【産婦人科医監修】陣痛の始まりがわからないを解決!見分け方、間隔の測り方、お腹の張りと区別するポイント

妊娠37週~41週のママは、いつ陣痛が起こってもおかしくない時期とされています。臨月に入ったママが、陣痛に対し不安に思うことは「陣痛の始まりがわからない」「陣痛の間隔の測り方がわからない」など、いくつかのパターンがあります。陣痛の見分け方や判断基準、本陣痛の特徴、痛みの原因、間隔の測り方を産婦人科医監修で解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 陣痛がわからない・気づかないことはあるの?
  2. パターン1.陣痛の始まりがわからない
  3. パターン2.前駆陣痛なのか本陣痛なのかわからない
  4. パターン3.陣痛の間隔の測り方がわからない
  5. 陣痛がわからない場合の対応
  6. 陣痛に関する体験談
  7. 陣痛かどうかは間隔を測って判断
  8. あわせて読みたい

陣痛がわからない・気づかないことはあるの?

陣痛は、赤ちゃんが子宮から出ようとするときに起こる子宮収縮の痛みです。間隔が不規則で、そのうち痛みが消えてしまう「前駆陣痛」と、そのまま分娩につながる「本陣痛」にわかれます。前駆陣痛は痛いと感じる時間が短かったり、痛みが強くなかったりする場合もあり、そのまま気づかずに終わってしまうこともあるようです。

本陣痛の場合、痛みを感じる時間が徐々に長く、起こるタイミングが規則的かつ頻繁になってくるので、途中からは気づくことが多いでしょう。しかし、本陣痛でも子宮収縮が初めから弱い「原発性微弱陣痛」や、途中から弱まっていく「続発性微弱陣痛」という可能性もあるので、判断できない場合は病院に連絡してみましょう。

初産婦だから、本陣痛の始まりがわからないのではないか、前駆陣痛と見分けがつかないのではないかと不安に思うママもいるかもしれません。しかし、必ずしも経産婦であれば陣痛かどうかがわかるというものではありません。本陣痛の始まり方や痛みの強さ、起こる時期は、出産のたびに変わることもあるからです。

ママが陣痛に対して感じている不安のパターン別に、陣痛の見分け方や陣痛の間隔の測り方などのポイントをみていきましょう。

パターン1.陣痛の始まりがわからない

陣痛かお腹の張りか

臨月に入ってお腹が張ると、本陣痛の始まりなのかお腹の張りなのか、区別がつかないこともあります。実際に、本陣痛の初期はお腹が張ったような感じであったというママもいます。妊娠中のお腹の張りの原因はさまざまですが、以下の可能性もあります。

・子宮収縮
・便秘気味でお腹が張っている
・お腹の皮膚や子宮を支えるじん帯が引っ張られている

妊娠後期の子宮収縮は、陣痛以外でもストレスや疲れで起こることがあります。じっと休むことでおさまるようであれば「前駆陣痛」である可能性が高いでしょう。定期的な痛みが継続するときや、徐々にお腹の張りが強くなるときは病院に連絡してみても良いでしょう。それ以外にも、いつもと違う張りや強い痛みを感じたときは、病院に相談してみましょう。

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陣痛か胎動か

胎動と陣痛の始まりや前駆陣痛との区別がつかないということはあるのでしょうか。お産が近くなってくると、赤ちゃんの頭が骨盤のほうに下がってくるため、胎動が前よりもおだやかに感じるママもいます。しかし、出産の直前まで激しい胎動を感じているママもいます。

胎動には個人差はありますが、以下のような動きを感じることがあります。

・リズミカルでしゃっくりのような動き
・お腹の内側から蹴りや体当たりされるような動き
・回転するような身体全体の動き

お腹を強く蹴られると、痛みを感じることもあります。一般的な胎児の場合、胎動を10回感じるのには20~30分かかるといわれています。痛みが瞬間的であったり、ぐるぐるという動きと一緒に感じたりしたのであれば胎動である可能性があります。生理痛や胃痛に似た痛みで、そのうち痛みが消えるのであれば前駆陣痛の可能性もあります。

