医療保険とは?医療保険制度の仕組みと民間医療保険の必要性!種類や控除、請求方法も解説

医療保険と聞くと、難しそうな印象を持つママも多いかもしれません。日本には、国の公的医療保険と民間の医療保険の2種類があり、どちらも子どもや自分の病気・けがによる医療費の負担を軽減するための強い味方です。ここでは医療保険の仕組みや種類とともに、民間医療保険の給付金の請求方法や控除についてわかりやすく解説します。

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目次

  1. 医療保険制度とは?公的医療保険と民間医療保険
  2. 医療保険の必要性は?
  3. 医療保険の保障内容
  4. 医療保険の種類
  5. 無選択型医療保険
  6. 医療保険の手続き
  7. 医療保険で病気に備えよう
  8. ままのて限定!無料相談でプレゼントがもらえる

医療保険制度とは?公的医療保険と民間医療保険

日本ではすべての人が公的医療保険に加入している

病気やけがをして病院に行くとき、保険証を提示することで、医療費の自己負担は原則として3割、6歳未満の子どもの場合は2割で済みます(※1)。これは国の公的医療保険により、残りの医療費がまかなわれているためです。

公的医療保険制度は、働く人と雇い主である事業者が毎月支払う保険料や負担金などによって支えられており、社会全体で医療費を負担することで、一人ひとりの負担を小さくする仕組みになっています。日本の医療保険制度は、国民皆保険制度といい、すべての国民が加入してお金を出し合うことで成り立っています。

公的医療保険の仕組みと種類

公的医療保険には、職業などに応じて下の表のとおり、大きく分けて4つの制度があります。これらの制度では、医療費の負担割合はどれも3割で同じですが、保険料率や手当などに違いがあります。また、制度ごとに、医療保険を運営する団体である医療保険者が異なっています。

制度の種類
被保険者(加入者)
保険者(運営団体)
健康保険との代表的な違い
健康保険民間企業の会社員全国健康保険協会、各健康保険組合
共済保険公務員・私学教職員共済組合保険料率が低い
船員保険船員全国健康保険協会業務中のけがも保障される
国民健康保険健康保険、共済保険、船員保険に加入していない人(自営業など)国民健康保険組合、都道府県、市区町村出産手当がない

高額医療費制度で自己負担額には上限がある

重い病気や長期の入院などで医療費が高額になると、3割ほどでよいとはいえ自己負担額も大きくなってしまいます。高額医療費制度は、1ヶ月で一定の上限額を超えた医療費は自己負担しなくてもよいという仕組みで、公的医療制度に加入していれば誰でも利用することができる制度です。

自己負担の上限となる金額は、年齢や所得に応じて設定されます。69歳以下で年収約370万~770万円の人が医療費に30万円かかった場合、1ヶ月あたりの自己負担上限額は8万円ほどとなっています(※2)。

医療保険の必要性は?

先進医療や差額ベッド代が保障される

公的医療保険制度で、対象となる医療費の自己負担額を抑えることはできますが、それでも補いきれない分をカバーするのが、民間の保険会社が販売している医療保険です。

たとえば、入院中の食事代の一部や、希望して少人数の部屋や個室に入院する際に発生する差額ベッド代、先進医療の技術料などは、公的医療保険の対象外となるため、自分で支払うことになります。特に、差額ベッド代の平均は1日あたり約6,000円(※3)なので、10日入院すると6万円、20日入院すると12万円、というように入院が長引くほど出費がかさんでいきます。民間の医療保険に加入することで、こうした自己負担分の出費に備えることができるのです。

急な医療費の支出が難しい・不安な人は必要かも

病気やけがで入院や手術が必要になった場合に、貯蓄があまりないなどの理由で、急にまとまった医療費を用意するのが難しい方は、医療保険に加入しておくと万が一のとき安心です。

また、より手厚い保障を受けたい、という場合にも医療保険は役立ちます。通常、複数の医療保険に加入し、それぞれの契約に対して請求すると、1回の入院でも別々に給付金をもらうことができます。月々の保険料の負担が重くない場合には、複数の保険に加入する方もいるようです。

十分な貯蓄がある人には不要な可能性も

貯蓄や収入に余裕があり、入院などで急な出費があっても、数十万円であれば生活に支障がない場合には、医療保険への加入は必要ないかもしれません。民間の医療保険は絶対に加入しなければならないものではないので、自分で医療費をまかなえる場合には、加入しない、という考え方もあります。

医療保険の保障内容

民間の医療保険は主に「主契約」と「特約」で成り立っています。主契約の内容には、病気やけがで入院したときに1日ごとに入院給付金を受け取ることができる入院保障と、手術を受けたときに1回ごとに手術給付金を受け取ることができる手術保障があります。給付金の額は一定の場合や診療報酬の点数から算出される場合があり、対象となる病気も商品によって異なります。

