ルトラールとは?効果と副作用、生理への影響は?飲み忘れたらどうする?
不妊治療や月経異常の治療に「ルトラール」というプロゲステロン(黄体ホルモン)製剤が使われることがあります。不妊治療でのルトラールは子宮内膜の増殖をうながして着床率を上げ、妊娠しやすい身体を目指しますが、生理や基礎体温への影響はあるのでしょうか。ルトラールの効果と副作用、飲み忘れたときの対処法についても解説します。
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目次
ルトラールの効果は?
「ルトラール」は、不妊症の治療に使用するプロゲステロン(黄体ホルモン)を含むホルモン剤です。子宮内膜をより増殖させることで受精卵の着床率を上げ、妊娠の確率を上げる目的で処方されることが多く、月経に関する異常や卵巣機能不全、黄体機能不全などの治療にも用いられます。
無月経
性成熟期を迎えた女性で月経が来ない状態を「無月経」といいます。「無月経」には、初経が発来しない「原発性無月経」と、これまであった月経が3ヶ月以上停止した状態である「続発性無月経」とがあります(妊娠中や産褥期などの生理的無月経を除く)。無月経の原因が月経周期をつかさどるホルモンの分泌異常にあるとき、治療にルトラールが用いられることがあります。
月経異常
ルトラールはホルモンの分泌異常が原因で起こる月経異常の治療に用いられることがあります。ここでいう月経異常には、月経周期が39日以上と長すぎる「稀発月経」、月経周期が24日以内で1ヶ月間に2回も生理が来るような「頻発月経」、また、月経血の量や月経期間の長短に異常がみられる「過少月経」「過多月経」があります。
月経困難症
ルトラールは強い月経痛のため月経期間中の日常生活に支障をきたす状態である「月経困難症」の治療にも用いられます。月経困難症においてルトラールを使用し事後評価をした6例中、有効性が確認されたのは6例でした。
機能性子宮出血
ルトラールは病的な原因ではなくホルモンバランスの乱れによっておこる不正出血である「機能性子宮出血」の治療にも用いられます。機能性子宮出血への臨床成績は10例中7例で、有効率は70.0%との結果が出ています。
卵巣機能不全
卵巣機能不全は卵巣の機能が低下した状態であり、排卵障害の原因のひとつです。ルトラールは卵巣機能不全の治療にも使用されることがあります。卵巣機能不全への臨床成績は2例中2例となっています。
黄体機能不全
黄体機能不全は黄体からのホルモン分泌が不十分であったり、黄体の存続期間が短くなったりする状態で、子宮の着床障害の原因のひとつです。ルトラールはプロゲステロンを補うホルモン製剤のため、黄体機能不全の治療に用いられることがあります。
ルトラールの飲み方は?飲み忘れたら?
ルトラールはどのように飲むのが良いのでしょうか。また、飲み忘れた場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。
1日1~6錠(2~12mg)を1~3回に分けて服用
ルトラールは、成人の場合は1日1~6錠(2~12mg)を1~3回に分割して服用します。服用量は症状や年齢、体質などによって変わるので医師の指示に従いましょう。
飲み忘れたときの対処法
ルトラールを飲み忘れた場合は、気付いた時点ですぐに服用するようにしましょう。次の服用時間に近いときは飲み忘れた1回分を飛ばして、次の回に1回分だけ服用します。飲み忘れたからといって2回分を一度に服用するのは絶対にやめましょう。誤って多く飲んでしまった場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。
ルトラールの副作用は?太るの?
不妊治療に効果のあるルトラールですが、重大な副作用として血栓症などがあげられます。また、不妊治療でホルモン剤を使うと太ると感じる人もいるようですが、ルトラールの副作用としての体重増加や浮腫の発症率は比較的低く0.1%未満とされています。
血栓症
0.1%未満の確率ではありますが、重大な副作用として「血栓症」が起こることがあります。血栓症とは、血液中に血液のかたまりができることによって組織や臓器に障害を引き起こす病気です。ルトラールの副作用としての血栓症は、脳や心臓、四肢などに出現するとされています。気になる症状があれば、医師にすぐに相談しましょう。
肝機能異常
ルトラールの服用により、0.1~5%の頻度で肝機能異常が起こる可能性があります。そのため、重度の肝障害、肝疾患のある人はルトラールを服用することができません。肝障害や肝疾患を悪化させる可能性が考えられるからです。
消化器の副作用
ルトラールの消化器系の副作用として、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛などが起こることがあります。5%以上の確率であらわれるものもあれば、頻度が不明なものもあります。
精神神経系の副作用
ルトラールの精神神経系の副作用として、頭痛や眠気が起こることがあります。頭痛は5%以上または頻度不明とされ、眠気は0.1%とされています。
子宮の副作用
ルトラールの子宮の副作用として、不正出血、生理の経血量の変化、下腹部痛が起こることがあります。これらは5%以上または頻度不明とされています。
乳房の副作用
ルトラールの副作用として胸の張りや乳房の痛みが出ることがあります。プロゲステロンの作用で黄体期に乳腺内の血管が広がり、乳腺組織に変化が起こることによって、胸が張ったり痛みを感じやすくなったりすることに関係しています。生理前に胸が張るのと似た症状と考えてよいでしょう。乳房の張りや痛みがひどい場合は、医師に相談しましょう。
その他の副作用
体重増加や浮腫、眠気、倦怠感などの症状があらわれることがあります。発疹など過敏症とみられる症状があらわれた場合は、ただちにルトラールの服用を中止してください。
ルトラールの服用中、生理は遅れて基礎体温は上がる?
