【妊娠後期の家事】無理しないで!掃除、洗濯、料理の手抜き術|産婦人科医監修
妊娠中に家事ができない・つらいと感じることがある妊婦は少なくありません。夫やパートナーが手伝ってくれない場合や仕事をしながらの家事、二人目以上の妊娠など、それぞれのケースでどこまで家事をやるべきか悩むこともあるでしょう。妊婦が家事をできなくなる理由やいつまでやるべきか、家事が楽になるコツなどを紹介します。
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目次
家事がつらい、面倒だと妊婦が感じるのには理由がある
妊娠中には、いつも何気なくやっていたことに違和感を覚えることがあります。スニーカーの紐が結びにくい、いつも利用している階段なのに息切れするようになったといったことを感じている人もいるかもしれません。
妊娠前には気に留めたこともなかった、いつもの何気ない家事ができない・したくないという人もいるでしょう。実際に妊娠中は家事の量・時間が減少するという調査例があります。
妊娠中に何気ない家事がしんどい・きついと感じる原因はさまざまですが、大きくなったお腹や貧血・めまい、やる気がでないといった妊娠がきっかけで生じている変化が原因である可能性が高いでしょう。
お腹をはじめとした目に見える変化は比較的わかりやすいものですが、腰痛や息苦しさ・イライラといった目に見えない変化は周囲から理解されにくいかもしれません。妊娠中は睡眠トラブルも多く、眠くて家事ができない人も決してまれではありません。
専業主婦、共働き、二人目、家事の悩みは異なることも
妊娠による身体・心・環境の変化により、家事ができない、家事をするのが面倒だと感じる妊婦は珍しくありません。ただし、専業主婦か否か、共働き家庭ではフルタイムかどうかなど状況によって家事への悩みは少しずつ異なるようです。
専業主婦は働いている主婦と比較してどのぐらいまで家事に取り組めば良いのかを悩み、共働き家庭では仕事と家事の両立に悩み、二人目以上の妊娠であれば育児とのバランスに悩むことがあるかもしれません。
専業主婦や共働き、育児中など状況によって悩みのポイントは異なるかもしれませんが、妊娠中の家事に対して負担を感じることがあるという点では共通しています。各家庭の状況や妊娠の経過は妊婦によって大きく異なるため、いずれのケースでも一般論と比べるのはあまり意味がないかもしれません。それぞれの妊婦に応じて個別に考えると良いでしょう。
夫が家事を手伝わないのは分担や妊婦への誤解が原因?
妊娠前までは難なくこなしていた日々の家事が突然できなくなると、多くの妊婦は周囲の理解を得る難しさに直面するかもしれません。特に身近な存在である、夫・姑といった家族に家事を怠っていると思われるのは悲しいですよね。妊娠した途端に「家事をさぼるようになったと周囲に誤解される」ケースでは、多くは目に見えない身体の症状や無気力・ストレスといった産前の不安から生じた症状などが原因で家事ができなくなっている妊婦が多いようです。
また、妊娠中の家事に関するトラブルでは「家事を手伝わない夫やパートナー」に悩むケースは特に多いかもしれません。妊婦の夫の家事参加についての調査例では、妊娠前にも家事に参加していた夫は妊娠後も積極的に家事に参加する傾向があったそうです。妊娠前に家事分担を行なっていない場合、悪意はなくともいつも通りに夫やパートナーが日々を過ごしてしまうことで、結果的に妊婦に多大なストレスを与えていることもあるでしょう。
妊婦の家事を手伝う夫・パートナーは、妊娠前から積極的に家事に関わってきた人が多く、妊娠前に家事に関わっていなかった人がすぐに習慣・行動を変えるのは難しいかもしれません。まずは家事としてどのようなことを行なっており、何が大変なのかを共有してみましょう。時間はかかるかもしれませんが、少しずつ家事に対しての意識を変えてもらえれば、産後の大変な時期に期待できるかもしれませんね。
妊娠中の家事はいつまでやる?臨月や妊娠後期までできる?
