【産婦人科医監修】臨月のおりものの特徴とは?黄色や茶色、ゼリー状、水っぽい!かたまりが出ることも?粘り気があるものはおしるし?
出産を間近に控え、赤ちゃんに出会えることの喜びと出産・子育てへの不安とが入り混じる臨月。そんな臨月の身体の状態を伝えてくれるサインのひとつに「おりもの」があります。臨月のおりものが黄色や茶色、ゼリー状のおりもの、水っぽいおりものに変化するのはなぜなのでしょうか。おしるしや破水との見分け方についても医師監修で解説します。
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この記事の監修
目次
臨月のおりものとは?量が多い?
「おりもの」とは、女性ホルモンの働きによって子宮や腟などから分泌される液体の総称です。腟を清潔でうるおいのある状態に保つとともに、細菌が体内に侵入するのを防ぐ「自浄作用」があり、女性の健康にとっては欠かせません。
出産間近の臨月に入ると、おりものは出産にとって大切な役割も果たします。出産に備えてエストロゲンという女性ホルモンの働きが活発になると、おりものの量が増え、赤ちゃんがお腹から出てきやすいように産道の環境を整えてくれます。おりものが産道の潤滑油となってくれるのです。
臨月のおりものは黄色や茶色になる?
おりものの色は臨月にどのように変化するのでしょうか。おりものの色にはもともと個人差があることに加え、臨月には女性ホルモンのバランスによって変化しやすくなります。
透明なおりものや白いおりもの、黄色や茶色っぽいおりものなど、さまざまな色のおりものが見られるかもしれませんね。こうしたおりものの色の変化は妊娠中なら誰にでも起こりうることなので、ほとんどのケースでは心配する必要はありません。
一方で、臨月に茶色いおりものが何日も続く、鮮やかな黄色や黄緑のおりものが出る、白いおりものでも濁っていて酒かすやカッテージチーズのように見えるといった場合には、子宮や腟に何らかの異常がある可能性があります。早めに病院に行き、適切な治療を受けましょう。
臨月のおりものは水っぽい・ゼリー状?
臨月に下着が濡れてしまうほどに水っぽくてさらさらとしたおりものが出たり、おりものがゼリー状になってかたまりで出てきたりする場合もあります。これも多くの場合はエストロゲンの働きによるもので、臨月にはよくみられるおりものなので、それほど気にすることはありません。
ただし水っぽいだけでなく異臭を放っていたり、黄色や黄緑、灰色などに変化したりしている場合は感染症の疑いがあります。おりものの状態だけでなくその他の特徴や身体の状態をあわせて確認しておくと安心です。
また臨月には、陣痛の前に破水が起こるケースもあります。おりものだと思っていたら実は破水が起こっていた、ということもありえます。とくに「高位破水」は、おりものと区別がつきにくいといわれています。おりものと破水とを間違えないように、ささいな様子の変化にも注意しましょう。
臨月のおりもののにおいは?
臨月に入り、おりもののにおいがきつくなったと感じる人もいるようです。個人差はありますが、通常のおりものは少し酸味のあるにおいがします。時間が経つと若干生臭いと感じる人もいるでしょう。
臨月になるとホルモンバランスが大きく変化するため、おりもののにおいも変化することがあります。もともとほとんどにおいを感じなかった人がにおいを感じるようになる場合もあるかもしれません。においが多少変化したからといって気にする必要はありませんよ。
ただしにおいが強すぎる場合や、明らかに違うにおいがする場合は感染症が原因となっている可能性があるため、一度病院を受診すると安心です。
臨月に注意すべきおりものは?
