【産婦人科医監修】妊娠初期に気をつけること・注意点!生活習慣や食べ物は?二人目の場合は?
待ちに待った妊娠。初めて妊娠したママは特に嬉しい気持ちがある反面、どのような過ごし方をすべきなのか、不安な気持ちもあるのではないでしょうか。ここでは、妊娠初期・超初期はどのような時期なのかといった概要から、パパとのコミュニケーション、二人目に気をつけるべきことなど、妊娠初期の注意点を産婦人科医監修で解説していきます。
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この記事の監修
目次
妊娠初期・妊娠超初期とは
妊娠期間は妊娠初期、妊娠中期(16〜27週)、妊娠後期(28週〜出産)の大きく3つの期間に分けられます。妊娠初期とは、妊娠0〜15週までの期間のことをさします。また、医学的な言葉ではありませんが、妊娠0〜4週までの時期は妊娠超初期と呼ばれており、妊娠初期の中でも妊娠超初期と妊娠初期の2期に分けることができます。
医学的には最終生理日が妊娠0日となっており、妊娠期間は大体280日前後と考えられています。妊娠していない期間も含まれるなんて、不思議ですよね。
妊娠が成立すると、女性ホルモンのバランスの大きな変化によって、身体にさまざまな症状が現れます。多くの人は性行為をした10日前後に何かしらの症状を感じるようですが、症状の感じ方には個人差があり、あとから妊娠初期症状だったと気づくケースもあります。なかには、着床直後から妊娠初期症状を感じる人もいるといわれています。
妊娠初期の症状にはどんなものがある?
つわり
妊娠の症状で最もつらい症状のひとつといわれています。つわりには大きく分けて5つの症状がみられます。
1.ムカムカが止まらずつらい「吐きづわり」
2.一日中眠気がつきまとう「眠りづわり」
3.常に何か食べてないと落ちつかない「食べづわり」
4.ダラダラと唾液が口の中で溢れ続ける「よだれづわり」
5.あらゆるにおいに敏感になり耐えきれなくなる「においづわり」
症状や期間には個人差がありますが、つわりのピークは8〜11週といわれており、12〜16週頃におさまる人が多いでしょう。
おりものの変化
妊娠初期になると、さらさらとした水っぽいおりものに変化したり、おりものの量が増えたりする場合があります。また、普段はすっぱいにおいを感じるのに、においが弱まったり感じられなくなったりした人もみられます。透明だったおりものが、クリーム色や白っぽくなった人もいるかもしれません。こうしたいつもと違うにおいや色の変化から、妊娠の可能性を疑うママもいるようです。
おりものの症状がでるかどうかは個人差がありますが、妊娠を考えている人は、基礎体温とあわせて、おりもの周期をチェックするのも良いかもしれませんね。
貧血
貧血は大なり小なりほぼすべてのママに起こるといわれています。妊娠初期には2つの貧血の症状が見られます。1つは「鉄欠乏性貧血」で、症状としては、酸欠のような状態になり、動悸、息切れ、頭痛、めまいなどが起こります。また、朝起きられない、やる気が出ない、倦怠感があるなど、身体がだるく感じます。
もう1つは、医学用語ではありませんが一般的に「脳貧血」と呼ばれるもので、立ちくらみや目の前が真っ暗になって、チカチカする症状がみられます。ホルモンバランスが変化するママは脳貧血を起こしやすいといわれています。
着床出血
生理予定日よりも1週間前くらいに微量の出血がみられる場合があります。おりものにまじった茶色やピンクの微量の出血の場合は、着床出血の可能性が高いです。着床出血が起こったからといって、必ず妊娠するというわけではありませんが、大切な妊娠兆候のひとつです。
着床出血は誰にでも起こることではないため、出血しなかった場合でも心配はいりません。着床出血かなと思ったら、基礎体温の変化やおりものなど、他の妊娠兆候も確認してみましょう。
頻尿
「前よりもトイレにいく回数が増えた」と感じる方は妊娠した可能性があります。頻尿は症状を感じる期間や治る期間に個人差があり、なかにはまったく頻尿がなかったというママもいます。
