妊娠中に温泉に入っても大丈夫?妊婦NGの泉質や感染症のリスクは?岩盤浴やサウナは?

妊娠中は何かとストレスがたまり、温泉でゆっくりしたいと思うママは多いかもしれません。温泉法で「禁忌」とされていた妊婦の温泉入浴は、2014年の法改正で変わりました。現在では温泉に入っても問題ないとされていますが、リスクはゼロではありません。妊婦さんにおすすめの泉質や入浴の際の注意事項を解説します。

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この記事の監修

池田 貴子
産婦人科医
池田 貴子
河井 恵美
助産師・保育士
河井 恵美

目次

  1. 妊婦は温泉に入っても大丈夫?2014年に温泉法が改正
  2. 妊婦が温泉に入れる期間はいつからいつまで?
  3. 温泉の効果・効能と妊婦におすすめの泉質
  4. 気になる感染症のリスクは?
  5. 妊娠中の温泉の入り方と注意点
  6. 避けたほうが良い泉質はある?ラドン(ラジウム)や硫黄は大丈夫?
  7. サウナや岩盤浴は大丈夫?
  8. 妊婦お断りの温泉・銭湯も。事前に確認すると安心
  9. 温泉施設や旅館のマタニティプランを活用しよう
  10. 妊娠中の温泉は近場がおすすめ
  11. あわせて読みたい

妊婦は温泉に入っても大丈夫?2014年に温泉法が改正

温泉法においては、温泉入浴によって良い効果がある「適応症」と、悪い影響をおよぼす「禁忌症」が定められています。かつて、この禁忌症のひとつに「妊娠中(とくに初期と末期)」が入っていましたが、2014年に改正され、現在では削除されています。

一般的な温泉の禁忌症には以下のようなものがあります。

・熱があるとき
・高度の貧血
・出血があるとき

これらの症状があるときは、妊娠に関わらず、温泉入浴は避けたほうが良いでしょう。妊娠中の温泉入浴は体調が良ければ問題ないといわれています。

しかし、感染症や体調不良となるリスクはゼロではありません。温泉だけでなく、銭湯やプールなどでもリスクは同様であり、注意が必要であることを覚えておきましょう。

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妊婦が温泉に入れる期間はいつからいつまで?

温泉法の改正前は、とくに妊娠初期と妊娠末期が禁忌とされていました。現在では温泉に入って良い時期にこれといった決まりはありません。

しかし、さまざまなつわりの症状があらわれて体調が安定しない妊娠初期や、破水の可能性がある臨月は避けたほうが良いでしょう。安定期でもお腹が張るときは入浴は控えたほうが無難です。

温泉の効果・効能と妊婦におすすめの泉質

温泉のなかでも、身体の療養に役立つものを「療養泉」と呼びます。療養泉にはさまざまな泉質があり、以下のような症状に適応しています。

・痔の痛み
・関節の痛み
・冷え性
・ストレスや自律神経の不安定
・疲労回復

妊娠中のマイナートラブルに悩むママには、嬉しい効果ばかりですね。また、泉質によってもそれぞれ適応症が変わってきます。妊娠中に入ってはいけない泉質はありません。以下でとくにおすすめの泉質を紹介します。

単純温泉

溶存物質(ガス性のものを除く)が 1kgあたり1,000mgに満たないもので、泉温が25℃以上のものを単純温泉と呼びます。

溶存物質の含有率が他の温泉よりも低めであるぶん刺激がマイルドなので、お肌が弱いママにもおすすめですよ。まずは単純温泉で試してみて、体調に問題がないようであれば他の泉質を試してみても良いでしょう。

炭酸水素塩泉

「美人の湯」や「美肌の湯」と呼ばれる温泉に多いのが塩酸水素塩泉です。肌の角質を軟化させ、乾燥を防いでくれます。冷え性にも効果的ですよ。

二酸化炭素泉

「泡の湯」とも呼ばれる二酸化炭素泉は、プツプツと小さな気泡が肌に付着することが特徴です。保温効果や循環効果にすぐれ、自律神経の安定にも効果があるといわれています。

含鉄泉

鉄を多く含む「含鉄泉」は、空気に触れると金色に光ります。入浴すると冷え性や関節痛に効くのは一般的な温泉と同様ですが、適量を飲用することで、鉄欠乏性貧血に効果があるといわれています。温泉を飲むときは、必ず定められた量や飲み方を守りましょう。

気になる感染症のリスクは?