特約は、主契約でカバーできない内容を補うもので、主契約とセットで申し込むことができます。たとえば、通院したときに給付金が受け取れる通院保障や、がんの治療について上乗せの給付金が受け取れるがん特約などがあります。特約についても保険商品によって用意されている種類が異なるので、保険を選ぶ際には内容をよく確認したいポイントです。

医療保険の種類

終身型と定期型

医療保険は、保障が受けられる保険期間の長さにより、終身型と定期型の2つに分けられます。

終身型は、一度の契約で生涯保障が続きます。月々の保険料は、生涯支払い続けるものと、60歳や65歳までに保険料の支払いを終える払済とを選択できるものがあります。終身型のメリットとしては、契約したときの内容が一生保障されること、保険料が一生上がらないことがあげられます。一方で、一生続く契約のため、一度契約するとライフステージに変化があった場合などでも見直しが難しいというデメリットがあります。

定期型は、10年など一定の期間保障が受けられるものです。保険期間が終わると自動で契約更新されるものが多いですが、更新のタイミングで、年齢に応じて月々の保険料が上がることがほとんどです。定期型のメリットとしては、一定期間で契約が終わるので、ライフステージや年齢に応じて見直しがしやすいこと、特に若いころは手頃な保険料で加入できる商品が多いことがあげられます。しかし、更新のたびに保険料が上がっていくため、長期的な保障を受けたい場合には不向きといえます。

ポイント

・終身型は一生保障が続くので、早くから老後の医療に備えたい場合におすすめ。
・定期型は保険料が安いものが多いため、20代、30代など貯蓄が少ない時期に急な医療費の支出へ備えたい場合におすすめ。

掛け捨て型と貯蓄型

医療保険は、病気やけがによる給付金以外にお金を受け取ることができるかできないかにより、掛け捨て型と貯蓄型の2種類に分けることができます。

掛け捨て型は、給付金以外にはお金が受け取れないタイプの保険です。特長として、貯蓄型と比べて月々の保険料が安く、内容もシンプルでわかりやすいことがあげられます。現在、保険会社から販売されている医療保険は掛け捨て型が多いため、商品選択の幅が広く、人気も高いといえるでしょう。ただし、給付金以外には支払った保険料が返ってこない点はデメリットといえます。

貯蓄型は、給付金以外にもお金が受け取れるタイプの保険です。受け取るタイミングとしては、一定の年齢まで加入を継続していたとき、解約したときなどがあり、タイミングや条件は商品により異なります。また、一定期間ごとのお祝い金やボーナスという形をとるものもあります。メリットとしては、健康な状態が続き給付金の支給がない場合でも、支払った保険料が無駄にならない点があげられるでしょう。一方、掛け捨て型に比べて保険料が高く、貯蓄の役割も果たす分内容がわかりくい点や、支払った保険料の全額は返ってこないことが多い点はデメリットといえます。

ポイント

・掛け捨て型は、保険料が比較的安く、保障内容がシンプルでわかりやすい。
・貯蓄型は、解約金やボーナスを受け取ることができ、支払った保険料が無駄にならない。

女性向け医療保険

女性向けの医療保険は、子宮や卵巣の病気など、女性特有の疾病について手厚い保障が受けられる女性特約がついた医療保険です。乳がんなど女性に多い疾病が心配な方のほか、帝王切開などへの保障がある商品も多いため、妊娠・出産に備えて加入する方も多いようです。

引受緩和型医療保険

引受緩和型医療保険は、加入時の健康に関する条件を緩和した保険で、持病や治療歴がある人でも入りやすいのが特長です。

医療保険に加入するためには、持病や過去の手術歴などを告知して、保険会社の審査を受ける必要があります。たとえば、糖尿病、うつ病などの治療歴がある場合には、今後同じ病気で治療することになるリスクが高いと判断されて、申し込みの審査の段階で加入を断られることもあります。

引受緩和型医療保険は、この条件が緩和されているので、持病があっても入りやすくなっています。ただし、その分通常の保険と比べて保険料が高く設定されています。

無選択型医療保険

無選択型医療保険は、現在の健康状態に関わらず誰でも入ることができる保険です。加入する際に健康に関する条件がないので、引受緩和型医療保険よりもさらに加入しやすいのが特長です。

一方、加入時の健康状態の条件がない分、保険料は通常の保険や引受緩和型医療保険よりも高い傾向があります。また、死亡保障をつけても少額しか保障されないなど、制約が多くなっています。

ポイント

・医療保険には、女性特有の疾病への保障が手厚いものや、加入条件が緩和されたものなど、さまざまな種類があるので、自分に合ったプランを選びたい。

医療保険の手続き

加入方法と告知・審査

医療保険の加入には、保険会社や保険代理店の窓口、郵送、ネットなどの申し込み方法があります。窓口は、検討しているプランの保障内容や自分がすでに加入している保険との兼ね合いなどをプロに直接相談しながら申し込むことができます。郵送やネットであれば、窓口まで行く手間が省けるので、仕事や育児で忙しい方でも手軽に申し込むことができますね。

