妊婦は転倒しやすくなる?原因や影響、流産の危険性、注意点

「妊婦は転倒しやすい」という認識がある人は多いかもしれません。大きくなったお腹で身体のバランスが崩れやすくなり、思わぬ場面で危険を感じることもあるでしょう。妊婦が転倒しやすくなる原因や転倒しやすい時期、転倒しやすい場所、転倒した場合に考えられる影響などを紹介します。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠中は妊娠前よりも転ぶ危険性が高くなる
  2. 妊婦はなぜ転倒しやすい?いつから注意すべき?
  3. 妊婦が転倒しやすい場所や場面は?
  4. ひざから前に倒れるか、後ろに尻もちをつくか
  5. 妊婦の転倒による影響はどのようなものがある?
  6. 妊婦が転倒した場合の受診の目安は?
  7. 妊婦が転倒したらどう対処する?湿布は使用できる?
  8. 妊婦の転倒、予防策は?
  9. 何気ない転倒でも異変があれば病院へ
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妊娠中は妊娠前よりも転ぶ危険性が高くなる

妊娠中は身体の変化により、腰痛・肩こり・むくみといったさまざまな影響が出ることがあります。特に次第に大きくなる妊婦のお腹は、影響が出る範囲が広いかもしれませんね。今まで着ていた服が窮屈になったり、お腹の重さで後ろに反ったような姿勢になってしまったりするのは珍しくありません。腰痛や恥骨痛、むくみなどを感じる人もいるでしょう。

妊娠前とは体型が少しずつ変わっていくことで、転倒の危険性を感じる場面は多くなります。街中のふとした段差につまずきそうになったときや人とぶつかったとき、貧血やめまいでふらっとしたときなどに、「転倒したらどうしよう」という考えが頭をよぎったことがある妊婦は多いかもしれません。

妊娠中の転倒においては妊婦や胎児への影響、そして骨折や打撲といった怪我にも注意が必要です。つい妊娠前と同じように走ったり、長い距離を歩いたりすることもあるかもしれませんが、「妊婦は転倒しやすい」ということを頭の中に入れておき、靴や歩き方など普段から対策しておくと良いでしょう。

妊婦はなぜ転倒しやすい?いつから注意すべき?

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妊婦が転ぶ危険性が高くなるのはなぜ?

妊娠中に転ぶ危険性が高くなる最大の理由は「次第に大きくなるお腹」にあるでしょう。お腹が大きくなると足元が見えにくくなったり、重心が変わって身体のバランスを保つのが難しくなったりするためです。他に、妊娠による体重の増加で妊娠前よりも動きにくくなった、腰痛や恥骨痛などで歩きにくくなったという理由をあげる人もいるでしょう。

つわりによる吐き気や貧血・めまいといった「体調不良」が原因になることもあるでしょう。ふとした瞬間に貧血やひどい吐き気を感じることで、足元が不注意になる可能性があるためです。

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妊婦が転ぶ危険性が高くなるのはいつ?

妊婦の転倒は、原因により危険性が高くなる時期は異なります。お腹が次第に大きくなる時期であれば、妊娠5ヶ月・6ヶ月・7ヶ月にあたる「妊娠中期」、妊娠8ヶ月・9ヶ月・10ヶ月にあたる「妊娠後期」に注意が必要でしょう。体調不良で足元が不注意になる可能性が高い時期は、「妊娠初期」が中心になるかもしれませんね。

また妊娠期間を通して、滑りやすいお風呂場や雪道などでは注意が必要です。なるべく転びやすい場所を避け、転倒したときに両手が使えるようにリュックを使用するといった対策も必要でしょう。

妊婦が転倒しやすい場所や場面は?

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妊婦が転ぶ危険性が高い場所

一般的に転ぶ危険性が高い場所は、妊婦も同様に注意が必要です。家の中であれば滑りやすい「お風呂場」や「階段」、外であれば歩道の「段差」や冬の「雪道」は特に注意しましょう。

また妊娠中であれば「人混み」にも注意が必要です。妊婦自身が転倒に気をつけていたとしても、周囲の人も注意をしているとは限りません。急いでいる人が多い道はなるべく避け、邪魔にならない場所を安全に気をつけてゆっくりと歩くと良いでしょう。

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妊婦が転ぶ危険性が高い場面

妊婦も妊婦以外の人も、自転車やバイクであればいつでも転ぶ危険性はありますよね。しかし妊婦特有の事情によって転ぶ危険性が高まることはあるかもしれません。

妊娠初期のつわりによる吐き気があるとき、貧血・めまいがあるときには注意力が低下し、転ぶ可能性があるでしょう。今までは難なくこなしていた洗濯物や買い物であっても、妊娠による体型の変化によって転倒の危険性が高まる可能性もあるでしょう。段差がないところでも普段から注意していきたいですね。

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ひざから前に倒れるか、後ろに尻もちをつくか

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さまざまな転倒の形があります。ひざから崩れ落ちるように前に向かって倒れる人もいれば、後ろに倒れて尻もちをつく形になる人もいるでしょう。前に倒れるか、後ろに倒れるかで強打する可能性がある部位が変わってきます。

後ろに転ぶ場合には、尻もちをつくような形になることが多いため、お尻や腰、背中の強打に注意が必要です。前に転ぶ場合には、ひざから崩れ落ちることもあるでしょう。前に倒れる場合にはひざやお腹を打つ可能性があります。

前への転倒でも後への転倒でも、気をつけなければいけないのが「頭を打つ」危険性です。妊娠中は転ぶ危険性が妊娠前よりも高いため、転倒した場合を考えてあらかじめ対策を考えておくと安全でしょう。リュックを使用していれば、後ろに倒れた場合の衝撃は比較的少なく済むかもしれません。体勢を崩したときに足に絡まないようにロングスカートを避けるのも良いでしょう。

妊婦の転倒による影響はどのようなものがある?

