【産婦人科医監修】妊娠後期・臨月のイライラがつらい!胎児に影響する?解消法は?

【医師監修】妊娠後期になるといよいよ出産まであと少しですよね。しかし、妊娠後期や臨月にイライラしてしまうというママも少なくありません。妊娠後期・臨月のイライラとは一体何なのでしょうか。原因やお腹の赤ちゃんへの影響、解消法について産婦人科医監修で解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠後期・臨月はイライラしやすい
  2. 妊娠後期・臨月のイライラの原因は?
  3. 妊娠後期・臨月のイライラはどうあらわれる?
  4. 妊娠後期・臨月のパパへのイライラ
  5. 妊娠後期・臨月の上の子へのイライラ
  6. 妊娠後期・臨月のイライラの胎児への影響は?
  7. 妊娠後期・臨月のイライラ解消法
  8. 妊娠後期・臨月のイライラは仕方ないこと。気にしすぎないで
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妊娠後期・臨月はイライラしやすい

妊娠8ヶ月(妊娠28週)に入ると、いよいよ妊娠後期です。出産に向けて心穏やかに過ごしたいところですが、妊娠後期はイライラしやすく、情緒不安定になりやすい時期でもあります。

パパや上の子、義家族や実家族に対してもなぜかイライラしてしまうことも。妊娠後期のイライラをコントロールしたいのに、気持ちがコントロールできないといった悩みを持つママが増えてきます。

臨月に入ってもイライラが収まらないと「自分はおかしいのだろうか」と感じるママもいるかもしれませんが、実は妊娠後期以降は母体の状態や精神状態、ホルモンバランスなどからどうしてもイライラしてしまいやすい時期なのです。

ある程度は仕方がない、と割り切ってしまいましょう。そしてその上で、妊娠後期のイライラを少しでも収めたりコントロールしたりできるようにしていきましょう。

妊娠後期・臨月のイライラの原因は?

「妊娠後期にイライラ、続く臨月もイライラ」となると、精神的にも参ってしまいますね。イライラを収めたり、コントロールしたりするためには、原因を知っていくことも大事です。妊娠後期のイライラ、臨月のイライラの原因は一体何なのでしょうか。

ホルモンバランス

妊娠後期になると、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えます。通常の生理周期ではこのふたつのホルモンはお互いがバランスよく増えたり減ったりしているものなのですが、妊娠後期には両方が増えていきます。

そのためホルモンのバランスが安定せず、妊娠後期にイライラしやすくなるのです。さらにプロゲステロンは生理前の黄体期に増えるホルモンで、プロゲステロンの作用によって精神的に不安定になったりイライラしやすくなったりします。

女性の身体はホルモンでコントロールされている部分が多くあり、精神面も影響を受けがちなので、妊娠後期に変化するホルモンがイライラの原因となっている場合があります。

激しい胎動

妊娠28週を超えるとお腹の赤ちゃんも1kgを越え、臨月には3kgほどになっています。身体が大きくなっているので、赤ちゃんがお腹の中で少し動くだけで激痛が走るというママもいます。赤ちゃんは突然ぎゅっと足を伸ばしたり、お腹の内側を思いっきり蹴ったりすることも。いつやってくるかわからないこのような激痛に、ママがイライラしてしまうのも納得ですね。激しい胎動が収まる臨月には、痛みによるイライラは少し軽減するかもしれません。

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ストレス

妊娠後期はお腹の赤ちゃんだけでなくママの身体も大きく変化していきます。ママの心臓に負担がかかりやすく、動悸・息切れが起こるようになります。子宮底がみぞおちの下あたりまでくるので胃痛がする、足の付け根が痛む、お腹がよく張るようになるなど、自然と出産が近づいてきたことがわかってくるのです。

ママの身体の変化や出産に対する不安がストレスとなってしまい、普段は気にならないパパや周りの言動に不満がつのることもあります。また臨月を過ぎると、「なかなか生まれない」や「早く産みたい」など、出産の時期に関することもストレスになってしまうことがあります。

身体の疲れや痛み

妊娠後期や臨月に入ると、ますますお腹が大きくなり、足腰への負担が大きくなります。腰の痛みや股関節の痛みに悩まされて、妊娠後期にイライラが増してしまうこともあるでしょう。

臨月になると、横になるのもひと苦労です。お腹の重みで寝つけずに、睡眠不足になって疲れがたまってしまうこともあります。こうして、臨月にイライラがつのることも珍しくありません。

妊娠後期・臨月のイライラはどうあらわれる?