妊婦と日常生活の家事についての研究はあまり多くないようですが、エネルギー代謝率の観点では一般的な家事のほとんどが妊娠中に実施しても問題ないという調査例があるようです。ただし、布団干しや雑巾掛けなどの一部の家事は妊婦に適しておらず、お腹が大きくなる・集中力が低下するといった妊娠による身体・心の変化、貧血や腰痛といった症状の有無などを考慮する必要があります。
いつからいつまでと期間を気にするよりも、各時期と状況に応じて家事の時間・量の調整を検討しましょう。お腹の赤ちゃんの臓器や骨などが作られる妊娠初期、切迫早産や妊娠高血圧症などが増える妊娠中期、出産に向けて大きくなったお腹でさまざまなトラブルが生じる妊娠後期、どの時期においても無理は禁物です。特に出産間近の臨月には、医師と随時相談しながら日々の過ごし方を決めるのも良いでしょう。
妊婦が日常の家事で注意したいこと
エネルギー代謝の観点では、大半の家事は妊婦が行なっても問題ないという調査例があるようです。ただし、腰痛を引き起こす「かがむ・中腰になる作業」、血液の循環が悪くなる「長時間立ち続ける作業」、転倒の恐れがある「台の上に乗る、高いところに登る作業」、お腹の張りが懸念される「重いものを持つ、足を激しく動かす作業」といったものは早産や合併症の原因になる可能性が指摘されています。
しかし、育児中の家庭ではある程度の体重がある子どもを抱っこする機会があり、2階以上の家では階段の昇り降りが必ず発生します。全てを完全に避けることは難しいため、妊婦には望ましくない作業は可能な限り意識的に回避するのが現実的かもしれません。
自宅安静・体調不良・里帰り、どこまで家事をやるべき?
体調不良や双子以上の妊娠などの場合
妊娠中の特徴的な症状であるつわりをはじめ、妊婦は腰痛・お腹の張り・疲れやすい・眠気・貧血・めまいなど多種多様な症状に悩まされることが多くなります。また、風邪や腹痛といった一般的な体調不良に陥ることもあるでしょう。定期的に休憩をとり、体調の様子を見ながら家事の中止・続行を都度判断することが大切です。家事の量や時間に不安・疑問がある場合には医師に相談すると良いでしょう。
また体調不良ではなくても双子以上の妊娠をしている場合には、妊婦の身体の異変にさらに慎重になる必要があります。双子以上の妊娠はひとりを妊娠している場合よりも妊婦の身体に負担がかかっているためです。疲れを感じたら意識的に休みましょう。
切迫早産などで自宅安静の場合
自宅安静の指示が出た場合、家にいれば良いのか、ずっと寝ていれば良いのかを迷う妊婦は多いものです。医師の指示に従い、具体的にどのような作業を避けるべきかを相談・確認しましょう。基本的には自宅安静の場合であればトイレ・洗面・食事以外は横になり、家事を行なってはいけません。
里帰りする場合、義父母との同居の場合
里帰り出産を希望する妊婦は一定数おり、増加傾向にあるといわれています。産前産後の精神的安定、および妊婦自身の身の回りの世話をしてもらうためという理由が多いようです。
ここで疑問になるのが身の回りの世話以外の家事は手伝うべきか否かという点でしょう。妊婦の体調や妊娠の経過、家族との関係やお互いの意向があるため、里帰りを決める前の段階で家事の手伝いについては一度話し合っておくと良いでしょう。
体調や経過は変わることもあるため、話し合いは里帰り後も定期的に行うのが理想的です。これは姑舅と同居している場合も同様のことがいえるでしょう。どの程度までお互いに許容しあうことができるのかを事前に確認しておくことで、里帰りしない・家事の分担を明確に分けるといった選択肢を選ぶこともできるでしょう。
妊娠中の料理、買い物やお弁当などを工夫しよう
妊娠中に行いにくくなった家事として、料理をあげた人が23%いたという調査例があります。約4分の1がつらいと感じる料理ですが、調理中に台所で長時間立つのがつらい妊婦が多いようです。妊娠中は「ご飯作るのしんどい」と感じることはおかしくありません。そんな日は、無理をしない選択をしてみてはいかがでしょうか。
料理は立ちっぱなしを避けるために短時間で
妊娠中の身体の変化により台所での調理は想像以上につらいかもしれません。長時間立つのがつらい場合にはキッチンに椅子を置くのも良い方法です。総菜やお弁当、冷凍食品などをできる範囲で取り入れても良いでしょう。
カット野菜を購入すればあとは味付けと炒める・焼く・蒸すだけの工程になり時短になります。体調が良く時間に余裕があれば、野菜や肉を切っておき、冷凍保存しておくだけでも効率が良くなります。ワンプレートで盛り付けをしたり、食器洗い機を使用したりすると食器洗いの負担が減りますよ。
買い物はネットスーパーを利用
お腹が大きくなると、買い物の荷物の負担が気になる方もいるでしょう。インターネットやカタログで注文するだけで自宅に食材・雑貨を配達してくれる便利な「ネットスーパー」や「食材宅配」を上手に活用すると良いでしょう。
お店によってサービス内容は異なりますが、妊婦は配達料無料というお店もあります。住んでいる地域でどんなネットスーパーが利用できるか調べて、配達時間や料金の支払い方法など、利用しやすいお店を選ぶようにしましょう。産後もネットスーパーなどは役に立ちますよ。
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妊娠中の掃除、風呂掃除や床掃除にコツはある?