便秘
妊娠初期兆候として、お腹が張ったり、下痢、腹痛、便秘を引き起こしたりするママもいます。これらの症状の原因は、黄体ホルモンの働きなのですが、生理前の症状と似ており、妊娠との区別は少し難しくなります。また、おならがいつもより出やすかったり、くさいと感じたりするのも、妊娠の影響である可能性があります。
情緒不安定、イライラ
生理前にホルモンバランスの乱れで情緒不安定になってしまう人は多いのではないでしょうか。生理前と似たような症状でわかりにくいかもしれませんが、普段以上に気分に敏感になったら妊娠の可能性があります。早い人では、着床した直後からイライラを感じ始めるかもしれません。
妊娠初期の生活習慣で気をつけること
無理な姿勢
背伸びをすると、「胎盤がはがれる」「流産する」などと聞いたことはありませんか。実際にはそのような可能性はほとんどないのですが、急に背伸びをするとお腹が引っ張られたり、お腹に力が入ってしまったりします。どんな動きでも「急な動き」は筋肉を傷めてしまう可能性があるので注意しましょう。なお「高いものをとる姿勢」も危険なので、気をつけましょう。
激しい運動
妊娠中の適切な運動は、お産への体力づくりやリラックスのために役立ちます。しかし、流産の危険性のある球技や接触の多いスポーツ、転倒の可能性のあるスポーツといった激しい運動は行わないようにしましょう。
妊娠初期の運動として、ヴォーキングや軽いストレッチなどがおすすめです。妊娠中の体調には個人差もあるので、妊婦健診時に医師に確認しましょう。
薬、サプリ、ワクチン
妊娠初期は赤ちゃんの身体が形成される最も大事な時期です。薬などの影響も受けやすく、「絶対過敏期」ともいわれています。むやみに薬を飲んでしまうのは危険なので注意しましょう。
栄養素よってはサプリメントの過度な摂取が胎児に悪い影響をおよぼす場合もあります。妊娠中の摂取が推奨されている葉酸にも、1日の上限摂取量が決められています。自己判断ではなく、医師に相談して処方薬を出してもらいましょう。また、インフルエンザの予防接種などといったワクチンも、必ず医師に妊娠中であることと妊娠周期を伝え、大丈夫かどうかを確認してから接種するようにしましょう。
タバコ
喫煙は妊娠中のママや胎児にも悪影響を及ぼします。タバコを吸う女性は吸わない女性と比べて、流産や合併症、先天性異常のリスクが高まります。また、赤ちゃんの出生体重にも影響があり、1日5〜15本吸う喫煙妊婦で250グラム、20本以上の喫煙妊婦で350グラムも減少しているという報告があります。ママの禁煙はもちろん、パートナーや周りの人の喫煙にも今まで以上に十分配慮しましょう。
感染症の元になる行動
妊婦の身体からお腹の赤ちゃんにウイルスや細菌が移行して感染することを「母子感染」といいます。妊婦健診で受けられる検査は必ず受けるとともに、検査できない病気でもできる限りの予防策を行いましょう。
具体的には、妊娠初期にうなぎや生魚など、感染症を引き起こす可能性のある食べ物や飲み物の摂取を控えましょう。また、妊娠初期のプールも、流産や感染症を引き起こす場合があるため、安定期に入るまでの利用はやめておきましょう。
車や自転車の運転
妊娠初期はつわりや体調不良になりやすく、運転中気分が悪くなる可能性が高いため、安全面において不安定です。また、運転での振動によりお腹が張りやすくなる可能性もあるため、運転はできるだけ避けましょう。
また、自転車の運転も転倒の可能性があるため、避けたほうが無難でしょう。転倒以外にも、振動が子宮を刺激したり、漕ぐ際に腹圧がかかったりする心配があります。電車やバスといった公共交通機関の利用を心がけましょう。
旅行
赤ちゃんが生まれると夫婦ふたりでの時間がとりにくくなることから、思い出づくりに旅行を計画する夫婦も多いようです。妊娠初期の旅行は基本的に「自己判断で」といわれますが、この時期は体調不良も起きやすく、旅行に出かけても満足できない場合があります。
海外旅行だけでなく、国内旅行も入念な情報収集を行い、旅行場所や食事などには十分注意しましょう。また、個人の判断だけに頼らず、パートナーや医師と相談し、無理のない旅行計画をしましょう。
