子宮内膜症の原因と症状、治療法は?妊娠はできるの?

子宮内膜症は、子宮の内側をおおっている子宮内膜とよく似た組織が、子宮以外の場所にできる病気です。出産年齢の上昇や女性のライフスタイルの変化により、患者数が年々増加しています。子宮内膜症は不妊の原因にもなるので、妊娠を望む女性は注意が必要です。ここでは、子宮内膜症の原因や症状、治療法について解説します。

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この記事の監修

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産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 子宮内膜症とは?
  2. 子宮内膜症はどの部位で発生するの?
  3. 子宮内膜症はどんな女性がなりやすい?
  4. 子宮内膜症の原因は?
  5. 子宮内膜症の症状
  6. 子宮内膜症の検査法
  7. 子宮内膜症のステージ
  8. 子宮内膜症の治療法
  9. 子宮内膜症の検査や治療にかかる費用は?
  10. 子宮内膜症でも妊娠できるの?
  11. 子宮内膜症の治療は気長に付き合える方法を
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子宮内膜症とは?

子宮内膜症とは、本来は子宮の内側にできるはずの内膜が、卵巣や腹膜など他の場所にできる病気です。

通常は、内膜は妊娠の準備をするためにエストロゲンというホルモンの働きで増殖し、妊娠が成立せずに不要になると剥がれ落ちます。剥がれ落ちた組織や血液は、経血として腟から外に出ます。

子宮以外の別の場所に発生した内膜組織も、エストロゲンに反応して生理のたびに増殖し剥がれて出血します。しかし、組織や血液は外に出ることができず体内にとどまったままとなり、器官との癒着や炎症を起こし、痛みなどの症状を引き起こします。子宮内膜症は生理が繰り返されるたびに進行していきます。

子宮内膜症はどの部位で発生するの?

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子宮内膜症が発生しやすい場所は骨盤内です。特に発生しやすいのは、肝臓や胃などの内臓の表面をおおっている「腹膜」、子宮と直腸のあいだにあるくぼみの「ダグラス窩(か)」、「卵巣」です。

腹膜の子宮内膜症

比較的小さな病変が多く、子宮内膜症のなかでは軽度のものです。

ダグラス窩(か)の子宮内膜症

ダグラス窩(か)に子宮内膜症ができると、性交痛や排便痛を感じることがあります。

チョコレート嚢胞(のうほう)

卵巣内に子宮内膜症が発生したものを「チョコレート嚢胞(のうほう)」といいます。卵巣内に増殖した内膜組織と血液が、だんだん古くなって泥状に黒っぽくなり、チョコレートのような見た目になります。卵巣自体がねじれたり、嚢胞が大きくなって破裂したりすることがあり、そうなると強い痛みがあらわれます。チョコレート嚢胞は卵巣がんに変化することもあるため、定期的に検査をしていく必要があります。

子宮内膜症はどんな女性がなりやすい?

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子宮内膜症は、子宮内膜の増殖に作用するエストロゲンが関係しているとされています。年齢を重ね生理の経験回数が増えるにつれ、発症率が高くなります。10代で発症する人はごくわずかですが、20代~30代にかけて増加し、エストロゲンの分泌が低下する閉経後は症状が治まることが多いようです。また、生理周期が短く、生理の日数が長い人のほうが子宮内膜症になりやすいといわれています。

近年、子宮内膜症の女性が増え、女性全体の10%が発症しているとされています。その背景には女性のライフスタイルが変化したことがあげられます。初経年齢が昔より早まって閉経までの期間が長くなったことや、初産の年齢が上がり子どもを産む回数が減ったことで、中断されることなく生理が繰り返されているため、エストロゲンにさらされる期間が長くなり、子宮内膜症のリスクが高まっています。


子宮内膜症の女性では、妊娠・出産を経験するとエストロゲン分泌がおさえられるため症状が改善することが多いようです。

子宮内膜症の原因は?

