【助産師監修】妊婦は重いものになぜ注意が必要?腹痛が起こる?影響と対策方法

妊娠中はさまざまなものに注意が必要です。お腹が大きくなるにつれて転びやすくなったり眠りにくくなったりすることもあるでしょう。妊婦は「重いものを持つこと」にも注意が必要です。なぜ重いものを持つ際に注意が必要なのか、いつからいつまで気をつけるべきか、重いものを持たなければいけない場合の対策などを紹介します。

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この記事の監修

河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 妊婦は日々の生活の中での注意点が多い
  2. 妊婦は注意が必要!日常生活の「重いもの」
  3. 妊娠中に重いものを持つのはなぜ良くない?
  4. 妊婦が重いものを持つとどんな影響が?腹痛・早産など
  5. いつからいつまで妊婦は重いものに注意が必要?
  6. 「重いもの」とはどれくらいを指す?基準はある?
  7. 仕事や家事での重いもの対策
  8. 無理せず周囲を頼ることも大切
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妊婦は日々の生活の中での注意点が多い

妊娠とともに身体も心も徐々に変化していきます。次第にお腹が大きくなり、胸の張りや貧血、腰痛が気になる人もいるでしょう。身体や心の変化に伴い、日常生活の細かな点が妊娠前とは変わった人もいるかもしれません。長時間の立ち仕事がつらくなった、立ち上がったりしゃがんだりする簡単な動作がスムーズにいかなくなったという人もいるのではないでしょうか。

妊婦の日常生活での注意点にはさまざまなものがあります。「重いものを持つこと」「頻繁な階段の上り下り」「腹部の圧迫」「長時間の歩行」といったものは、妊婦の身体への負担が大きいため注意が必要でしょう。ただしこれらの動作は程度の違いはあれ、日常生活でどうしても生じるものです。妊娠中は負担が大きい動作をなるべく避け、腹痛などの異変があればすぐに動作を中止しましょう。

ただし切迫早産・切迫流産を指摘されている人や合併症がある人は、ちょっとした動作であっても早産などのリスクを高める場合もあるため、慎重になる必要があります。

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妊婦は注意が必要!日常生活の「重いもの」

「妊婦が重いものを持つ場合には注意が必要だ」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。重い・軽いという感覚は個人差が大きいため、「重いもの」といっても人によってイメージするものは違うでしょう。買い物で5kgの米袋を持ち帰るのはつらいと感じる人もいますが、上の子がいる家庭であれば10kg前後の子どもを抱っこする機会は少なくないかもしれません。

最近では女性ドライバーが増えている宅配業者や布団の上げ下げがある旅館業など、仕事で重いものを持つ機会がある人もいるでしょう。「重いものを持つ」ことだけに注目してしまいがちですが、重いものを押す・引くといった動作にも気をつけたいですね。

重いものの程度や妊娠の経過、連続して重いものを持つのか断続的に持つのかといったさまざまな条件によって、身体への負担の大きさは異なるでしょう。日常生活において重いものを持つ機会はある程度避けられない場合もあるため、妊娠中は無理をしない・必要以上に重いものを持たないといった意識も必要ですね。

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妊娠中に重いものを持つのはなぜ良くない?

妊婦は日常生活のさまざまな場面で妊娠前よりも注意しなければならないことがあります。重いものを持つ場合に関しても同様に、妊婦は妊娠前よりも注意が必要になるでしょう。

妊婦が重いものを持つ際に注意しなければならない理由としては、「腹圧」や「じん帯や関節のゆるみ」などがあげられるようです。お産の際に利用する力のひとつである「腹圧」は、重いものを持ったときや排便でいきむときにかかるものです。日常的に腹圧がかかる機会は少なくありませんが、もともと切迫流産・切迫早産のリスクがある妊婦の場合には重いものを持つことでさらに腹圧がかかり、早産の危険性が高まる可能性があるでしょう。

「じん帯や関節のゆるみ」は、リラキシンホルモンによる出産に向けた身体の変化のひとつです。じん帯や関節がゆるんでいると、背骨や首、頭を支えるのが困難になります。そこで、骨盤のまわりの筋肉が、ゆるんだ関節を支えようと頑張るのです。次第に大きくなるお腹を支えようと筋肉が張っているところに重いものを持つことで、妊婦の身体への負担が増加し、腰痛や筋肉痛を引き起こすことがあります。

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妊婦が重いものを持つとどんな影響が?腹痛・早産など

妊娠中に重いものを持つと分娩時に必要になる「腹圧」がかかったり、出産に向けて変化した「じん帯や関節」のゆるみによって身体への負担が増えたりすることで、さまざまな影響が出る可能性があります。

腹痛やお腹の張りなどさまざまな症状が

重いものを持つことで起こる症状は人によって多少の個人差はありますが、腹痛・お腹が張る・腰が痛い・むくみ・出血・動悸や息切れといったものがあげられるでしょう。少量の出血によりおりものが茶色になる人もいるようです。臨月以降は破水の可能性も考えられるかもしれません。

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リスクの高い妊婦は早産の可能性も

切迫流産や切迫早産、合併症が指摘されているリスクの高い妊婦の場合であれば、早産を引き起こす可能性もあります。重いものを持つことによる影響は妊娠の経過にもよるため、仕事で重い荷物の受け取りを担当している、上の子のお世話で抱っこする機会があるなど、日常的に重いものを持つことがある人は事前に医師に相談しておくと安心でしょう。 

いつからいつまで妊婦は重いものに注意が必要?