入浴中、お湯を介して性感染症などに感染する可能性はほとんどないといわれています。妊娠中は免疫系のはたらきが弱くなっているため、感染症のリスクはありますが、温泉の入浴が外陰や腟、子宮からの感染を助長するわけではありません。

妊娠中にかぎらず、ヘルペスやトリコモナス症、カンジダ症、毛じらみなどは、シーツやタオルからも感染する可能性があります。心配し過ぎる必要はありませんが、清潔な自分のタオルを使う、ブラシは共有しない、椅子は座る前に一度洗うなど、脱衣所や洗い場では注意しましょう。

妊娠中の温泉の入り方と注意点

妊娠中にかぎらず、食事の直前や直後の入浴は避けましょう。温泉に入る前、入った後はしっかりと水分補給をする必要があります。急な血圧上昇を防ぐため、以下のような流れを守ると安心です。

1.手足にかけ湯する
2.全身を洗い流す
3.入浴は1回当たり3~10分程度にする(慣れたら少しずつ延長する)

妊娠中には、血流が増加して血圧が上がりやすい状態であるため、42℃以上のお湯に入るのは避けましょう。床が滑りやすくなっているので、足元に気をつけてゆっくり移動し、転倒に注意してください。

温泉を出るときは成分を流さないように、シャワーをせずにタオルでふき取ることが推奨されています。湯冷めしないように、上がったらすぐに服を着ましょう。

温泉に行ったら「温泉卵」を食べたいというママもいるかもしれません。生卵を65〜68℃程度のお湯に30分以上浸けたものを温泉卵と呼びます。市販の温泉卵でサルモネラ菌に感染する可能性は低いですが、不安であれば避けたほうが良いでしょう。

避けたほうが良い泉質はある?ラドン(ラジウム)や硫黄は大丈夫?

妊婦が入ってはいけない泉質は、基本的にありません。微量の放射能(ラドン)を含む「放射能泉」を不安に思う人もいるかもしれませんが、微量の放射能は炎症に効果があり、胎児への直接の影響はないとされています。

酸性が強い「酸性泉」や強い殺菌力がある「硫黄泉」は、人によっては皮膚に染みたり、肌荒れしたりすることがあります。肌に合わないと感じたら、入浴を控えましょう。また、アルカリ性が強い泉質は床がぬるぬるしやすいので、転ばないように注意が必要です。

サウナや岩盤浴は大丈夫?

妊娠中のサウナや岩盤浴に関しては、賛否両論があるようです。きちんと時間や方法を守れば問題ないという意見もありますが、大量に汗をかくことで脱水症状やのぼせが起こるリスクがあります。感染症の可能性もゼロではありません。

基本的には、妊娠中のサウナや岩盤浴は避けたほうが無難でしょう。どうしても入りたいときは、事前に医師に相談してくださいね。

妊婦お断りの温泉・銭湯も。事前に確認すると安心

温泉法では妊娠中の入浴は禁じられていませんが、お店の方針によっては断られることがあります。転倒や破水など妊娠中のトラブルを予防するため、他のお客さんに迷惑をかけないようにするためなど、理由はさまざまです。妊娠中に旅行や日帰り入浴を検討している場合は、事前に確認すると良いでしょう。

温泉施設や旅館のマタニティプランを活用しよう

温泉に行くのであれば「マタニティプラン」がある場所を選ぶのも良いでしょう。マタニティプランでは、ママに嬉しいサプライズや特典が用意されています。

サービス内容はさまざまです。抱き枕を用意してくれたり、禁煙の客室でルームサービスをしてくれたり、ノンカフェインの飲み物を用意してくれたり、体調不良によるキャンセル料が免除されたりします。

「マタニティプラン」と宣伝していなくても、温泉施設によっては妊婦歓迎のところが数多く存在します。ぜひこの機会に活用してみましょう。マタ旅(マタニティ旅行)の際は、母子手帳や健康保険証を忘れずに持って行ってくださいね。

妊娠中の温泉は近場がおすすめ

妊婦さんが温泉に入っても、基本的に問題はありません。しかし、妊娠中はいつ体調が変化するかわからず、転倒などにも注意が必要です。

温泉に行く際はママの身体を第一に考え、くれぐれも無理をしないようにしてくださいね。温泉旅行を企画するのであれば、すぐに産院に行ける距離までにしておくと、いざというときにも安心でしょう。

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