更新日:2018年10月27日

妊娠初期に飛行機に乗れる?放射線や気圧の影響は?気をつけることは?

妊娠初期の飛行機利用は、さまざまな不安をともなうものです。飛行機の利用が身体や胎児に与える影響について、放射線や気圧の観点から解説します。妊娠初期の搭乗に際し、気を付けておきたいポイントも取り上げました。飛行機を気持ち良く利用するための対策につながるので、搭乗前にチェックしておきましょう。

監修 : ままのて 医師・専門家
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記事の監修

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産婦人科医
杉山 太朗

妊娠初期に飛行機に乗れる?

妊娠初期の搭乗は基本的にOK

日本国内を運行する航空各社の規定では、出産予定日が搭乗日より28日以内の場合、医師による診断書が必要などの搭乗制限があります。しかし、妊娠初期に対する規定は特に設けられておらず、搭乗は基本的に問題ありません。

とはいえ、多胎妊娠や切迫流産、出血などの症状がある場合、つわりの時期などは搭乗については、飛行機利用に際し医師へ相談することが推奨されています。

安定期まで控えたほうが安心

妊娠初期は胎盤が完成していないため、赤ちゃんが不安定な状態です。12~16週ころまではつわりがあることも多く、体調不良を招いたり流産となったりするリスクが高まります。海外に渡航する場合は、医療機関の受診についても考慮しなければなりません。

飛行機の利用はフライト時間に加え、搭乗までの手続きにも時間を要します。長時間同じ姿勢でいることや、気流の影響が身体への負担が大きくすることも考えられます。飛行機を利用する移動は、できるだけ安定期まで控えたほうが安心です。

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妊娠に気づかずに飛行機に乗った場合

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妊娠の目安となるのは次の生理開始予定日ですが、生理周期には多少の変動があるため、妊娠していることに気づかずに過ごしてしまうということは起こりえます。

帰省や出張などで飛行機に搭乗する機会が多い人は、妊娠に気づかないまま搭乗を繰り返す可能性もあります。海外へハネムーン旅行に出かけ、帰ってきたら妊娠が判明したということもあるでしょう。

妊娠に気づかないうちに飛行機に搭乗していた場合、胎児に影響がないか不安に思うかもしれません。しかし、海外の航空会社の中には、妊娠中の客室乗務員の乗務を認めているケースもあります。産婦人科を受診して特に問題がなければ、神経質になりすぎなくても大丈夫です。

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妊娠初期への飛行機の影響は?

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放射線

自然界には、宇宙や大地などから放出される放射線が存在しています。普段気にかけていなくても、身体は放射線を日常的に受けているのです。地上から離れた場所を飛ぶ飛行機では、宇宙からの放射線(宇宙線)の影響が大きくなります。

国内線と国際線を比べると、国際線の方が高い高度を飛ぶため、宇宙線による被ばく量が多くなります。飛行機で受ける放射線量は、東京・ニューヨーク間の約13時間のフライトで片道0.1~0.2mSv(マイクロシーベルト)程度といわれています。

日本産科婦人科学会がまとめた診療ガイドラインでは、妊娠10週目までの胎児被ばく量が50mSv未満ならば、奇形発生との関連性は認められていないと記載されています。そのため、たまに渡航する程度であれば問題がない数値と考えられています。

気圧

飛行機が上空を飛んでいるとき、機内の気圧は地上に比べて約70~80%低くなります。富士山の5合目付近と同じくらいの気圧で、飛行機が離着陸する15~30分のあいだ、地上と上空の気圧変化によって身体にさまざまな症状があらわれます。

気圧の変化は、体内にたまっている空気がふくらんだり、空気が閉じ込められたりする現象を引き起こします。体内で膨張した空気が内臓や身体の組織を圧迫すると、痛みが生じます。よくあらわれるのは耳や鼻、頭の痛みですが、腸内のガスが膨張して子宮を圧迫することで、腹痛や出血につながったケースも報告されています。

気圧の変化は酸素濃度にも影響します。上空を飛んでいる機内の酸素濃度は、地上の約70~80%です。呼吸器や心臓に疾患があったり、強い貧血症状があったりすると、症状が悪化するおそれもあります。気になる症状がある場合は必ず医師に相談し、指示に従うようにしましょう。

金属探知機・X線検査

搭乗前の保安検査に使われているゲートは、金属探知機となっています。金属探知機は放射線を発していないため、妊娠に影響はありません。国際線の一部では電波によってセキュリティチェックを行うボディスキャナーが導入されていますが、使用されている電波は携帯電話の電波よりも弱く、人体に影響はないとされています。

手荷物の検査で使われているX線検査は手荷物専用なので、安心して検査に臨んでください。ただし、海外の空港ではX線を使用したボディスキャナーを利用している場所もあります。どのような検査器具を使用しているのか、航空会社や旅行会社などに問い合わせておくと安心です。

また、車いすや金属製の医療機器を使用している場合など特別な事情があるときは、事前に申し出ると係員による接触検査に切り替えることができます。保安検査のシステムが妊娠に影響しないか不安な場合は、接触検査に切り替えられるか、利用する航空会社に確認してみてはいかがでしょうか。

妊娠初期の飛行機で気をつけることは?

