【産婦人科医監修】妊婦の外食におすすめのお店やメニューは?塩分・添加物の影響や外食での注意点
妊娠してから外食を控えて自炊に力を入れるママは多いかもしれません。栄養バランスの良い食事のためには自炊がおすすめです。しかし、たまには外食に出かけたりランチに誘われたりすることもあるでしょう。妊婦さんが外食をする場合どんな点に気をつければ良いのでしょうか。妊婦さんの外食におすすめのお店やメニューの特徴を解説します。
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目次
妊婦は外食をしてもいい?頻度は?
妊娠中、毎日三食料理を作ることに負担を感じている妊婦さんは多いかもしれません。体調が良ければ外食に出かけたいと思ったり、気分転換に友人とランチの約束をしたりすることもあるでしょう。体調が悪く、自炊が難しい日が続くこともありますよね。仕事をしている妊婦さんの中には、頻繁に外食に頼らざるを得ない人もいるかもしれません。
妊娠中の外食の頻度はどのくらいが良いのでしょうか。そもそも妊婦さんは外食をしてもよいのでしょうか。
妊娠中に外食をすること自体は問題ない
医師に制限を受けていない限り、妊婦さんが外食を楽しむのは問題ありません。神経質になり過ぎる必要はないでしょう。「妊婦だから」という理由で外食を無理に禁止するよりは、選ぶ店やメニューを工夫していきたいですね。
妊娠中は、出産への不安や体調の変化などによって、ストレスがたまりやすい傾向にあります。無理のない程度に友人とのランチを楽しんだり、家族とゆっくりディナーをしたりすれば、気分転換やストレス解消になるかもしれませんよ。
妊娠中の外食では栄養の偏りに注意
外食をすること自体は問題ありませんが、毎食のように外食ばかり続けるのはできるだけ避けたほうが良いでしょう。総菜をお店で毎日買ったり、チェーン店の持ち帰り弁当ばかり食べたりするのも、積極的におすすめすることはできません。カロリーや塩分を調整するのが難しく、栄養が偏る可能性があるためです。
そのほかにも、食中毒やカフェイン、アルコールなど、妊婦さんが外食する上で注意しておきたいことがいくつかあります。注意事項を守りながら、上手に外食を活用していきましょう。
妊娠中に外食する上での注意点
塩分
自分で料理をするのであれば塩分は調整できますが、外食は初めから味つけされているものがほとんどです。家庭の料理よりも、味が濃いことが多いかもしれません。塩分を摂り過ぎると体内の水分バランスがくずれ、むくみの一因となります。
また塩分の過剰摂取は、妊娠高血圧症候群のリスクを高めるといわれています。極端な塩分制限も危険ですが、妊娠中は1日当たり6.5g未満の塩分摂取が推奨されています。 (※1)
もし外食で塩分を摂り過ぎたと感じたときは、海藻や野菜などカリウムを豊富に含むものを意識して食べると良いでしょう。カリウムは血圧を下げ、過剰な塩分の排出を促す作用があるといわれています。
添加物
食品添加物は、市販のハムやパン、清涼飲料水などさまざまな食品に使われています。食品に甘味を与えるアステルパームや、保存性を高めるソルビン酸などが食品添加物の一種です。化学合成品のイメージがある人が多いかもしれませんが、天然由来のものも含まれています。
外食では、食品添加物がどれほど含まれているのかを知ることはできません。家でご飯を食べるよりも、食品添加物を多く摂取してしまう可能性があります。
しかし、日本では安全性が確認されたもののみが「食品添加物」として認められています。過剰に心配する必要はないでしょう。
食品添加物は食べたらすぐに健康に害が出るというものではありません。一日の許容摂取量が決められており、その範囲内であれば悪影響はないとされています。添加物に配慮された食材を使用している外食チェーン店もおすすめです。もし外食の食品添加物が気になるようなら、家庭ではなるべく添加物が使われていない食材を利用すると良いでしょう。
生もの
外食でも家庭料理でも、妊娠中は生ものを控えたほうが良いでしょう。火が十分に通っていない食品には、食中毒の原因となる菌が存在する可能性があります。とくに気をつけたいのは、リステリア菌です。
妊娠中にリステリア菌に感染すると、赤ちゃんに感染して影響することがあります。生肉だけではなく、ナチュラルチーズやスモークサーモンなどにも注意が必要です。また、寄生虫によるトキソプラズマ症も、火を通していない肉などから感染することがあります。妊娠中に初めて感染すると、赤ちゃんの眼や脳などに障害が生じることがあります。
外食時は肉類だけではなく魚介類や卵なども、しっかり火が通されているものを食べるのがおすすめです。生ものが食べたいママも、赤ちゃんのためだと思って我慢するようにしてくださいね。
高カロリー
