【妊婦の飛行機利用】いつまで乗れる?放射線や気圧の影響は?気を付けること&特典

妊娠中の飛行機利用は、さまざまな不安をともなうものです。ここでは、飛行機の利用が身体や胎児に与える影響について、放射線や気圧の観点から解説します。どうしても飛行機に乗らなければいけない場合の注意点や、ANAやJALの特典について紹介します。知識は身体を守ることにつながるので、搭乗前にチェックしてみてくださいね。

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この記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠中はいつまで飛行機に乗れる?
  2. 妊娠に気づかずに飛行機に乗った場合
  3. 妊婦への飛行機の影響は?
  4. 妊婦が飛行機で気をつけることは?
  5. ANA・JALの妊婦向けの特典
  6. 妊娠を理由に飛行機をキャンセルできる?
  7. 妊娠中の飛行機搭乗が心配な場合は医師に相談して
  8. あわせて読みたい

妊娠中はいつまで飛行機に乗れる?

出産予定日から何日以内まで飛行機に乗れるの?

法律などの決まりはありませんが、安全上の理由から、国内の航空会社では出産予定日より28日以内の妊婦の搭乗は医師の診断書を必要とするところがほとんどです。つまり、妊娠36週(妊娠10ヶ月)に入ったママは、飛行機に乗るには医師の同意が必要というわけですね。

もし里帰り出産など、遠方への帰省予定があるのならば35週までに搭乗するのがベストでしょう。さらに、出産予定日を含めて7日以内の搭乗には、診断書に加えて医師の同行も必要となります。診断書には有効期限があることに注意しましょう。

妊娠初期の妊婦は安定期まで控えたほうが安心

出産日近くの妊婦は飛行機の搭乗に規定が設けられていますが、妊娠初期の規定は特に設けられておらず、基本的には問題ないとされています。ただし、妊娠初期はつわりなどママの体調が不安定なことも多いため、長い時間のフライトは避けたいところです。

飛行機の利用は、身体にも心にも多少のストレスがかかります。ずっと同じ姿勢でいる必要があるだけでなく、気流による揺れのリスクもあります。飛行機を利用する移動は、できるだけ安定期まで控えたほうが安心ですね。

双子を妊娠している妊婦や早産経験者は搭乗条件があることも

妊娠予定日間近ではなくても、多胎妊娠の場合や、過去に流産や早産の経験がある場合、妊娠合併症がある場合は診断書が必要になることもあります。航空会社によって必要な書類や条件が異なるので、事前に調べておきましょう。医師の判断によっては飛行機に乗れない可能性もあります。

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妊娠に気づかずに飛行機に乗った場合

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医師の診察によって妊娠が確定するのは、妊娠5週以降がほとんどです。そのため、妊娠しているかどうかわからない状況や、妊娠に気づいていない状況で飛行機に乗ってしまったケースも十分に考えられます。海外へハネムーン旅行に出かけ、帰ってきたら妊娠が判明することもよくありますよね。

妊娠に気づかないうちに飛行機に搭乗していた場合、胎児に影響がないか不安に思うかもしれません。しかし、妊娠超初期では赤ちゃんの器官は形成されていないため、ママの行動が赤ちゃんに影響することは少ないといわれています。産婦人科を受診して問題がなければ、神経質になりすぎなくても大丈夫ですよ。

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妊婦への飛行機の影響は?

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放射線

自然界には、宇宙や大地などから放出される放射線が存在しています。身体は放射線を日常的に受けていますが、これらの自然被ばく線量は健康に影響があるものではありません。地上から離れた場所を飛ぶ飛行機では、宇宙からの放射線の影響が大きくなります。

国内線と国際線を比べると、国際線のほうが高い高度を飛ぶため、宇宙線による被ばく線量が多くなります。被ばく線量の目安として、東京・ニューヨーク間の往復で、0.11~0.16mSv(ミリシーベルト)程度です(※1)。

受精後2~15週の期間、100mSV以上の被ばく線量を受けた胎児は奇形や発育遅延の可能性が出るとされています(※2)。日常的に飛行機に乗っていても、そう超えることはない数値ですね。飛行機に乗ることによる放射線量は、過剰に気にする必要はないでしょう。

