【管理栄養士監修】妊婦が食べてはいけない果物はある?摂りたい栄養素を含むフルーツや食べ過ぎなど注意点
管理栄養士監修|妊娠中は果物が食べやすいという方も多いでしょう。つわりがつらいときでも特定の果物なら食べられるというママもいます。妊娠中に食べてはダメな果物はありませんが、食べ過ぎを避けるべきものがあります。妊娠中におすすめの果物や、果物の摂取が胎児の知能へ影響する研究データ、体重増加など注意点を解説します。
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目次
妊娠中に果物は食べてOK?摂取量の目安は?
妊娠中、ママの摂った栄養は赤ちゃんの発育に関わってきます。ママはご飯などの主食と、肉や魚を中心にした主菜、野菜やきのこ、海藻類を中心にした副菜をバランス良く食べる必要があります。三食の食事の他に、牛乳・乳製品や果物も毎日摂取すると良いといわれています。
何をどのくらい食べればよいのかを示した「妊産婦のための食事バランスガイド」によると、バランスの良い食事に加えて妊娠初期であれば果物を一日二つ(SV)、妊娠中期から後期は一日三つ(SV)(※)食べることが推奨されています。目安としては、果物一つ分は約100gで、みかんであれば一個分、りんごなら半分です。臨月になると、毎日果物をりんご一個半ほど食べる必要があります。(※1)
(※)SVとはサービング(食事の提供量)の略語。
「朝の果物は金」という言葉があります。果物にはブドウ糖や果糖などの糖分が多く含まれています。ブドウ糖は脳のエネルギーとなりますから、朝食時に果物を食べることで、集中力がつき活力がわいてくるかもしれません。また、睡眠中に消費されたブドウ糖を補うこともできますね。
妊婦が食べてはいけない果物はある?
妊娠中に絶対に食べてはいけないという果物はありませんが、注意が必要なものはあります。たとえば、スイカやメロン、梨などは水分量が多く身体を冷やす作用があるといわれています。冷え性が気になるママは、食べ過ぎないように注意したほうが良いでしょう。
また、体重の増加が気になるママは、カロリーが高い果物の食べ過ぎは控えましょう。バナナや柿などは、比較的カロリーが高めです。とはいえケーキやチョコレートなどに比べれば低いですから、完全にNGというわけではなく、間食として上手に取り入れていくと良いでしょう。
妊婦に良い栄養素が含まれたおすすめの果物
葉酸(いちご、アボカド、マンゴーなど)
葉酸は、水溶性ビタミンの一種です。赤ちゃんの発育に関わっていて、葉酸をしっかり摂取することで、新生児の神経管閉鎖障害を予防できるといわれています。妊娠を計画している人や妊娠初期の人は、サプリメントなどから付加的に一日400μgの葉酸を摂取することが厚生労働省から推奨されています。(※2)
葉酸が多く含まれている果物には、ライチやいちご、アボカド、マンゴーなどがあげられます。意外なところでは、栗にも葉酸が豊富に含まれています。葉酸をサプリにプラスして、葉酸が多く含まれる果物も上手にとり入れていきましょう。
鉄分(プルーン、ぶどう、ドライフルーツなど)
鉄分は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンを構成しています。ヘモグロビンは酸素を全身の組織へ運搬するという大切なはたらきをする物質です。鉄分が不足するとヘモグロビンが生成にくくなって、鉄欠乏性貧血となり、疲れやすくなったり動悸がしたりすることがあります。毎日の食事で鉄分をしっかり摂取すると、鉄欠乏性貧血の予防になります。
鉄分は肉やレバーなど動物性食品に含まれるヘム鉄と、ほうれん草や大豆など植物性食品に含まれる非ヘム鉄に分かれます。果物に含まれるのは非ヘム鉄で、体に吸収されにくい性質があるのですが、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂取すると吸収率がアップします。鉄は尿、便、汗などから排出されるため、非ヘム鉄を含むプルーンやぶどうのドライフルーツを外出先に携帯するのも良いですね。
ビタミンC(キウイフルーツ、柿、いちごなど)
フルーツというと、ビタミンCが豊富なイメージがあるかもしれません。ビタミンCはコラーゲンを生成するために必要で、皮膚や粘膜を健康的に保つ働きをします。また、免疫力を高めて風邪など病気の予防に役立ったり、鉄の吸収を良くしたりする作用もあります。
ビタミンCが豊富な果物には、キウイフルーツ、柿、いちごなどがあります。オレンジやレモン、グレープフルーツなどの柑橘類にも多く含まれています。つわり中でもさっぱり食べられそうな果物が多いので、積極的に取り入れてみましょう。
ビタミンB6(バナナ、アボカド、キウイフルーツなど)
