おりものがピンク色になる原因と対策!妊娠初期や生理前後だと異常?排卵との関係は?

「おりもの」というと、下着が汚れるイメージがある人が多いのではないでしょうか。実は、おりものの状態は、女性の身体からの大切なメッセージなのです。ピンクのおりものが出た場合、どのような身体の変化が考えられるのでしょうか。ここでは、おりものがピンクになる原因や病気・妊娠初期症状との関係について解説します。

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この記事の監修

清水 なほみ
産婦人科医
清水 なほみ

目次

  1. おりものとは?
  2. おりものの正常な色とは?おりものの色は変化する?
  3. おりものがピンク色になる5大要因
  4. 生理前後のピンク色のおりものの原因は?排卵出血とは?
  5. 妊娠初期はおりものがピンクになりやすい?
  6. 不正出血の種類とは?おりものがピンク色になるのは病気?
  7. 不正出血が起こる可能性がある腟や子宮の病気一覧
  8. ピンク色のおりものに気付いたら確認すること3つ
  9. おりものがピンクになったら、不正出血かどうかを確認しよう
  10. あわせて読みたい

おりものとは?

おりものは、子宮内膜や子宮頸管(しきゅうけいかん)、腟壁、皮脂腺、汗腺などから分泌される液体や、古い細胞の粘液などが混ざってできた液体です。女性ホルモンのはたらきが、おりものの色や量、におい、状態に影響します。

自浄作用がある

おりものが分泌されることで、腟がうるおい清潔な状態に保たれると同時に、細菌が体内に侵入しににくくなります。この作用は「自浄作用」と呼ばれています。

受精を促進する

排卵期になるとおりものの量が増え、ゼリーのように伸びやすく透明な状態になります。これにより精子が卵子のもとに到達しやすくなり、受精が促進されます。

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おりものの正常な色とは?おりものの色は変化する?

正常なおりものは透明から白色で、クリーム色になる場合もあります。おりものの色は女性ホルモンの作用によって日々変化しており、黄体期のおりものは白く濁って粘り気が強くなり、下着につくと黄色く変色して見えることもあるでしょう。

ただし、白濁色でカッテージチーズや豆腐のようにボロボロしているおりものや、鮮やかな黄色のおりものは、病気のサインかもしれません。変化を見逃さないように注意しましょう。

おりものがピンク色になる5大要因

おりものがピンク色になるのは、おりものに血液が混ざっているためです。おりものに血液が混ざる原因としては、主に以下の5つの出血が考えられます。病気が原因の場合もあれば、生理や妊娠、ホルモンバランスの変化によるものもあるため、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。

・排卵出血(中間期出血)
・生理前・生理後の出血
・妊娠初期や臨月の出血(切迫流産、おしるし)
・筋腫・ポリープなどによる不正出血
・ホルモンバランスの乱れによる不正出血(月経不順)
・クラミジアや淋菌感染による出血(経管炎)


生理前後のピンク色のおりものの原因は?排卵出血とは?

生理前・生理後におりものがピンク色になることがある

生理前・生理後には、経血が混ざっておりものがピンク色になる場合があります。生理前の2~3日間おりものに出血が混ざってからしっかりした月経になる、または月経後に少量の出血がだらだら長引くという場合に、ピンク色のおりものになることがあります。いずれも出血期間が長引く原因がないかチェックが必要です。

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排卵期には「中間期出血(排卵出血)」が起こることも

排卵期に少量の出血が起こる場合があります。この出血は「中間期出血」と呼ばれ、「排卵出血」と呼ばれることもあります。排卵出血は病気ではありませんが、毎月出血を繰り返す場合にはピルを用いて治療を行うことがあります。

妊娠初期はおりものがピンクになりやすい?