ルトラールの服用中、生理と基礎体温に変化はあるのでしょうか。ルトラールに含まれるプロゲステロン(黄体ホルモン)には体温上昇作用があります。ルトラールの服用によってホルモンバランスが整うと、その結果として基礎体温が上がり、高温期が長くなり、生理が遅れる傾向があるようです。
基礎体温の高温期が長くなる
体温上昇作用を持つプロゲステロンが増えると、通常は約14日間である高温期が長くなる傾向があります。ルトラールの服用期間中は基本的に高温期となり、次の生理が始まるまで高温期が続きます。
ルトラールの影響で高温期がいつまで続くのか、とくに妊活中の人は妊娠との見分けが気になるかもしれませんね。妊娠検査薬でチェックすべきタイミングは高温期がどれくらい続いたときなのか、医師にあらかじめ確認しておきましょう。
生理が遅れることがある
ルトラールはプロゲステロンの働きを良くするため、服用期間中は高温期にあたる黄体期が長くなる傾向にあります。そのため、本来は高温期が終わるころに始まる生理が遅れることがあります。
生理が遅れたからといって、妊娠したかもしれないとあせったり、自己判断で服用を中断したりするのはやめましょう。ルトラールは処方された分をきちんと飲み切ることで、不妊症の改善につながります。
ルトラールで基礎体温が上がらないときは?
ルトラールを服用していても基礎体温が上がらない、基礎体温の高温期が短いという場合は、ルトラールの服用量あるいは卵巣や黄体の機能に問題があると考えられます。
ルトラールの服用後に高温期に移行したにもかかわらず基礎体温が下がったり、低温期並みに基礎体温が低い日が続いたりするケースもあるようです。いずれの場合も基礎体温を記録しておき、医師に相談すると良いでしょう。
ルトラールはプレマリンと併用する?
プロゲステロン製剤であるルトラールとエストロゲン製剤である「プレマリン」は併用されることがあります。「カウフマン療法」ではルトラールとプレマリンを併用することで人為的に規則的な月経周期を作り、排卵障害を治療します。
ルトラールは妊娠検査薬に反応する?
ルトラールの服用中は、妊娠検査薬は陽性反応を示すのでしょうか。
ルトラールは妊娠検査薬に反応しない
ルトラールを飲んでいると基礎体温が高くなったり生理が遅れたりするので、妊娠したかも、と思う人がいるかもしれません。しかし、ルトラールを飲んでいるからといってすぐに妊娠するとは限りません。
妊娠検査薬は、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という妊娠の際に出るホルモンに検査薬が反応する仕組みです。ルトラールそのものにhCGが入っているわけではないので、妊娠検査薬に反応することはありません。ルトラールの服用中に陽性反応が出たら、妊娠している可能性が高いと言えます。
適切なタイミングで妊娠検査薬を
ルトラールを飲んでいるかどうかにかかわらず、妊娠している場合、市販の妊娠検査薬であれば生理予定日の1週間後以降に陽性反応が出るのが一般的です。早期妊娠検査薬なら生理予定日3日前から使用できるものがあります。フライングをすると正確な結果が出ないことがあるので、妊娠検査薬は適切なタイミングで使用しましょう。
妊活の強い味方「ルトラール」
プロゲステロンの分泌をうながすルトラールには、体外受精などの受精卵の着床率を上げる効果があり、妊活の強い味方だと言えます。
ただし、もともと肝障害や肝疾患のある人は使用することができません。また、使用後に強い副作用が出た場合は、ただちに服用を中止しましょう。薬の効果と副作用を正しく知り、医師や薬剤師に指示された服用方法を守りましょう。