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陣痛か便意か

便意と陣痛の見分けも難しい場合があります。臨月になると、子宮が胃腸を圧迫して、便秘気味になるママがいます。そのため、一日に何度も便意を覚えたり、重い下腹部痛を感じたりすることもあります。実際に、陣痛のピーク時は赤ちゃんが直腸や膀胱を圧迫して肛門付近に力が入り、便通に似た感覚を覚えることもあります。

何度もトイレに行きたくなり、便器に座ってもなかなか排便にいたらず、そのうち痛みが10分間隔に狭まって分娩にいたるケースもあります。本陣痛同様に、前駆陣痛でも軽い便意に似た痛みを感じることがあります。陣痛と便意を判別できないときは、我慢せずにトイレに座ってみましょう。

そのまま、痛みの間隔を測ってみて、便が出ずに痛みが定期的に継続して起こるようなら、病院に相談しても良いでしょう。徐々に消えるのであれば、前駆陣痛の可能性もあります。安静にして次の機会を待ちましょう。便秘が苦しいときは、医師に相談してみても良いですね。妊娠中でも服用できる薬を処方してもらえるかもしれません。

陣痛か下痢か

本陣痛の始まりが、下痢の痛みと似ているというママもいます。また、臨月では子宮が胃腸を圧迫することもあるので、前駆陣痛や本陣痛と同時に下痢の症状を起こす場合もあります。

下痢の痛みと陣痛を見分けるには、以下のような方法があります。

・排便した後、痛みが楽になるかどうか
・痛みが規則的で、間隔が縮まってくるかどうか

排便してお腹がスッキリし、痛みがそれ以降起こらないのであれば、下痢であった可能性が高くなります。定期的に痛みが起こる場合は、下痢痛に似ていても本陣痛の可能性があります。痛みが不規則だったり、消えていったりするときは前駆陣痛かもしれません。

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パターン2.前駆陣痛なのか本陣痛なのかわからない

前駆陣痛

生理痛のような痛みや強いお腹の張りを感じても、不規則であったり痛みが遠のいてしまったりする場合、前駆陣痛の可能性があります。痛みの間隔を測って、何度か5分~10分間隔になったとしても、最終的には痛みが消えてしまう可能性もあります。前駆陣痛も本陣痛と同じく、子宮の収縮が原因といわれています。

ママの身体が突然の痛みに慌てないように、出産の予行練習をしているのかもしれませんね。前駆陣痛が起こると、数日以内に本陣痛が起こるといわれています。しかし個人差が大きく、前駆陣痛に続いてその日のうちに本陣痛が起こることもあれば、一週間経っても本陣痛が始まらない場合もあります。

また、前駆陣痛は必ずあるわけではありませんから「前駆陣痛がないから、この痛みはまだ本陣痛ではない」と思い込まないことが大切です。前駆陣痛が起こっていても、普段のお腹の張りと区別が付かなかったり、気づかなかったりする可能性もあります。また「痛みが軽いからまだ前駆陣痛かな」と思っていると、微弱陣痛だったということもあるのです。

前駆陣痛と本陣痛は、自分で判断するのは難しいこともあります。痛みが続くときやいつもと違う感じがするときは、遠慮せずに病院に連絡してみましょう。「まだ陣痛じゃなかった」と恥ずかしい思いをしても、ママがストレスをためず安心できる環境が大切です。

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本陣痛

本陣痛が始まる兆候のひとつに「おしるし(産兆)」があります。卵膜と子宮壁がはがれ、おりものに血が混ざったようになることです。出血の色や量、おしるしから陣痛までの時期は個人差があり、おしるし自体がないママもいます。本陣痛の前に破水が起こるケースも存在します。痛みがなくても破水が起こった場合は、すぐに病院に連絡しましょう。

