【助産師監修】まさか私が?!予定日超過で「陣痛誘発剤」を使った出産体験談
妊娠期間はおおよそ40週。10ヶ月間お腹に宿した命がついにこの世に誕生しようとする瞬間、ママたちの期待はピークに達します。しかし、万が一40週を過ぎても陣痛が来ない場合はどうなるのでしょうか?本記事では、予定日超過が理由で陣痛誘発剤を使用した筆者の体験談を交えながら、陣痛誘発剤・促進剤を使ったお産について解説します。
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目次
陣痛誘発剤・陣痛促進剤とは?
「陣痛誘発剤」は、その名の通り陣痛を誘発させる薬です。全ての妊婦さんに使用するわけでなく、陣痛を意図的に起こさなければいけない場合に医師の判断により使用されます。
同じ薬が陣痛の誘発だけでなく、長時間弱い陣痛が続いている妊婦さんに陣痛促進という目的で使用されることもあります。この場合は「陣痛促進剤」と呼ばれます。
投薬の理由はさまざまですが、無痛分娩などの際にも使われています。
陣痛誘発剤・陣痛促進剤が使われるときのママの状態
大半のお産は自然の流れに沿ってスムーズに進むものですが、医療サポートを受けたほうが良い場合もあります。子宮口が開いていて赤ちゃんもおりてきているのに、赤ちゃんを押し出すほど強い陣痛がないとき、あるいは一度は陣痛がきたのに途中から陣痛が弱くなってしまう「微弱陣痛」などのときには、陣痛促進剤の使用が有効である場合があります。
出産予定日を過ぎると「いつ陣痛が来てもおかしくない」と気合いが入る一方で、予定日を一日過ぎていくごとに「まだ産まれないのかな」と不安になるかもしれません。
周囲からも「まだ」「そろそろ」と聞かれる機会が増え、プレッシャーを感じてしまう可能性があります。何よりも出産を待ち望んでいるのはママ本人であるため、なかなか出てきてくれない赤ちゃんに対して悲しい気持ちになる場合もあります。
筆者の場合は予定日を過ぎてから3日おきに健診を受けました。病院で子宮口の開き・赤ちゃんの位置などで、出産の準備がまだできていないことを告げられるたびにがっかりし、なぜだか落ち込んでいました。予定日を1週間過ぎた日の健診で羊水の減少を伝えられ、陣痛誘発剤の使用を打診されました。
陣痛誘発剤・陣痛促進剤を使うタイミングは病院によってさまざま!
陣痛誘発剤を使ったことがある人は少なくないのですが、人により使用タイミングはさまざまです。予定日前に破水したことで服薬した人もいれば、筆者のように予定日を一週間過ぎてから服薬した人、二週間過ぎてやっと服薬を勧められた人など、さまざまなケースがあるようです。
陣痛誘発剤には、まれに副作用や赤ちゃんが仮死状態になるなどの影響がある場合もあります。少しでも薬の使用に抵抗がある人は、先生とよく相談すると良いでしょう。
・予定日を過ぎても陣痛がこない
・微弱陣痛でお産が進まない
・羊水の減少が確認された場合
・赤ちゃんの健康状態を考慮して医師が判断した場合
具体的な投薬方法は?
陣痛誘発剤には注射液、経口剤の2種類があり、注射液は点滴、経口剤は内服で投与します。子宮頚管熟化薬の腟剤が用いられることもあります。
注射液はプロスタグランジンF2αとオキシトシン(アトニン)が使われています。経口薬で使われているのは、プロスタグランジンE2です。プロスタグランジンは子宮頸管をやわらかくし、オキシトシンは守旧収縮を促す作用があるため、妊娠の状況に応じて使い分けされます。
子宮頚管の熟化がどれくらい進んでいるかにもよりますが、現在は器具などを用いて子宮頸管を柔らかくした後に、投与量の管理がしやすい点滴を用いることが多いようです。
筆者ははじめ「プロスタグランデン」という内服タイプを2日間服薬しましたが、効果がなかったために3日目に点滴に切り替わりました。
入院を伴った服薬だったため、早朝から夫と病院へ行き、分娩監視装置をつけ、1時間ごとに錠剤を飲みました。昼前に最後の一錠を飲むまでずっと寝たきりで、カーテンで仕切られただけの処置室のベッドで心細く、付き添いもできなかったためとても暇でした。服薬が終わるとそのまま入院部屋へ移動しました。早く陣痛が来ないかなと待ったものの、不発に終わりました。
錠剤はあまり効果がなく、微弱陣痛がずっと続く状態でまるまる2日間過ごした筆者は夜も眠れず、動き回る元気もなく、食事も喉を通らなかったため、3日目にはかなり憔悴していました。3日目の朝から点滴に切り替えることになり、朝4時から点滴を開始しました。たちまち痛みが強くなりました。
陣痛誘発剤の効き目は個人差がある!
