妊婦の身体に良い食事・食生活とは?おすすめの献立やレシピ、食事量、注意したい食べ物を解説
妊娠中は、ママの健康や赤ちゃんの発育のために食事に気を遣う必要があります。どのような食事のとり方が理想なのでしょうか。妊娠中におすすめの献立やレシピ、妊婦さんに必要なカロリーや食事量について解説していきます。食生活を見直して、健康的なマタニティライフを目指しましょう。
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目次
妊婦の身体に良い食事・食生活とは?
妊娠中は、お腹の赤ちゃんのさまざまな器官が作られます。赤ちゃんはママの胎盤を通して、栄養や酸素を受け取ることで日々発育しているのです。ママは自分の健康と赤ちゃんの健やかな成長のために、栄養バランスを意識した食事を心がけたいものですね。
妊娠中は、ママの循環血液量が増えるために、鉄分を意識して摂っていく必要があります。骨や歯の形成に関わるカルシウムも、摂取量が不足している人が多い栄養素です。また、妊娠初期では神経管の形成に関わる葉酸を摂ることも大切になります。他にも炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素を普段の食事でバランス良く摂取していけると良いですね。
メニューを考えるときは、炭水化物がメインとなる「主食」、肉や魚などのタンパク質が豊富な「主菜」、野菜やきのこ、海藻類を利用した「副菜」、第二の副菜となる「汁物」を毎食揃えるのが理想的です。
乳製品や果物を加えても良いですね。調理法や味つけ、食材はなるべく重ならないようにしましょう。さまざまな栄養を食事から摂るために、欠食や外食、偏食は避けたいものです。朝ごはんも大切な一食です。間食は、不足しがちな栄養を補えるものが良いでしょう。
妊婦の適正な食事量は?
ママはお腹に赤ちゃんがいる状態でも、ふたり分の量を食べる必要はありません。妊娠中に一日に摂るべき必要エネルギーの付加量は、妊娠初期で50kcaL、妊娠中期で250kcaL、妊娠後期で450kcaLとなります。(※1)
妊娠初期は意識して食事をたくさん食べる必要はないかもしれません。逆に、妊娠後期になると一食分程度のカロリー摂取をプラスする必要があるということになります。妊娠していない18歳~49歳の女性で、普通の活動レベルの場合、必要な一日のエネルギー量は1,950kcaL~2,000kcaLほどです。目安にしてみてください。
ママの活動レベルや体重によって、必要なカロリー量は変わってきます。つわりが終わって食欲が旺盛になり、体重管理が必要になるママも多いようです。体重が急増すると、妊娠高血圧症候群などのリスクが高くなります。体重管理が気になるママは、医師や助産師、栄養士に個別に指導してもらうと良いですよ。
妊婦におすすめの献立やレシピは?
和食は栄養バランスが優れた料理といわれています。ただし味つけに気をつけないと塩分が多くなりがちです。減塩に努めましょう。大まかで構わないので、一週間の献立表を作っておくと、栄養管理が楽になりますよ。献立が思いつかないときは、本やブログを参考にしてみても良いですね。
小松菜とチーズの卵焼き
■材料
・小松菜
・スライスチーズ
・卵
・砂糖、塩
■作り方
1.小松菜をサッと茹で、1cm程度に切る
2.ボウルに卵を割りほぐし、小松菜、砂糖、塩を入れて混ぜる
3.卵焼き用のフライパンに2.の3分の1を流し入れ、半熟状になったらスライスチーズを乗せて巻く
4.残りの卵液を流しいれて巻き、卵液がなくなるまで繰り返す
■コツ・ポイント
鉄分や葉酸が豊富な小松菜と、カルシウムが豊富なチーズを合わせた卵焼きです。チーズの風味があるので、糖分と塩分は控えめにしておきましょう。お弁当に入れてもおいしいですよ。
あさりの牛乳味噌汁
■材料
・あさりの水煮缶
・だし汁
・味噌
・牛乳
■作り方
1.鍋にだし汁とあさりの水煮を汁ごと入れる
2.沸騰間際に味噌を溶き入れる
3.最後に牛乳を加えて火を止める
■コツ・ポイント
