【助産師・保育士監修】妊婦の旅行はいつまでOK?注意点は?おすすめスポットから持ち物までマタ旅を徹底解説
安定期に入り、旅行を計画する妊婦さんもいることでしょう。マタニティ旅行(マタ旅)では何に注意すると良いのでしょうか。妊娠中の旅行のリスクや旅行に適した時期、飛行機や新幹線など移動の注意点、海外旅行は避けたい理由など、知っておきたい注意点を解説。関東や沖縄など国内のおすすめの旅行先、おすすめ持ち物・コーデも紹介します。
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目次
正しい知識で妊娠中の旅行のリスクを知ろう
子どもが生まれる前に思い出作りをしたい、妊娠中のストレスを旅行で解消したいなどと考える妊婦さんは少なくなく、妊娠中に旅行に行くいわゆる「マタ旅」を考える方もいることでしょう。
マタ旅に関しては、専門家のあいだでも賛否両論があります。「流産するかもしれない」と過度に怖がる人も、「危険性はない」と楽観視する人もいる中、大切なのは正しい知識を持って計画することです。
妊娠中の旅行で考えられるリスクは以下のようなものです。
・環境の変化や移動などによる身体への負担
・トラブルがあっても医療機関にすぐに行けない
・急な破水、陣痛
・感染症対策
リスクに備えて、医師に相談したり、事前に調べたりしておきましょう。計画を立てた上で不安が残るようなら延期しても良いですし、旅行以外の選択肢を考えても良いですね。
妊婦が旅行へ行ける時期はいつからいつまで?
安定期だから安心とはいえない
妊娠中の旅行においては、いつからいつまでの時期なら大丈夫という決まりはありません。安定期である妊娠5ヶ月以降に旅行する人が多いようですが、安定期だからといって絶対に安全なわけではないのです。
妊娠中は、どの時期でも体調に変化が起こりやすいものです。国内外を問わず、旅行するときは妊娠中だということを忘れず、ママの身体を第一に考えて行動しましょう。
妊娠初期(妊娠2・3・4ヶ月)
妊娠初期は、つわりなど妊娠特有のマイナートラブルが多く、まだお腹が目立たないため周囲から特別な注意を払われないことが一般的です。可能であれば遠方への旅行は避け、身体の調子を整えたほうがベターでしょう。旅行に行くのであれば近場に限定し、ゆったりとしたスケジュールを組みましょう。
妊娠中期(妊娠5・6・7ヶ月)
安定期に入ると、ママはこれまでの反動で活動的に動いてしまいがちです。妊娠中期の旅行では、歩き過ぎや食べ過ぎに気を付けて、いつもより十分に休憩を取るように心がけましょう。旅行に行く際は、体調が良くても事前に医師の指示を仰ぎましょう。自己判断はしないでくださいね。
妊娠後期(妊娠8・9・10ヶ月)
妊娠後期になってくると出産予定日が近づき、いつ陣痛や破水が起こるかわからない状況です。お腹の大きさや重みも増して、活発には動けなくなるでしょう。身体のバランスが崩れやすいので、転倒にも注意が必要です。
10ヶ月に入ってからの移動は危険です。旅先で入院、出産となる可能性があります。ただの「旅行」であるなら中止したほうが無難でしょう。
臨月になると、飛行機に乗るときに医師の診断書や同意書が必要となることもあります。出産予定日7日以内に搭乗する場合は医師の同伴が必要となることに注意しましょう。
旅行の行き先・時期の注意点
旅行の行き先を選ぶときは、遠過ぎず、疲れにくい場所を選びましょう。自然が豊かな場所は見どころがありますが、景色を見るために長時間歩いたり、過酷な山登りをしなくてはならなかったりする場合があります。天気が崩れやすい時期であれば、屋内で観光できる施設がある場所が良いでしょう。
気温にも注意が必要です。冬は暖かい南のほう、夏は涼しい北のほうなど、季節によって場所を選ぶと良いですね。妊娠中は感染症などの心配があるため、人込みはなるべく避けたほうが良いといわれています。人が多くなる繁忙期の旅行はなるべく控えましょう。