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通路側の座席を予約する

妊娠初期は頻尿やつわりの症状がでることがあります。トイレに行きやすいように、通路側やトイレに近い座席を予約しておくと安心です。

また、利用する航空会社によっては最前列に足元が広いシートを設けていたり、くつろぎやすい座席を用意していたりします。妊娠中の移動は、できるだけゆったりした姿勢でいられることが大切です。どのような座席があるか、予約の際にチェックしておくと良いでしょう。

チェックイン時に係員に相談する

チェックインや搭乗券の予約の際に妊娠中であることを伝えると、優先搭乗や電動カートの利用といったマタニティサービスが受けられることがあります。座席で使用するひざ掛けや枕を用意してもらえることもあるので、どのようなサービスがあるか確認してみましょう。

チケットの予約から搭乗までのあいだに妊娠が判明した場合、妊娠を想定した座席となっていないこともあるでしょう。チェックイン時に座席に空きがあれば、ゆったりとしたシートへの変更を受け付けてもらえるかもしれません。予約していたチケットの内容や航空会社によって状況は異なりますが、体調を優先して相談してみてください。

つわり対策

つわりのときは無理をしないことが一番ですが、どうしても飛行機を利用しなければならないときは、におい対策にマスクを着用したりエチケット袋を用意したりして対処しておきましょう。軽くつまめる食べ物を手元に置いておくと、空腹感からの気持ち悪さを予防できます。

心配のし過ぎはつわり症状を強くしてしまうので、音楽を聴いたり同乗者との会話を楽しんだりしながら、リラックスして過ごすのがおすすめです。

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エコノミークラス症候群を予防する

長時間同じ姿勢でイスに座ることにより、足の静脈に血栓が生じてしまうことがあります。エコノミークラスでよく見られる症状のため、エコノミークラス症候群と呼ばれますが、座席の種類にかかわらずに発症することがあるので注意が必要です。

座りっぱなしではなく通路を歩いてみる、つま先を動かして足の運動をする、可能であればたまに足をマッサージするといった対策をとると良いでしょう。

ゆったりとした服装にする

お腹がまだ大きくなっていない時期では、マタニティウェアを用意していないこともあるでしょう。しかし、血流をさまたげないためにも、飛行機に搭乗する際は、ゆったりとした服装を身に着けるのがポイントです。

身体の冷えに注意する

機内の温度は空調によって調整されていますが、飛行機が飛んでいる高度の上空は気温が低く、外気温に影響されて室内温度が下がることがあります。ブランケットを利用したり羽織ものを用意したりして、身体が冷えすぎないように工夫することが大切です。

旅行保険が妊娠をカバーするかチェック

搭乗前に加入する旅行保険の内容が、妊娠や旅行時期の妊娠週数をカバーしているかチェックしましょう。保険の種類によっては、旅行中や旅行後の流産や子宮外妊娠などの治療に対し、通常の疾病と同じ扱いで保険金が支給されるものがあります。

妊娠を理由に飛行機をキャンセルできる?

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各航空会社では、病気やけがなどを理由としたキャンセルの規約をそれぞれ設けています。妊娠は病気ではありませんが、診断書を提出するなどの条件を満たせば、取り消し手数料や払い戻し手数料がかからずに料金の払い戻しが受けられることもあります。条件について航空会社に問い合わせてみましょう。

手数料は航空券の種類や申し込み方法、キャンセルしたタイミングによって細かく決められています。また、格安航空券やキャンペーンで購入した場合は、キャンセルはできても料金の払い戻しはできないものがあるのでご注意ください。

旅行代理店を通じて航空券の手配を行っている場合、キャンセルは旅行会社の規定に準ずることが多くなります。航空会社と旅行代理店それぞれに手数料が発生することもあるため、妊娠中に旅行を計画する際は、キャンセル規定について予約前に確認しておいたほうが良いでしょう。

妊娠初期に飛行機に乗る場合は医師に相談して

妊娠中は何が起こるか予想が難しいものです。妊娠初期の飛行機利用は制限されていませんが、流産の多くは妊娠初期に起こっていることや、つわりなどの体調変化が現れやすいことから、飛行機に乗る場合は必ずかかりつけの医師に相談するようにしましょう。

飛行機利用の許可が出ても、万が一に備えて母子手帳や保険証を持参するといった準備をしておくと、いざというときに役立ちます。計画は余裕を持って、身体に無理のないように心がけておでかけください。

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