間隔が急に空いてしまい、胸が張った経験のあるママもいるでしょう。授乳の間隔をあけると、その分母乳がたまってしまうことにつながります。赤ちゃんの成長とともに、一度に飲めるおっぱいの量が増えたり、離乳食が進みおっぱいを飲む量が減ったりすることもあります。急に授乳間隔を空けるのではなく、少しずつ授乳の回数を減らしていけると良いですね。
乳腺炎の予防法5:ゆったりとした服を着る
胸元を押さえつけるような洋服を着ると、乳腺や乳管も圧迫されて炎症を起こしやすくなります。授乳をするのにも楽ですし、授乳中はできるだけゆったりとした洋服を着るように心がけましょう。またブラジャーやブラジャー機能付きのキャミソールなども、サイズ感には気を配りましょう。締め付け感の強いものは避けられると安心ですね。
授乳服のブランドでは授乳中のママのおしゃれを楽しめる目的だけでなく、授乳中のママの負担になりにくいようにデザインした洋服や下着を提案しています。好みのものがないか一度チェックしてみるのもおすすめです。
また抱っこ紐や荷物で無意識に胸を押さえつけてしまうこともあります。抱っこひもは腰ベルトをしっかりサイズ調整し、肩紐には余裕を持たせて使用しましょう。胸や肩、脇を抑えつけるようなバッグを持つのは避けられると良いですね。リュックサックやママバッグのなかには、ママの肩や腕に負担がかかりにくいよう、しっかりクッションの入っているものもあります。ママバッグを検討する際に判断材料にできると良いですね。
乳腺炎の予防法6:乳頭の傷のケアをする
乳頭や乳輪の傷口などから細菌に感染して起こる化膿性乳腺炎は、脇の下まで腫れあがったり、高熱を引き起こしたりと重症化しやすいのが特徴です。特に赤ちゃんに乳歯が生えると、乳頭付近に細かな傷ができやすくなります。そこに口の中に発生しやすい黄色ブドウ球菌などが侵入することで炎症を起こします。
乳頭に目で確認できる傷がなくても、母乳のカスなどが乳頭についたままになっていると母乳のつまりの原因となったり、細菌に増殖するための栄養を与えてしまったりするようです。乳首が汚れたときや乳首に痛みがあるときには、授乳後は濡らしたガーゼや清浄綿などで乳頭の周りを優しく拭きとるようにしましょう。
乳頭に傷があるときは、赤ちゃんの口の中に入っても問題のない軟膏を塗っておくのがベストです。傷が浅い場合や受診がむずかしい場合は、乳首用クリームをぬって傷を保護するのも良いでしょう。
乳腺炎の予防法7:ストレスや疲労をためない
ストレスや疲れがたまりすぎると、ホルモンバランスが崩れたり免疫力が低下したりして、乳腺炎にかかりやすくなります。疲れで細菌への抵抗力も弱まることから感染しやすい状態にもなってしまいます。またストレスや疲れを感じると血液がドロドロになりやすく、つまりやすい母乳ができるといわれています。
産後は睡眠不足になったりストレスをためすぎたりしてしまいがちですが、家族や周囲の協力を得ながら、できる限り身体と心を休められると良いですね。入浴も、つい子どもの沐浴にあわせて自分はさっとシャワーで済ませてしまうというママが少なくないでしょう。毎日ではなくとも、たまにはゆっくり湯船につかって肩や腕の筋肉をほぐすようにマッサージをしたりしましょう。おっぱいマッサージも湯船などで行うとつまりが取れやすくなり効果的です。
忙しい日々のなかではむずかしいかもしれませんが、赤ちゃんと一緒に昼寝をしたり、意識的にティータイムなど息が付けるようなリラックスタイムをつくったりするのも、授乳中には大切なことです。家族や赤ちゃんのために頑張る自分を労ってあげてくださいね。
乳腺炎に食べ物は影響するの?
世界保健機関(WHO)によると、乳腺炎の原因として明らかになっているのは乳汁うっ滞のみのようです。ママの食べ物が乳腺炎を引きおこす一因になるという医学的な根拠はありません。
母乳外来などで、乳腺炎を予防するために和食を中心とした食事をとるように指導されることもありますが、完全に和食中心の低カロリーな食事に変えると、逆にママが栄養不足になったり、ストレスを感じたりして乳腺炎になりやすいという話もあるようです。
授乳中のママや実際に乳腺炎にかかったことのあるママのなかには、高カロリー・高脂肪な食事や味の濃いものを食べたところ、胸が張った・しこりができたという人が多いのも事実です。しかしケーキなどを食べるときは、来客や外出などで普段よりも授乳間隔があいていたり、普段と違う姿勢で授乳をしていたりすることも多いのではないでしょうか。
ただし授乳中のママは赤ちゃんのお世話に加え母乳を作り出さなければなりません。疲れもたまりやすい時期ですので、バランスの良い食事と休息をとることが大切です。それぞれのママが自分にあった食事のバランスを見つけて、コントロールしていけると良いですね。
母乳のつまりにおすすめのマッサージ
乳腺炎になりかけのような軽い痛みや柔らかいしこりをおっぱいに感じたら、焦ってしまいそうですよね。家でできる簡単な対処法を紹介します。
おっぱいマッサージは、母乳がなかなかでないというママだけでなく、授乳の前にもおすすめです。胸にしこりを感じたときは、特に優しくそっと包むようにマッサージを行いましょう。浴槽や暖房の効いた室内など暖かい場所でマッサージをすると、固くなったおっぱいがほぐれやすくなります。
おっぱいマッサージで大切なことは力を入れすぎないこと。おっぱいに痛みを感じたら無理をせず、マッサージを中止してくださいね。マッサージをして痛みが強くなったという場合は、出産をした病院や母乳外来を受診してください。
授乳の回数を多くする
おっぱいにつまりを感じるときは母乳が過剰に作られている可能性もあるため、赤ちゃんにどんどん母乳を飲んでもらいましょう。
赤ちゃんがおっぱいを飲みたがらないという場合には、おむつを替えたり、散歩をしたり、おっぱいを出したまま室内を歩きまわったりして、親子で気分転換を図りましょう。赤ちゃんも気分が変わると、またおっぱいに吸い付いてくれることもあるようです。
それでもおっぱいが張る、もう赤ちゃんがお腹いっぱいという場合には少し搾乳をするのも良いでしょう。しかし搾乳をしすぎると、さらにおっぱいが過剰に作られ、乳腺炎の原因のひとつになります。何事もほどほどにする、というのが大切です。
乳腺炎予防には、ケアと休息を忘れずに
乳腺炎は授乳中のトラブルのなかでも、1度かかると繰り返しかかる人が多いようです。悪化すると、高熱や寒気の症状だけでなく、なかには嘔吐をしてしまったという乳腺炎経験者のママもいます。
乳腺炎にかかると家事や赤ちゃんのお世話にも影響が出るため、日ごろから乳腺炎予防を心がけるママも多いでしょう。
おっぱいのケアや姿勢、赤ちゃんの身体の向き、口の形などに気をつけるのも大切ですが、知らず知らずにたまってしまう、疲れ・ストレスには特に注意をしてください。意識的に休めるときにはしっかり休んで、授乳期間を楽しみましょう。
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