温泉に入っても胎児に影響はない
ひと昔前は、妊婦に温泉は禁忌とされることが多かったようですが、その見解に医学的な根拠はないことが明らかになってきました。
浴室で滑ると危険であるとか通常よりのぼせやすいとか、自分で注意することが必要ではありますが、温泉自体がNGという判断はされなくなってきています。国の指針の中でも「妊婦は温泉NG」に関しては見直しが行われ、項目が削除されています。
足元の滑りやすさやのぼせやすさに十分注意すれば、温泉でのんびりすることは妊娠中のストレス解消につながります。夫婦でのんびり過ごすのにも良さそうですね。
ただし、温泉の成分によっては妊娠中が禁忌症(温泉入浴や飲用によって悪影響をきたすおそれがある病気や症状)となっている場合もあります。事前に確認しておくと良いでしょう。
妊娠中の海外旅行がおすすめできない理由
妊娠中は、なるべく海外旅行は避けたほうが良いといわれています。万が一何かあった際、海外の医療施設では対応できないことがあるからです。その場で健康保険証が利用できず、医療費が高額になる可能性もあります。
健康保険に加入し、受診したときの明細書や領収書などの必要書類が揃っており、その診療が保険範囲内と判断されれれば、帰国後に「海外療養費」として申請をすることが可能です。しかし、保険適用にはさまざまな条件があり、出産になった場合は保険が使えません。
国内旅行に比べて移動距離が長く、ママの身体に負担がかかります。言葉や文化の違いなど、通常よりもストレスがかかる可能性もあるのです。
赤ちゃんとママのことを第一に考えるのであれば、海外旅行は計画を立て直したほうが良いでしょう。どうしても行かなくてはならない理由があるときは、事前に担当の医師としっかり話し合っておきましょう。
お得なマタニティプランがあることも!ホテル・宿の選び方
旅行に何を求めるかによって宿の選び方は変わってきます。ホテルでの滞在をゆっくり楽しみたいのであれば、プールや温泉のある豪華なホテルを選んでも良いでしょう。観光をメインにするのであれば、シティホテルなどでも良いですね。
観光地では最近マタニティプランを用意する宿も増えています。マタニティプランは、ママたちがゆっくりリラックスして過ごせるように工夫されています。ウェルカムドリンクがノンカフェインだったり、料理も細かい注文に応じてくれたり、マタニティウエアが用意されていたりと至れり尽くせりですよ。
妊娠中は体調不良が起こりやすいことから、近場の病院の紹介を行っている宿やキャンセル料がかからない宿もあります。この時期だけの特典なので、マタニティプランがある宿を探してみても良いでしょう。
駅や空港を利用する場合はそこから近い宿を選ぶなど、移動の負担はなるべく減らすようにしたいですね。ただし、ホテルや旅館によっては、妊婦をお断りするところもあります。事前にHPや電話などで確認しておくと良いでしょう。
妊婦におすすめの乗り物・避けたほうが良い乗り物
妊婦さんが絶対に乗っていはいけない乗り物はありませんが、お腹が大きい場合は、転倒しやすい自転車やバイクは避けたほうが良いでしょう。新幹線やバスは、何かあったときにすぐに病院へ行くことが難しいかもしれません。フェリーやクルーズ船も、数日乗るものなどすぐに病院へ行けない場合は、妊婦さんは避けたいところです。
可能であれば、自家用車での移動が良いでしょう。飛行機も閉鎖された空間ですが、事前に航空会社に妊娠中であることを連絡しておけば、さまざまなサービスを受けることができます。遠距離の場合、車で長時間かけて移動するのか、飛行機で短時間で済ますのか、ママの体調を考えて決めると良いでしょう。
【国内】マタニティ旅行におすすめのスポット7選!
