【助産師監修】妊婦が電車に乗るのは大変!?席はどうする?酔いや貧血などの注意点
「妊婦が電車に乗ること」については、妊婦・乗客のあいだでさまざまな意見があります。乗るべきでないと言う人もいるかもしれませんが、通勤・通院に里帰り出産、結婚式など必要な場合もあるでしょう。座れない状態が続き気持ち悪い、乗り物酔いをしたといった経験がある人もいるかもしれません。妊婦が電車に乗る際の注意点などを紹介します。
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目次
「妊婦が電車に乗る」ことにはさまざまな意見が
妊婦が電車に乗ることについてはさまざまな意見があり、周囲の人だけでなく妊婦のあいだでも考えが異なることもあります。
「妊婦であってもなくても、便利な電車で移動するのは自然なことだ」と考える人もいれば、他人との衝突や体調の急変への心配から「妊婦はやむを得ない場合以外は電車に乗らない方が良い」と考える人もいます。嫌がらせや席に座れない状況が多いことから「妊婦自身も電車の乗り方を考えよう」という声もあるそうです。
公共交通機関ではお互いの事情がわからないことも多いため、妊婦と周囲の人たちでうまく意思疎通できないこともあるでしょう。なるべく安全に、快適に過ごせるように、妊婦自身もできる限りの対策はしていきたいですね。
座りたい妊婦・座らない妊婦
電車で立っているときに席を譲られたら「座りたい」と考える人も当然いますが、断る人もいるでしょう。妊婦も同様で、優先席・普通席を問わず、個々の体調や状況に応じて座りたい・座らないという選択肢は変わります。
座りたい妊婦
妊娠期間を通して、妊婦はさまざまな体調不良や身体の変化による負担を感じる機会があるかもしれません。貧血や腰痛、息苦しいといった症状により電車内で「座りたい」「譲ってくれないかな」と考えたことがある妊婦は少なくないでしょう。
満員電車では身動きが取れないため、気持ち悪い場合でも座れないこともあります。妊娠中は可能な限りラッシュ時を避け、気分が悪いときには新鮮な空気を吸うために次の駅で降りて休むことも検討しましょう。
座らない妊婦
妊婦によって妊娠期間中の体調は大きく異なります。席に座らない状況がある程度続いても問題ない妊婦もいるかもしれません。もちろん1時間~2時間ずっと立ちっぱなしというのは妊婦でなくてもきついものですが、1駅か2駅であれば席を譲る人がいても断る妊婦もいるでしょう。
また「電車で妊婦がひどいトラブルに見舞われた」といった話を聞いたことがある妊婦は、電車内で席に座ること自体に抵抗を感じているケースもあるようです。
通勤・旅行・里帰り、妊婦もある程度の移動は必要
妊婦が電車に乗るからにはやむを得ない理由があるはずです。通勤や通院といった日常的な電車の利用から、旅行や里帰りといった特別なときのみの利用、上の子がいるのであれば子連れでの定期的な利用もあるでしょう。妊婦とはいえ外出しなければならないことは多々ありますよね。
もちろん移動手段は電車だけでなく、タクシー、自家用車、飛行機といった方法もあります。近距離であれば徒歩で行けるかもしれません。しかし、距離や料金、移動する人数や移動時間を考えると、電車での移動が最良なことは多いかもしれませんね。
妊婦はいつまで電車に乗れる?
状況によっては控えるべきときも
妊娠がわかってからも仕事を続けている場合には、妊娠初期から毎日電車に乗る機会がある人もいるでしょう。切迫早産や切迫流産、合併症などのリスクがない妊婦であれば、電車通勤を止められるケースはほぼないでしょう。ただし、臨月は破水を考慮して控えた方が良いという考え方もあるようです。
特別なリスクがない妊婦は自分の体調と状況に応じて、妊娠初期・中期・後期を通して、電車に乗るかどうかを自分で判断する必要があります。状況によっては、妊娠中期以降の比較的安定した体調の時期でも、電車は控えるべき場合があります。混雑が予想される毎朝の通勤ラッシュ時や、夜の終電は注意が必要でしょう。
長時間・長距離の移動には注意
1時間前後の移動であれば毎朝の通勤でかかる時間に相当する人もいるでしょう。ただし2時間・3時間の移動となると、「お腹が張りやすくなる」「トイレにいきたくなる」「適度な休憩が必要」といった点に注意が必要です。
旅行や帰省で長時間の移動が必要な遠出には、安定期以降の体調が落ち着いたタイミングを選び、他の移動手段も検討しましょう。妊娠中に電車の中で気持ち悪いと感じたときは、無理せずに降車することも大切です。予期せぬ事態にも対応できるよう、時間に余裕がある移動を心掛けたいですね。心配な点があれば医師と相談しておくと良いでしょう。
妊婦は電車の何がつらい?酔い・貧血・腹痛など
多くの妊婦が電車に乗っている際に、つらい・しんどいと思ったことが一度はあるかもしれません。妊婦が電車の中でストレスを感じたり怖いと感じたりする原因は、大きく2つに分けられるでしょう。
電車特有の要因
妊婦だけではなく「電車の振動による乗り物酔いで気持ち悪い」「混雑時の衝突で嫌な思いをした」という女性は少なくないでしょう。妊婦であれば、つわりに加えて電車の揺れによりさらに気持ち悪い感じがする、出入りの際に肘でお腹を押されるといったことがあるかもしれません。満員電車や気候によっては酸欠のような状態になってしまう人もいるでしょう。
妊娠による要因
妊婦は妊娠初期・中期・後期を通して、個人差はあるもののさまざまな体調不良や身体の変化による負担を感じることがあるでしょう。場所を問わず貧血・吐き気・腹痛・立ちくらみ・息苦しいといったものを感じる人もいます。電車の中であれば、加えて密閉空間でにおいが気になったり、すぐには降車できないことから冷や汗が出たりといったケースも考えられます。