妊娠後期・臨月のイライラは何も、怒りの感情としてだけ表現されるわけではありません、無性に涙が出る、眠れなくなるといったことも、イライラのあらわれかもしれません。

泣く

今までは泣くことはなかったのに急に涙もろくなるのは、妊娠後期・臨月のイライラのあらわれかもしれません。急に泣いてしまうのと同じように、急に落ち込んだりすることもあります。

不眠

イライラは、眠れないという不眠症状であらわれることもあります。疲れているのにどうしても眠れない、気分が落ち込んで眠れないなど、あまりに眠れないとママの身体もつらくなってしまいますね。

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八つ当たり

周囲の人に八つ当たりすることでイライラを表現してしまうこともあります。いつもは聞き流せるような言葉がやけにひっかかったり、相手がなんとなくとった行動が気に障ったりしてしまうのです。泣く、不眠、ついつい八つ当たりしてしまうなどが重症化すれば「妊娠うつ」の可能性もあります。どうしても気になってしまう場合は医師に相談してみるのも手ですよ。

妊娠後期・臨月のパパへのイライラ

お腹の赤ちゃんの父親であり、一番近くにいる存在であるはずのパパ。しかし、妊娠後期以降、パパに対してイライラしてしまうという人も多いようです。

気遣いがない

妊娠後期・臨月のパパへのイライラの例として「気遣いのなさ」があげられます。男性は毎日重たいお腹を抱えているわけではないですから、実際に生まれてくるまでは妊娠や出産を自分ごとのようには考えにくいものです。そのため、自分勝手だったり、ママとしては気遣いが感じられない行動をとってしまったりしがちなのです。

周りと見比べて、他のパパはこうしている、こうしてくれるはずなどと相手へのハードルを上げてしまうと、イライラはさらに増してしまうでしょう。

家事をしてくれない

妊婦の体調は日々変化するものです。家事はできるときはできるものの、身体がつらくてできないときも増えてきます。しかし、そこで妊婦であるママが当たり前に家事をしてしまうことに慣れてしまうと、ママの体調が良くないときにもパパは家事を当たり前のようにはしてくれないものです。

パパが家事をしてくれないことが、特にママの身体が動きにくくなってくる妊娠後期や臨月にイライラの原因となってしまうことがあります。生まれてからもママの大変な時期は続きますので、パパ自身のためにも、できる家事は分担するようにしましょう。

勤務時間などの関係でどうしても分担ができないときは、家事の代行サービスを頼む、食洗器や乾燥機などの家電を導入するなど、別の方法で妊娠後期のイライラが解決ができないか考えてみましょう。

過度の心配性

妊娠後期になると、ママ自身、パパに対して「こんなことでパパになれるのか」と不安になったり、逆に「パパが今いなくなったらどうしよう」など、不安な妄想や心配にかられたりすることがあります。一種のマタニティブルーの症状ですが、自分は心配しているのにパパはそうでもないなどの感情の温度差にイライラしてしまうママもいます。

妊娠後期・臨月の上の子へのイライラ

妊娠も二人目だから大丈夫…と思っていたら、妊娠後期以降、上の子に対してイライラしてしまうママも多いようです。どのようなことにイライラしがちなのでしょうか。

赤ちゃん返り

妊娠中、お腹が大きくなってママが動きにくくなるにつれ、上の子が赤ちゃん返りを始めてしまうことがあります。上の子の赤ちゃん返りがひどくなって、着替えや食事など自分でできるはずのことを「ママ手伝って」と言って甘えてきたりすると、「どうしてこんなこともできないの」とイライラしてしまうようになりがちです。

優しくできるときにはぎゅっと抱きしめて、上の子とふたりの時間を満喫しましょう。どうにもイライラして優しくなんてできないと思うときは、家にいるときなら自分がほかの部屋に移動したり、シッターさんや一時保育に上の子を預けたりするなど、物理的に少し離れてみるのもひとつの手です。