妊娠中の外食として、ジャンクフードや脂っこいものを選ぶ妊婦さんがいるかもしれませんが、カロリーが気になるところです。また、一食の量が調整しにくいため、つい食べ過ぎてしまうことがあります。高カロリーのものばかり食べていると、代謝が追いつかず体重増加につながることがあります。
普通体形のママの場合、妊娠全期間を通して10~13kgの体重増加が推奨されています。肥満体形のママには、医師が個別に対応します。(※2)急激に体重が増えると、妊娠高血圧症候群や前期破水、帝王切開分娩などのリスクが上がるといわれています。
妊娠期の体重増加が少な過ぎても低出生体重児のリスクが高まるため、ママは医師と相談しながら、体重をコントロールする必要があります。最近はメニューにカロリーが書かれているファミレスなどもありますから、体重増加が気になるママは低カロリーのものを選ぶようにすると良いでしょう。
カフェイン
コーヒーやお茶などの飲み物に含まれているカフェインは、妊娠中に気をつけたい成分のひとつです。清涼飲料水やエナジードリンクなどにも、苦み成分として入っていることがあります。
カフェインを過剰摂取した場合、中枢神経系が刺激されて、めまいや心拍数の上昇などが起こることがあります。また、胎盤を通して赤ちゃんに影響する可能性もあるといわれています。
カフェインの影響は個人差が大きいため、日本での摂取上限は決められていませんが、一日200~300mgまでの摂取であれば赤ちゃんに影響がないとされています。(※3)コーヒーであればマグカップ2杯程度ですね。外食の際は、ドリンクバーであってもおかわりは控えるようにすると良いでしょう。
最近、カフェによってはデカフェやカフェインレスのコーヒーが飲めるお店も増えてきています。コーヒーが飲みたいときは、こういうお店を利用するのもいいですね。
アルコール
ママが摂取したアルコールは、胎盤を通じて赤ちゃんの体内に入るといわれています。妊娠中のママが飲酒を続けた場合、赤ちゃんに先天異常などの胎児性アルコール症候群(FAS)が起こることがあります。
アルコールによる影響は、妊娠中のどの期間でも起こる可能性があり、安全なアルコール量も不明なため、ママは妊娠が判明した時点から断酒する必要があります。外食先でもアルコール類を飲むのは止めましょう。料理に使われているお酒は、アルコールが飛んでいるものがほとんどですが、気になるようであればお店の人に聞いてみましょう。
体温調節
妊娠中は冷えないようにすることが大切です。冷え性が進むと血行不良につながり、赤ちゃんに十分な酸素や栄養を届けられなくなる可能性はゼロではありません。外食先は冷房が効いていることもあるので、羽織るものを持ち歩いたほうが良いでしょう。
妊婦の外食におすすめの店の特徴は?
禁煙・分煙
妊娠中は、受動喫煙にも注意する必要があります。タバコの有害物質であるニコチンは子宮や胎盤の循環血液量を減少させることがあり、一酸化炭素は胎児の低酸素状態を引き起こす可能性があるといわれています。タバコの先から出る副流煙は、喫煙者が吸い込む主流煙より、有害物質が多いとされているので、見えない煙にも気をつけなくてはいけません。
妊娠中に外食するのであれば、可能な限り全席禁煙のお店を選ぶようにしましょう。禁煙のお店が見つからないときは分煙のお店でも仕方ありませんが、なるべく喫煙席から離れた場所に座るようにしましょう。時間帯によって禁煙、分煙とわけられているお店もあるので、事前に調べておくと良いでしょう。
ゆったりと座れる
妊娠後期に臨月が近づいてお腹が大きくなってくると、狭い場所が苦しくなることがあります。テーブルと椅子のスペースが狭いと、食べるときにお腹がつかえることがありますし、トイレに立つのが大変な場合もありますよね。妊婦さんが外食先を選ぶときは、ゆったりと座れる席があるかどうか店内写真を検索するなどして確認してみましょう。
ソファ席が楽なママもいますし、座敷であぐらで座るのが楽なママもいます。できるだけ自分に合った席に座りたいですね。ゆったりした席にいつも座れるとは限らないので、可能であれば事前に予約して、座りたい席をお店に伝えておいたほうが良いでしょう。
病院・自宅からのアクセスが良い
妊娠後期や妊娠37週以降の妊婦さんは、いつ陣痛や破水が起こってもおかしくない状態です。また、妊娠初期のママでも外食先でトラブルが起こらないとは限りません。すぐに休んだり、医師に診てもらったりできるように、外食先は自宅や病院から近い場所のほうが安心ですよ。
歩いて行ける距離の店に行くのが理想ですが、少し遠出をしたい場合は、病院までの交通手段を確保しておきましょう。家族や知人に連絡して来てもらう、陣痛タクシーに事前に登録するなどの方法があります。自分で自動車や自転車を運転するのは避けたほうが良いでしょう。
妊婦の外食におすすめのメニューは?