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胎盤剥離などの母子への影響

妊婦が転倒した場合に考えられる影響の中で、最も心配されるのが「妊婦とお腹の赤ちゃんへの影響」ではないでしょうか。転倒したからといってすぐにお腹の赤ちゃんの流産や死産につながるケースは多くはないでしょう。ただし転倒したときに強くお腹を打った場合や切迫早産・切迫流産の可能性が指摘されている妊婦であれば、リスクは変わってきます。

お腹への強い衝撃は「常位胎盤早期剥離」を引き起こす可能性があります。切迫流産・早産が指摘されている妊婦であれば、早産の可能性が出てくることもあるでしょう。臨月であれば破水の可能性も考えられます。

まれに転倒により逆子になってしまうのではないかという心配をする妊婦がいますが、転倒時に非常に強い力がかかっていなければ可能性としては低いでしょう。

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骨折・打撲などの身体への影響

妊婦の転倒時には妊婦とお腹の赤ちゃんへの影響がもっとも心配されますが、「骨折や打撲」といった一般的なけがの心配もあります。前に転ぶ場合、後ろに転ぶ場合、どちらのケースでもとっさに腕で身体を守ろうとして骨折することも考えられるため、注意が必要です。

妊婦が転倒した場合の受診の目安は?

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妊婦が転倒した場合、どのような症状があれば病院を受診すべきか迷う人は少なくありません。転んだときにどこを打ったのか、どのぐらいの衝撃を受けたのか、出血や痛みがあるかといった状況によっても異なるため、必ずしも特定の症状があれば病院を受診するべきだと断言することはできません。

一般的なものでは「胎動がいつもより少ない」「ひどい腹痛が続いている」「お腹の張りが続いている」「羊水が流れ出た(破水)」「出血が続いている」といったものがあげられます。ただしこれらに当てはまらない状況でも、異変を感じたら病院を受診しましょう。出血なしの場合でも、ひどい腹痛を感じるようであれば身体の内部で何かが起こっている可能性もあります。

病院を受診すべきかわからない場合にはかかりつけの病院に電話するか、一部の地域で実施されている救急安心センター事業を活用すると良いでしょう。

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救急安心センター事業

救急安心センター事業は一部の自治体で実施されている相談サービスです。「救急車を呼ぶべきか」「病院を受診すべきか」といったことで迷ったら、専門の窓口で相談することができます。名称は「救急相談センター」など地域によって異なる場合もあります。

妊婦が転倒したらどう対処する?湿布は使用できる?

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妊婦が転んだときに、ひどい腹痛が続いたり胎動が少なくなったように感じたりすることがあれば、病院をすぐに受診するのが良いでしょう。転倒した際に腰を強打した、尻もちをついたという場合には、湿布を使用してよいのか悩む人もいるかもしれません。湿布には「薬を含んだ湿布」と「薬を含んでいない湿布」がある点に注意が必要です。

妊娠中は「お腹の胎児の器官形成への影響」「胎盤を通じて薬の効果が胎児に現れる影響」の観点から、妊婦が薬を使用する際には慎重になる必要があるといわれています。このため、薬を含んでいる湿布を使用したい場合には、医師や薬剤師に必ず確認してから使用しましょう。市販の湿布薬の中には、妊婦が使用していけない成分が含まれているものもあるため、十分に注意してくださいね。

妊婦の転倒、予防策は?

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「妊娠中は転ぶ危険性が高まる」ということを理解している妊婦はたくさんいるかもしれません。ただし、転倒に対して何らかの具体的な対策をとっているという人は少ないのではないでしょうか。日常の何気ない瞬間に潜んでいる転倒の危険性を理解し、可能な限り対策をとっておくと安心できるかもしれませんね。

転ぶ危険性が高い場所を避ける

冬の凍った道や掃除したばかりの通路、人混みなどの転ぶ危険性が高いと考えられる場所をなるべく避けるだけでも効果に期待ができるでしょう。どうしても通らなければいけない場合には、雪道では滑りにくいスノーブーツを履いたり、人混みでは誰かに付き添ってもらったりすると良いかもしれません。

転倒した場合を考えた服装を検討する

妊婦自身が注意していたとしても、周囲の人の不注意で転倒する可能性もあります。転倒した場合に受け身が取れるようにリュックやショルダーバッグを利用する、不安定なヒールを避けて動きやすいスニーカーを履くだけでも身軽になれるでしょう。

無理をしない

今まで何気なくしていた行動が危険を伴うこともあります。高いところのものは誰かに取ってもらう、米などの重い荷物を抱えての買い物は避け、ネットスーパーなどの宅配サービスを利用するといったことを検討してみるのも良いでしょう。

何気ない転倒でも異変があれば病院へ

妊娠中はお腹の赤ちゃんに何かあったらどうしようと思うことが多い反面、いつ・どんなときに病院に行くべきかわからずに自己判断で対処してしまうケースも少なくありません。転倒によりひどい腹痛が続いていたり、胎動が少なくなっていたりする場合には、我慢せずにすぐに病院を受診しましょう。どうしたら良いのかわからない場合でも、赤ちゃんの安全を確認する意味で病院の受診を検討してみると良いでしょう。

妊娠中に転倒を絶対に避けることは難しいかもしれません。なるべく転倒の危険性を下げ、転倒した場合でも何とか対応できるように対策をしておきたいですね。

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