【産婦人科医監修】飛行機はいつまで乗れる?妊婦の旅行の注意点や影響、手続き
以前から計画していた旅行や急な冠婚葬祭などで、妊婦であってもある程度の移動が必要になるケースがあります。昨今は飛行機の利用が珍しくなくなったこともあり、妊娠中はいつからいつまで飛行機に乗れるのかが気になる人は少なくないかもしれません。ANA・JALといった大手航空会社の対応や搭乗条件、飛行機の影響やリスクを紹介します。
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目次
妊娠中に飛行機を利用して海外・国内への旅行は可能?
妊娠中にどうしても飛行機を利用しなければならない、出産前に出かけておきたいといったケースは少なくないでしょう。かなり前から計画・予約していたハワイやヨーロッパなど海外での結婚式・ハネムーンや沖縄などへの国内旅行、突然の仕事の出張やお葬式、大型連休の帰省や里帰り出産での移動など、さまざまな理由があるでしょう。なかには乗り継ぎがある長時間の移動を予定している方もいるかもしれません。
国内線・国際線を問わず、妊婦だから飛行機に乗ることはできないといった制限はないようです。ただし、航空会社によって妊婦が飛行機に搭乗する際には、一定の条件を設けている会社があります。飛行機への搭乗にあたり何をいつまでに手続きしなければならないのか、必ず利用予定の航空会社に確認しましょう。
また、妊婦の体調やお腹の赤ちゃんの状況によっては飛行機の利用を見あわせた方が良いケースがあります。必ず医師に相談の上で、飛行機利用の手続きを進めましょう。
妊婦の飛行機利用、いつからいつまで可能?

妊婦の飛行機への搭乗は、「安定期だから飛行機に乗れる」「9ヶ月だから飛行機に乗れない」といった時期での判断ではなく、個々の妊婦の体調・お腹の赤ちゃんの状況、行先や何時間のフライトか、同伴者はいるかといったさまざまなものを含めた総合的な判断が必要です。
このため、妊娠何ヶ月・何週だから大丈夫だろうと自分で判断せず、必ず医師に確認をとってから飛行機に乗りましょう。飛行機を利用する頻度に関しても、まずは医師に相談してくださいね。
また、各航空会社によって妊婦の飛行機への搭乗に条件が定められている場合があります。基本的には出産予定日より28日以内(国際線の場合は36日以内)の妊婦は、搭乗に際して診断書の提出や予約時の事前連絡などの条件が設けられています。
会社ごとに、臨月から申し出が必要なケース、妊娠初期から診断書の持参が必要なケース、予定日1週間以内であれば搭乗を見あわせているケースもあります。自分が利用する予定の航空会社のルールを必ず確認してから予約を取りましょう。
飛行機内での気圧の変化や宇宙放射線は危険?

気圧の変化による影響
飛行機での移動を考えている妊婦の中には、空の上という特殊な環境で生じる危険に不安を覚える人がいます。特に気にかける人が多いのが、飛行中の気圧の変化です。
飛行機搭乗中の機内の気圧の変化は、一般的にはさほど問題はないとされています。しかし、上空を飛んでいる飛行機の中の気圧は富士山の5合目に相当する低さのため、貧血気味のときや妊娠後期になると酸素不足が何らかの影響を引き起こす可能性があります。た、気圧の変化は腸管の膨張に変化を生じさせるため、これにより子宮が圧迫される可能性もあります。
宇宙放射線による影響
飛行機を利用する妊婦にとって、宇宙から降り注ぐ放射線(宇宙放射線)の影響も気になることでしょう。放射線量は高度が上がり地上から離れるほど増えるといわれています。
妊娠を自覚する前などに宇宙放射線を浴びている可能性が高い客室乗務員(CA)を対象にした調査では、一般的な妊婦と比べて流産率に差がないことが報告されています(※1)。
また、年間で1000時間乗務した場合の被ばく線量は約2mSV(ミリシーベルト)です(※2)。妊婦が被ばくして胎児に影響がある放射線量は、100ミリシーベルト(mSv)以上と考えられています(※3)。これらを踏まえると、飛行機に乗ったことによる放射線の影響は心配しなくても良さそうですね。
手荷物検査のエックス線やセキュリティチェックの影響は?

飛行機の中だけではなく、空港の手荷物検査のエックス線、セキュリティチェックでの金属探知機の使用が気になる方もいます。飛行機に搭乗する前に必ず通る保安検査場では、乗客は金属探知機やボディスキャナーを通り、荷物はエックス線検査装置にかけられます。
金属探知機は、電磁波を使用して金属の有無を確認するものです。ボディスキャナーは微弱な電波を照射する仕組みになっています。どちらもX線などの放射線を照射するものではなく、妊婦や胎児に影響を与えるものではないと考えられています(※4)。とはいえ、金属探知機やボディスキャナーの影響が気になることもあるかもしれません。その場合は検査員に申し出れば、別の方法を使って検査できます。
X線は荷物検査で用いられる手法ですが、気になる方もいるでしょう。検査で用いられるX線手荷物自動検査装置は、法令により漏えい線量率が厳しく定められており、人に対する安全性が確保されています。そのため、手荷物検査による放射線の影響は考えなくてよさそうです。
一般的な飛行機搭乗時の注意点と妊婦特有の注意点

