【産婦人科医監修】前駆陣痛と胎動の違いは?痛みと激しさ、胎動の種類とは

出産が近づいていることを示すサインのひとつに「前駆陣痛」があります。前駆陣痛の痛みは胎動の痛みと似たところがあり、人によっては症状に気付かないこともあるようです。前駆陣痛と胎動とはどのようにして見分ければ良いのでしょうか。ここでは前駆陣痛の症状や胎動の種類、痛みの違いについて解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 臨月に感じるお腹の痛みの原因は?
  2. 前駆陣痛とは
  3. 胎動とは
  4. 前駆陣痛はどんな痛み?
  5. 胎動の種類の代表例4選
  6. 臨月に入ると胎動はどうなる?
  7. 前駆陣痛と胎動の痛みとの感じ方の違い
  8. 前駆陣痛は出産までに治まるもの?
  9. 臨月に胎動がなくなることってあるの?
  10. いつ生まれても良いよう出産準備を
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臨月に感じるお腹の痛みの原因は?

妊娠36~40週の臨月に入ると、身体にさまざまな変化が表れるようになります。「お腹の痛み」も身体の変化のひとつで、胎動や前駆陣痛、下痢や便秘、ストレスなどさまざまな理由があげられます。

臨月のお腹の痛みのなかでも、前駆陣痛はもうすぐ出産が近づいていることの合図であることから、自分の感じているお腹の痛みが前駆陣痛なのかどうか気になる人も多いのではないでしょうか。胎動だと思っていたら前駆陣痛だった、ということにならないよう、臨月のお腹の痛みのなかでも勘違いの起こりやすい前駆陣痛と胎動の特徴についてみていきましょう。

前駆陣痛とは

不規則な子宮の収縮

前駆陣痛とは出産が近づいている合図のひとつで、本陣痛の前に起こる陣痛のことです。前駆陣痛のあいだは子宮が収縮し、赤ちゃんが生まれるときに通る子宮頸管を軟らかくしているため、お腹に不規則な痛みや張りの症状が表れます。

症状の表れ方は人によってさまざまで、お腹の張りだけを感じる人もいれば、痛みに気付かないまま出産を迎える人もいます。前駆陣痛のお腹の痛みは不規則であることから、なかには胎動の痛みと勘違いしてしまう人もいます。

妊娠36~40週頃に起こる

出産の兆候を表す前駆陣痛は、一般的に妊娠36~40週の臨月に起こるといわれています。しかし感じ方に違いがあるように、起こる時期も個人による差が大きいです。臨月よりも前から前駆陣痛を感じる人もいれば、出産の前日に前駆陣痛を感じる人もいて、症状を感じる期間の長さも人によって異なります。

前駆陣痛が始まったからといって必ずしもすぐに本陣痛が始まるわけではありません。まだまだ出産日は先なのに前駆陣痛が始まったり、もうすぐ出産日なのになかなか前駆陣痛が始まらなかったりするケースもあります。

本陣痛との違い

前駆陣痛は本陣痛が始まる前に起こる陣痛です。子宮口が全開になる本陣痛に対して前駆陣痛では必ずしも子宮口が開くとは限らず、本格的な陣痛とは異なることから「偽陣痛」と呼ばれることもあります。

初めての出産をひかえたママは、自分の感じている痛みが本陣痛だったらどうしようと気になるかもしれませんね。前駆陣痛は本陣痛とは大きく分けて2つの違いがあります。確認しておきましょう。

本陣痛との違いのひとつは、痛みの間隔です。本陣痛では痛みに規則性がありだんだんと間隔が縮まっていきますが、前駆陣痛では痛みに規則性がなく、間隔や長さがまちまちの傾向があります。いざ本陣痛が始まったら早めに気付けるよう、前駆陣痛が来ているあいだにも、痛みを感じたら間隔や時間を記録しておけると良いですね。

また、もうひとつの違いは痛みの強さです。基本的に本陣痛の痛みは前駆陣痛とは比べものにならないくらいの強い痛みです。一方で前駆陣痛の痛みはズキズキとした生理痛のような痛みや下痢のような痛みであることが多いです。