妊娠超初期~初期はおりものがピンク色になりやすい時期

妊娠初期に、切迫流産の症状として出血が起こったり、絨毛膜下血腫からの出血が見られたりする場合があります。出血すると血液が体内で酸化しておりものに混ざり、ピンク色や茶色になって出てくることがあるでしょう。

臨月のピンク色のおりものは「おしるし」の可能性も

妊娠後期~臨月には、「おしるし」が原因でおりものがピンクに変色することが考えられます。おしるしの場合には、冷静に対処することが大切です。陣痛や破水が始まったら病院に連絡して指示を仰ぎましょう。

また、婦人科健診の直後には、内診の刺激による出血が起こることがあります。内診の刺激による出血は、検査器具によって子宮や腟に傷がついたときに起こる出血です。おしるしと区別がつかないことも多いですが、いずれにせよ落ち着いて様子を見ましょう。

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流産や子宮外妊娠による出血には注意しよう

おしるし、内診後の出血は異常ではありませんが、大量に出血する場合や、出血が長期間続く場合、腹痛を伴う場合には、切迫流産・切迫早産や子宮外妊娠の可能性があるため、受診が必要です。自己判断で、様子見で済ませないようにしましょう。

不正出血の種類とは?おりものがピンク色になるのは病気?

ピンク色のおりものが出る原因のひとつに、生理でないのに出血してしまう「不正出血」があります。不正出血を大きくわけると以下の2種類があります。

病気が原因で起こる「器質性出血」とは

腟の炎症や子宮がん、子宮内・経管のポリープや子宮内膜症など、腟や子宮の病気によって起こる出血のことを「器質性出血」と呼びます。いずれも受診して原因を確認する必要があります。

ホルモンバランスの乱れが原因で起こる「機能性出血」とは

「機能性出血」は、女性ホルモンが正常に分泌されていないために起こる出血です。ストレスや生活リズムの乱れが原因で一時的に出血してしまう場合もありますが、「黄体機能不全」や「無排卵月経」といった女性ホルモンにかかわる病気にかかっている可能性もあります。

出血だけでなく、生理不順がないか、基礎体温の変化に異常はないか、といった点をあわせて確認しましょう。

不正出血が起こる可能性がある腟や子宮の病気一覧

不正出血の原因になりうる病気には、腟や子宮の炎症や子宮がん、良性の腫瘍などがあります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

萎縮性腟炎

更年期にかかりやすい病気である「萎縮性腟炎」は、女性ホルモンの分泌量の低下によって起こる病気です。女性ホルモンの分泌量が低下して腟壁が委縮してしまうと同時に乾燥しやすくなり、腟が細菌に感染しやすくなります。

萎縮性腟炎になると、おりものに血が混ざってピンクや茶色のおりものが出たり、性交時に出血したりする可能性があるでしょう。

細菌性腟症

「細菌性腟症」も、不正出血が起こる可能性のある腟の病気です。特定の原因菌が特定されず、目立った症状が出ないことが多いのが特徴で、「非特異性腟炎」と呼ばれることもあります。

不正出血でおりものがピンクや茶色、赤褐色に変色する場合があるほか、出血がない場合でも、灰色がかった水っぽいおりものが出ることが多いでしょう。また、魚が腐ったような悪臭を伴います。

症状としてはおりものの色やにおいの変化です。ひどくなると子宮内膜炎や卵管炎、骨盤腹膜炎につながる可能性があることに加え、妊娠後期に細菌性腟症になると、早産になったり早期に破水するリスクが高まったりすることもあります。

子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)

子宮頸管炎は、子宮と腟を結ぶ子宮頸管が、性行為などの外的刺激によって細菌に感染することで起こる炎症です。子宮頸管炎になると、不正出血が起こっておりものが変色するほか、おりものが膿状になったり、性器にかゆみが出たりする場合があるでしょう。

子宮内膜炎や骨盤腹膜炎など、炎症の範囲が広範囲に広がる可能性も考えられます。骨盤内まで炎症が広がる場合には、腹痛や発熱を伴うことがあります。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管にできる腫瘍である「子宮頸管ポリープ」は、少しの刺激で傷つき、出血してしまう組織なので、性交や排便、運動による刺激で不正出血を起こすことが考えられます。良性の場合がほとんどで、がん化することはめったにないといわれています。

