【産婦人科医監修】妊婦はビタミンAの過剰摂取に注意!上限量や注意すべき食べ物、上手な摂り方を紹介

レバーや緑黄色野菜に多く含まれるビタミンAは、ママの肌や目を健康的に保ち、赤ちゃんの発育にも欠かせない大切な栄養素です。しかし妊娠中は、ビタミンAの過剰摂取に注意が必要です。ビタミンAを摂りすぎると赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか。ビタミンAの効率的な摂り方や注意したい食材を産婦人科医監修で解説します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. ビタミンAとは?
  2. 妊娠中、ビタミンAの摂取量に注意すべきなのはなぜ?
  3. 妊娠中は注意!ビタミンAを多く含む食べ物
  4. ビタミンAが含まれた化粧品は使用OK?
  5. ビタミンAの上手な摂り方は?
  6. ビタミンAは不足しても過剰になってもだめ
  7. あわせて読みたい

ビタミンAとは?

ビタミンAとは、油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」のひとつです。ビタミンは体内で作り出すことができないため、食事で体外から摂取する必要があります。脂溶性ビタミンは、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と違って調理工程によって成分が失われにくく、油と一緒に摂取すると吸収率が高まるのが特徴です。

ビタミンAは、視覚や聴覚を正常に保ったり、皮膚や粘膜を健康的に保ったり、赤ちゃんの身体の発育を促したりと、大切な役割を持っています。ママにとっても赤ちゃんにっても、必要不可欠な栄養素といえるでしょう。

ビタミンAには、「レチノール(ビタミンA1)」や「3ーデヒドロレチノール(ビタミンA2)」といった種類があります。レチノールは動物性食品に多く含まれています。また、植物性食品から摂取できる「βーカロテン」や「αーカロテン」などのカロテノイド色素群も、体内でビタミンAに変換されます。これらの合計が摂取量となり、レチノール活性当量(μgRAE)という単位を用いて表されます。

妊娠中、ビタミンAの摂取量に注意すべきなのはなぜ?

ビタミンAは健康上欠かせない栄養素ですが、過剰摂取すると悪影響をおよぼすこともあります。ビタミンAを過剰に摂った場合、腹痛や嘔吐、めまいなどの急性症状が見られることがあります。また、慢性的に骨の痛みや食欲不振、体重減少などが起こることもあるでしょう。

妊娠中にビタミンAを過剰に摂取すると、赤ちゃんに奇形を生じさせる可能性もあるとされています。妊娠初期のママは、赤ちゃんへの影響を考え、推奨量を超えるような過剰摂取をしないように注意しましょう。厚生労働省が定めているビタミンAの推奨量は、成人女性で650~700μgRAE/日です。1日の上限摂取量は2700μgRAE/日となっています。(※1)

野菜から摂取できるβーカロテンなどのカロテノイドは、ビタミンAが過剰になると変換率が減少します。そのため、カロテノイドは摂りすぎても健康上はあまり問題ありません。注意するべきは動物性食品に含まれるレチノールのほうです。うなぎの蒲焼であれば200g、あなごなら300gほどで上限量に達します。レバーのレチノール含有量はとくに多いため、妊娠初期は控えたほうが良いでしょう。

普通の食事はそれほど神経質になる必要はありませんが、サプリメントやビタミン剤を摂取する場合はとくに注意したほうが良いでしょう。上限摂取量を超えないように、摂取回数や量をしっかり守ることが大切です。

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妊娠中は注意!ビタミンAを多く含む食べ物

注意したい動物性食品

ビタミンAが含まれる食品で、注意が必要なのは動物性食品です。植物性食品に含まれるβーカロテンも体内でビタミンAとなりますが、必要量以上は変換されず、排出されるようになっています。海苔などの海藻類、緑黄色野菜、果物にβーカロテンは多く含まれています。

いちごやレモンなどはビタミンCは豊富ですが、ビタミンAはほとんど含まれていません。足りない栄養素によって食べ分けると良いでしょう。あんずやプルーン、柿などの果物にはβーカロテンが含まれています。干したほうがレチノール活性当量が多くなるので、効率的にビタミンAを摂取したいときはドライフルーツを食べてみても良いでしょう。