イヤイヤ期

年齢差が1~3歳程度であれば、ちょうど、上の子のイヤイヤ期に下の子の妊娠期間がかぶってしまうことがあります。いつでもどこでも何にでもイヤイヤをしてグズり、大声でわめいたり暴れたりされてしまっては、妊娠しているかどうかにかかわらずママはイライラしてしまうでしょう。

さらに、ママが重たいお腹を抱えている妊娠後期であれば、なおさらイライラしてしまいますよね。赤ちゃん返りと同様、できるときはイヤイヤに付き合って子どもの気が済むのを待ち、自分のイライラがひどくて付き合えないと感じるときは誰かに預けるなどして、少し距離を置いてみましょう。

妊娠後期・臨月のイライラの胎児への影響は?

イライラしたから胎児に何か良くない影響があったなどという報告は明確にはありませんが、妊娠後期・臨月の過度のストレスは早産につながるリスクがあることがわかっています。もともとストレスは過度になると自律神経が乱れ、血液や血管など身体のさまざまな部分にダメージを与えます。

子宮はほかの臓器に比べて血管の多い臓器です。そのため、過度のストレスで血管がダメージを受けてしまうと、胎児に影響がまったくないとはいいきれなくなるのです。過度にイライラしないように、自分なりに解消していく方法を模索していきましょう。

妊娠後期・臨月のイライラ解消法

妊娠後期・臨月にイライラしてしまった場合の解消法にはどのような方法があるのでしょうか。

周りの人に相談する

過度のストレスはストレスの慢性化が原因となります。ストレスがたまってきたと感じたら、まず周りの人に相談してみましょう。話をじっくり聞いてくれたり、自分だけでは思いつかなかったような視点でアドバイスをしてくれたりするかもしれませんよ。妊娠中でなくても、話をするだけでもイライラが解消されたというような経験を持つ人は多いでしょう。

パパに理解してもらう

何より一番身近にいる人に理解してもらうことで、イライラが落ち着くことも少なくありません。イライラしているときではなく比較的落ち着いているときに、妊娠についての知識や妊娠中にイライラしてしまう理由をパパに伝えましょう。自分でもなんとかしたいもののホルモンなどの影響もあり、ひとりで解決しづらいことやあたってしまうことがあることも伝えられると良いですね。

もしできるようであれば、祖母や妊娠経験のある女性からパパに妊娠中や出産後の大変さやストレスのかかりやすさについて話してもらうと、ママに直接いわれるよりもパパも理解がしやすいかもしれませんよ。

ひとりの時間を持つ

一人目出産のママならある程度はひとりの時間を取りやすいかもしれませんが、上の子がいる場合はなかなかひとりの時間は持てませんよね。たまにはパパに上の子を預けて、ひとりでおでかけしてみるのはいかがでしょうか。

上の子が赤ちゃん返りの最中であればママと離れるときに泣くかもしれませんが、ママがすっきりした気持ちで笑顔で帰ってくることや、そのあと気分を切り替えて遊んでくれることのほうが子どもにとっての幸せにもつながります。

パパに預けるのが難しければ、祖父母に預けても良いでしょう。空きがあれば、妊娠前月から産後8週までの保育園利用が可能な自治体もあります。他にも託児、ファミサポ、シッターなど、周りの手をうまく借りることでぐっと気持ちが楽になりますよ。

適度な運動

身体を動かすのは大変な時期ですが、ウォーキングなどの適度な運動は、妊娠後期のイライラを和らげる効果を期待できます。パパと一緒に休日はお散歩してみる、上の子がいたら、公園遊びではなく一緒にお散歩やストレッチをしてみるなど、気軽にできる簡単な運動をしてみましょう。ただし、激しい運動は謹んでください。

妊娠後期・臨月のイライラは仕方ないこと。気にしすぎないで

妊娠後期・臨月にイライラしてしまうのは、ママ本人にとってもつらいことでしょう。出産をする本人にしかわからない不安というのもありますよね。多かれ少なかれ多くのママが経験することです。特に、出産が近づく臨月は、イライラしてしまうことは仕方のないことだと割り切ってしまえると良いですね。

自分を責めないように、少しずつでもストレス発散しながら妊娠後期・臨月を過ごしていきましょう。

※この記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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