おりものがピンクや茶色に変化し、悪臭を伴うときは、子宮頸管かもしれません。病院を受診すると、内診時に簡単に切除してもらえます。

子宮頸がん

「子宮頚部」と呼ばれる子宮の入り口部分にできるがんである「子宮頸がん」になると、おりものがピンクや茶色に変色するほか、悪臭を伴う場合があります。主な症状としては、性交時出血や排便時出血、おりものの増量があげられます。

子宮頸がんは早期に発見することができれば子宮本体を残して完治が可能な病気ですが、、進行してしまうと治療が困難になる場合もあります。初期には自覚症状がないことがほとんどのため、定期的にがん検診を受けてチェックするように心がけましょう。

子宮体がん

子宮内膜にできるがんを「子宮体がん」と呼びます。子宮体がんになると、不正出血を伴い、おりものが変色する場合があります。おりものがピンクや茶色に変色することに加え、悪臭がしたり、膿のような状態になったりすることもあるでしょう。かなり進行した場合の症状としては、排尿痛や性交痛、骨盤周辺の痛みがあります。

子宮筋腫

「子宮筋腫」も不正出血を伴う可能性がある病気です。子宮筋腫は子宮の筋肉や子宮の内側・外側にできる良性の腫瘍で、主な症状は経血量の増加と月経痛です。筋腫の場所や大きさによっては頻尿や腰痛といった症状を伴う場合もあるでしょう。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮以外の場所に子宮内膜の組織ができてしまう病気で、不妊につながる可能性があります。不正出血を起こすことに加え、進行すると生理痛がひどくなったり貧血を起こしたりする場合もあるでしょう。

子宮腟部びらん

「子宮腟部びらん」は女性ホルモンの分泌量が多い時期になりやすい状態で、病気ではありません。しかし、不正出血を起こす場合があります。

子宮腟部びらんになると、子宮頚部の内側の粘膜が外側に広がり、不正出血を起こしたり、粘り気のある白や黄色のおりものが増加したりする可能性があるでしょう。病気ではないため治療を行う必要がない場合が多いですが、おりものが多すぎたり不正出血がひどかったりするときには治療を行うことも考えられます。

ピンク色のおりものに気付いたら確認すること3つ

ピンク色のおりものの量と出る時期・期間

ピンク色のおりものが大量に出る場合や長期間続く場合には、病気による出血が原因かもしれません。また、排卵期や妊娠初期、臨月など、出血を起こしやすい時期かどうかを確認することに加え、ピンクのおりものの量や出る期間にも気を付けると良いでしょう。

においや状態など、色以外の変化

おりものがピンクに変化するだけでなく、おりものから悪臭がしたり、膿のように見えたりする場合には、子宮の病気が原因となっている可能性があります。おりもののにおいや状態も確認しましょう。

性交時・排便時の出血、下腹部痛、陰部のかゆみ

おりものの変化に加え、性交時や排便時の出血や、下腹部痛、発熱、かゆみといったほかの症状もチェックしましょう。これらの症状があるときはすぐに病院を受診してください。

おりものがピンクになったら、不正出血かどうかを確認しよう

おりものがピンクになる原因は、生理や妊娠にかかわる出血やホルモンバランスの乱れによる出血、腟や子宮の病気とさまざまなので、自分の出血の原因を判断することは難しい場合が多いでしょう。少しでも異常な出血があった場合は、受診のうえ検査が必要です。この程度なら大丈夫だろうと自己判断せず、一度は一通りの検査を受けるようにしましょう。

おりものの色以外にも、量や出る時期・期間、その他の症状があるかどうかをチェックしてみましょう。確認しておくことで、異常なおりものとそうでないおりものを見分けやすくなります。明らかに病気が疑われるときや自分ではよくわからずストレスになってしまうとき、不安なときは、無理せず病院を受診してくださいね。

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