栄養バランスがとれた定食
外食であっても、主食、主菜、副菜がそろったバランスの良い食事をとりたいですよね。定食であれば、ご飯とおかず、お味噌汁からさまざまな食材をとることができるので、妊娠中の外食メニューとしておすすめです。副菜としておすすめなのはサラダや煮物です。不足しがちな野菜や海藻類を摂ることで、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを補うことができます。また主食を五穀米などに変えるとビタミンやミネラルが補えますよ。
体重の増え過ぎが気になる妊婦さんは、なるべくヘルシーな主菜を選ぶと良いでしょう。唐揚げやトンカツよりは、冷しゃぶや焼き魚のほうがカロリーを抑えることができます。何を食べるか迷ったときの目安にしてみてくださいね。
塩分控えめの料理
日本人は、他の国よりも塩分を多く摂取しているといわれています。ヘルシーなイメージのある和食ですが、洋食よりも塩分が高い場合があるので注意が必要です。減塩料理を作る上で、だしや酢を上手に利用したり、野菜などの素材の味をいかしたりすることがコツです。
調味料の中でも醤油は塩分が高めです。お寿司などを食べる際は、醤油をつけ過ぎないようにしましょう。また、麺類のつゆやスープにも塩分は多く含まれています。ラーメンやそば、うどんは汁まで飲まないほうが良いでしょう。
脂っこくない料理
脂っこい料理はカロリーが高いため、体重増加につながることがあります。妊娠中は運動量が減ることが多く、妊娠前は痩せていた人も太ることがあるのです。また、脂っこい料理は消化が良くないものがほとんどなので、身体に負担がかかることも考えられます。
妊婦さんはホルモンの影響で消化器官の動きが鈍くなる場合があるため、下痢や便秘、吐き気などにつながることがあります。カツ丼やフライドポテト、天ぷらなど、揚げ物は脂肪が多いため、なるべく控えるようにしましょう。中華料理も脂っこい料理が多いので、中華がゆなど低カロリーなメニューを選ぶと良いですね。
ご飯やパスタなど炭水化物ばかり食べるのも、体重が増加する一因になります。体重管理が必要なときは、小分けにしたおにぎりなどを用意して食べ過ぎを防ぎましょう。
刺激が強過ぎない料理
妊娠中にキムチやカレーなど、辛いものを食べたくなることがあるかもしれません。妊婦さんは辛い料理を絶対に食べてはいけないというわけではありませんが、食べ過ぎないように気をつけましょう。刺激が強い料理を大量に食べると、消化器官に負担をかけたり、胃炎や痔の原因となったりすることがあります。
また、刺激物を食べるとつわりが悪化するママもいます。消化が追いつかず、吐き気がひどくなる場合があるようです。スパイスを大量に使った料理や、極端に辛い料理は、なるべく避けたほうが良いでしょう。
妊婦はいつまで外食できる?
臨月に入ったら、外食や外出がNGとなるわけではありません。ママの体調に問題なければ、適度な運動は安産につながるともいわれています。実際に、破水や陣痛が起こる直前まで出かけていたというママは少なくないようです。
しかし予定日が近づいたら、ひとりで外食するのは避けたほうが良いでしょう。家族や知人が一緒であれば、何か起こってもすぐに対処してもらえます。一緒に外食する人には、病院の連絡先などを伝えておきましょう。
持ち歩く荷物にも注意が必要です。診察券、保険証、母子手帳、携帯電話は常に持ち歩くようにしましょう。急に破水が起こったときに備えて、ナプキンやタオル、ビニール袋なども用意しておくと安心ですよ。
妊娠中の外食に関する体験談
筆者は夫と職場が近かったため、妊娠中は外で待ち合わせて一緒にランチすることがよくありました。夫の帰宅は毎日遅く、ゆっくり話す時間が少なかったため、妊娠の経過や今後のことなどを話す良い機会になりました。つわり中は食べ物の好き嫌いが激しくなったため、お店選びが大変でした。
野菜がたくさん食べられる店や、完全禁煙の店を選び、充実した時間を過ごしましたよ。金銭面や健康面を考えると、外食を続けることはおすすめできませんが、外食ランチは筆者にとっては貴重なリラックスタイムでした。
妊娠してから食の好みが変わり、無性に脂っこいものやカロリーが高いものを食べたくなりました。普段は行かない焼肉店にも、妊娠中は何度か足を運びました。外食でカロリーを摂り過ぎてしまったと思ったら、翌日は身体を多めに動かしたり、野菜中心の食事をとったりして体重が急激に増えないようにしていました。
外食は栄養やカロリーに注意して楽しもう
妊娠中はバランスの取れた食事を自炊して食べることが一番ですが、たまには外食を楽しむのも良いですよね。仕事の都合などで週に何度も外食に頼らざるを得ない人もいるかもしれませんが、できるだけ偏りなく栄養を摂れるようなメニューを選ぶように心がけたいものです。
外食をするときは、塩分やカロリー、生ものなどに注意しましょう。また、臨月に入ったらなるべくひとりで外食するのは控えたほうが良いでしょう。ストレス解消や気分転換のために、妊娠中も外食を上手に利用したいですね。
※この記事は2023年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。