妊婦健診の血液検査では何を調べる?血液検査の項目と費用

妊婦健診で必ず行う血液検査ですが、妊娠・出産に関する項目は具体的にどのようなものがあるのか気になりますよね。ここでは、妊婦健診時に行われる血液検査の項目と、血液検査にかかる大体の費用について解説します。妊娠初期と妊娠中期・後期でチェックする項目が違うので、それぞれの検査内容もあわせて説明します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊婦健診の血液検査の目的
  2. 妊婦健診の血液検査の回数
  3. 妊娠初期の血液検査の項目
  4. 妊娠中期・後期の血液検査の項目
  5. 妊婦健診の血液検査の費用
  6. ママとお腹の赤ちゃんの健康を調べる血液検査
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妊婦健診の血液検査の目的

妊娠すると女性の身体は、胎盤を通してお腹の赤ちゃんに酸素や栄養を運ぶ働きをします。身体の変化に伴い、母体側の血液に異常がある場合は、妊娠中や出産に関わるトラブルが発生しやすくなってしまうのです。

妊婦健診で血液検査を行うことでママの血液に問題がないかどうか調べ、異常があった場合は早期発見・治療を行うことができます。血液検査には、赤ちゃんとママが健康で過ごせるように血液中に異常がないかチェックする目的があります。

妊婦健診の血液検査の回数

妊婦健診の血液検査の回数は通常2~4回が一般的で、妊娠初期に1回、妊娠中期・後期に1回受ける人が多いようです。ただし、場合によっては、血液検査を何度か受けて経過を観察していくこともあるので、通常の回数より多く受ける人もいます。

妊娠初期の血液検査の項目

妊娠初期の血液検査は、妊婦健診の初期段階で行われます。妊娠中や出産までに血液に異常がないかどうかを調べることで、母子の健康状態を把握し、問題が見つかった場合でも早期発見し治療することを目的に実施されています。

血液型検査

血液型検査では、ABO式とRh式で血液型を調べます。分娩時など緊急な事態になった場合にすぐに輸血ができるように対処する目的があります。

貧血検査

妊娠中は貧血状態になりやすいため、妊娠前は貧血ではなかったママも貧血になる可能性があります。出産が近くなるにつれて貧血の症状が重くなる場合もあり、鉄剤などを処方されることは少なくありません。

梅毒血清反応検査

妊娠初期の妊婦健診の血液検査では、性感染症のひとつである「梅毒」に感染していないか確認します。仮に感染していた場合、赤ちゃんにも感染して流産や早産を引き起こす可能性も高くなるため、早期の治療が必要です。

HBs抗体検査

HBsの抗体検査も血液検査で調べることが可能です。出産時や出産後にB型肝炎ウイルスに感染することを防ぐため、抗体があるか調べます。

HCV抗体検査

HCVとはC型肝炎ウイルスのことで、ママに抗体があるかどうか調べます。HCVの場合は母子感染する可能性もありますが、他のウイルスと比べても可能性は5%と低い確率です。しかし、早期発見によって母子感染のリスクを抑えることができます。

風疹抗体検査

風疹の抗体があるかどうかは非常に重要です。ママに風疹の抗体がない場合、妊娠初期に風疹に感染すると、お腹の赤ちゃんに奇形が起こる可能性が高くなることがわかっています。風疹の抗体がない場合は、妊娠前に予防接種を受けましょう。

不規則抗体検査

ママが不規則抗体を持っているかどうかを検査します。不規則抗体を持っている場合、ママの血液に赤ちゃんの赤血球が破壊され、新生児溶血性貧血を引き起こす確率が高くなります。

血糖検査

血糖の値が高いと、妊娠中にも糖尿病になることがあります。妊婦健診の血液検査の前に甘いものなどを食べたり飲んだりすると、血糖値が急激に上がることもあるため、正常な状態で血液検査を受けるようにしましょう。

トキソプラズマ抗体検査

トキソプラズマ抗体があるかどうか検査します。トキソプラズマとは、寄生虫の一種で、感染が確認されると流産などのトラブルにつながりやすくなります。任意検査ですが、血液検査の項目に加えている医療機関も多いです。

HIV抗体検査

HIVとは、エイズ(後天性免疫不全症候群)の原因になるウイルスのことです。HIVに感染すると免疫力が著しく低下してしまうことから、母体や赤ちゃんが病気にかかりやすく危険な状態になります。

HTLV-1検査

HTLV‐1は一部の白血病の原因となるウイルスです。出産時や授乳による赤ちゃんへの感染を防ぐため、あらかじめママが感染していないか検査します。感染が確認された場合、成人T細胞白血病(ATL)、HTLV-1関連骨髄症(HAM)などの病気になる可能性が高く、出産後に母乳を通して赤ちゃんに感染する可能性が高くなるため注意が必要です。

妊娠中期・後期の血液検査の項目

妊娠中期・後期にも血液検査があります。妊娠初期の血液検査より検査項目は少ないですが、出産に備えて妊娠中になりやすい貧血や妊娠糖尿病の検査を行います。

貧血検査

妊娠初期の血液検査と同様に貧血検査を行います。貧血状態が続くと分娩時に母体や赤ちゃんに負担がかかり、輸血が必要になる場合もあります。貧血と判断されたら、できるだけママが健康な状態を保てるよう、鉄分を補給する食事を心がけ、鉄剤も取り入れてみましょう。

血糖検査

妊娠中に糖尿病になる可能性は高く、妊娠糖尿病になる女性は10%程度といわれています。妊娠糖尿病になっていなくても、血糖の値が高めの傾向にある場合は、できるだけ普段の生活に気をつけながら医師とともに様子を見ましょう。

妊婦健診の血液検査の費用

妊婦健診の血液検査は負担額が大きく、特に検査項目が多い妊娠初期の血液検査の費用は高めになることが多いです。妊婦健診の血液検査の大体の費用を知っておくと、大まかな金額を用意してから妊婦健診の血液検査を受けることができます。

妊娠初期

妊娠初期の妊婦健診の血液検査は検査項目が多いため、自己負担額は1万円~2万円が相場です。任意の血液検査を受けるか否かによっても金額は変わってくるため、少しまとまったお金を用意しておくと安心です。

妊娠中期・後期

妊娠中期・後期の妊婦健診の血液検査は、1万円前後が一般的です。妊娠初期に比べて抗体検査などは受けずに済む場合が多いため、初期のころより自己負担額は少なくて済みます。不安に思う場合は、あらかじめ妊婦健診を受けている医療機関に相談してみましょう。

ママとお腹の赤ちゃんの健康を調べる血液検査

妊婦健診の血液検査は、ママや赤ちゃんが出産後も健康でいられるかどうかを確認する大切な検査です。ウイルスの抗体の有無を調べたり、ママが貧血や妊娠糖尿病になっていないかどうかを検査したりすることで、病気の早期発見や症状の改善・治療につなげることができます。

妊婦健診の血液検査の費用は、特に妊娠初期は少し高額になりますが、自分の身体とお腹の赤ちゃんを守るためにも必ず受けましょう。

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