妊婦の栄養不足に注意!栄養指導の体験談&摂取量の目安・レシピアイデア

お腹の中で赤ちゃんを育てる妊婦には栄養が必要だといいますが、どのような栄養がどれくらい必要かはわからない人が多いのではないでしょうか。ここでは、妊婦が不足しがちな栄養素や摂取量の目安、栄養指導の体験談などを紹介します。手軽に栄養をプラスできるアイデアも紹介しているので、参考にしてくださいね。

148161

本ページはプロモーションが含まれています

この記事の監修

片村 優美
管理栄養士
片村 優美

目次

  1. 妊婦の栄養不足に注意しよう
  2. 妊婦の栄養指導とは?(体験談あり)
  3. 妊婦の栄養摂取量の基準
  4. 妊婦が不足しがちな栄養素・成分を含む食べ物
  5. 妊娠中はレシピ・献立を工夫して栄養補給しよう
  6. 栄養バランスの取れた献立を考えよう

妊婦の栄養不足に注意しよう

栄養不足が健康障害を引き起こすことがある

お腹の中の赤ちゃんは、ママが摂取する栄養を取り入れて大きくなっていきます。ママの食生活が偏り栄養が不足していると、赤ちゃんの発育やママの体調に悪影響をおよぼすことが考えられます。

たとえば、妊娠中は赤ちゃんが発達するために多くの鉄分が必要です。そのため、妊婦は貧血になりやすく息切れなどの鉄欠乏性貧血になることがあります。赤ちゃんとママ両方が健康に過ごせるよう、バランスの良い食生活を心がけたいですね。

過度のダイエットによる栄養失調が低出生体重児の原因になることも

低出生体重児とは、出生時の体重が2,500g未満の赤ちゃんのことです。低出生体重児が生まれる原因はさまざまですが、赤ちゃんへの栄養不足が原因になることもあります。食事をほとんど食べないなど、妊娠中に急激なダイエットをした場合は赤ちゃんの発育に悪い影響が出るかもしれません。

低出生体重児は、身長や体重の発達が遅いだけでなく、成人後にメタボリックシンドロームになりやすいなど将来的な健康上のリスクも高いといわれています。赤ちゃんへのリスクを少しでも避けるために、妊娠中は十分に栄養を摂取しましょう。

妊婦の栄養指導とは?(体験談あり)

妊婦の体重増加に問題があるときに行う

妊婦は、体重を身長の2乗で割ったBMIを基準に体重の増加量が決まります。体重の増加量が決まっているのは、赤ちゃんとママの健康を守るためです。基準を超えて体重が増加すると、妊娠高血圧症候群や妊婦糖尿病のリスクが高まり、体重が増加しない場合は赤ちゃんへの栄養が不足する恐れがあります。そのため、妊婦健診で体重を測定して妊婦に指導の必要があると医師が判断すると、管理栄養士による栄養指導が行われるのです。

栄養指導の内容は食生活の記録など

妊婦への栄養指導の内容は、どのようなものなのでしょうか。実際に栄養指導を受けた方の体験談を見てみましょう。

先輩ママの体験談「妊娠7ヶ月ごろに一度指導を受けた」

妊娠7ヶ月ごろに一度だけ一気に体重が増えてしまい、栄養指導を受けたことがあります。まずは妊娠中の食事で注意することの説明を受け、1週間分の食事の内容を紙に記録するように指示されました。私の場合は、次の妊婦健診時に食事内容を栄養士さんと振り返り、良い点・悪い点の説明を受けて指導は終了しました。

ママの健康状態や体重、栄養士によって栄養指導の内容は異なる可能性がありますが、栄養指導では食事内容のチェックがあります。食事内容をチェックされるとなると、少しプレッシャーを感じてしまうかもしれません。しかし、どの食材にどんな栄養素が含まれているかは栄養学の知識がないとわかりにくいものです。しっかり栄養指導を受けましょう。

妊婦の栄養摂取量の基準

厚生労働省の摂取量に基づきバランスの良い食事を

厚生労働省では、健康な生活を送るために必要な栄養摂取量を定めています。妊婦は、妊婦自身の身体だけではなく赤ちゃんへの栄養も必要なため、基準の摂取量に付加して摂取しなければならない栄養素があります。付加して摂取が必要な栄養素は、以下の通りです。(※1)

妊婦に必要な栄養素

・たんぱく質
・ビタミンA
・ビタミンB1
・ビタミンB2
・ビタミンB6
・ビタミンB12
・葉酸
・ビタミンC
・マグネシウム
・鉄
・亜鉛
・銅
・ヨウ素
・セレン

特定の栄養素を多く摂取することだけを意識してしまうと、栄養が偏ってしまうかもしれません。栄養素を意識しながらも、バランス良く食べるようにしましょう。

妊娠週数で摂取量が異なる栄養素に注意

たんぱく質とビタミンA、鉄は妊娠初期・中期・後期で付加して摂取する量が異なります。摂取が必要な量は以下の通りです。(※1)(※2)