あさりは鉄分の豊富な食材です。殻つきのあさりも良いですが、砂抜きや殻出しが面倒なときにはあさりの水煮缶を使うと便利ですよ。栄養と風味がある汁ごと入れるのがおすすめです。牛乳とだし汁は、牛乳:だし汁(あさりの缶詰の汁含む)の比率が1:2ぐらいになるように入れてください。味噌と牛乳は意外に相性が良く、味がまろやかになります。牛乳は、はじめは入れる量を少なめにして様子をみながら足していくようにしましょう。牛乳を加えた後は、沸騰させないようにすることがポイントです。
じゃこと枝豆のトースト
■材料
・じゃこ
・スライスチーズ
・枝豆
・食パン
■作り方
1.食パンにチーズを乗せ、じゃこと、さやから出した枝豆をその上に乗せる
2.焦げ目がつくまでトースターで焼く
■コツ・ポイント
じゃことチーズでカルシウムをたっぷり摂れます。枝豆は、ビタミンやタンパク質、葉酸などが豊富な優秀な食材です。忙しい朝でも、パンに乗せて焼くだけでさまざまな栄養が摂れますね。カロリーをプラスしても大丈夫な場合は、マヨネーズを乗せてもおいしいですよ。
妊娠中におすすめの食べ物、注意すべき食べ物は?
貧血のとき
貧血のときは、タンパク質や鉄分、ビタミンCや葉酸の摂取が重要になります。良質のたんぱく質は、肉、魚、大豆製品、乳製品などに含まれます。身体に貯蔵しにくい性質のため、タンパク質とビタミンCはこまめに摂取しましょう。
鉄分は肉や魚介類に多く含まれるヘム鉄と、葉野菜や乳製品に含まれる非ヘム鉄をバランス良く摂っていきましょう。鉄分は、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に食べると吸収率が高まるといわれています。
また、正常な赤血球を作るためには、ビタミンB12や葉酸も必要となります。ビタミンB12が多い食べ物は、レバー類や貝類です。葉酸はほうれん草やブロッコリーに多く含まれています。緑茶や紅茶に含まれているタンニンは鉄の吸収をさまたげる効果があるため、食事中に渋いお茶を飲むのは避けたほうが良いでしょう。
便秘のとき
妊娠中はホルモンの影響で、便秘に悩む人が多いといわれています。便秘の解消には食物繊維を適切に摂取することが大切です。食物繊維は便量を増して、排便のリズムを整えてくれる効果があります。食物繊維を多く含む食べ物は、緑黄色野菜やごぼう、さつまいも、大豆などです。
適度な脂質も大切です。脂質に含まれている脂肪酸が大腸を刺激することがあります。牛乳やヨーグルト、梅干、りんごなどは有機酸を多く含み、便秘の改善に役立ちます。また、食事量が過度に少ないと便秘の原因となることがあります。便を軟らかくする水分も必要です。冷たい水や牛乳などは腸を刺激するため、一気に飲むことはせず食事と一緒に少しずつとるようにしましょう。
高血圧が気になるとき
高血圧が気になるときは、摂取カロリーや食塩の過剰摂取に注意して、バランスの良い食事を心がけましょう。食塩の摂りすぎは、血圧を上げる要因のひとつです。調理に使う塩は一日に6g未満にして、減塩を目指したいですね。
ハムや干物などの加工品を避け、なるべく生の食材から調理すると良いでしょう。味つけは、だしを効かせることも大切です。外食や惣菜は、塩分が高くなりがちなので避けたほうが良いですね。
肥満も高血圧のリスクを高めます。食生活を見直して、糖分や油脂が多い食事は減らしましょう。エネルギーの過剰摂取に注意して、適正な体重を維持することも大切です。よく噛んでゆっくり食べると満腹感が得やすいですよ。
高血糖が気になるとき
妊娠中は、生理的に血糖値が高くなるといわれています。これまで血糖値が正常だったママも、妊娠糖尿病となる可能性があるため、注意が必要です。血糖値を下げるためには、まずは適正なエネルギー量の食事をとることが大切です。
適正なエネルギー量は年齢や体重、運動経験などによって一人ひとり違うため、自分に適した食事量を医師に相談すると良いでしょう。また、まとめ食いは高血圧の原因となることもあるので、一日三食規則正しく食べることが大切です。
お菓子など糖分の多い食べ物を控え、満腹感を得やすい食物繊維が多い食べ物をとることが理想です。野菜を使ったスープやサラダなどがおすすめです。血糖値が上がりにくい大豆や大麦、ピーナッツなどの「低GI(※)」の食品も良いでしょう。
