【産婦人科医監修】妊娠初期に温泉に入れる?気をつけることは?サウナや岩盤浴は?

妊娠中の温泉利用が解禁され、妊娠初期から温泉入浴を楽しむことができるようになりました。妊娠初期は心身ともに不安定になりやすく、温泉によるリラックス効果を期待したいものですが、温泉の利用は本当に妊娠に影響しないのでしょうか。温泉を利用する際に気をつけたいポイントや、安心して利用できる温泉施設の選び方について解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠初期に温泉に入っても大丈夫?
  2. 妊娠初期の温泉で気をつけることは?
  3. 妊娠初期のラドン温泉の影響は?
  4. 妊娠初期のサウナや岩盤浴は大丈夫?
  5. マタニティプランを活用しよう
  6. 妊娠初期の温泉は近場がおすすめ
  7. あわせて読みたい

妊娠初期に温泉に入っても大丈夫?

妊娠初期には温泉に入ってはいけないという話を聞いたことはないでしょうか。この説が唱えられていたのは、環境省が定めた温泉法に「妊娠初期および妊娠末期の温泉入浴は禁忌」として記載されていたためです。

しかし、2005年から妊婦の温泉利用について科学的な検証を進めた結果、妊婦に対する危険性をあらわすデータは見つかりませんでした。この結果を受けて2014年に温泉法が改訂され、妊婦の温泉入浴は禁忌事項から外されたのです。

長年の制限から、妊婦の温泉利用に対する誤解が残っていることもありますが、妊婦の温泉利用は法律によって公に認められています。長湯や身体の状態に気を付けながら、温泉入浴を楽しむ道が広がりました。

妊娠初期の温泉で気をつけることは?

のぼせ

妊娠中の温泉入浴が禁忌になった理由は明らかになっていませんが、長湯が身体にさわるからというのが禁忌になった一因だと考えられています。また、海外を含めたいくつかの研究では、身体の深部体温が2℃以上上昇すると、流産や胎盤異常のリスクが高まるというデータが発表されています。

温泉入浴が妊娠に影響するという医学的根拠がないとはいえ、長湯はのぼせなどの体調不良を起こすおそれがあります。温泉に入る際は湯温が42℃以上になる温泉は避け、38℃から40℃までの湯温となる温泉がおすすめです。

妊娠中の入浴時間は、10分以内が目安です。10分を目安とするのは、血液が全身をめぐるのに約20分かかるためです。身体を芯から温めるのが温泉の醍醐味ですが、のぼせを予防するためにも入浴は短時間で済ませましょう。もしものぼせてしまったら、風通しの良いところで休みながら、頭や顔、首筋を冷やしてください。

転倒

湯の花が浮く温泉に茶褐色の温泉、細かな泡が肌を刺激する炭酸泉と、成分によって異なる泉質と効能は温泉の魅力のひとつですね。しかし、温泉に含まれる成分が浴室の床や壁に付着すると、滑りやすく、転倒してしまう危険があるので注意が必要です。

また、色が濃い温泉では、足元がまったく見えなくなることもあります。温泉を利用する前に、泉質や湯の色について情報を収集しておくことが大切です。さらりとした泉質で湯の色に濁りが少なくても、入浴の際は手すりにつかまるなどして慎重に行動してください。

もしも転倒してしまったら、安静にして出血や腹痛がないか様子をみます。転倒しても出血などが起こらなければ、胎児への影響はないと考えられます。心配な場合は予定を切り替え、なるべく早く病院を受診すると良いでしょう。

血圧上昇

妊娠中は血流量が増加し、血圧が上がりやすい身体に変化しています。42℃以上の高い温度のお湯につかったり、冷水をかけたりする行為が血圧の上昇を招きます。妊娠初期には湯温が低めの温泉を利用すると、血圧の急激な上昇を抑えられます。シャワーをひねる際に、冷水になっていないかも確認しておきたいですね。

汗をかいて血液が粘り気を帯びると、血圧が上がりやすくなります。ドロドロ血液を予防するには、入浴前にコップ1杯の水を飲んでおくのがおすすめです。また、脱衣場や浴室、露天風呂の急激な温度差も血圧を上げる要因となります。冬場に温泉を利用する際は、温度差がある露天風呂の利用は避けたほうが良いかもしれません。

血圧が上昇すると、めまいや動悸などがあらわれやすくなります。急な体調変化による転倒のおそれがあるため、入浴時にはできるだけひとりにならないことが大切です。貸し切り風呂がある施設なら、パートナーと一緒に入浴することができますよ。

感染

温泉に限らず、入浴施設を利用した場合は、原虫や昆虫が寄生して起こる感染症にかかるリスクがあります。代表的なものが「腟トリコモナス症」や「毛じらみ症」への感染です。共同の浴場やプールを利用しての感染や、タオルや寝具などの共有で感染した事例が報告されています。