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胎動とは

胎児がお腹の中で動くこと

赤ちゃんがお腹の中で動くことを胎動と言います。胎動の種類には赤ちゃんがグルンと向きを変えた動きや、しゃっくりのピクピクとした動き、お腹の中でキックやパンチをしている動きなどがあります。胎動の感じ方は個人の感覚や妊娠の時期によってさまざまで、激しい場合は痛みをともなう人もいます。

妊娠20週頃から感じる

一般的に、胎動を感じるようになるのは妊娠20週前後だといわれています。妊娠8週頃には赤ちゃんはお腹の中で動き始めているものの、まだまだ小さいためママが胎動を感じることはほとんどありません。

早い人は妊娠初期の終わりに、遅い人は妊娠後期に感じ始める場合もあり、胎動を感じる時期は人によって差があります。感じる時期に差があるのは、ママの体型や感覚だけでなく初産婦か経産婦かにもより、経産婦の方が胎動を早くに感じる傾向があります。

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前駆陣痛はどんな痛み?

生理痛のような痛み

前駆陣痛では生理痛のような痛みを感じることが多いといわれています。生理のときは子宮内膜でつくられるホルモンの作用で子宮が収縮することで痛みが起こります。前駆陣痛のあいだも子宮の収縮が起こっているので、生理痛の痛みに似ていると感じるのかもしません。人によっては生理2日目のときのような、ズキズキとした鈍痛を感じることもあるでしょう。

お腹を下したような痛み

前駆陣痛を「お腹を下したような痛み」と感じることがあります。普通の下痢と勘違いしてしまうことがあり、トイレに行っても下痢の症状がなかなか改善されないと思っていたら前駆陣痛だったという人もいます。そもそも臨月になると赤ちゃんがお腹の下のほうに降りて来たり、ホルモンの分泌が変化したりすることから下痢になりやすいため、前駆陣痛の症状となかなか区別がつかないのかもしれませんね。

お腹を締め付けられるような痛み

生理痛や下痢のような痛みのほかに、お腹をギューッと締め付けられるような痛みを感じる人もいます。痛みを感じてからだんだんと耐えられない強さになり、痛みの間隔が規則的になって本陣痛が始まったというケースもあります。

胎動の種類の代表例4選

しゃっくり

胎動のひとつに、ピクピクとした動きを感じるものがあります。ピクピクとした動きの多くは、お腹の中の赤ちゃんの「しゃっくり」による胎動です。初めての出産をひかえたママの場合、最初は何の動きかわからず疑問に感じることがあるかもしれません。だんだんと感覚に慣れてくると、赤ちゃんがしゃっくりをしていることがわかるようになります。

しゃっくりの回数があまりに多いと心配になるかもしれませんが、お腹の中の赤ちゃんがしゃっくりをすることはよくあることなので、あまり神経質にならなくても大丈夫。元気に成長しているよ、という赤ちゃんからのメッセージだととらえて、胎動を楽しめると良いですね。

おしっこ

お腹の中でブルブルッと震えるような胎動を感じるときは、赤ちゃんがおしっこをしているのかもしれません。お腹の中の赤ちゃんは羊水を飲み、おしっことして排出することを繰り返しています。おしっこ以外にも、ブルッと震えるような胎動はしゃっくりや手足の震えなどが関係しているともいわれていて、お腹の中の赤ちゃんならではの成長のサインかもしれませんね。

キックやパンチ

お腹の中でキックやパンチをされたときにも胎動を感じることがあります。感じ方は人それぞれですが、しゃっくりやおしっこに比べてわかりやすいことが多いです。赤ちゃんが成長してくるとキックやパンチの力も強くなり、外から見ても手足の形がわかるくらい強く押されたり、あまりに強い痛みだと、思わず涙ぐんでしまうママもいたりするといいます。人によっては膀胱を刺激され、突然尿意を感じることもあるかもしれません。

頭や足、肩などがぶつかる

お腹の中で、赤ちゃんのさまざまな部分が当たってしまうことで感じる胎動もあります。妊娠後期に入りだんだんと赤ちゃんが大きくなると、お腹の中で自由に動けるスペースがなくなってきます。身動きがとれない分、少し動いただけでも頭や足、肩がママの身体の内部にぶつかってしまい、ぐにゅーっとゆっくり押されるような動きを感じることがあるかもしれません。

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臨月に入ると胎動はどうなる?