妊娠初期の仕事で気をつけること
上司には早めに報告
昨今では、仕事をこなしながら妊娠を迎える女性も増えていますが、過労が赤ちゃんに影響を与える恐れがあります。妊娠初期は体調不良になりやすいことや、健診が頻繁になることからも、母子手帳を発行した段階で直属の上司には妊娠を報告しましょう。
また、妊娠初期には自然流産の可能性が高いことから、「私も妊娠して初めて知ったのですが...」と一言添えて流産のリスクを説明することと、安定期に入るまで公言を避けるようお願いすることもおすすめします。
休暇を多くとる、無理な仕事は引き受けない
妊娠初期には自然流産になる可能性だけでなく、切迫流産の危険性もあります。切迫流産の原因としては過労、睡眠不足、ストレスなどがあげられ、どれも働く女性に起こりがちです。
妊娠初期はつわりや下腹部の痛みといった体調不良が多く引き起こされますが、産休を取るまでは頑張りたいと無理をするママも少なくないかもしれません。自分ひとりの身体ではないことを自覚し、無理なく仕事をこなしましょう。
におい対策
万が一に備えて、マスクや口と鼻をふさげるタオルを常備しましょう。駄目なにおいも人それぞれなので、どうしてもつらい場合は正直に話して理解してもらいましょう。
満員電車は避ける
妊娠中はできるだけ混む時間帯の電車は避けましょう。職場の上司に相談して、出勤時間を調整してもらうことをおすすめします。どうしても調整できない場合は、女性専用車や各駅停車の電車を利用し、できる限り混雑を避けましょう。また、周りからわかりにくい妊娠初期でもマタニティマークをつけましょう。
妊娠初期の服装の注意点
お腹がまだ大きくなくても、初期の段階から赤ちゃんが健康に育つよう、服装選びには気をつけましょう。身体の冷える服装(ノースリーブ)やお腹周りなど締め付ける服装(コルセット、ベルト)、ヒールのある靴は避けてくださいね。
春・夏はゆったりとしたワンピースに羽織りものを持ち歩くコーディネート、秋・冬は冷えやすいスカートは避け、ゴムで締め付けないパンツスタイルにし、外出の際はマフラーや手袋などといった防寒グッズを持ち歩くのがおすすすめです。
妊娠初期の場合、体型が変化しつわりが始まると少しの刺激にもストレスを感じる可能性があります。自分にあった形や素材選びを心がけましょう。
妊娠初期の食べ物・飲み物の注意点
糖分・塩分
塩分を摂りすぎると「妊娠高血圧症候群」になりやすくなります。妊娠高血圧症候群になると胎児の成長に悪影響を及ぼし、早産のリスクも高まります。
また、糖分の摂りすぎは「妊娠糖尿病」につながるおそれがあり、妊娠糖尿病になると妊娠高血圧症候群や、胎児の肥満や巨大児、流産、早産などの危険があります。
ビタミンA、メチル水銀、無機ヒ素
ホタルイカ、レバー、うなぎといったビタミンAが豊富に含まれている食材を妊娠初期に過剰に摂取することで、奇形児になる確率が上がります。1日の摂取量の上限の目安は2,700μgといわれています。
また、マグロ類を使用した料理や加工食品といった水銀を多く含む食材は母体には影響を及ぼしませんが、赤ちゃんは水銀を排出することができないため、妊娠中は控えたほうが良いでしょう。厚生労働省の資料に、食べて良い魚と控えるべき魚の目安がありますので確認しましょう。
さらに、ひじきなどといった毒性の高い無機ヒ素を多く含む食材の過度な摂取は、胎児の奇形や脳障害をもたらすといわれているので注意しましょう。
カフェイン
胎児はカフェインを体内から排出するのに、大人より時間がかかります。そのため、妊娠中にカフェインを過剰摂取すると、赤ちゃんの中枢神経を刺激し、発達を遅延させてしまう可能性があります。1日の摂取量の目安は300mg程度とされており、この量を越えると妊娠を継続するのに影響が出る恐れがあるので注意しましょう。
アルコール