妊娠中は、免疫力が低下します。不用意な感染を防ぐためにも、温泉を利用する際は清潔なタオルを使用し、他人との用具の共有は避けましょう。

温泉卵

卵は食中毒の原因となるサルモネラ菌との関連が深く、鶏卵を利用した自家製マヨネーズや生卵、半熟の玉子焼きなどを食べて食中毒が発生するケースがあることが知られています。白身も卵黄もトロンとした半熟食感が特徴の温泉卵は、食中毒を引き起こすのではないかと懸念されています。

しかし、流通している卵は出荷時に洗浄されており、菌に汚染されている確率は0.0029%と非常に低い数値です。しかも、サルモネラ菌は75℃以上で1分、60℃ならば20分加熱すると死滅します。温泉卵は65℃~70℃ほどの湯温が高い温泉で、十分に加熱して作られているため、必要以上に不安になることはありません。

昔ながらの温泉街では、温泉卵を自分で作れるように共同のスペースが設けられていることがあります。旅の思い出として自分で温泉卵を作る際は、温泉の湯温に応じてしっかりと加熱してください。

妊娠初期のラドン温泉の影響は?

雨水が温泉として湧き出る過程でラジウムを含む岩盤を抜けると、微量の放射能を含んだ放射能泉となります。ラドンは固体のラジウムから生まれたガス(気体)成分で、日本にある放射能泉の多くはラドンがお湯に溶け込んだラドン温泉です。以前はラドンをラジウムエマナチオンと呼称していたため、放射能泉一般がラジウム泉と表記されることもあります。

放射能というとがんを発症するリスクなど、身体への影響が懸念されるところですが、微量の放射能は体内の機能を活性化させるというデータがあります。放射能から得られる効果は放射線ホルミシスといい、さまざまな効能がうたわれています。

一方で、ラドンには安全性がないという説もあります。妊娠初期はストレスや不安が体調不良を引き起こすことがあります。放射線の影響が気になって不安なときは、別の泉質の温泉を楽しんではいかがでしょうか。

妊娠初期のサウナや岩盤浴は大丈夫?

温泉施設にあるサウナや岩盤浴は、妊娠初期の身体に負担をかけてしまう可能性があります。汗をかくと、脱水症状や肌トラブルを起こすことも考えられます。また、身体の深部の体温が2℃以上上がると流産するという説もあることから、妊娠初期のサウナや岩盤浴の利用は避けたほうが安心です。

マタニティプランを活用しよう

マタニティプランとは、宿や旅行会社が用意する妊婦向けのプランです。妊婦に必要な栄養素がそろった食事が用意され、部屋には抱き枕がセットしてあるなど、ホッとひと息つける内容となっています。

マタニティプランがある施設では、パートナーと一緒に入れる貸し切り風呂が用意されていたり、段差が少なくなっていたりと、配慮が行き届いているのも特長です。施設のスタッフに妊婦であることを理解してもらえているという点も、安心して利用できるポイントですよ。

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妊娠初期の温泉は近場がおすすめ

妊娠初期はどのようなトラブルが起こるかわかりません。長距離の移動は、それだけで身体に負担がかかります。万が一のことが起こったときに、自宅から離れた場所では対応に困ることもあります。

ゆったりと落ち着いて過ごすためにも、妊娠初期には近場の温泉を利用するのがおすすめです。できれば日帰りではなく宿泊にして、温泉につかった後はのんびりできるプランにしたいですね。

たとえ近場であっても、出血や腹痛があるときの無理は禁物です。体調が芳しくないときの温泉利用は避けましょう。旅先では無理にスケジュールを詰め込まず、のんびりしたペースで身体をいたわってくださいね。

妊娠初期には葉酸を摂ることをおすすめします

妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月の女性は葉酸を摂取するよう心がけましょう。厚生労働省は妊娠可能性のある女性に対し、食事からの摂取に加えて1日400μgの葉酸を摂取することを推奨しています。

メルミー
¥2,980〜(2022/12/15 時点)

メルミーの魅力は、産婦人科医と管理栄養士によるダブル監修を受けていることです。葉酸のほか鉄やカルシウムなど、妊娠中に特に重要な17種類の栄養素を配合し、内14種類の栄養素については厚生労働省の定める栄養機能食品の基準値をクリア。「無添加」なのも嬉しいポイントですね。

厚生労働省が定める管理基準を満たしたGMP認定工場で生産されているほか、放射能検査や残留農薬検査もクリアして品質にこだわって作られています。また、配合されているすべての成分について、原産国と最終加工国の両方が公開されています。

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