胎動が少なくなる

一般的に臨月に入ると胎動が少なくなるといわれています。出産が近づくと赤ちゃんの頭はママの骨盤に固定されて身動きがとりづらくなるからです。ただし、胎動が完全になくなるわけではないので、胎動がなくなったと感じたら病院に相談しましょう。また、赤ちゃんやママによっても違いがあり、逆に出産直前まで激しい胎動を感じるケースもあります。

前駆陣痛中の胎動は赤ちゃんが元気な証拠

前駆陣痛が来るころには少なくなるといわれている胎動ですが、逆に激しくなる場合もあります。あまりの激しさに赤ちゃんに何か異変が起こっているのではないか、と気になる人もいるかもしれませんが、激しい胎動はむしろ赤ちゃんが元気な証拠なので安心してくださいね。

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前駆陣痛と胎動の痛みとの感じ方の違い

初めて前駆陣痛の痛みを感じると、痛みの理由が何であるのかはっきりとはわからず、戸惑う人もいるのではないでしょうか。特に、前駆陣痛と胎動はどちらも痛みが不規則なため、区別に迷うところがあるかもしれません。痛みの間隔から前駆陣痛と胎動を見分けることは難しいかもしれませんが、実際には痛みの感じ方に違いがあることがほとんどです。

前駆陣痛では生理痛やお腹を下したときのように、お腹の下の方が全体的にじんじんと痛む傾向があります。一方で胎動では、赤ちゃんがお腹の中を蹴ったり押したりすることによって痛みが生まれるので、ギューッと中から押されたような痛みを感じることが多いでしょう。

前駆陣痛と胎動が同時に起こることもあります。痛みが続いてつらいと感じたときは、痛みが和らぐよう身体の姿勢を変えるなどしてできる限り楽な状態で過ごすようにしてくださいね。

前駆陣痛は出産までに治まるもの?

一般的に前駆陣痛は出産までにいったん治まるといわれています。前駆陣痛が遠のくといよいよ出産が始まる、と緊張するかもしれませんが、前駆陣痛が治まっても本陣痛がすぐに起こるとは限りません。そのまま本陣痛が始まる場合もあれば、前駆陣痛が治まって数週間経ってから本陣痛が始まることもあります。

前駆陣痛が治まってからなかなか本陣痛がこないと心配になるかもしれませんが、基本的には予定日を大幅に過ぎていない限り問題はないので安心してくださいね。できるだけ無理のない範囲でウォーキングやスクワットなどをして自然な陣痛を促してみると良いでしょう。

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臨月に胎動がなくなることってあるの?

臨月に入ると胎動は少なくなるといわれていますが、まったくなくなるわけではありあません。今まであった胎動を突然感じなくなった場合は、赤ちゃんに異変が起こっている可能性があります。場合によっては、常位胎盤早期剥離によって胎児に栄養や酸素が届かなくなってしまっていることも考えられます。胎動が弱くなったからといって過度に心配する必要はありませんが、まったく感じられなくなったときは病院に相談しましょう。

胎動がなくなったかどうかを判断する方法として「胎動カウント」があります。胎動カウントにはいくつかのやり方があり、そのひとつに胎動を10回感じるのにどのくらい時間がかかるのかを計るものがあります。10回の胎動を感じるのに1時間以上かかる場合は、何らかのトラブルが起こっているという赤ちゃんからのサインかもしれません。いざというときに焦らなくてすむよう、できるだけ普段から胎動カウントを行うようにしておくと良いですね。

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いつ生まれても良いよう出産準備を

予定日が近づいてくると、身体のちょっとした変化が気になるようになりますよね。特に前駆陣痛はお産の兆候のひとつなので、いつ始まるのかドキドキしているママも多いのではないでしょうか。自分の感じているお腹の痛みが本当に前駆陣痛なのか、はっきりとわからず心配になることもあるかもしれません。しかし、症状の現れ方や感じ方には個人差があります。

自分のお産の始まり方がどんなパターンであっても、また、いつ本陣痛が始まっても焦らなくてすむように、前駆陣痛が始まる前に出産の準備をしておきましょう。どうしても気持ちが落ち着かないときは、ひとりで抱え込まず、不安に思っていることを医師に伝えたり、周りの人に話を聞いてもらったりして、できるだけゆったりとした気持ちで過ごせると良いですね。

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