茶色やピンク、赤褐色のおりもの
茶色やピンク、赤褐色のおりものは、出血の目印になります。赤い血液が白いおりものと混ざってピンクに見えたり、血液が酸化して茶色や赤褐色になったものが混ざっておりものが茶色くなったりするためです。
こうしたおりものの原因としては、妊婦健診で検査器具によって傷がつく「内診出血」や、陣痛や破水の兆候となる「おしるし」、子宮頸管炎や細菌性腟症といった感染症による出血などが考えられます。
内診出血やおしるしの場合は放っておいても問題ありませんが、病気が原因となっている場合には妊娠の経過を見つつ治療法を検討することになります。茶色やピンク、赤褐色のおりものが何日も続く、あるいは大量に出る場合には、医師に診てもらいましょう。
白く濁ってぽろぽろしたおりもの
白く濁ってぽろぽろしたおりものが出る場合は、カンジダ腟炎かもしれません。カッテージチーズや酒かす、ヨーグルト、豆腐のようだと表現されることもあります。
カンジダ腟炎は真菌(カビ)に感染しておりものの変化や外陰部のかゆみなどの症状が出る病気で、免疫力が低下する妊娠中にかかりやすい病気のひとつです。心当たりのある人は医師に相談しましょう。
鮮やかな黄色や黄緑のおりもの
臨月にはおりものがクリーム色~黄色に変化する人もいますが、鮮やかな黄色や黄緑がかったおりものが出る場合には性器クラミジア感染症や淋病(淋菌感染症)、トリコモナス腟炎といった感染症が原因となっているかもしれません。
種類によっては自覚症状がほとんどない感染症もあるため、おりものの変化が重要な手がかりになります。妊娠中に感染症にかかると、産道感染によって赤ちゃんの結膜炎や肺炎につながる危険性があるので、普段からおりものの色をチェックするように心がけましょう。
膿状や泡状のおりもの
感染症が原因でおりものの状態が変化することもあります。特に淋病(淋菌感染症)では膿状、トリコモナス腟炎では泡状のおりものがみられることがあり、おりものの異常を判断するポイントのひとつとなります。いつものおりものと状態が異なる場合も病院で調べてもらうと良いでしょう。
腐敗臭がきついおりもの
おりものから腐敗臭がするなど、普段と異なる悪臭がするときにも何らかの菌に感染している可能性があります。特に細菌性腟症では、おりものから魚の腐ったようなにおいがすると表現されることがあります。色や状態とあわせてにおいも確認するようにしましょう。
臨月のおりものとおしるしや破水の見分け方
おしるし
「おしるし」は血液の混ざった粘り気のあるおりもので、分娩直前であることを知らせてくれるサインです。子宮の入り口が開くことによって胎児を包む卵膜の一部が剥がれることで出血し、それが子宮や腟の粘液と混ざって出てきます。
おしるし以外の出血と見極めるのは難しいですが、出産予定日付近に鮮血がまざったおりものや茶色やピンクのおりものが出てきたときには、おしるしかもしれません。おしるしが来たからといって必ずしもすぐに分娩が始まるとは限りませんが、もう少しで陣痛や破水が始まると想定して心の準備を整えましょう。
破水
赤ちゃんを包んでいる膜が破れて羊水が体外に流れ出てくる状態が「破水」です。臨月にはおりものの量が多くなるため、おりものと破水を間違えてしまうことがあるかもしれません。
おりものの場合はずっと流れ続けることはありませんが、破水の場合は一度出始めたら止まらずチョロチョロと流れ続けます。違いを頭に入れ、破水が起こったときにすぐに気づけるようにしておきましょう。
破水が起こったらすみやかに病院に連絡してください。そしてシャワーや入浴はせずに清潔な下着に替え、生理用のナプキンや尿漏れパッド、バスタオルなどで水分を抑えつつ、自家用車やタクシーで病院に向かいましょう。
臨月のおりものと上手に付き合うには?
おりものシートを活用する
臨月にはおりものの量が多くなるため、ケアするのが大変ですよね。下着が濡れると洗濯が大変になると同時に、常に陰部を清潔に保つことが難しくなります。
おりものの量が多くて困ったときは、おりものシートを使用しこまめに取り換えるようにすると、下着の汚れを防ぎつつにおい対策や細菌感染の予防になりますよ。おりものシートでも足りないと感じたら、生理用ナプキンを使用しても良いかもしれませんね。
通気性の良い服装をする
おりものは時間が経つと細菌が繁殖してにおいがきつくなる傾向があります。においやかぶれを防ぐためには、おりものシートを使用することに加えて通気性の良い服装をすることも大切です。
お尻まわりがぴったりとしたズボンなどを履くと空気を閉じ込めてしまい、湿度が上がって細菌が繁殖しやすくなる可能性があるため、綿のスカートを履くなど通気性の良い服装を心がけると良いでしょう。
デリケートゾーンを洗いすぎない
臨月にはゼリーのようなおりものや水っぽいおりものが増え、おりものが増えたことでにおいも感じやすくなる人がいます。おりものの量やにおいが気になると、お風呂でごしごし洗ったり、1日に何度もビデで洗ったりしたくなるかもしれません。
デリケートゾーンを清潔に保つことは大事ですが、洗いすぎると必要なおりものまで洗い流してしまい、かえって細菌に感染しやすくなってしまう可能性があります。洗うときにはやさしくぬるま湯で洗い流す程度にし、石鹸の使用は1日1回程度に抑えましょう。トイレに行くたびにビデを使用するのも控えてくださいね。
臨月のおりものはもう少しで赤ちゃんに出会える合図かも
臨月のおりものは、出産間近であることを教えてくれたり、身体の異常を知らせてくれたりします。臨月はホルモンバランスの変化が激しい時期なので、おりものの量や色、状態が少し変化したとしてもさほど問題はありません。
ゼリー状のおりものが出てきたら、エストロゲンが順調に分泌されているのだな、と思っておくと良いでしょう。一時的に血が混じったおりものが出てきた場合も、おしるしであればあわてずに出産に向けて心身の状態を整えてください。
しかし、血が混ざったおりものや茶色のおりものが続く、黄緑のおりものが出る、明らかに異常なにおいがするといった場合には躊躇せず病院に足を運びましょう。感染症の場合には早めに医師に相談して適切な処置をとり、赤ちゃんへの影響をできるだけ少なくしたいですね。
※この記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。