妊婦以外の乗客の意見としては批判や困惑の声も
妊婦以外の乗客の意見はさまざまです。妊娠を経験している人や妊婦が周囲にいたことがある人は、妊婦の不安や体調不良を直接聞いたり見たりしたことがあるためか、協力的な意見や好意的な意見が多いといわれています。
一方で批判的な意見も存在します。つめたい意見を聞くと電車に乗るのが怖いと思う妊婦もいるでしょう。お互いの事情がわからない他人同士が同じ空間にいるため、なかなかうまく意思疎通ができないのは当然なのかもしれません。
妊婦への批判の声
電車に乗る妊婦への批判の声として多いのが「電車に乗るべきではない」といったものや「迷惑だ」といったものが多いかもしれません。表現が直接的なため恐怖を感じる人もいますが、なかには妊婦が電車に乗る危険性を考慮した上での批判もあるようです。一方で、心に余裕がない人や流産したばかりの人が目の前にいる妊婦を無視した、「うざい」と言って怒鳴っていたという話もあるようです。
真偽は不明ですが、妊婦と他の乗客がトラブルになるケースでは、表現方法に問題があったり、双方の精神状況・体調や電車の混雑状況といった他の要因が影響していたりする可能性はあるでしょう。
妊婦なのかわからない、判断しにくい
妊婦はもちろん、高齢者や怪我をしている人に席を譲るべきかどうかを慎重に考える人は多いかもしれません。妊婦に席を譲る際にも、「間違いだったらどうしよう」という不安がよぎる人もいるでしょう。お腹があまり目立たない妊娠初期は見た目では妊婦だと判断しにくいため、席を譲る側としても、マタニティマークを付けていてもらえると声をかけやすいかもしれませんね。
電車内でスマホを使用して下を向いている人も多いため、「妊婦の存在に気づかない」ことも多いでしょう。優先席は妊婦だけでなく障がいを持っている人や子どもがいる人、老人や松葉杖をついている人も優先すべき席ではあるため、「誰を優先して声をかけるべきかがわからない」という声もあるそうです。
マタニティマークは意外にも使われていない?
2017年の調査では20代から30代の約7割、妊婦の約9割に認知されている「マタニティーマーク」を見かける機会は、以前に比べて増えたかもしれません。市町村の窓口や、病院・公共交通機関で配布されていたり、雑誌の付録としてキーホルダーやバッジがついていたりと気軽に手に入るようになっているようです。
一方で内閣府の調査では、妊婦の52%がマタニティーマークを使用していないという結果が出ているようです。マタニティーマーク自体は認知していても、マタニティーマークを「いつ使うべきか」「どのような意味があるのか」といった部分があまり浸透していないのかもしれません。
妊婦の見分け方のひとつとして
赤ちゃんの器官ができ始め、つわりなどの体調不良に悩まされることが多い妊娠初期は、まだお腹が大きくなっていないことから見た目だけでは妊婦だと見分けるのは難しいでしょう。妊婦であることをアピールするようで抵抗があるという人もいますが、やはり周囲から見ると妊婦であると認識しやすいものではあるでしょう。
周囲が妊婦へ配慮しやすくなる
お腹がふくらみかけてきた時期の妊婦も見た目での判断が難しく、声をかけて「間違いだったらどうしよう」と悩む人は少なくありません。マタニティマークの目的としては、マークをつけていれば周囲が配慮を示しやすくなるという点にあります。みんなで妊産婦に優しい環境作りを推進しようという目的もあります。
妊婦と赤ちゃんを守るひとつの方法
マタニティーマークは交通機関を使用する際に席を譲ってもらうことが目的ではなく、妊婦自身とお腹の赤ちゃんを守るためのひとつの方法ともいえるかもしれません。緊急時に妊婦であることがわかれば、転倒防止やお腹の保護といった対応を周囲の人や医療スタッフも取りやすいでしょう。目立つようにつけるか否かは自由ですが、妊娠初期に電車に乗るときには念のため荷物につけておくと安心かもしれませんね。
妊婦と電車にまつわる話や事件
インターネットにはさまざまな話が
ツイッターなどのSNSや情報まとめサイトで、さまざまな情報を得る機会が増えた人は多いかもしれません。電車に乗っていた妊婦の話を目にしたことがある人もいるでしょう。
小学生が席を譲るといった良い話もあれば、妊婦が嫌がらせを受けた悪い話も存在します。インターネット上の話は真偽不明なものもあるため、信じるかどうかは個人の判断になりますが、自分の身の振り方の参考にはなるかもしれませんね。
身の振り方を考えるきっかけに
インターネット上のエピソードは真偽を確かめる方法がないものもあるため、必要以上に恐れることはありません。一方で妊婦自身が自分の行動・言動を考えるきっかけにはなるでしょう。
「席を譲りなさい」といった偉そうな態度をとるといった妊婦はまれでしょうが、反面教師として学べることはあるかもしれませんね。妊婦に非はありませんが、席を譲ったあとにスマホで遊び始めたことに違和感を覚える人がいる、といったことも考え方の参考にはなるかもしれません。
過去には事件も
真偽不明なエピソードがある一方で、実際にニュースになった妊婦の電車事故もあります。ホームの端の方で気分が悪そうな様子でお腹をさすっていた妊婦が急に線路に向かって倒れ込み、侵入してきた電車と接触し死亡した事件がありました。倒れることも想定して、駅のホームの端や電車の出入り口付近で立ち止まらないことも大切でしょう。
妊婦が電車に乗るときの注意点・トラブル対策は?
