産婦人科医監修|臨月に下痢が続くのは出産の兆候?腹痛や吐き気があるときは病気?
臨月になって急に下痢が続く場合、胎児の状態を心配するママもいることでしょう。しかし、臨月の急な下痢は珍しくはありません。臨月に下痢が続く原因は一体どのようなものでしょうか。また、下痢に伴って、腹痛や吐き気がある場合はどのような原因が考えられるでしょうか。下痢の対策も含めて、産婦人科医監修の記事で解説します。
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この記事の監修
目次
臨月の下痢の原因は?
妊娠10ヶ月(妊娠36週0日)に入ると、いよいよ「臨月」と呼ばれる時期です。みぞおちの下の方まで子宮底が上がってきていたため胃に圧迫感があったママも、臨月に入ると胎児が下がってくるため、胃の圧迫感が少なくなってきます。
ただ、下がってきた胎児が腸を圧迫するため、便秘や下痢など、これまでとは違った悩みを抱えるママも増えてきます。
これまで下痢ではなかったのに臨月に下痢になってしまった、というママも多くいます。どうして臨月になって下痢になってしまうのでしょうか。
ホルモンバランス
妊娠後期~臨月にはホルモンバランスの変化が起こります。妊娠初期には分泌が減少していたエストロゲンとプロゲステロンが、妊娠後期・臨月にかけてぐっと分泌量が増えるのです。このホルモンの影響もあり、臨月になるまで便秘気味だったのに下痢になったり、逆に下痢気味だったのに便秘になったりすることも少なくありません。
子宮による腸の圧迫
大きくなった子宮は胃を圧迫しますが、臨月になると出産に向けて胎児もママの身体も準備をし始めて、子宮が下がります。下がった子宮がそれまで以上に腸を圧迫し、下痢、頻尿、便秘などの症状が起こります。
お腹の冷え
お腹が冷えてしまうと、内臓の動きが悪くなるので下痢を引き起こす原因となります。冷たい飲み物を一気に飲む、糖分や脂肪分の多い食事などもお腹や身体を冷やす原因となります。
お腹が冷えて急に起こる下痢の多くは「急性下痢」と呼ばれます。活発に腸が動いている状態と考えられるため、少し腸を休ませてあげてみると良いでしょう。
風邪・胃腸炎
風邪や胃腸炎にかかって下痢を引き起こしている場合があります。こちらも突然、数日間下痢が起こる「急性下痢」の場合が多いでしょう。夏の胃腸炎は細菌性のものが多く、冬の胃腸炎はウイルス性のものが多い傾向です。
胃腸炎と一口にいっても対応はそれぞれ違います。一過性のもので1~2回の下痢で収まっているなら、無理をせず家でゆっくりして様子を見てみましょう。体内のウイルスを排出してしまえば、落ち着く方も多いようです。ただしなかなか落ち着かない場合は、病院にかかるなどの対応をとるようにしてください。
食中毒
妊娠後期によくある下痢と思っていたら、食中毒だったということもあります。吐き気や腹痛がひどい場合は胃腸炎や食中毒などが原因の下痢も考えられますので、病院にかかることをおすすめします。
一般に、食中毒で起こる下痢は非感染症の下痢に比べると下痢症状が重いことが多く、腹痛の他に嘔吐や発熱を伴うこともあります。排便しても症状が改善しないことが多く、何度も下痢を起こすことで、脱水症状も起こりやすくなります。
臨月に下痢が続くときの対策は?