中耳炎
一般的な飛行機搭乗時の注意点のひとつに中耳炎のケースがあげられます。中耳炎は気圧変化の影響を受ける可能性があるため、飛行機への搭乗に制限があり、搭乗前の医師への相談と各航空会社への事前確認が必要になります。
エコノミー症候群
飛行機で長時間フライトした後に、呼吸困難を引き起こす可能性があるエコノミー症候群になる可能性があります。まだ予防法が確立していませんが、意識的な水分摂取や身体・足を適宜動かすといった対策を実践してみましょう。
シートベルト
妊婦特有の注意点としてはシートベルトの着用があります。腹部へのしめつけが気になる場合にはどのように着用するべきか客室乗務員に指示を仰ぎましょう。
非常口座席
妊婦は出産予定日によっては安全上の理由から非常口座席の指定はできません。非常口座席の乗客は緊急脱出時にサポートする役割を担う場合があるため、妊娠中はなるべく非常口座席は避けると良いでしょう。
妊婦特有の体調不良
妊娠中に気をつけることとしては、妊婦特有の体調不良があげられます。つわり、腹痛、お腹が張るといった症状がある場合には、まず医師に相談してから飛行機の予約をとりましょう。場合によっては張り止めなどの薬を処方してもらえることもあります。
空港や飛行機といった特殊な環境下である以上、搭乗直前・搭乗中の場合は、異変を感じたら乗務員に相談し、深刻な事態になる前に対処することが母子の健康のために大切でしょう。
飛行機による影響を受けた事例はある?

妊娠中の飛行機の利用には流産、逆子、破水や障害などを懸念する声があります。妊婦の飛行機搭乗時に異常が起きた事例は、妊娠初期の妊婦と安定期の妊婦でのケースが確認されています。離陸時の気圧が下がる中でお腹が痛くなった、着陸時に気分が悪くなった、長旅の中で出血と腹痛が起こったなどさまざまな事例があるようです。
ただし確認できている件数が少ないため、まだまだ調査は必要なようです。飛行機を利用した後に何かが起きたとしても、それまでの妊娠の経過や母子の健康状態などによっても左右されるため、飛行機との因果関係を決定づけるのは難しいかもしれません。
JAL・ANA・LCCに妊婦はいつまで乗れる?手続きや配慮は

妊婦の飛行機への搭乗は航空会社によって細かなルールが設定されており、特典やサービスがある会社もあります。
JAL
国内線・国際線ともに妊婦の搭乗は可能ですが、いくつか条件が定められています。国内線の場合、出産予定日28日から8日前までは診断書の提出、予定日7日前までは診断書の提出と医師の同伴が必要となります。国内線では事前予約で座席指定、予約なしでも優先的に機内へ案内してくれる事前改札サービスが受けられます。
また、出産予定日を含め28日以内に飛行機を利用する場合もしくは、予約時に出産予定日を伝えていない場合は出発前に「スペシャルアシスタンスカウンター」での当日手続きが必要です。
国際線は出産予定日を含め28日以内・予定日がはっきりしない・双子以上の妊娠・早産の経験がある場合には診断書の提出が求められます。出産予定日14日以内は医師の同伴が必要となります。
診断書はいずれも7日以内に発行されたものでなくてはいけません。必要な診断書は公式サイトからダウンロードできます(※5)。
ANA
国内線は出産予定日含め8日以上28日以内は診断書が必要となり、7日以内は診断書と医師の同伴が必要になります。国内線では予約・購入時に窓口で座席指定が可能です。国際線は出産予定日含め15日以上28日以内は診断書が必要となり、14日以内は診断書と医師の同伴が必要になります。
サービスとしては国内線で電動カートサービス、事前改札サービス、マタニティマーグタグの配布があり、国際線ではマタニティマークタグの配布とエアポートサポート、事前座席指定などが可能です。ただし一部サービスでは事前予約必須となります。(※6、※7)
各種LCC
ジェットスターやスカイマーク、ピーチなど、LCCと呼ばれる格安航空会社の飛行機を利用する妊婦もいるかもしれません。航空会社によって妊婦の飛行機へ搭乗可能条件、航空会社へ妊婦であることを伝えるタイミングなどに差異があるため、必ず公式ホームページを確認しましょう。
中には診断書への記載必要事項の指定があったり、出産予定日によっては安全上の理由から搭乗の受付はできない規定になっていたりする会社もあるため、注意が必要です。最新情報と詳細は各社公式ホームページを参考にしてください。
妊婦の飛行機での過ごし方、必需品や服装

飛行機での過ごし方は持参するグッズによって左右される場合があります。一般の乗客であれば暇つぶしのためのゲーム機や本、むくみ防止のためのスリッパ、エコノミー症候群予防の水分などを必需品としてあげる人もいるかもしれません。
妊婦の場合は一般的な空の旅グッズに加えて自分の体調にあった対策グッズを持っていくと良いでしょう。むくみが気になるのであれば着圧ソックス、肩こりや腰痛が気になっている場合には手軽なマッサージグッズ、食べづわりにはかんたんなお菓子などを手荷物の中に入れておきましょう。またつわりや頻尿が気になる方はトイレ近くの通路側の席を指定すると良いかもしれませんね。
腹帯の有無などを気にする人もいますが、基本的にはしめつけが少ない服装が良いでしょう。しめつけ具合は個人差があるため、自分で問題ないと感じるかどうかが判断基準となりますが、寒暖差や具合が悪いときに対応できるようにある程度は着脱しやすい服装が良いかもしれませんね。
快適な空の旅のためにも事前確認・事前準備を
妊娠中は飛行機のみならず、フェリーなどの船舶や新幹線などの電車、車での移動の際にも通常時とは異なるケースを想定した事前確認、事前準備をしておくと良いでしょう。
母子手帳は必ず携帯し、長時間の移動が予想される場合などには医師に相談しておきましょう。飛行機では妊婦の子連れにも条件があり、同伴者によっても移動環境は大きく異なるかもしれません。妊娠中のトラブルやリスクを理解し、安全に旅を楽しめると良いですね。
※この記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。