国内旅行で妊婦さんに人気のスポットをいくつか紹介します。旅行の行き先を決める際は、移動距離や気候、体調などのコンディションを十分に考慮したうえで判断しましょう。
万が一のことが起こった場合に備え、近くの病院や移動手段も調べておく必要があるでしょう。ひとりの身体ではないことをしっかりと念頭に置き、後悔のない旅行にしたいですね。
1.伊勢・志摩(三重県)
江戸時代の庶民の憧れといえばお伊勢参りでした。今でも国内外含め、多くの人が訪れる一大観光地となっています。おかげ横丁で地元グルメを堪能しても良いですし、伊勢神宮で安産祈願をするのも良いですね。伊勢神宮内には「子安神社」という安産祈願スポットがありますよ。
2.東京ディズニーリゾート(千葉県)
妊婦さんは乗れるアトラクションが限られますが、ショーを観たり、パークをお散歩したりするだけでも楽しいですよね。ディズニーリゾートホテルはコンセプトがしっかりしているので、ホテルで滞在するだけでも楽しい気分を味わえます。マタニティサービスを受けることもできるので、事前に確認してみると良いでしょう。
3.箱根湯本・強羅・湯河原
箱根は都心から車で移動できる距離にある箱根には、安産祈願で有名な箱根神社があり、妊婦さんの旅先として人気のスポットです。大人の隠れ宿や本に囲まれて過ごせる宿など、贅沢な時間を過ごせる宿が充実しており、夫婦二人でのんびり過ごすのにうってつけのエリアといえるでしょう。
4.京都・嵐山・清水(京都府)
清水寺・金閣寺・嵐山などの有名スポットだけでなく、京料理や舞妓さんなど、楽しみがたくさんあります。歴史がある建物や世界遺産が多く、大人が楽しめるグルメや体験コースがありますよ。京都に行く際は、予定を詰め込み過ぎずにゆっくりとまわれるプランを練りましょう。
5.ハウステンボス(長崎)
イルミネーションや季節の花、異国の街並みなど、美しいものを見て癒やされたいなら、ハウステンボスがおすすめです。特別なマタニティプランはないようですが、ホテルの種類が多く、西洋のお城のような外観のホテルもあり、異国のプリンセス気分になれますよ。
6.軽井沢(長野県)
避暑地として名高い軽井沢は、自然の中を散策したり、ホテルでのんびりくつろいだりと、ゆったりした時間を過ごすのにぴったりのエリアです。体調が良ければ、旧軽井沢銀座やアウトレットでのショッピングを楽しむのも良いでしょう。グルメが充実しているのも、歴史あるリゾート地ならでは。著名人も通った老舗のカフェ、地産地消のこだわりレストランなど、魅力的なお店がそろいます。
7.沖縄・那覇・石垣島(沖縄県)
暑さや移動距離には注意が必要ですが、沖縄も人気の観光地です。アクティブに過ごすことはおすすめできませんが、美ら海(ちゅらうみ)水族館をのんびり歩いたり、島グルメや海カフェを味わったりするのも良いでしょう。リゾートホテルに滞在するだけでも海外旅行気分が味わえますよ。
海外旅行の際に気を付けたいこと
妊娠中に海外旅行に行くのは、急な体調不良や食中毒、けがなどのリスクもあり、基本的にはおすすめできません。あくまでも自己責任となるので、事前に担当の医師にしっかりと相談しておきましょう。
飛行機のフライト中は、長時間同じ姿勢を取らないように注意しましょう。マタニティマークやマタニティタグは付けておいたほうが安心です。身体を締め付けない服装や水分補給など、つねに体調管理をしておきましょう。
妊娠中は菌やウイルスに感染すると重症化しやすいため、食事は十分に加熱されたものにしたほうが安心です。海外旅行先での生水・フルーツ・サラダ・飲み物の氷には気を付けましょう。渡航先によっては洗面に使う水にも注意が必要です。
海外旅行保険は加入がおすすめです。妊娠・出産・早産・流産や、これらに基づく病気が原因の場合は保険の対象にならないことがほとんどですが、けがや病気の治療費の自己負担は軽減されますよ。一般的に海外での医療費は日本よりも高額になることが多いので、万が一のために検討してみてくださいね。海外旅行保険の補償内容については事前にしっかり確認しておきましょう。