栄養素女性(非妊婦)の推定平均必要量妊婦が付加する推定平均必要量
たんぱく質(g/日)18~29歳 40 30~49歳 40初期 +0 中期 +5 後期 +20
ビタミンA(μgRAE/日)18~29歳 450 30~49歳 500初期 +0 中期 +0 後期 +60
鉄(mg/日)18~29歳 月経なし 5.0       月経あり 8.5 30~49歳 月経なし 5.5       月経あり 9.0初期 +2.0 中期 +12.5 後期 +12.5

女性(非妊婦)の推定平均必要量は年代によって数値が異なりますが、付加量は妊婦で一律の量です。たんぱく質、ビタミンA、鉄、どの栄養素も妊娠初期は付加量が少ないですが、後期になると付加量が多くなっています。バランス良く食べることが前提ですが、妊娠後期にはたんぱく質、ビタミンA、鉄を意識して摂取すると良いでしょう。

葉酸は妊娠初期だけでなく中期・後期も必要

葉酸は水溶性ビタミンの一種で、妊婦さんにとってなくてはならない栄養素のひとつです。葉酸の推定平均必要量は以下の通りです。(※1)(※2)

栄養素女性(非妊婦)の推定平均必要量妊婦が付加する推定平均必要量
葉酸(μg/日)18~29歳 200 30~49歳 200+200

ただし上記は、おもに妊娠中期以降の女性にあてはまる基準です。

厚生労働省は、妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月頃までの妊娠中の女性については、普段の食事とは別にサプリメントなどから400μgの葉酸を摂取することを推奨しています(※3)。妊娠初期は、妊娠していることに気がつかないこともあるので、妊活中の女性も摂取が勧められています。

葉酸は、妊娠前あるいは妊娠初期に適正な量を摂取していると、胎児の先天異常リスクを下げるとされています。また、貧血防止にも役立つ栄養素です。妊娠後期は、貧血に悩まされる妊婦は多いものです。過度に葉酸を摂取する必要はありませんが、妊娠初期だけでなく後期まで継続して葉酸を摂取すると良いですね。

妊婦が不足しがちな栄養素・成分を含む食べ物

健康な妊婦生活を送るためには、さまざまな栄養素を毎日摂取する必要があります。しかし、どの食品にどのような栄養素が含まれているかは、なかなか把握しづらいのではないでしょうか。妊婦が不足しがちな栄養素・成分を含むおもな食べ物は以下の通りです。

不足しがちな栄養素・成分(例)栄養素・成分を含む食べ物(例)備考
葉酸パセリ・わかめ・枝豆・マンゴー・ほうれん草・春菊など赤ちゃんの神経管閉鎖障害に対して効果が期待できる
DHA・EPAサバ・ブリ・サンマ・アジ・マイワシなど赤ちゃんの脳の発達をサポートする
カルシウム桜えび・ごま・チーズ類・牛乳など日本人女性はカルシウム不足が指摘されている
鉄分あさり・ピュアココア・あおのり・きくらげ・あゆ・しじみなど妊娠中期・後期に妊娠前の2倍必要になる(※2)、貧血予防としても

その他にも、妊娠後期には便秘に悩む妊婦が多いため、食物繊維を多く含む納豆や乳酸菌を含むヨーグルトも食事に取り入れると良いでしょう。柿やスイカ、梨などのフルーツにはビタミンCが含まれていますが、糖分を摂りすぎてしまったり、身体が冷えてしまったりするため注意が必要です。

また、妊娠初期にビタミンAを摂りすぎると胎児に対する先天異常のリスクが高まることがわかっています。妊娠初期には、ビタミンAを多く含むレバーやビタミンAのサプリを大量に摂取することは避けましょう。

妊娠中はレシピ・献立を工夫して栄養補給しよう

献立は主食・主菜・副菜を意識

主食・主菜・副菜をできるだけ毎日食べるようにしましょう。特にパンやご飯などの主食は、身体のエネルギーになる大切な栄養素を含んでいるので、しっかり食べましょう。パンやご飯などの糖質に抵抗がある方は、玄米や雑穀米、ライ麦パンなどを選べば血糖値が上がりにくいですよ。

肉や魚などの主菜とサラダや味噌汁などの副菜も、バランス良くとることが望ましいです。主菜は、大量にとりすぎると摂取カロリーが多くなってしまうことがあります。適量を食べるように心がけましょう。副菜にはほうれん草やわかめなどを取り入れると、妊婦に不足しがちな栄養素を補えますよ。

いつものレシピに常備食材を追加

主食・主菜・副菜を毎食用意するのが理想ですが、パスタやうどんなど主食しか用意できないときもありますよね。そのようなときは、栄養豊富な食材を主食にプラスしてみましょう。うどんであれば、たんぱく質が豊富なかつお節や、葉酸やカリウムを多く含むわかめをプラスします。パスタであれば、ちりめんじゃこやツナ缶をプラスしても良いかもしれません。

乾物や缶詰は日持ちがするため、まとめて買っておくと使いまわせて便利ですよ。楽をできるところは楽をして、無理のない範囲でバランスの良い食事を目指しましょう。

栄養バランスの取れた献立を考えよう

赤ちゃんは、ママが食べたものから栄養素を取り入れて成長していきます。赤ちゃんのためにも、献立を考える際には栄養について少し意識してみてはいかがでしょうか。乾物や缶詰など、手軽に栄養をプラスできるものをうまく活用しながら、栄養バランスの良い食事をとるようにしましょう。