ビタミンB6は、皮膚や粘膜の保持に必要な栄養素です。体内でたんぱく質を生成するときに必要で、筋肉や血液の生成に関わっています。そのため、たんぱく質を多く摂取する人ほど、たんぱく質の代謝を促すために必要なビタミンB6の量が多くなります。
ビタミンB6は肉類や魚介類に多く含まれますが、バナナやアボカド、キウイフルーツにも含まれています。運動をするときはバナナを間食にしても良いですね。
食物繊維(ラズベリー、ブルーベリー、柿など)
食物繊維は、便のかさを増やして便秘を予防したり、改善したりすることで知られています。また、コレステロールや糖質の吸収を遅らせる効果もあるといわれています。
食物繊維は野菜に多く含まれるイメージがありますが、果物でも摂取することができます。とくに食物繊維が多い果物は、ラズベリーやブルーベリー、キウイフルーツ、柿などです。りんごの場合、皮つきで食べることで食物繊維の摂取量が増えます。しっかり洗って皮ごと食べてみましょう。
カリウム(バナナ、メロン、桃など)
カリウムは、ナトリウムとバランスを取りながら、細胞の状態や血圧を調整してくれます。ナトリウムを摂り過ぎると高血圧につながることもありますが、カリウムは摂取しすぎたナトリウム(食塩)を排出させ、血圧を下げる働きがあるといわれています。
ナトリウムとカリウムによって、体内の水分量は調整されています。塩分の多い食事をしたり、カリウム不足が起こったりすると、水分量のバランスが崩れてむくみの原因となることがあります。むくみが気になるママは、意識してカリウムを摂取したいものですね。カリウムはバナナやメロン、桃などに多く含まれています。
太るリスクも?妊婦が果物を食べ過ぎたときの影響
栄養豊富な果物は、妊婦さんの食生活においては欠かせない存在ですが、食べ過ぎには注意が必要です。どのような影響が考えられるのでしょうか。
過剰摂取による体重増加
果物は糖分が含まれるものがほとんどです。毎日適量を食べることは大切ですが、食べ過ぎてしまうと、太る可能性があります。
妊娠中に急激に体重が増えると、妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高くなります。赤ちゃんの発育や難産などにも影響するため、体重管理はしっかり行いましょう。
特に果物ジュースは同じ分量でも、生の果物より糖質が多く含まれている場合があります。加工される工程で食物繊維が取り除かれることもあるため、栄養のことを考えるなら生の果物を摂取することが望ましいでしょう。
つわり中に、飲みやすい果物ジュースを好むママもいますが、ものによっては糖分が多く含まれているものもあるので、過剰摂取には注意が必要です。ジュースを選ぶ場合は、果汁100%のものや野菜のみで作られたジュース、野菜が50%以上含まれたジュースを選ぶことをおすすめします。
血糖値や尿糖値への影響
果物の中には血糖値を急激に上げるものもあるので、食後に食べるよりは間食にしたほうが良いでしょう。脂肪がつきやすい夜食にするのは控えたほうが良いですね。どうしても夜に食べたいときは、キウイなど低GI(※)の果物を選ぶと良いでしょう。
また、尿糖にも注意が必要です。妊婦健診では毎回尿検査があるため、もし事前に果物を食べ過ぎると尿糖が検出され陽性となることがあります。何度も陽性が続くと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の可能性も出てきます。食べるときは適量を心がけましょう。
(※)GI:グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略語。摂取した食品が身体の中で糖に変化し、血糖値を上昇させる速さのこと。
果物しか食べられないときの注意点
つわりの時期は「果物しか食べられない」という声も少なくありません。つわりは妊娠5~6週頃に始まり、12~16週頃までには消失します。調子が悪いときは果物ばかりになってしまっても気にしすぎず、食べられるものを食べるようにしましょう。
厚生労働省の食事バランスガイド(※3)では、米やパンなどの主食、野菜を中心とした副菜、肉や魚などの主菜、牛乳や乳製品、果物をバランス良く摂取するよう推奨しています。果物の一日の摂取量の目安は、妊娠初期では1日2SV(※)、妊娠中期から後期にかけては1日3SVです。1SVはみかん1つ分に相当します。
果物はビタミン類や、食物繊維、カリウムを豊富に含みますが、果物ばかりだと不足する栄養素が出てきます。つわりの症状が治まってきたら肉や魚、乳製品を組み合わせ、バランスの良い食事を心がけましょう。果物では摂れないたんぱく質やカルシウムなどを積極的に取り入れていきたいですね。
(※)SVとはサービング(食事の提供量)の略語。
妊娠中の果物に関する注意点は?