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子宮内膜症の原因ははっきりとわかっていませんが、いくつかの説があります。有力な説は、生理中に剥がれ落ちた子宮内膜の一部が腟から排出されず、卵管を通ってお腹に逆流してそのままとどまってしまうというものです。また、腹膜がなんらかのきっかけで子宮内膜のような組織に変化するという説もあります。

子宮内膜症の症状

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子宮内膜症の代表的な症状はひどい生理痛です。ほかにもさまざまな症状があるので、あてはまる自覚症状がないかセルフチェックしてみましょう。子宮内膜症のおもな症状は以下になります。

生理痛

「以前よりも生理痛が強くなった」「鎮痛薬が効かない」「毎月のように寝込む」といったように、ひどい生理痛があらわれる。

生理中の吐き気や頭痛

生理中に腹痛だけでなく吐き気や頭痛が起こる。

生理中以外の下腹部の痛み

生理のときでなくても下腹部に痛みや違和感がある。腰痛や股関節の痛みが起こることもある。

経血の量が多い

「ナプキンとタンポンを併用しても間に合わない」「夜用ナプキンを重ねても経血があふれる」というくらい経血の量が多い。

不正出血

生理のとき以外にも出血する。

排便痛

大便をするときに肛門の奥に痛みを感じる。

性交痛

性行為のときに肛門の奥に痛みを感じる。

不妊症

赤ちゃんがほしいのに妊娠できない。

自覚症状がない場合も

子宮内膜症は自覚症状がない場合もあります。悪性の病気ではないですが、定期的に受診したほうが良いでしょう。

子宮内膜症の検査法

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子宮内膜症は発生する場所や症状に個人差があるため、十分な検査と一人ひとりに合った治療が必要です。おおまかな検査の流れは以下になります。

問診

初経の年齢や生理周期、痛みがでる場所や時期などを医師から尋ねられます。

内診

腟から指を入れ、反対の手でお腹の上を押さえて内診します。子宮や卵巣の位置・大きさをみるほか、子宮の動きや痛みから癒着があるかどうかを判断します。性交経験のない人は内診のかわりに直腸診を行い、ダグラス窩(か)のしこりや子宮の後ろ側の様子をみることがあります。

超音波検査(エコー)

超音波検査(エコー)で子宮や卵巣、卵管の様子をみて、出血がありそうな部位やチョコレート嚢胞(のうほう)などがないか判断します。

血液検査

子宮内膜症の場合、血液中のCA125という腫瘍マーカーの値が高くなることがあるため、血液検査でこの値を測定します。ただし、生理中やほかの炎症がある場合もCA125の値が高くなるので、この結果だけでは子宮内膜症と診断できません。

MRI検査

場合によってはMRI検査で病変の位置や程度などを詳しく調べます。

腹腔鏡検査

腹腔鏡検査は、実際に子宮内膜症を観察して診断する「確定診断」のために必要な検査です。お腹に小さな穴を開けて腹腔鏡という小型カメラを入れ、モニターで病変を確認します。検査と同時に手術を行うことが可能です。

子宮内膜症のステージ

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子宮内膜症がどの程度進行しているかどうかは、国際的に用いられる腹腔鏡検査に基づくr-ASRM分類で分けられます。病巣のサイズや癒着の範囲によって進行度が4つのステージに分けられ、ステージ1・2は軽症、ステージ3・4は重症と判断されます。

子宮内膜症は、症状の進行度と自覚症状にあまり関連性がみられません。重症でなくても痛みがひどい場合もあれば、かなり進行していてもほとんど痛みを感じないこともあります。

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子宮内膜症の治療法

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子宮内膜症の治療方法は薬を使う「薬物療法」と手術による「手術療法」があります。どのように治療していくかは、年齢や症状の度合い、妊娠を希望するかどうかにより変わるため、医師とよく相談することが大切です。

卵巣で5cm以上のチョコレート嚢胞(のうほう)が見つかった場合は、破裂するリスクを避けるために早めに手術を行います。

薬物療法

薬物療法は、痛みを抑える「対症療法」とホルモン剤による「ホルモン療法」があります。対症療法は鎮痛薬や漢方薬を使って痛みを抑える治療法で、子宮内膜症がまだ初期の段階で症状も軽い場合に行われます。

