不正出血と生理の違い・見分け方!生理前・後の不正出血の原因についても解説

生理のタイミングでないのに出血が起こってしまい、身体に異常があるのではないかと不安に思ったことがある人は少なくないのではないでしょうか。生理前や生理後に起こる不正出血と生理にはどのような違いがあるのでしょうか。不正出血と生理の見分け方や生理前・生理後の不正出血の原因や予防法について解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 不正出血とは?生理との違い・見分け方は?
  2. 生理前・生理後の不正出血の原因は?
  3. 不正出血が生理前1週間に起こる原因は?
  4. 不正出血が生理後すぐ~1週間に起こる原因は?
  5. 生理前後に不正出血が続く!原因となる病気は?
  6. 生理前後の不正出血の予防法
  7. 不正出血と生理を見分けて病気のサインに気づこう
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不正出血とは?生理との違い・見分け方は?

「不正出血」は生理以外の性器からの出血の総称です。不正出血と生理にはどのような違いがあるのでしょうか。

不正出血の特徴

不正出血のもっとも大きな特徴は、生理が来るはずでない時期に出血が起こることです。量や期間は場合によって異なり、突発的に短期間のみ出血することもあれば、少量の出血がだらだらと続く場合もあります。色もさまざまで、鮮血のように赤い場合もあれば、体内で血液が酸化したことで茶色く見える場合やおりものに混ざってピンクに見える場合もあるでしょう。

はっきりとした特徴がないため、生理予定日に近い時期に出血すると生理だと勘違いしてしまう人が少なくありません。不正出血が起こったときにはホルモンの異常や子宮・腟の病気が隠れている場合もあるため、生理周期に敏感になり、ちょっとした変化を見逃さないようにしてくださいね。

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生理の特徴

生理は女性ホルモンの分泌量の変化によって周期が保たれており、通常は毎月定期的に訪れます。およそ1週間出血が続く傾向があり、2日目~3日目に経血量がピークに達してその後少しずつ減っていきます。生理周期が安定していない場合には、ホルモンバランスに何らかの異常があるために不正出血が起こっていると考えられます。

不正出血と生理の見分け方

生理の予定ではないときに出血が起こった場合には不正出血であると考えます。不正出血が続く期間や経血の量、においは場合によって異なるため一概には言えませんが、明らかに大量の出血があるときや1週間以上にわたって出血が続くとき、腹痛や腰痛、性交時痛、排尿痛、性器のかゆみ、発熱といった出血以外の症状を伴うときには病院に行きましょう。

ストレス解消や生活習慣の改善によって症状が和らぐこともありますが、症状がなかなか収まらない場合や病気が原因で出血している場合には専門的な治療を行う必要があります。

生理前・生理後の不正出血の原因は?

ホルモンバランスの崩れ

生理周期はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの働きによって保たれており、この2つのホルモンが減少することで子宮内膜がはがれて体外に経血として排出されることで生理が起こります。女性ホルモンが正常に分泌されていないとホルモンバランスが崩れて生理不順になってしまい、「機能性出血」と呼ばれる不正出血が起こることが考えられます。

機能性出血は、生理前・生理後を問わず起こる可能性があるでしょう。また、避妊や月経困難症、生理不順の治療に用いられるピルの服用中にも、体内の女性ホルモンの分泌量が変化するため機能性出血が起こることがあります。

中間期出血(排卵出血)

生理周期のちょうど中間あたりにある「排卵期」には、女性ホルモンの分泌量が大きく変化することによって「中間期出血(排卵出血)」と呼ばれる少量の出血が起こる可能性があります。また、排卵時に卵巣に小さな傷がつくことによって不正出血が少量起こることもあります。

中間期出血は排卵期に必ず起こる出血ではないため、出血があると驚いてしまう人がいるかもしれませんが、生理的な現象で病気ではありません。一時的に少量の出血があっても収まるようであれば心配する必要はないでしょう。

子宮や腟の病気、性感染症

子宮や腟の病気、性感染症が原因で、不正出血が起こることもあります。ホルモンバランスの崩れによる出血と同様に、生理前・生理後問わず起こる可能性があるでしょう。これらの病気は不正出血以外にも下腹部痛や発熱、おりものの異常、性器のかゆみなどの症状を伴う場合が多いため、身体のさまざまな変化に普段から敏感になることが大切です。