気圧

山に登ると気圧が低くなるように、飛行機で上空を飛んでいるときも客室内の気圧は低くなります。気圧が下がると体内のガスが膨張するため、内臓を圧迫したり呼吸しにくくなったりする可能性があります。酸素濃度が低下するため、心臓や呼吸器に負担がかかったり、貧血になったりすることもあります。

妊娠中であっても、健康な状態であれば問題ないことがほとんどですが、心血管系疾患を合併する場合や切迫早産、前置胎盤などの症状が見られるときは注意が必要です。 気になる症状がある場合は必ず医師に相談し、指示に従うようにしましょう。

金属探知機・X線検査

搭乗前の保安検査に使われているゲートは、金属探知機となっています。金属探知機は放射線を発していないため、被ばくなどの影響はありません。国際線の一部では電波によってセキュリティチェックを行うボディスキャナーが導入されていますが、使用されている電波は携帯電話の電波よりも弱く、人体に影響はないとされています。

手荷物の検査で使われているX線検査は手荷物専用なので、こちらも人体には影響しません。海外の空港ではX線を使用したボディスキャナーを利用している場所もありますが、胎児に影響するほどの被ばく線量ではありません。

車いすや金属製の医療機器を使用している場合など特別な事情があるときは、事前に申し出ると係員による接触検査に切り替えることができます。保安検査のシステムが妊娠に影響しないか不安な場合は、接触検査に切り替えられるか、利用する航空会社に確認してみてはいかがでしょうか。

妊婦が飛行機で気をつけることは?

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通路側の座席を予約する

妊娠中は頻尿やつわりの症状が出ることがあります。トイレに行きやすいように、通路側やトイレに近い座席を予約しておくと安心です。

また、利用する航空会社によっては、最前列に足元が広いシートを設けていたり、くつろぎやすい座席を用意していたりします。妊娠中の移動では、できるだけゆったりした姿勢でいられることが大切です。どのような座席があるか、予約の際にチェックしておくと良いでしょう。

予約時に係員に相談する

飛行機の予約の際に妊娠中であることを伝えると、優先搭乗や電動カートの利用といったマタニティサービスが受けられることがあります。座席で使用するひざ掛けや枕を用意してもらえることもあるので、どのようなサービスがあるか確認してみましょう。

チケットの予約から搭乗までのあいだに妊娠が判明した場合、妊娠を想定した座席となっていないこともあるでしょう。チェックイン時に座席に空きがあれば、ゆったりとしたシートへの変更を受け付けてもらえるかもしれません。予約していたチケットの内容や航空会社によって状況は異なりますが、体調を優先して相談してみてください。

つわりの対策をする

つわりのときは無理をしないことが一番ですが、どうしても飛行機を利用しなければならないときは、におい対策にマスクを着用したりエチケット袋を用意したりして対処しておきましょう。軽くつまめる食べ物を手元に置いておくと、空腹感からの気持ち悪さを予防できます。

「何かあったらどうしよう」という心配や不安はつわりの症状を強めることもあるので、音楽を聴いたり同乗者との会話を楽しんだりしながら、リラックスして過ごすのがおすすめです。

エコノミークラス症候群を予防する

長時間同じ姿勢でイスに座ることにより、足の静脈に血栓が生じてしまうことがあります。エコノミークラスでよく見られる症状のため、エコノミークラス症候群と呼ばれますが、座席の種類にかかわらずに発症することがあることに注意が必要です。

座りっぱなしを防ぐため、1時間に1度は通路を歩いてみる、つま先を動かして足の運動をする、可能であればたまに足をマッサージするといった対策をとると良いでしょう。歩くときは、バランスを崩して転倒しないように注意しましょうね。

ゆったりとした服装にする

お腹がまだ大きくなっていない時期では、マタニティウェアを用意していないこともあるでしょう。しかし、お腹や胸を締め付ける服装は、体調不良の原因にもなります。血流をさまたげないためにも、飛行機に搭乗する際は身体を締め付ける服装を避け、動きやすくゆったりした服装にしておきましょう。