始発や連絡カードを用いて混雑を避ける
満員電車は妊婦以外の人にとってもつらいものです。座れないだけでなく、人の熱気で息苦しいと感じたりお腹が急激に圧迫されたりする危険性もあるでしょう。
最寄り駅の位置にもよりますが、「差額を払って始発に乗り混雑を避ける」のも良いでしょう。ラッシュ時の通勤によるリスクが高いようであれば担当医とよく相談し、「母性健康管理指導事項連絡カードを用いて会社と相談する」方法もあります。
つり革につかまれる位置に立つ
混雑により座れない場合、妊婦は電車のどの位置に立つべきなのかは悩ましい問題でしょう。可能であれば電車の揺れによる衝撃を緩和するとともに、緊急停止の際の転倒を避けるため、つり革につかまることができる立ち位置を目指すと良いでしょう。
お腹の張りや違和感があれば休む
吐き気やお腹の張り、めまいといった症状や違和感があればすぐに休むことが大切です。席が空いていれば座り、空いていない場合も耐えられないようであればその場で座りこむ・次の駅で降りるだけでも改善に期待できるかもしれません。突然の体調不良に備えて余裕のあるスケジュールで動きましょう。
風疹など感染症対策としてマスクを着用
妊婦は感染症による胎児へのリスクを減らすためにも、さまざまな予防をしておくと安心です。電車で風疹に感染した可能性がある妊婦の例があります。風疹は妊娠を希望している時点でワクチン接種を受けておくことが大切ですが、ワクチン接種が間に合わなかった場合には飛沫感染予防としてマスクを着用しましょう。冬の風邪予防としても効果が期待できるでしょう。
母健連絡カードを活用しよう
母健連絡カード(母性健康管理指導連絡カード)は、仕事をしている妊産婦が症状に応じて医師から通勤緩和や休憩などの指導を受けた際に、適切に企業に内容を伝えるために活用できるカードです。医師に伝えられた内容の実行が難しい場合、会社に相談しにくい場合に利用すると良いでしょう。多くの母子手帳には様式が載っています。
アプリを用いた「席を譲る」新しい試みも
高齢者、妊婦、障がいを持っている、怪我をしているといった「サポートが必要な人」と「手助けしたい人」をスマートフォンアプリでつなげるサービスの社会実装に向けての取り組みも進められています。
このサポートは「&HAND」と呼ばれるもので、無料メッセンジャーアプリLINE(ライン)を用いてサービスを提供しています。2017年には、東京メトロ銀座線で実証実験が行われました。
電車内では、スマートフォンを使用したり寝ていたりすることで目線が下がり、「妊婦がいることに気がつかない」ケースも少なくありません。席を譲る機会を逃してしまわないように、 BeaconとLINE でマッチングをすすめます。同様のサービスが海外で展開されているという話もあります。思いやりの輪が社会全体で広がっていくと素敵ですね。
座れない・乗り物酔いになるといった状況の想定も
妊婦という特殊な状況下では、いつ・どこで・何が起こるかわからないという点は意識しておくと良いでしょう。電車であれば、席に座れない、電車の揺れで酔う、貧血やめまいになるといったことも想定して、「電車に乗るべきか」「トラブルが起こったらどう対応するか」といったことは準備しておくと安心でしょう。
妊婦が電車で嫌がらせにあったという話や、妊婦が失礼な態度で席を譲るように言ったという話は、真偽は不明ですが教訓にはなるかもしれません。さまざまな考えを持った人・さまざまな状況の人がいることも考えて、トラブルが起こったら駅員に助けを求めたり、車両の移動もしくは次の駅で降りたりする対策を考えておくとパニックにならずにすむかもしれませんね。
※この記事は2024年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。