窓口、郵送、ネットのいずれも場合でも加入時には、通常、以下のような資料に必要事項を書き込み、保険会社に提出します。

申し込み時の主な提出資料

●契約申込書
●意向確認書
●告知書
●口座振替依頼書やクレジットカード払申込書

これらの資料は、一般的に、契約者や保険料を受け取る被保険者が書く必要があるので、ほかの人が代筆しないようにしましょう。契約申込書には、契約者や被保険者の住所や連絡先、給付金の受取人などの情報を記載します。意向確認書には、契約しようとしている保険が本当に自分の必要としている内容であるかについて、チェックボックスへのチェックなどにより明記します。

また、医療保険に加入するためには、加入時の書類により行われる審査に通過する必要があります。保険へ加入を申し込む人には告知義務があり、告知書により、「過去5年以内に入院・手術の経験があるか」などこれまでの病歴や治療歴などの健康状態を保険会社に伝えます。

保険会社は、提出された資料をもとに、医療保険への加入を認めても問題ないかを判断します。なお、スタントマンや消防士など、けがの危険性が高い職業についている場合や、生活保護を受けていて貯蓄性のある保険に申し込む場合など、持病や病歴以外の理由で加入の審査に通らないケースもあります。

加入の際には、上の書類とあわせて、運転免許証やパスポートなど、公的機関が発行した身分証明書や、印鑑が必要です。健康診断書が必要になることもあります。提出資料の記載内容に誤りがあったり不足資料があったりすると、加入できない可能性があるので、必要書類には不備がないように注意しましょう。

保険金の請求方法と注意点

入院や手術を受けた場合、必要な条件を満たせば給付金を受け取ることができます。請求する際の主な手順は、以下のとおりです。

給付金の主な請求手順

(1)保険会社から所定の用紙を受け取る
(2)病院で診断書を入手する
(3)必要書類を保険会社へ提出する
(4)保険会社による書類審査
(5)給付金を受け取る

まず、保険会社の窓口やコールセンターに連絡して、請求に必要な用紙を送付してもらいます。このとき、証券番号を伝えられるとスムーズなので、保険証券を手元に準備しておくと良いでしょう。次に、病院で診断書を発行してもらいます。保険会社から診断書の用紙が送られてきた場合は、必ずその用紙で作成してもらうようにしましょう。なお、発行には5,000円程度かかりますが、この金額については自己負担となります。

必要な書類を用意できたら、保険会社に書類を提出します。ネット上で手続きを行う場合、領収書などはカメラで撮影し、画像をアップロードすることで提出する場合もあります。保険会社は、提出された資料を確認し、給付金を支払って問題ないかを審査します。無事に審査を通過すると、指定した口座に給付金が振り込まれます。

多くの場合、請求から1週間ほどで給付金が支払われますが、請求内容に確認が必要な点がある場合には、保険会社から医療機関に問い合わせを行うこともあり、1週間以上の時間がかかることがあります。なお、保険法第95条によると給付金の請求期限は3年間です(※4)。面倒だから、時間があるから、と手続きを先延ばしにせず、早めに申請すると良いでしょう。

また、入院保障については、180日ルールと呼ばれる決まりがあり、同じ病気で2回入院した場合と、最初にした入院の退院の翌日から180日以内に再度入院した場合には、前の入院と合わせて1つの入院とみなされ、最初の入院分の給付金しか受け取ることができません。こうしたルールもあわせて知っておくと良いですね。

年末調整や確定申告による控除

年末調整は、会社勤めの人について、これまでに給料から天引きされた所得にかかる税金の過不足を計算し、その差額を調整するための手続きです。確定申告は、自営業の人などについて所得にかかる税額を計算し、税金を支払うための手続きです。

一般的に、12月に行う年末調整と3月に行う確定申告でこれまでに支払った医療保険の保険料を申告することで、計算式に基づいた金額を所得から控除することができます。これにより多くの場合、余分に支払った税金が払い戻される還付を受けることができるのです。

申告の際には、保険会社が発行する「保険料控除証明書」を会社員であれば会社からもらえる申告書とあわせて提出します。保険料控除証明書は毎年秋ごろに保険会社から郵送されるので、申告するまでなくさないようにしましょう。

なお、医療保険の保険料ではなく、医療費そのものを一定額以上支払った場合に受けられる医療費控除については、会社員であっても年末調整でなく確定申告で手続きをすることになります。また、医療保険のうち、ミニ保険と呼ばれる少額短期保険については、年末調整や確定申告の対象にならないので、注意してくださいね。

医療保険で病気に備えよう

日本の公的医療保険は、誰もが使うことのできる基本的な保険です。さらにその不足部分をカバーする民間の医療保険は、病気やけがによる急な出費を補うことができる心強い存在です。健康であることが一番ですが、病気やけがをしてしまったときには、医療保険の仕組みや手続きを知った上で、しっかりと活用したいですね。

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※この記事は2022年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。