本陣痛の始まりは、分娩の開始ととらえられます。定義的には、規則正しく赤ちゃんが生まれるまで続く陣痛が生じていて、痛みの周期が10分以内か、1時間に6回の頻度になった時点をさします。一般的に、陣痛の間隔が10分を切ると病院に連絡するように指示されることが多いようです。

分娩には、安産のために必要不可欠な3つの要素があります。ひとつは胎児や胎盤などの娩出物。もうひとつは、赤ちゃんの通り道である産道。そして最後に、赤ちゃんを押し出す力である娩出力。この娩出力の大部分を占めるのが陣痛なのです。陣痛は強すぎても弱すぎてもリスクにつながります。

弱すぎる陣痛は「微弱陣痛」とよばれ、分娩がスムーズに進まなくなる可能性もあります。痛みが規則的に起こっているけれども、痛みと痛みの間隔が縮まらない、痛みが強くならない、痛みの持続時間が短いというときは、微弱陣痛の可能性もあります。分娩監視装置などでチェックしてもらえるので、どちらか判断に迷うときは病院に相談してみても良いでしょう。

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パターン3.陣痛の間隔の測り方がわからない

陣痛の間隔とは

本陣痛は周期的に子宮の収縮が反復して起こります。陣痛周期において、痛みが強くなるときを「陣痛発作」、痛みがおさまるときを「陣痛間欠」とよび、分娩中は発作と間欠を何度も繰り返すことになります。

一周期
①陣痛発作:痛みが強いとき
②陣痛間欠:痛みが弱いとき

次の一周期
③陣痛発作:痛みが強いとき
④陣痛間欠:痛みが弱いとき

一般的に①の痛みの開始時から③の痛みの開始時までの時間を「陣痛の間隔」といいます。一周期は、陣痛発作と陣痛間欠が一度ずつあるわけですね。

陣痛の間隔の測り方

まずは横になったり、座ったり、安静にしましょう。静かな環境のほうが細かな痛みも感じ取りやすいこともあります。深呼吸してリラックスしても良いですね。時計を見るか、ストップウォッチを使って時間を計ります。携帯の陣痛アプリは測定と記録を同時に行ってくれるので便利ですよ。

「痛いな」と思った瞬間にカウントをはじめ、次の痛みが始まったときにカウントを一度止めて、一周期の時間を見ます。

陣痛間隔の測り方で多い誤解が、先の周期の痛みが治まってから次の周期の痛みが始まるまで、つまり陣痛間欠の時間を陣痛間隔としてカウントするケースです。カウント開始は陣痛の始まりから次の陣痛の始まりまでなので注意しましょう。

陣痛の進行

分娩初期は発作が10~20秒くらいで、間欠は10分~20分程度といわれています。発作と間欠をあわせた20分程度の周期が徐々に縮まり、子宮口が4~6cmほど開くころには平均3分程度の間隔になります。痛みが治まったときに一度時計を見て、痛みの持続時間も計っておくと良いでしょう。

陣痛がピークを迎えるころには、持続時間は60秒ほど、陣痛周期は2分ほどに縮まります。ノートやメモ帳に痛みの間隔、持続時間と間隔を記録しておきましょう。携帯に記録するときは、途中で電池が切れないように充電を忘れないようにしましょうね。

陣痛の間隔にあわせてやるべきこと

病院の方針にもよりますが、陣痛周期が、10分間隔か1時間に6回程度起こった時点で病院に連絡をしましょう。経産婦の場合は、産道が柔らかく一気にお産が進む可能性もあるので、15分間隔になったあたりで連絡をしたほうが安心です。

間隔を測りながら、落ち着いて入院の準備を進めましょう。母子手帳や健康保険証、病院に指示された入院グッズを再点検してみると良いですね。すぐに持っていかなくてはならないもの、入院した後でも構わないものをわけておくと便利かもしれません。