臨月はホルモンバランスや胎児が降りてくる関係で下痢になりやすいといっても、下痢症状が続くと身体がつらいですよね。臨月に下痢が続くときは、どのような対策をすれば良いのでしょうか。
身体を温める
身体の冷えは下痢につながりやすいので、身体を温めることをおすすめします。身体の温め方はいくつかあって、まずは、冷えていると感じている部分を温めるのではなくて身体の中心を温めることが重要です。
そして食べ物では、身体が温まりやすい食品、温かい食べものを摂ると良いでしょう。その際、食物繊維の多い根菜などを摂取しすぎてしまうと、下痢症状が悪化してしまうことがあるので気をつけてください。
軽い運動も身体を温める効果があります。ウォーキング、ストレッチなど、無理のない軽い有酸素運動を生活の中に取りいれてみましょう。
食物繊維・油分を摂りすぎない
食事に関しては、下痢の場合は、食物繊維や油分を摂りすぎないことが大事です。特に生クリームやチョコレートなどのお菓子は油分が多いので、たくさん食べないように気をつけてください。揚げものなども下痢を悪化させる原因となります。
水分補給を欠かさない
脱水症状対策として水分補給は欠かさないようにしましょう。下痢の状態のときは、普段のときよりも水分が奪われている状態です。水分だけではなく、塩分も一緒に失われていると考えられるので、塩分の含まれた経口補水液などで効果的に水分を摂ることをおすすめします。
経口補水液は簡単に作れますし、販売もされています。下痢症状が出やすいと感じたら、自宅にストックしておくと良いでしょう。
臨月の下痢のような痛みは出産の兆候の場合も?
臨月になると、前駆陣痛が起こり始めます。前駆陣痛が起こると不規則にお腹が張り、そして痛みの強さもまちまちです。それから規則正しくお腹の張りがくる本陣痛に移るのですが、これらの前駆陣痛や本陣痛の痛みを「下痢になってしまった」と感じる方もいます。特に初産のママでは多いようです。
「今まで下痢だったから」「下痢気味だから」とお腹の痛みを下痢の痛みだと決めつけず、どのくらいのタイミングでお腹の痛みが来ているのか、時計を確認する癖を付けましょう。また実際にお腹の表面を触ってみると、張り方の違いに気付くかもしれませんよ。
臨月の下痢で病院に行く目安は?
臨月の下痢が続くと大変ですが、基本的に「急性下痢」の場合は、半日~1日固形物を摂らずに腸を休ませると改善されることが多いものです。しかし、改善されなかったり、症状が気になったりする場合は、病院の力を借りるようにしましょう。
下痢がいつまでも治らない
下痢がいつまでも治らない場合は、脱水症状の危険性もあるので、病院にかかるようにしましょう。まだ大丈夫だと思っても、脱水症状は進行するまで自覚しにくいのが特徴なのです。
妊娠中は脱水症状も起こりやすいのですが、さらに下痢が併発することでさらに脱水症状が進みやすくなります。下痢症状になったら、水分補給を心がけ、それでも下痢が治らない場合は、病院にかかってください。
吐き気や腹痛がひどい
吐き気や腹痛がひどい場合、胃腸炎や食中毒などの原因が考えられますので、病院にかかってください。激しい痛みで、さらに子宮がカチカチになってしまった場合は「常位胎盤早期剥離」などの可能性も考えられます。胎児に重大な危険がおよぶ場合もあるので、早く病院に行くようにしましょう。
腹痛の間隔が規則的
下痢だと思っていたら、その腹痛の間隔が規則的になってきた場合は陣痛かもしれません。痛みの間隔を時計で確認し、10分間隔となるようなら、産婦人科で一度確認してもらうと安心です。腹痛の間隔が不規則な場合は、少し時間を置いて様子を見ましょう。
臨月の下痢の体験談
筆者は一人目では便秘になったのですが、二人目では臨月に下痢気味になりました。それまでもどちらかというと便秘になる方が多かったうえに、妊娠前に胃腸炎にも感染したことがあるので、胃腸炎に感染したのかと焦りました。しかし、排便をしてしまうと落ち着くことも多く、一過性のものだと気づきました。
当時、出産前でいろいろなものを食べたくなり、たくさん食べていたことで、お腹を壊しやすくしていたようです。消化の良い食事をとることで、ある程度回復しました。しかし、出産後、次はまた便秘気味になりました。便秘や下痢の悩みは、妊娠・出産とは切っても切れない関係なのだと感じました。
臨月の下痢に落ち着いて対応しよう
臨月の下痢と一口にいっても、さまざまな原因があります。基本的には臨月には下痢は起こりやすいものですので、水分補給をしながら、下痢が治まるのを待ちましょう。しかし、なかなか症状が良くならない、嘔吐や発熱を伴うなど、気になる症状があるときは早めに病院にかかるようにしましょう。