(※)GI:グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略語。摂取した食品が身体の中で糖に変化し、血糖値を上昇させる速さのこと。↩
尿蛋白が気になるとき
妊婦健診では毎回尿検査が行われますが、その際、尿に蛋白(たんぱく)が見つかる場合があります。尿蛋白は腎臓の働きが悪いときに出るといわれています。腎臓は血液をろ過し、血圧を調整する大切な器官です。妊娠中、基準以上の尿蛋白と高血圧を発症すると「妊娠高血圧腎症」と診断されることがあります。
高血圧を伴わない軽度の尿蛋白量であれば、基本的には正常な妊婦と同じような扱いになります。蛋白尿そのものには治療方法はないため、普段の食事で腎臓に負担をかけないように予防する必要があります。塩分は腎臓から排泄されるため、過剰摂取しないように気をつけましょう。
カップラーメンは塩分が多いため、なるべく避けたほうが良いでしょう。どうしても食べたいときは、汁を飲まないように注意すると良いですね。症状によってはタンパク質やカリウムを制限したほうが良いこともありますが、妊娠中に必要な栄養でもあります。自分だけで判断せず、まずは医師に相談してみましょう。
風邪気味のとき
「これを食べると風邪がすぐ治る」というような即効性のある食べ物はありません。まずは予防することが大切です。それでも風邪をひいてしまったときは、栄養バランスが良く、消化の良いものを食べることがおすすめです。発熱している場合、熱を下げるために汗をかきやすくなるため、水分はこまめに補給しましょう。水分をしっかりとると鼻や喉の粘膜の乾燥を防ぐ効果もあります。塩分と糖分を含んだイオン飲料や、身体を温める白湯でも良いでしょう。
免疫力を高めるビタミンCも積極的に摂りたい栄養素です。イチゴやパセリ、みかんなどに豊富に含まれています。粘膜を強化するβ-カロチンも大切ですね。大葉や人参などに多く含まれます。きのこ類には、白血球の働きを活性化させるβ-グルカンが多く含まれています。また、疲労を回復する効果があるビタミンB1も摂りたいところです。
お鍋はさまざまな食材を手軽に食べることのできる料理です。きのこや豚肉、野菜を入れて、くったりするまで煮込みましょう。 消化にも良く、身体を内側から温めてくれますよ。自分で料理をするのがつらいときは、パートナーや家族にお願いしてみましょう。赤ちゃんを第一に考えて、しっかり栄養と休養をとりたいものですね。
妊娠中の食事制限・食事指導とは?
妊娠中、基準を超える体重の増加や高血圧の症状が診られた場合、産院から食事制限や食事指導を受けることがあります。食事療法によって、健康的な妊娠生活を送ることが目的です。適切な食事量、栄養指導、調理法やダイエット方法などについて、プロフェッショナルのアドバイスをもらうことができます。
食事制限があっても、好きなものを食べてはいけないわけではありません。症状によっては、間食などを禁止されることもありますが、食事と栄養への理解を深める機会でもあります。医師や栄養士の管理のもと、楽しく食べながら出産のリスクを減らすことができると良いですね。食生活の改善につながるため、自分から積極的に栄養指導を受けるママもいます。
妊娠中期の16週から20週の健診のあいだに体重が3kg近く増えてしまい、食事指導を受けました。まず医師に驚かれてしまい「何かあったんですか?」と聞かれました。心当たりは焼き肉でした。遠方の親戚に久しぶり会う機会があり、お祝いモードでたらふくごちそうになったのです。仕事を辞めて家にいる時間が増え、無意識のうちに間食が増えていたのも良くなかったようです。妊娠した時点で自分の標準体重より低かったので油断していたところもあると思います。
医師に焼き肉のことも含め率直に状況を話したところ、自分の食べたもの・飲んだものをすべてノートに記録する方法をすすめられ、実践しました。助産師さんにノートの内容を見てもらい「この時期に体重が急激に増えたのは塩分の摂り過ぎが原因かも」と指摘され、好物のぬかづけや味噌汁を控えるようにしました。22週までに1kg減り、24週で妊娠20週時の体重に戻り、それ以降は出産まで問題ありませんでした。
妊娠中、こんなときの食事はどうする?