パートナーやお世話になる親族に陣痛のことを連絡し、病院までの移動手段を確保します。送ってもらえる人がいないタイミングで陣痛が起こった場合は、陣痛タクシーを利用しても良いでしょう。事前に登録しておくと、いざというときに慌てずにすみますよ。

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陣痛がわからない場合の対応

リラックスして待つ

パニックになると冷静な判断ができないこともあります。まずは落ち着いて、リラックスできる環境を整えましょう。音楽を聞いたり、アロマをかいだり、ベッドに横になったりしても良いですね。体力温存のため、眠ってしまえるようなら寝ても良いでしょう。立てるようなら、シャワーを浴びても構いません。

呼吸法を試すのもひとつの手です。リラックスしたいときは、吸う息よりも吐く息を長めに意識してみましょう。腹式呼吸で、緊張や不安を外に排出するイメージで細く長く息を吐いていきます。本陣痛は、痛みの間隔が縮まっていくのが特徴です。痛みが定期的になるまではあせらずじっくり待ちましょう。

不安なときは医師に相談 

自分の感じているお腹の張りや痛みが陣痛なのかどうかを完全に理解するのは経産婦でも難しいものです。陣痛を判断できずに不安なときは、遠慮せずに病院に電話し、医師や助産師に自分の状態を話してみましょう。

経験豊富な助産師や医師なら、的確なアドバイスをしてくれるはずです。病院に行って前駆陣痛と診断されればまた帰宅して経過を見ることになりますが、悩み続けるより気は楽になるかもしれませんよ。

周囲の人の体験談を聞いてみる

周りの先輩ママや家族、親戚など、さまざまな人の陣痛体験を聞いておくと、いざというとき焦らずにすむかもしれません。陣痛の感じ方や痛みの強さは個人差があるので、陣痛かどうかの決定打にはならないかもしれませんが、何かの判断材料になることもあります。

また、人とおしゃべりすることでリラックスできたり、心の準備ができたりすることもありますよ。不安な気持ちを誰かにわかってもらえるとそれだけで気持ちが落ち着くこともあります。先輩ママの知恵や体験談を聞いて、陣痛の知識と心構えを身につけていけると良いですね。

陣痛に関する体験談

判断できないときに背中を押してもらった

筆者の陣痛は、軽い生理痛のような痛みから始まりました。前日におしるしのようなものがあったので「もしかして陣痛かな」と思いましたが、陣痛はとにかく痛くて耐えられないものという思い込みがあったので判断が付きませんでした。

「この程度ならまだまだ耐えられる。こんな軽い痛みのわけがない」と思って朝食をとっているうちに、何度か立てられないほどの痛みを感じました。それでも痛みが引くといつもどおり動けたし、痛みの間隔もばらばらに感じたので、我慢を続けました。「これぐらいで病院に連絡したら怖がりすぎって笑われるかも」という変なプライドがあったのかもしれません。

そばにいた実母から「多分陣痛だからちゃんと時間を計りなさい」といわれて、正確にアプリで間隔を測ると10分程度になっていたので、ここでようやく病院に連絡する決意をしました。筆者は優柔不断だったので、誰かがそばにいて背中を押してくれないとずっと悩んでしまっていたかもしれません。

陣痛かどうかは間隔を測って判断

臨月でのお腹の張りや便意と陣痛を区別するのは難しいこともあります。子宮が収縮していても、痛みが不規則に起こり、そのうち遠のいていくようであれば前駆陣痛の可能性が高いでしょう。逆に痛みが規則的で、強くなっていくようなら本陣痛の可能性もあります。あせらず心を落ち着けて、間隔が縮まっていくときを待ちましょう。普段から痛みの持続時間や間隔を測る練習をしておくと良いかもしれませんよ。

※この記事は2023年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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