食べ過ぎ以外にも、果物を食べるときに気をつけたいことがあります。果物を生で食べるときは、菌や汚れ、農薬を落とすために皮の部分をしっかりと洗いましょう。厚生労働省の調査では、輸入品も含め、流通している果物の農薬残留は少ないと報告されていますが、しっかり洗うことでさらに安心できますね。
食中毒にも注意が必要です。火を通していない生野菜や果物は、食中毒の原因となりうる菌に汚染されている可能性があります。とくにリステリア菌は、ママが感染すると赤ちゃんに影響する可能性があります。
果物は新鮮なものを購入し、なるべく早く食べましょう。妊娠中に食べてはいけない果物は特に指定されていませんが、果物の微生物や農薬が心配なときは、流水で洗う前に酢で拭いたり、酢水にいったん浸けたりすると良いでしょう。
また、手指や調理器具も、事前にしっかり洗うことが大切です。カット済みの果物を買う時は水分などが出ていない新鮮なものを選び、できるだけ自分で調理するようにすると安心ですね。
妊娠中に果物を食べると胎児の知能に影響する?
カナダの大学で、妊娠中のママの果物摂取量が多いと、生まれてきた赤ちゃんの生後一年の知能が高くなるという研究報告が発表されました。(※4)しかし、この研究はまだ予備段階であり、赤ちゃんの知能には他の要素も複雑に絡んでいるため、確かなところはわかっていません。
知能に関わるかどうかは抜きにしても、胎児のためにママが食生活を意識するのは大切なことです。栄養バランスがとれた食生活は、ママの健康や赤ちゃんの発育に良い影響を与えます。
定期的に果物を過不足なく摂取する習慣は、健康維持に役立ちますよ。大切なのは大量に食べることではなく、適量を食べることですから、果物の過剰摂取による体重増加には注意しましょう。
妊娠中の果物の好みで性別がわかるという噂は本当?
妊娠中に急に食べ物の好みが変わり、思いがけないものを食べたくなることがあります。ママが食べたくなったものがどのような味であるかによって、赤ちゃんの性別を予想するジンクスがあるという話を聞いたことはないでしょうか。
たとえば、果物のように甘いものを食べたくなると女の子、お肉や脂っこいものを食べたくなったら男の子という説があります。しかし、食べ物の好みの変化と赤ちゃんの性別との関連について、医学的な根拠はありません。ジンクスはあくまで家族の話題として、気楽な気持ちで楽しむと良いでしょう。
果物ゼリーや果物ジュースでも栄養は摂取できる?
果物ゼリーや果物ジュースには、糖類、ビタミンA、カリウムが多く含まれています。そのため、汗をかきやすい夏場や運動後の水分補給、ミネラル補給に適していますよ。
とはいえ、ゼリーやジュースは商品によって果汁の含有量や栄養成分にばらつきがあり、果物に期待される食物繊維やビタミンCの含有量もそれほど多くありません。果物をそのまま食べるように栄養が摂取できるわけではないので、補助的に活用するようにしましょう。
手軽に果物を摂るため、フルーツ缶詰を使用したゼリーを手作りするなどしている妊婦さんもいるかもしれません。しかしフルーツ缶詰は果物を日持ちさせるために多量の砂糖を使用しています。妊婦さんがフルーツ缶詰を使うときはシロップを使わないようにしたり、冷凍のカットフルーツで代用するなどしたりすると良いでしょう。
妊娠中の果物に関する体験談
栄養素が豊富で手軽に食べられるキウイフルーツは、妊娠中の間食に最適でした。日持ちしますから、安いときに大量に買っておきました。半分に切ってスプーンで食べるのが基本でしたが、細かくしたキウイを凍らせてヨーグルトに入れたり、ミキサーにかけてジュースにしたりとさまざまな方法で食べていましたよ。
ミキサーに入れるときは、よく洗って皮ごと砕くと栄養価が高いと聞いて、実践していました。毛の部分は気にならず、味にもほとんど変化がなかったのでおすすめです。
安定期に入ったころから、猛烈にいちごが食べたくなり近所のスーパーをまわりました。いちごのシーズンではなかったため、なかなか売っていなかったのですが、どうしてもいちごが食べたくてスーパーをはしごしたことをよく覚えています。
出産後もいちごを口にすることはありますが、妊娠中に食べたときのとびっきりのおいしさを感じることはさすがにできず、やっぱり妊娠中は特別だったのだと思いました。
果物を毎日の食生活に摂り入れよう
果物を毎日200g~300g食べることで、一日の食事で足りなかった栄養を補うことができます。果物はフレッシュなものをよく洗って、適量を食べるようにしましょう。果糖を摂り過ぎると、尿糖が出たり、体重が増えたりすることがあるので注意が必要です。果物を上手に食べて、妊娠生活を快適に過ごしましょう。
※この記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。