身体の冷えに注意する

機内の温度は空調によって調整されていますが、飛行機が飛んでいる高度の上空は気温が低く、外気温に影響されて室内温度が下がることがあります。ブランケットを利用したり羽織ものを用意したりして、身体が冷えすぎないように工夫することが大切です。

旅行保険が妊娠をカバーするかチェックする

旅行保険とは、旅行中のけがや病気の治療費、荷物の盗難や破損を保証するサービスです。特に海外に行く際は、不安が大きいため事前に海外旅行保険に入ることが多いようですね。一般的な海外旅行保険では、妊娠や出産、早産や流産に関係する処置への費用は保険の支払い対象となりません。

AIG損保など、一部の海外旅行保険では、妊娠初期の異常のみ保険でカバーする特約もあるようです。海外旅行保険に加入するときは、事前に内容をしっかりチェックしておきましょう。妊娠に関連した病気が補償の対象にならなくても、旅行中のさまざまなトラブルに対応できるので、旅行保険は入っておいたほうが安心といえますよ。

ANA・JALの妊婦向けの特典

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ANAの特典

ANAが実施している妊婦向けサービスは以下のようなものがあります。具体的にどのようなサポートが受けられるのかを事前に聞いてみても良いですね。

・電動カートサービス…搭乗口まで電動カートで移動可能。羽田空港第2旅客ターミナル内限定
・事前改札サービス…優先的に機内に案内してもらえる
・マタニティマークタグ…マタニティマークタグを空港カウンターで受け取ることができる
・機内安心サービス…手荷物の収納などサポートが受けられる

JALの特典

JALが実施している妊婦向けサービスは以下のようなものがあります。サービスを受けるには、出産予定日を事前に伝えておく必要があります。

・事前改札サービス…搭乗時、優先的に機内に案内してもらえる
・機内でのお手伝い…困ったことがあったら客室乗務員に

LCCでも妊婦用のサポートはある?

価格が安いLCC(ローコストキャリア)でも、妊婦向けサービスがあるのでしょうか。ジェットスター、ピーチ、エアアジア、SPRINGなどでは、妊婦は「お手伝いが必要なお客様」となっていますが、特別な特典などはないようです。荷物の収納など、常識的な範囲でのサービスを受けることはできるでしょう。

妊娠中の搭乗条件に関しては、JALやANAより厳しいところも存在しています。エアアジアでは妊娠時期に関わらず、医師から搭乗許可の書類をもらう必要があります。

LCCではありませんが、スカイマークでも妊娠中は出発地空港、機内、到着地空港でサポートが受けられるようです。利用する航空会社に事前に聞いておくとさらに安心ですね。

妊娠を理由に飛行機をキャンセルできる?

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各航空会社では、病気やけがなどを理由としたキャンセルの規約をそれぞれ設けています。妊娠は病気ではありませんが、診断書を提出するなどの条件を満たせば、取り消し手数料や払い戻し手数料がかからずに料金の払い戻しが受けられることもあります。条件について航空会社に問い合わせてみましょう。

手数料は航空券の種類や申し込み方法、キャンセルしたタイミングによって細かく決められています。また、格安航空券やキャンペーンで購入した場合は、キャンセルはできても料金の払い戻しはできないものがあることにご注意ください。

旅行代理店を通じて航空券の手配を行っている場合、キャンセルは旅行会社の規定に準ずることが多くなります。航空会社と旅行代理店それぞれに手数料が発生することもあるため、妊娠中に旅行を計画する際は、キャンセル規定について予約前に確認しておいたほうが良いでしょう。

妊娠中の飛行機搭乗が心配な場合は医師に相談して

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妊娠中は何が起こるか予想が難しいものです。妊娠予定日間近でなければ飛行機の利用は制限されていませんが、妊娠中の体調は変化しやすいものです。診断書が必要ではない時期でも、飛行機に乗る場合は必ずかかりつけの医師に相談するようにしましょう。

飛行機利用の許可が出ても、万が一に備えて母子手帳や保険証を持参するといった準備をしておくと、いざというときに役立ちます。計画は余裕を持って、身体に無理のないように心がけておでかけください。

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