【産婦人科医監修】妊娠後期に出血!少量の鮮血や茶色い出血の原因は?

妊娠後期になると、出産を控えて期待と不安でいっぱいな妊婦さんも多いことでしょう。そんな妊娠後期に出血や茶色いおりものがあると、それが少量でも「出産の兆候なのか」「トラブルのサインなのか」と、とても気になりますよね。妊娠後期の出血の原因や特徴、正常な出血と異常な出血を見分ける方法を知り、適切に対処しましょう。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠後期の出血とは?
  2. 妊娠後期の出血の原因は? 
  3. 妊娠後期の出血の見分け方は?
  4. 妊娠後期に出血したらどうする?
  5. 妊娠後期の出血の体験談
  6. 妊娠後期の出血が気になるときはすぐに病院へ
  7. 妊娠後期のママにおすすめのグッズはこちら
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妊娠後期の出血とは?

妊娠8ヶ月以降(28週以降)である妊娠後期は、出産に備えて母体も胎児も大きく変化する時期です。赤ちゃんがお腹の外に出ても生きていける状態になるために、身体のあらゆる器官が完成に近づきます。母体においては出産しやすい身体になるため、子宮頸管がやわらかくなったりおりものの分泌量が増えたりします。

トラブルなく順調に出産を迎えたいものですが、妊娠後期には原因不明の出血がみられることもあります。この出血には、出産を迎える人なら起こりうる正常な出血のケースもあれば、そうでないケースもあります。

どちらの場合も鮮血や茶色いおりものなど、血液の状態はさまざまです。出血量が少ない場合でも、異常な出血の可能性はぬぐい切れません。妊娠後期に出血する原因にはどのようなものがあるのか知っておきましょう。

妊娠後期の出血の原因は? 

おしるし 

妊娠後期、特に臨月の出血の原因のひとつとしては「おしるし」があげられます。出産の兆候として知られる「おしるし」は、子宮の入り口が開き胎児を覆う「卵膜」が子宮の壁から剥がれることによって起こる出血で、おりものに混ざる程度の微量な出血の場合が多いといわれています。 鮮血の場合もあれば茶色の場合もあるでしょう。出血による痛みはないのが一般的です。

おしるしはすべての人に起こるわけではなく、起こったとしてもすぐに分娩が始まるとは限りません。おしるしらしき出血が起こった場合には、あせらずに出産に向けて心の準備をしましょう。

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内診出血

妊娠後期は血液の量が増え、粘膜もやわらかくなる時期であるといわれています。そのため妊婦健診における検査器具の刺激で出血する「内診出血」が起こりやすくなります。そのため、出血のタイミングが内診後間もない場合は「内診出血」を疑っても良いかもしれません。

内診出血は一時的なもので、出血量も少量な場合がほとんどです。出血が止まらない場合や出血量が多い場合には内診直後であっても別の原因が考えられるため、病院に連絡しましょう。

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便秘

ホルモンバランスの影響や子宮による腸への圧迫が原因で、妊娠後期に限らず妊娠中は便秘になりやすいと考えられています。便秘がひどい場合には、肛門が切れて出血してしまう人もいるかもしれません。便秘が続いていて排便時に出血がある場合には、便秘が出血の原因かもしれませんね。

感染症

子宮や腟の感染症が原因で性器から出血することも考えられます。性行為によって菌や原虫に感染する場合もあれば、もともと体内にある菌やいたるところに存在する菌に感染してしまう場合もあります。妊娠中は免疫力が低下しやすい時期なので、感染症には十分注意しましょう。生活習慣を整えるとともに、身の回りを清潔に保つことが大切ですよ。

切迫早産・早産 

妊娠22週~36週の出血で下腹部痛や腹部の張りを伴う場合には、切迫早産や早産の可能性があります。

「早産」は妊娠22週以降37週未満に胎児がお腹から出てくること、「切迫早産」は早産になる一歩手前の状態をさします。早産になると赤ちゃんの障害や病気のリスクが高まるため注意が必要です。

下腹部痛や性器からの出血、血が混ざったおりもの、破水といった兆候があるときはできるだけ早く病院に連絡しましょう。状況によって薬を投与したり分娩を誘発したりすることになります。

前置胎盤

痛みを伴わない出血を何度も繰り返すケースでは、「前置胎盤」が疑われます。前置胎盤とは、胎盤が通常よりも低い位置にあることで子宮の入り口を覆ってしまう状態を言います。前置胎盤は妊娠中期~後期に発症しますが、妊娠後期になると、出産に近づくにつれて子宮の入り口が開いたり子宮の収縮が激しくなったりすることで胎盤が剥がれ、出血量が増えていきます。

出血がある場合はすぐに入院して管理を行い、妊娠37週末までに帝王切開を行うのが一般的です。大量に出血して止血が難しい場合には緊急で帝王切開を行うこともあるでしょう。

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常位胎盤早期剥離

少量の出血と激しい腹痛があるときは、「常位胎盤早期剥離」の可能性があります。進行すると血圧低下や貧血、ショックを伴うこともあるでしょう。

常位胎盤早期剥離とは、出産後に剥がれるはずの胎盤が妊娠中や分娩中に剥がれてしまう状態をさします。母体の出血性ショックや胎児の死亡、胎児機能不全といったリスクがあり、母子両方にとって非常に危険な状態なのでただちに分娩を開始します。緊急帝王切開となる場合が多く、分娩後に出血のコントロールができない場合には子宮を摘出するケースも考えられます。

妊娠後期の出血の見分け方は?