妊婦がつらいと感じるケースが多い掃除ですが、これは長い時間立つ・かがむといった動作が原因だとされています。大きなお腹でかがむのはつらく、長いあいだ立つことでめまいを感じたり、ひどいむくみが気になるケースもあったりするようです。妊娠期間中は、毎日ではなく、よく使うところだけ適宜掃除するだけでも良いでしょう。
床掃除は柄の長いものを活用、産後のことも考えて
妊娠後期になると、立つ・座るという動作の一つひとつがとても苦になります。立ったまま掃除できる柄の長いフローリングワイパーや柄の長い掃除機をうまく利用すると良いでしょう。柄をお腹にぶつけないように気を付けましょう。拭き掃除は体調の良いときに行うようにしてください。また、産後のことを考えてロボット掃除機を導入するのも良いかもしれません。
トイレや浴室もひと工夫で
トイレとお風呂の掃除は、かがんだりしゃがんだりと、お腹が大きくなったママにはきつい体勢になることが多いかもしれません。くれぐれも無理は禁物です。トイレ掃除は、日々こまめに汚れをブラシなどでこする、床もまめにウェットシートなどで拭くだけで清潔を保つことができます。
お風呂掃除は、お風呂を出る前に床や鏡、洗面器などを軽く磨き、浴室の床を使用済みのタオルで拭いておくと水垢防止に役立ちます。床を磨くときは柄の長いブラシを使い、浴室小物は汚れやすいため必要最低限にし、乾かすようにしましょう。
浴槽の中は、入った後はシャワーで軽く汚れを流しておきましょう。浴槽は滑りやすく、かがんで掃除する人も多いため転倒には注意が必要です。磨かなくてもかけておくだけで汚れが落ちる洗剤もあるので、上手に活用しましょう。
妊娠中の洗濯、少しのアイデアで楽にしよう
妊婦が洗濯で面倒だと思うのは布団干し・布団の上げ下げの場合が最も多いようです。昨今ではベッドを使用している家庭も多いですが、布団のように重い・大きいものを干したり上げ下げしたりするのは同様につらいかもしれません。
洗濯物は1回の量を減らす
水分を含み重たくなった洗濯物は妊婦の負担になります。毎日洗わなくて良いもの、急いで洗う必要がないものはまとめて洗い、さらにドライや手洗いなど別に洗う必要があるものは、まとめてクリーニングに出すのも良いでしょう。産後には子どもの洗濯物が増えることも考えて、乾燥機能のついた洗濯機を購入するのも良いでしょう。
布団干し・布団の上げ下げはグッズを使って
妊娠後期に重い物を持ち上げる行為は切迫早産につながる可能性があるため注意が必要です。布団やベッドの湿気対策としては、ベッドの場合はシーツに厚みのある敷きパッドを使いこまめに干す、布団の場合は湿気取りシート・すのこを敷布団の下に敷いておくと良いでしょう。折りたたみができるすのこの上に敷布団を置けば、日中はすのこを山型にして、布団を部屋干しの状態にできますね。
家事代行サービスなど「外部に頼る」という方法も
妊娠中になかなか家事ができない場合、多くの妊婦は「家族に代わりを頼む」「家事代行などの外部サービスを利用する」「放置する」といった選択肢を選ぶことが多いようです。放置するのが一番楽ではありますが、洗濯物がたまってしまったり、汚れがこびりついてかえって掃除が大変になったりすることもあります。放置すること自体は悪いことではないため、「1週間は放置してOKだが1週間経ったら必ずやる」というように期限とルールを決めると良いでしょう。
また、家族に代わりを頼むことができる場合は良いですが、夫やパートナーが仕事で帰りが遅い、体調の関係で父母には頼ることができないという人もいるでしょう。昨今人気を集めている「家事代行サービス」では、日常的な風呂掃除・皿洗い・買い物や料理の作り置きまで頼むことができます。すべての家事を依頼するのではなく、風呂掃除や作り置きだけというように一部だけ頼るのも良いかもしれませんね。ただし、サービス内容や条件は運営会社によって異なるため、必ず申込前に詳細を確認するようにしましょう。
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家事は上手くグッズを使って無理のない範囲で
妊娠中の体調は妊婦本人にしかわからず、また本人ですら気付かずに合併症などが生じているケースもあります。お腹の赤ちゃんと妊婦自身のことを最優先に考え、状況に応じて家事をこなしていきましょう。一般論や他人と比較するのではなく、自分がどこまでできるのかを見極めて周囲と相談することが大切です。
妊娠中に日々の家事を外部サービスや便利グッズでに頼る方法を見つけておくことで、産後の生活も楽になるでしょう。産後を見据える意味でも、ストレスをためずに折り合いをつけられる方法を見つけられると良いですね。
※この記事は2024年8月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。