妊婦が重いものに注意しなければならない期間は「いつからいつまで」なのかが気になる人もいるでしょう。仕事であれば代理の人を頼んだり重い買い物は宅配サービスを利用したりすることが可能ですが、上の子のお世話で抱っこしてあげたいというように替えがきかないこともあるでしょう。重いものに注意が必要な期間の定めは特になく、各妊婦の妊娠の経過によるでしょう。このため妊娠初期・中期・後期と全期間を通して注意が必要になる妊婦もいます。

「特に医師から指示を受けていないから」「安定期だから」と気を抜いてしまう人もいるかもしれませんが、重いものを持つだけでなく長い時間立ったままでいる、もともと貧血気味だった、というように複数の条件が重なることで深刻な状況を引き起こす可能性もあります。自分の体調の変化を見過ごさず、異変があればしっかり休み、無理をしないようにしてくださいね。

「重いもの」とはどれくらいを指す?基準はある?

妊婦は重いものを持つ際に注意が必要だといわれても、「重いもの」とは一体何キロを指すのだろうかといった基準が気になる人は多いかもしれません。重い・軽いといった感覚は個人差があり、普段からどの程度の重さのものを持っているのかによっても変わるでしょう。

重いものを取り扱う仕事における法的な制限

「労働基準法」では、妊婦や産後1年未満の女性は重いものや危険物を取り扱う業務を担当してはいけないと定めています。

第六十四条の三 使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。

引用元:elaws.e-gov.go.jp

さらに「女性労働基準規則」では、満18歳以上の女性は断続的な作業で30kg、継続的な作業で20kg以上の重いものを取り扱う業務を禁じています。

現状、この制限で妊娠や出産に明らかな悪影響が出たというケースはないようです。しかし各妊婦の妊娠の経過や体調にもよるため、必要であれば医師や会社に仕事内容の相談しましょう。

買い物や洗濯などの日常生活でも

仕事では20kgから30kgといった大まかな基準がありますが、日常生活では妊婦が取り扱いできる重さの明確な基準は定められていないようです。二人目以降の妊娠中の場合であれば、上の子の抱っこについて一度医師とよく相談しておくと良いでしょう。

一瞬であれば、灯油の入れ替えや短い時間・短い距離での重い買い物、普段使用しているリュックの重さなどは気にする必要はない場合もあるようですが、各妊婦の妊娠の経過や体調によって影響の程度や範囲は異なります。妊娠中は無理をせず、周囲の人を頼ったり、他に方法がないのかを探したりすることも大切ですよ。

仕事や家事での重いもの対策

仕事は母健カードの活用も

重いものを持つ仕事は労働基準法で20kgから30kgまでの制限がありますが、すべての妊婦が20kgから30kgまでの重さのものを持つことができるわけではありません。切迫流産・切迫早産のリスクがある場合やひどい腰痛の場合には医師とよく相談し、必要であれば「母性健康管理指導事項連絡カード(母健カード)」を活用しましょう。口頭で医師からの指導内容を説明するのが難しいケースなどで役に立つかもしれません。

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米や水などの買い物は宅配を

米や水などの重い買い物は定期的に発生するケースが多いかもしれません。出産後には赤ちゃん連れで重い買い物に行くことを考えると、妊娠中から家まで届けてくれるサービスを検討しても良いかもしれません。ネットスーパーの宅配サービスやAmazonなどの通信販売をチェックしてみてくださいね。

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水を含んだ洗濯物や布団干し

水を含んだ洗濯物の重さや、布団を干す際の重みが気になる人もいるでしょう。洗濯物は1回で洗濯する量を調整すれば、洗濯物を干す場所までの移動が少し楽になるかもしれません。布団干しは移動式のすのこを使う方法もありますよ。

上の子どもを抱く場合

できるだけ子どもを抱っこしないようにしていても、まだ聞き分けができない年齢の子どももいるでしょう。子どもを抱っこするときは、ママも膝を曲げて腰をおろした状態で抱き上げるほうが良いですね。中腰で抱き上げると腹圧がかかり、腰もいためる可能性があります。できれば、寝た状態や座った状態で抱っこする、ハグするなど、抱き上げないでよい方法をとるのが良いでしょう。

腰痛対策となる持ち方

腰痛対策としては、「下にあるものは膝を曲げてしゃがんだ状態で持ち上げる」「身体に引き寄せて物を持つ」ことがポイントです。中腰で持ち上げると腰に負担がかかり、身体から離した状態で物を持つと腰が反った状態になり、腰痛を引き起こす原因になるといわれています。

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無理せず周囲を頼ることも大切

妊娠中は注意しなければいけないことが多いためつい忘れしまったり、妊娠前と同じように無理をしてしまったりといったことはあるかもしれませんが、どこかで意識しておくことが大切でしょう。重いものを持ったらすぐに何か深刻な影響が出るケースは多くありませんが、可能性としてゼロではないということを覚えておくと良いかもしれませんね。

妊娠前と同じように動きたくなることもあるかもしれませんが、妊娠中は自分とお腹の赤ちゃんのためにも、周囲に頼ったり他に方法がないか探したりすることも検討してみてくださいね。

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