妊婦健診の日
妊婦健診の日であっても、朝ごはんはできるだけ食べたほうが良いでしょう。三食をしっかり食べることが、適切な栄養摂取につながります。体重計測や尿検査の結果を気にして食事をとらないと、後でお腹が空いて食べ過ぎてしまうこともありますし、産院が正しい指導をできないこともあります。
何時間前までなら食べても大丈夫という明確な基準はありませんが、血液検査があるときは、検査の二時間前には朝ごはんを終えておくと良いでしょう。
以下が妊婦健診前の食事例です。メニューの参考にしてみてくださいね。
・ヨーグルトをかけたグラノーラ
・小さめのおにぎりと野菜味噌汁
・チーズトーストとサラダ
適切な量と栄養バランスを意識すると良いでしょう。
結婚式
妊娠が判明した後、結婚式に招待されることもあるでしょう。妊婦さんは披露宴での豪華な食事を前に、どんなことに注意すれば良いのでしょうか。
体重管理が必要なママは、適切な量を食べるようにしましょう。また、できるだけ生の食べ物は避けたほうが良いですね。気をつけたいのは以下のような料理です。
・ローストビーフ
・レアステーキ
・肉や魚のパテ
・お刺身
・フレッシュチーズ
アルコール類も厳禁です。事前に招待してくれた相手に伝えておけば、妊婦に適した食事にしてもらえることがあります。新郎新婦には、妊娠していることを伝えておいたほうが良いでしょう。お腹が張ったときなどに備えて、休める場所を確保しておくと安心ですよ。
妊娠中の食事・食べ物に関する体験談
妊娠中、筆者は血圧は低かったのですが尿に蛋白が出ていました。原因がわからず、タンパク質を控えたほうが良いのかを相談したところ、むしろ積極的に摂取しても良いと医師に言われてびっくりしました。その後、お肉やお魚を積極的に食べていたら、尿蛋白は治まりました。
自分の判断で食事制限をしなくて良かったかもしれません。同じ尿蛋白でも、他の数値や症状によって、食べたほうが良いものは違うようです。個人で頑張る前に、まずは栄養士や医師に相談してみると良いと思います。栄養指導を受けるとレシピの幅が広がりますし、さまざまな知識がつくので料理が楽しくなりますよ。
妊娠中のこむらがえり対策にカリウムが豊富なバナナが良いと耳にし、妊娠初期からバナナを毎日食べていました。バナナが特別好きなわけではなかったので、よくバナナスムージーを作って飲んでいました。小松菜適量、バナナ1本、ハチミツ、牛乳をミキサーで回して簡単に作ることができます。個人差があると思いますが、バナナを毎日食べていたおかげか、妊娠中は足がつることが一度もありませんでした。
野菜を適当にカットしたものを常備して、レンジでチンしてスープや温野菜サラダにして食べていました。「外食や中食はカロリーが高い」と病院から言われていたので、昼は簡単なお弁当を作って会社に持参していました。
妊娠中は、野菜ジュースを箱買いして栄養摂取に励みました。便秘にも悩んでいたので、鉄分と葉酸が入ったプルーンの飲むヨーグルトもよく買って飲んでいました。
病院からとくに細かい食事制限はありませんでしたが、水銀を摂取しないよう厳しく言われていました。
栄養をバランス良く摂って健やかなマタニティライフを
妊娠中は、さまざまな栄養をバランス良く摂取するのが理想です。妊娠期間が進むにつれ、必要なエネルギー量は増えますが、カロリーの摂りすぎには注意が必要です。体重が増えすぎると、高血圧や難産の原因となることもあります。栄養面が不安なときは、医師や栄養士に相談してみましょう。不足しがちな栄養を普段から意識し、飽きないように工夫して、妊娠中の食事を楽しめると良いですね。