赤ちゃんはアルコールを排出するのに大人の2倍も時間がかかり、免疫が少ないことからもママが飲酒すると赤ちゃんも酔っ払ってしまいます。赤ちゃんがアルコールの影響を受けると、赤ちゃんの頭の大きさが小さくなったり、発育が遅れたりする胎児性アルコール症候群になる可能性があります。また、未熟児や障害児で生まれてくる可能性も高くなるので注意が必要です。妊娠が判明した段階で禁酒しましょう。
食中毒の恐れがあるもの
加熱せず製造されているナチュラルチーズなどの乳製品、食肉加工用生ハム、スモークサーモンなどはリステリア食中毒の恐れのある食べ物です。リステリア食中毒は免疫力の低い妊婦に感染しやすく、感染してしまうと赤ちゃんにも感染してしまい、流産や早産へのリスクが高まります。リステリア菌は加熱することで予防できるので、摂取する際は気をつけましょう。
二人目の妊娠初期に気をつけること
抱っこ、授乳
医学的には抱っこをしてはいけないというわけではありませんが、流産の危険性の高い妊娠初期は、できるだけ安静に過ごす必要があるため、医師から控えるようにいわれることが多いです。最初はぐずってしまうかもしれませんが、上の子にはきちんと「今は抱っこができない」と伝えましょう。
基本的に妊娠中の授乳は可能な場合が多いです。きちんと妊娠健診を受け、切迫流産や切迫早産の心配がなければ、問題なく授乳を続けることができます。しかしケースによっては断乳が必要になるため、医師の指示に従いましょう。
上の子とのコミュニケーション、赤ちゃんがえり
不思議なことにお腹に下の子が宿ると、上の子は赤ちゃんがえりしてしまうといわれています。本能的に自分への愛情が半分になってしまうと感じてしまうのかもしれません。
愛情を求められたら思い切り注いであげてください。仕事や家事などやらなければいけないことがたくさんあるかもしれませんが、できる限り子どものリズムにあわせてあげることも大切です。
また、もうすぐ兄妹が産まれることを伝えてあげたり、下の子が生まれたときのシミュレーションを行ったりする工夫も行うと良いでしょう。
外遊び
上の子がまだ小さい場合、外に連れて行くだけでも大変ですよね。基本的に外遊びは可能です。しかし、流産の危険も高い妊娠初期は無理せず、激しい動きは控えましょう。感染症にも気をつけてくださいね。
妊娠初期のパパとの協力の仕方は?
「女性は自然とママになるけど、男性は自然とパパになることはできない」という話を聞いたことはありませんか。赤ちゃんがお腹に宿っているのは女性なので、男性にとって女性の身体の変化や辛さなどを察することは難しいかもしれません。
身体のつくりが違うことを前提に、「言わなくても見ればわかる」と思うのではなく、パートナーにこまめに自分の体調を報告するようにしましょう。つわりなどの症状は個人差があることや、どのような症状が起こるのかなど、具体的に説明することがポイントです。一緒に産婦人科に行ってみると、赤ちゃんの様子が確認でき、パートナーにとってパパになる自覚が芽生える良い時間になるかもしれません。
また、家事に仕事に妊娠と、全てを自分で担おうとするのではなく、手を抜けるところは手を抜きましょう。やらなければいけないものをきちんと伝え、手伝ってもらえるところは手伝ってもらいましょう。
妊娠中は身体の変化や赤ちゃんが気になってしまいがちですが、パートナーも同じように不安になっているかもしれません。自分だけでため込まず、きちんと話しあうことによって、ふたりで妊娠のつらさを乗り越えていきましょう。安定期以降は病院や自治体でプレパパ、ママ向けの講習会が開かれているところもありますから確認してみましょう。
妊娠初期はママと胎児に無理がないように過ごして
妊娠初期は身体の変化や、流産の危険性など、ママにとって不安に感じてしまうことがたくさんある時期ですよね。不安な気持ちをママ自身だけで解消せず、パートナーや親戚、医師にきちんと相談しましょう。自分を支えてくれる人に頼ることも妊娠初期のママにとって大切なことのひとつです。ママの身体と胎児の安全を最優先に考え、無理のない妊娠初期生活を過ごしましょう。
※この記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。