ホルモン療法は、ホルモン剤を使って生理を止め、病巣を休ませることで症状を改善したり進行を抑えたりする治療法です。閉経と同じ状態にする「偽閉経療法」と、妊娠している状態にする「偽妊娠療法」にわけられます。

偽閉経療法はエストロゲンの分泌を抑え、閉経状態を作りだします。Gn-RHアゴニストというホルモン剤を使うのが主流で、皮下注射するタイプと点鼻薬タイプがあります。副作用で更年期と似た症状がでたり骨量が低下したりするため、4~6ヶ月使用したら次の6ヶ月は休みます。

偽妊娠療法は低用量ピルなどを用いて排卵を抑えることで子宮内膜の増殖を抑え、症状を軽くする方法です。

手術療法

ホルモン療法で症状の改善がみられない場合は手術を行います。子宮と卵巣を残す「保存的手術」と、子宮や卵巣、卵管をすべて取り除く「根治手術」があります。手術の方法はお腹に小さな穴を開ける「腹腔鏡下手術」とお腹を開く「開腹手術」がありますが、最近は身体への負担が少ない腹腔鏡下手術が主流のようです。

「保存的手術」は病変だけを取り除いて子宮と卵巣は残すため、再発の可能性があります。妊娠を希望している場合や病巣が小さいケースには保存的手術が選ばれます。

「根治手術」は重症な場合や妊娠を希望しない場合に行われます。子宮や卵巣、卵管を取り除くため再発しませんが、手術後に女性ホルモンが不足して更年期のような症状がでることがあります。そのため、片方の卵巣を残してそうした症状を抑える場合もあります。

子宮内膜症の検査や治療にかかる費用は?

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子宮内膜症の検査費用

基本的に保険が適用されるため、自己負担額は3割です。医療機関によって異なりますが、血液検査や超音波検査などの一般的な検査は数千円程度、MRIで精密検査をする場合は1万円程度かかります。

子宮内膜症の治療費用

子宮内膜症の治療は一部の漢方薬を除いて保険が適用されます。

薬物療法でGn-RHアゴニストというホルモン剤を使う場合、注射薬だと月に1回打って1回あたり1万~2万円ほど、点鼻薬だと1ヶ月あたり1万円くらいかかるようです。低用量ピルは28日間で2千~3千円ほどです。

手術の場合、開腹手術も腹腔鏡下手術も約10万円かかり、入院費をあわせると25万~40万円くらいになるようです。開腹手術は入院期間が長いため、腹腔鏡下手術より入院費用が高くなります。

高額療養費制度が使える場合も

治療に高額の医療費がかかったときは、「高額療養費制度」によって医療費の助成が受けられる場合があります。患者が支払う医療費が1ヶ月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度で、上限額は年齢や所得に応じて定められています。こうした制度を上手に活用しながら、治療を進めてくださいね。

子宮内膜症でも妊娠できるの?

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赤ちゃんがほしい女性は、子宮内膜症と不妊の関係が気になりますよね。子宮内膜症でも妊娠ができないわけではありません。ただし、卵巣や卵管に炎症や癒着が起こると、スムーズな排卵ができず、不妊症の原因になることがあります。

子宮内膜症でも性行為を行って大丈夫ですが、性交痛の症状がある人は、性行為に消極的になってしまうかもしれません。パートナーに病気を理解してもらうことが大切ですよ。

子宮内膜症が進むほど治療が大変になり、妊娠に与える影響も大きくなるため、早めに治療を始めましょう。すぐに妊娠を望む場合、生理を止めるホルモン療法は行わず、「保存的手術」を行うか、不妊治療と痛みを抑える対症療法をあわせて進めることになります。

子宮内膜症の治療は気長に付き合える方法を

子宮内膜症は、たとえ手術で病巣を取り除いても閉経までに再発する可能性があります。長い期間にわたって付き合っていく病気ですので、医師とよく相談し、自分のライフスタイルや希望に合った治療をしていくことが大切です。自覚症状がない場合もありますので、定期的に婦人科検診を受けてくださいね。

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