妊娠、出産

不正出血が妊娠や出産のサインになる場合もあります。妊娠や出産にかかわる不正出血としては、妊娠超初期に受精卵が着床するときに起こる出血(着床出血)や、妊娠後期~臨月に陣痛や破水の兆候となる「おしるし」、健診時に検査機器によって性器に傷がつくことで出血する「内診出血」、流産・切迫流産といった妊娠のトラブルを原因とする出血があります。

流産や切迫流産、病気の症状としての出血に早く気づくため、不正出血以外の症状についても知識をつけておくと良いでしょう。

不正出血が生理前1週間に起こる原因は?

ホルモンバランスの崩れや病気による不正出血は、生理前・生理後問わず起こる可能性がありますが、以下のように生理前に特に起こりやすいと考えられる不正出血もあります。

生理のはじまり

生理開始予定日前の数日間には、少量の血液がおりものに混ざって出てくる場合があります。一時的な少量の出血で収まる場合には、もう少しで生理が本格的に始まるサインかもしれません。それほど神経質になる必要はありませんよ。

着床による出血(着床出血)

生理の数日前~1週間前には、妊娠超初期の兆候である着床時の不正出血(着床出血)が起こることもあります。精子と卵子が受精すると、女性ホルモンの働きで厚くなった子宮内膜に受精卵がもぐりこみ(着床)、胎盤を形成しはじめます。着床するときに子宮内膜に傷がついて出血し、不正出血として体外に出てくることが考えられます。

着床時の不正出血は、着床したからといって必ず起こるわけではなく、また不正出血が起こったからといって必ず妊娠するとも限りません。着床による出血と思われるものが起こったときには、その他の妊娠超初期症状もチェックしましょう。妊娠が疑われる場合はしっかりと体調を整え、生理予定日1週間後以降に妊娠検査薬で妊娠を確かめてから病院を受診すると良いでしょう。

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不正出血が生理後すぐ~1週間に起こる原因は?

生理後すぐ~数日間に特に起こりやすい不正出血は、どのような出血なのでしょうか。

生理後すぐ~数日間は、生理の経血がまだ体内に残っている可能性があり、その血液がおりものに混ざって出てくることが考えられます。体内で出血してから時間が経っている場合にはおりものが茶色や赤褐色に変色する場合が多いでしょう。生理直後から数日間に少量の出血があったとしても、少量で、しばらくして収まるならば過度に気にする必要はないと考えられます。

生理の終わりごろなのに出血量が減らない場合や、生理後1週間以上経っても出血が収まらない場合、下腹部痛や腰痛を伴う場合など、普段の生理後の状態と比べておかしいと感じるときには婦人科を受診してください。

生理前後に不正出血が続く!原因となる病気は?

ホルモン異常にかかわる病気

女性ホルモンの分泌異常にかかわる病気が原因で生理周期が乱れ、不正出血が起こることがあります。何らかの原因によって排卵がなされないまま出血してしまう「無排卵月経」になると、だらだらと続く不正出血が起こりやすいといわれています。生理が極端に長くなったり短くなったり、高温期と低温期の温度差(一般的には高温期と低温期の差は0.3-0.5℃程度)がなくなってずっと低温期が続いたりする点も特徴です。

また、女性ホルモンを分泌する働きのある、卵子を放出したあとのいわゆる殻にあたる「黄体」の機能が低下する「黄体機能不全」になると、黄体期(高温期)が短くなるため生理周期が24日以下と短くなり、生理予定日前から少量の出血が続く傾向があるでしょう。高温期が10日未満と短くなるという特徴があるので、基礎体温をつけていると気づきやすい病気です。

子宮の病気

不正出血を伴う子宮の病気としては、子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)や子宮筋腫、子宮内膜炎、子宮頸管炎、子宮頸管ポリープがあげられ、病気の種類や進行状況によって治療法は異なります。特に子宮がんは進行すると身体の他の部位に転移してしまい、治療が難しくなることが考えられます。早期に発見できるよう、定期的に検査を受けましょう。