気をつけたいのは鶏肉や豚肉のレバー(肝臓)です。肝臓というと、焼き鳥などで見る「砂肝(すなぎも)」も気になるところですが、砂肝は肝臓ではなく鶏の消化器官のひとつです。ビタミンAはそれほど多くありません。レバー以外の部位はそれほど気にする必要はないでしょう。

あんこうやうなぎの肝(きも)も注意が必要です。レバーペーストなども避けたほうが良いでしょう。他に、ほたるいかにもビタミンAは多く含まれていますが、一度に大量に食べないかぎりは問題なさそうです。

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ビタミンを強化した食品

それでは、ビタミンAを強化した食品はどうでしょうか。朝食に便利なシリアルの中には、ビタミンAが配合されたものも多くあります。一般的なシリアル類は、一食分のビタミンA量が200μgRE弱程度です。普段通り食べていれば、上限量に達することはなく、摂りすぎを心配する必要はないようです。

手軽に栄養補給ができるカロリーメイトにも、ビタミンAは入っていますね。ブロックタイプのカロリーメイトの場合、一箱(4本)に含まれるビタミンAは225μgREとなっています。1日10箱以上食べなければ、上限摂取量に達しないので安心しましょう。

栄養面を強化した食品は、大量に食べなければビタミンAを摂りすぎる可能性は低いですが、妊娠中はバランス良くさまざまな食材を取り入れるのが基本です。シリアル類だけを食べるような偏った食生活は避けたほうが良いですね。

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ビタミンAが含まれた化粧品は使用OK?

ビタミンAが使われた化粧品は、数多く販売されています。ビタミンAは皮膚の潤いを保つ働きがあるため、しみやしわをケアするスキンケア用品に利用されることがあります。美容クリニックで「レチノールクリーム」を処方してもらうこともあるでしょう。妊娠中にビタミンA配合化粧品の使用は、避けたほうが良いのでしょうか。

一般的に、皮膚から体内に吸収される成分量は、ごくわずかだといわれています。しかし影響はゼロではないため、妊娠中や妊娠を希望する人はレチノールの使用を避けたほうが良いとしているクリニックもあるようです。また、妊娠すると皮膚のコンディションが急に変化して、かぶれやすくなったり、荒れたりすることもあります。できれば刺激の少ないものを選びたいところです。

食事でビタミンAを多く摂りがちな人は、レチノールクリームやビタミンAが配合されたローションは避けたほうが良いかもしれませんね。どうしても使用したいときは、皮膚科に妊娠を伝えたうえで相談してみましょう。

ビタミンAの上手な摂り方は?

ビタミンAは、野菜から摂れば過剰摂取の影響が少ないといわれています。βーカロテンが豊富な緑黄色野菜を中心に摂取してみましょう。脂溶性ビタミンは油と一緒に摂ると吸収率が上がるため、小松菜や人参を油で炒めたり、かぼちゃの天ぷらにしたりしても良いですね。ほうれん草のバター炒めなら、鉄分も一緒に摂ることができます。

体重管理が気になるママには、野菜ジュースもおすすめです。ビタミンCや食物繊維などの成分は、ジュースにする際の工程で減少してしまいますが、野菜の色素であるカロテノイドはほとんど失われません。

とくにβーカロテンは生の野菜よりも加工品のほうが吸収率が良いといわれています。加熱するだけでも吸収率が上がるので、ミキサーに入れる前に一度野菜を茹でると良いでしょう。人参を使ったジュースは甘みが出て飲みやすいですよ。

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ビタミンAは不足しても過剰になってもだめ

ビタミンAは、肌や目の健康に必要不可欠な栄養素のひとつです。うなぎやレバーなどの動物性食品、緑黄色野菜などに多く含まれています。しかし過剰摂取すると、ママの体調を悪化させたり、赤ちゃんの奇形につながったりする可能性があるといわれています。

動物性食品やサプリメントなどからビタミンAを摂るときは、1日の推奨量を超えないように注意しましょう。いろいろな栄養素をバランス良く摂って、健康的なマタニティライフを目指したいものですね。

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