妊娠後期の出血は、嬉しい出産の兆候の場合もあれば、危険な状態のサインの場合もあります。異常な出血かどうかを知るためにはどのような点に注目すれば良いのでしょうか。

出血量が少量か大量か

出血量があまりにも多いときは、何らかの異常が起こっている可能性が高いといえます。鮮血であれ茶色っぽい出血であれ、明らかに出血量が多いときや血が塊になって出てくるときはすぐに病院に連絡しましょう。

ただし常位胎盤剥離のように、体外に排出される量は少なくても体内で出血が進行してしまうケースもあります。出血量が少ないからといって安心だと決めつけず、他の症状も確認してくださいね。

出血が一時的か長く続くか

ずっと出血が止まらない場合や何度も出血を繰り返す場合も、できるだけ早く病院に行きましょう。出血量がどんどん増えていくケースも危険です。

おしるしや内診出血は一時的なものなので特に何もしなくても止まりますが、切迫早産・早産や前置胎盤、常位胎盤早期剥離の場合にはだらだらと出血が続く可能性があります。大量出血を避けるためにも、少しでも異常な出血があれば病院に連絡しましょう。

腹痛があるかどうか

出血とともに下腹部痛やお腹の張りがあるときも、何らかのトラブルが起こっている可能性が高いといえるでしょう。感染症や前置胎盤、常位胎盤早期剥離、37週未満の場合は切迫早産の可能性が考えられます。

妊娠後期はホルモンバランスの影響や子宮の収縮、子宮の膨大によってお腹の痛みや張りを感じやすい時期ですが、いつもと違う、あるいはいつもより激しい痛みや張りを感じたら我慢せずに医師に相談しましょう。

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妊娠後期に出血したらどうする?

おしるしなら様子を見る

出産予定日近くに、強いお腹の張りや痛みがなく、胎動があり、一時的に茶色いおりもの程度の出血があったときは、おしるしの可能性が高いといえるでしょう。

おしるしが来たからといってすぐに出産が始まるとは限らないため、おしるしがあったときは落ち着いて様子を見て、陣痛や破水が起こったらすぐに病院に行けるように準備を整えましょう。

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大量出血、腹痛があるときはすぐに連絡

出血量が多いときや腹痛があるとき、出血が止まらないときは様子を見る必要はありません。すみやかに病院に行きましょう。緊急入院や緊急帝王切開となる可能性があります。ケースによっては母子の命にかかわる場合もあるため、できるだけ早く処置を行わなくてはなりません。深刻な事態になるまで我慢せず、少しでも異変があるときは躊躇せず病院に相談してください。

おりものシートや生理用ナプキンを活用

出血すると下着や服が汚れてしまう点が厄介ですよね。茶色いおりもの程度の少量の出血ならおりものシート(パンティライナー)、おりものシートでは不十分な場合は生理用ナプキンを活用しましょう。

おりものシートは血液を吸収するために作られたシートではないので、出血をしっかり受け止めるためには生理用ナプキンをつけておくほうが安心です。破水が起こっている場合など、生理用ナプキンでも受け止めきれないときはバスタオルを巻くなどして対応しましょう。

妊娠後期の出血の体験談

妊娠31週でおこった軽い出血

筆者は妊娠31週で夜中に軽い出血がありました。激しい腹痛・お腹の張りを伴い、朝方まで眠れなかったのを覚えています。次の健診日に主治医に伝え、診てもらったところ切迫早産と診断されました。出血や腹痛があったときには我慢せずにすぐに連絡するように言われ、早く病院に行っていれば良かったと反省しました。

このように、一時的なものだと思い放っておいたものが実は妊娠トラブルのサインだったということもあります。少しでも異変があれば我慢せずに病院に行ってくださいね。

妊娠後期の出血が気になるときはすぐに病院へ

妊娠後期の出血は、必ずしも危険というわけではありません。おしるしや妊婦健診による出血の可能性もあり、その場合はあせらずに様子を見るのみで十分です。心と身体の調子を整え、赤ちゃんに出会うための準備を進めましょう。

しかし、妊娠37週未満の出血や腹痛を伴う出血、何度も繰り返す出血など、異常な出血の場合はすみやかに病院に連絡してください。少量の出血でも軽視できないため、出血の時期や身体の症状をしっかりと確認し、医師にしっかりと伝えましょう。

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※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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