【産婦人科医監修】妊娠中でもコロナワクチンが打てる?妊娠中の接種の見解をわかりやすく紹介!

新型コロナウイルスワクチンの接種が日本でも開始されました。予防接種法に基づいて、妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の方にもワクチン接種が推奨されています。新型コロナウイルスの感染は避けたいけれどワクチンの接種に悩む妊婦さんも多いでしょう。安全性が気になる妊婦さんのワクチン接種について解説します。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 新型コロナウイルスワクチン接種の日本の対応
  2. 妊婦さんはワクチンを接種できる?
  3. 妊婦さんのコロナワクチン接種の見解
  4. 専門家によって妊婦の接種は除外とされることも
  5. 心配なことは医師に相談しよう
  6. あわせて読みたい

この記事は2021年2月時点の情報をもとに作成しています。最新の情報は厚生労働省などのHPをご確認ください。

新型コロナウイルスワクチン接種の日本の対応

新型コロナウイルス感染症の対策として、日本でも2021年2月中旬からワクチン接種が開始されました。最初は医療に従事する方々が対象となり、次いで高齢者や基礎疾患を有する方への接種が行われ、現在は12歳以上の一般の方も接種対象となっています。

日本で供給が開始されるワクチンは「mRNAワクチン」と呼ばれるものです。半年という短い期間で開発されたため、国内外の臨床試験等で効果や安全性の確認が行われています。

ワクチンの接種費用は全額公費でまかなわれ、希望する人は無料で接種することができます。予防接種により健康被害が生じ、治療が必要になったり障害が残ったりした場合は、予防接種健康被害救済制度による救済が受けられます(※1)。

妊婦さんはワクチンを接種できる?

新型コロナウイルス感染症のワクチンは、臨床試験の対象から妊婦さんを除外しているため、妊婦さんに対する安全性・有効性は明らかになっていません。現時点では、妊婦であることが新型コロナウイルス感染症の重症化リスクになるかということもまだ不透明な状況とされています。

そのため、妊婦のワクチン接種順位については、国内外の科学的知見を踏まえて検討していくようです。(※2)

妊婦さんのコロナワクチン接種の見解

妊婦さんのコロナワクチンの接種はどのように考えられているのでしょうか。ここでは、日本産婦人科感染症学会および日本産科婦人科学会が発表した「COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ」(※3)から学会の見解や正しい情報についてまとめます。

胎児への安全性は確立されていない

mRNAはその特性から人体に長期的な影響が残るものではないと考えられていますが、研究はまだ途上であり中・長期的な安全性は認められていません。どういった副反応が出るのか、胎児や出生児に将来的な影響が残るのかなど、今後の経過を見ていく必要があります。

ワクチン接種対象から除外しない

感染が拡大している現状や妊婦さんの重症化リスクを踏まえ、⽇本産婦⼈科感染症学会および⽇本産科婦⼈科学会の提言では、ワクチン接種対象から妊婦さんを除外しないとしています。

ただし、接種には医師による十分な説明と妊婦さんの同意があること、接種後は体調に変化がないか30分間その場で待機し、経過観察を行うことが求められています。

器官形成期は接種を避ける

妊娠12週までは胎児の器官形成期にあたります。提言によると、この時期はワクチンの接種を避けることが望ましいとされています。

母児管理ができる施設で行うこと

接種による体調変化が起こった場合、母児を適切に管理できるよう、妊婦さんは産婦⼈科施設などにて接種を受けることや、接種前と接種後にエコー検査などで胎児の心拍を確認することが提言されています。

医療従事者や持病がある妊婦さんは接種を考慮

医療に従事する妊婦さんや肥満や糖尿病などの基礎疾患を合併している妊婦さんは、通常よりも感染や重症化のリスクが高くなります。そのため、ワクチンの効果がリスクを上回るかどうかを考慮して接種を行うか検討する必要があります。

パートナーや家族は家庭内感染を防ぐ

新型コロナウイルス感染症は、感染経路のひとつに家庭内感染があげられます。新型コロナウイルスに限ったことではありませんが、パートナーや家族はワクチンを含めた感染症対策を進め、妊婦さんへの感染を予防することが大切です。

妊娠を希望する人は妊娠前に接種を

mRNAワクチンは生ワクチンではないため、接種後に長期間の避妊の必要はありません。とはいえ、現在接種が進められているワクチンは2回接種となる見込みで、1回目と2回目は3週間の間隔をあけることが推奨されています。

お腹の赤ちゃんの器官形成期の接種を避けるためにも、妊娠を希望する人は妊娠前に接種を受けることが望ましいとされています。

専門家によって妊婦の接種は除外とされることも

妊婦さんのワクチン接種に対しては十分な知見が得られていないことから、WHOをはじめ各国で見解が分かれているようです。また、厚生労働省が発行する「新型コロナウイルスワクチンの接種順位等について」(※2)には、有効性・安全性ともに、小児・妊婦・高齢者のデータが少なく不明点が多いとされています。そのため、妊婦さんに関しては接種を推奨する対象から除外する方向との考えもあるようです。

新型コロナウイルスワクチンについてのデータやニュースは日々更新されているため、最新の情報を確認するようにすることが大切といえるでしょう。

心配なことは医師に相談しよう

新型コロナウイルスが流行している世の中で、妊婦さんや小さな子どもを持つママやパパは不安な日々を過ごしているでしょう。妊娠中の重症化リスクについてもまだ明確なデータが少ないことから、今後の専門家の見解などにも注目が高まります。

新型コロナウイルス感染症は、感染のリスクよりもワクチンで得られる効果のほうが大きいと期待されていますが、妊婦さんの接種にあたっては安全性を考慮した検討が進められています。妊婦さんのワクチン接種に関して、最新の情報を確認して医師とよく相談するようにしましょう。

※この記事は2021年2月時点の情報をもとに作成しています。

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