陣痛誘発剤の使い方はさまざまです。筆者のようにまず錠剤から始めて、効果が薄ければ点滴に切り替えるという人もいれば、最初から点滴で陣痛を誘発したという人もいます。陣痛誘発剤も薬であるため、効き目には個人差があるようです。
促進剤の使用中は、分娩監視装置で赤ちゃんの様子はしっかりチェックされています。心拍の低下など、少しでも異常があれば看護師さんが飛んでくるため、安心しましょう。
【誘発分娩の体験談】陣痛誘発剤がやっと効き、本陣痛到来!
朝4時に点滴を始め、1時間後には陣痛が強くなってくるのがわかりました。今までの重い生理痛のような痛みとは異なり、「本当にお腹が痛い」ときの痛みをさらに強くした感じでした。あんなに固かった子宮口がやっと開き、分娩台へ移動しました。ずっと様子を見てくれていた助産師さんが「今日の午前中には産みたいね」と明るく声をかけてくれました。頑張ろうと思う余裕があったのはこの辺りまでです。
夫が駆けつけた後、一気に本陣痛が始まりました。ひたすら助産師さんの言う通りに息を吸ったり吐いたり、力を抜いたりを繰り返していました。そして午前11時半、やっと赤ちゃんが出てきてくれました。
出産にかかった時間は、およそ7時間ぐらいでした。出産前は「何時間も死ぬほどの痛みに耐え続けるなんて無理」と思っていましたが、本陣痛が始まってからはそんなことを考える暇もないほど、あっというまでした。促進剤投与の2日間に渡る微弱陣痛のほうが、陣痛とは異なり切れ目がなかったため本当につらかったです。
自然分娩と誘発分娩の違いは?
誘発剤使用による陣痛と自然陣痛どちらの痛みが強い?
「陣痛誘発剤を使うと自然分娩よりも痛い」という噂を耳にしたことがあるでしょうか。痛みの程度が異なる背景には、陣痛誘発剤を使うと強い痛みがいきなり来る、使わない場合は徐々に痛みが強くなるので耐えられるということがあるようです。実際には、痛みの感じ方が違うだけで、痛さの度合いに変わりはないのかもしれません。
筆者は初産で誘発分娩だったため、陣痛誘発剤を使わない分娩を体験したことがなく、陣痛誘発剤を使ったときと自然分娩の痛みの強さを比べることができません。どちらも体験した人の話によると、やはり陣痛誘発剤なしの自然分娩のほうが楽に感じるという意見があるようです。
陣痛誘発剤・陣痛促進剤を使ったお産はどうなの?
陣痛誘発剤や陣痛促進剤を使用するような場面は、可能であれば避けたいものですよね。筆者も初めに「陣痛誘発剤を使う」と言われたときにはショックを受け、点滴を入れる際には「薬を使わないと産んであげられないなんて」と泣きました。
担当してくれた看護師さんは「誰かが悪いとかじゃない。ママが赤ちゃんを無事に産んであげるために必要なことで、薬を使ったからちゃんと産めないということじゃないんですよ」と言ってくれました。出産方法に良し悪しはないのだなと思いました。元気なママが元気な赤ちゃんを産んであげることが1番で、陣痛誘発剤(陣痛促進剤)はそのためのひとつの手段にすぎません。
もちろん薬を使うためリスクはありますが、自然分娩にもリスクは生じることがあります。「陣痛誘発剤を使わなければリスクが生じる」際に使われるのが陣痛誘発剤です。陣痛誘発剤の使用には賛否両論ありますが、薬の使用よりもこだわるべきは無事に元気な赤ちゃんが産めるかどうかでしょう。
妊娠の不安を解消してくれる本
妊娠超初期から産後一ヶ月までの情報を網羅し、身体の変化、妊娠月数ごとに必要なこと、お産の始まりから終わりまでなどを徹底的に解説しています。パパのためのページも充実しているため、ママとパパとふたりで出産までの毎日を共有できる点もポイントです。
赤ちゃんに会えるそのときまで
筆者は何人かの友人が陣痛誘発剤を使って出産していたため、「名前は聞いたことがある」程度でした。何の疑いも持たず、自然に陣痛が来て出産するものだと思っていました。陣痛誘発剤を使うということになったときは本当にわけもわからず哀しくなったり、落ち込んだりもしました。
重要なのは、「母子ともに健康で出産を終えること」です。そのために必要な医療行為に対して、不安を感じる必要はないでしょう。お医者さんの説明をきちんと聞き、あまりリスクのことばかり考えずに、赤ちゃんに会えるその瞬間を目指して頑張りましょう。
※この記事は2025年1月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。