旅行中におすすめのマタニティコーデ
妊娠中の旅行では、デザインよりも動きやすさ重視の服装がおすすめです。ぴったりしたスキニージーンズは動きやすいですが、身体を締め付けるのでおすすめできません。お腹が大きくなっているママは、なるべくマタニティ専用の服を選ぶと良いでしょう。お腹を締め付けないパンツとお腹を覆うシャツ、羽織りものがあれば安心です。
靴は、ヒールが低く歩きやすいものにしましょう。履き慣れたスニーカーなどが良いですね。カバンはリュックが適しているでしょう。
リュックは、ものを取りだす際にいちいち背中から降ろさなくてはいけませんが、両手がふさがりません。そのため、万が一転んでも手をつくことができるだけでなく、斜め掛けカバンよりも重心のバランスが良いため、身体への負担が少なくて済みますよ。
妊娠中の旅行の持ち物リスト!必需品&あると便利なもの
必需品
・母子手帳
・健康保険証
・スマートフォン(携帯電話)
・充電器&モバイルバッテリー
・マスク
・除菌ウェットティッシュ
あると便利なもの
・常備薬(鎮痛剤、吐き気止め、下痢止めなど)
・羽織りもの
・日傘
・生理用品(急な破水に備えて)
重い荷物は持ち歩かず、必要なもの以外はロッカーに入れたり、宿に置いたりしておくと良いですよ。病院と連絡が取れるように、つねにスマホは持ち歩き、充電もしておきましょう。健康保険証と母子手帳も忘れないでくださいね。
妊娠中の旅行に関する体験談
ままのて編集部に寄せられた、マタ旅の体験談をいくつかご紹介します。
日本に帰国する1週間前になんと妊娠が判明しました。とりあえず早く帰りたいけれども「飛行機大丈夫なのだろうか」「本当に妊娠しているのだろうか」など…頭の中は考え過ぎてぐるぐるしていました。
帰らないほうが良いのでは…との意見も周りでありましたが、そのときはとにかく日本に帰ることの優先順位が高かったのです。しかし、フライト時間が20時間弱だったので、本当に帰れるのかどきどきでした。
ひとりで帰国予定だったので、とにかく空港内や搭乗予定の飛行機の中を頭に入れて無事に帰りました。あとにもさきにもあれほど怖くて不安だったことはありません。結果は大丈夫でしたが、長距離の海外旅行はゆっくり休める時間がないので、やはりおすすめできないですよね。
安定期に入ってからハワイ旅行に行きました。妊娠初期からつわりもなく、体力にも自信があり、医師と相談した上で行くことにしました。最初はわくわくする気持ちでいっぱいでしたが、いざ飛行機に乗ると、「いつもより胎動が激しい気がする…」「飛行機が揺れたらどうしよう…」など、普段以上に不安な気持ちに駆られました。
現地ではおいしいものを食べたり、マタニティフォトを撮ったり、安産祈願のパワースポットに行ったりと充実した時間を過ごすことができました。なるべく体力を消耗しないように、基本は車で移動する、海には入らない、疲れたらすぐに休むという点は徹底して過ごしました。
結果的には無事に何事もなく帰国できて良かったのですが、やはりいつもの旅行よりは気持ちが落ち着かないことが多かった気がします。不安な気持ちを抱えながらの旅行になってしまうことを事前にわかっていたら、また違った旅行先にしていたかもしれません。
今のうちに旅行へ行かなきゃ!と焦らないで。産後も含めて計画を
妊娠中の旅行には、多かれ少なかれリスクが存在します。「赤ちゃんが生まれると自由に動けないから」という理由で、出産前に旅行を考える人も多いようです。しかし、本当に出産後はなかなか旅行に行けないのでしょうか。
確かに新生児期の外出は難しいですが、一般的には生後数ヶ月頃から、赤ちゃんに負担がない範囲の旅行は可能です。赤ちゃん連れに優しいホテルプランも数多く存在します。「今のうちに」と焦らずに、出産後も含めて旅行プランを考えてみてはいかがでしょうか。
※この記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。