また、病気ではありませんが、子宮の入り口部分の粘膜が外側に広がる「子宮腟部びらん」という状態になったときにも不正出血を伴うことがあります。不正出血がひどいときやおりものが多いときには治療を行う可能性があるでしょう。

腟の病気

腟がんや細菌性腟症、萎縮性腟炎といった腟の病気も不正出血を伴う可能性があります。特に更年期には、女性ホルモンの減少によっておりものの分泌量が減り、腟の中が乾燥しがちになるとともに細菌に感染しやすくなるといわれています。

更年期でなくても免疫力が低下している時期には腟の炎症が起こりやすく、悪化すると不妊や流産につながることもありえます。生活習慣を整えて細菌などに感染しにくい身体をつくりましょう。

性感染症

不正出血が起こる可能性のある性感染症としては、トリコモナス腟炎、淋菌感染症(淋病)、性器クラミジア感染症があげられます。これらの性感染症はコンドームを用いない性交によって感染する場合がほとんどですが、トリコモナス腟炎は浴槽やタオルから感染することもある病気です。

性感染症に気づくためには、不正出血に加えて腹痛や発熱といった症状やおりものの変化に着目することが大切です。特におりものが泡や膿のようになったり、黄色や黄緑に変色したりした場合には性感染症にかかっている可能性が高いといえるでしょう。

生理前後の不正出血の予防法

ストレスをためない

ストレスは脳や神経に負担をかけ、女性ホルモンの分泌をさまたげてしまう恐れがあります。疲れたときには無理せず休息をとり、ストレスを解消するように努めましょう。忙しい毎日に追われる中でストレスを解消するのはなかなか難しいかもしれませんが、ときどき運動をしてリフレッシュする、ゆっくりとお風呂に浸かるといったことからはじめてみてはいかがでしょうか。

規則正しい生活をする

不規則な生活はホルモンバランスに大きな影響を与えるため、不正出血の原因になりえます。毎日規則正しい生活を送って体調とホルモンバランスを整えましょう。夜ふかしは控えて十分な睡眠をとり、心地の良い朝を迎えたいですね。

バランスの良い食事をとる

女性ホルモンを整えるためにはバランス良くさまざまな栄養素を摂取することが大切です。偏食や過度に高カロリー・高脂肪な食事、極端なダイエットは控え、主食、主菜、副菜からタンパク質やビタミン・ミネラル、炭水化物、適度な脂肪をバランス良く摂取しましょう。

また、ホルモンバランスを整える効果のある成分を摂取するのもおすすめです。ビタミンEや大豆イソフラボン、ザクロやマカに含まれる成分はホルモンバランスを整える効果があるといわれています。過剰摂取は控えつつ、食事やサプリから摂取してみると良いでしょう。

基礎体温をつける

ホルモンバランスの異常や妊娠といった身体の変化にすぐに気づくためには、基礎体温を測る習慣をつけると良いでしょう。基礎体温は起床後に布団の中で安静な状態で測る体温で、0.01℃まで測ることのできる基礎体温計を用いて測ります。

基礎体温を継続的に測ることで自分の生理周期や低温期・高温期の体温の傾向を把握できるため、身体の不調に気づきやすくなるとともに、不正出血が起きたときには原因を予想しやすくなるかもしれませんよ。

不正出血と生理を見分けて病気のサインに気づこう

生理が来たと思っていても、実は不正出血だったことがあとからわかる場合があります。気づくのが遅くなると、もっと早く治療をはじめていれば良かったのに、と後悔することになるかもしれません。自分の生理周期をしっかり把握し、不正出血にすぐに気づけるようにしておくと安心ですね。

不正出血が起こったからといって必ずしも身体に異常があるとは限りませんが、ストレスや疲れがたまっていることを教えてくれたり、妊娠の兆候になったりする不正出血は身体の変化のバロメーターとして非常に重要な役割を果たします。不正出血が起こったときには病気の兆候がないか確認するとともに、生活習慣を改める良い機会ととらえ、自分の普段の生活を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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