【産婦人科医監修】妊娠中のインフルエンザ予防接種はいつから?妊婦や赤ちゃんへの影響は?
インフルエンザは妊娠中にかかるとやっかいな病気のひとつです。予防のためにインフルエンザの予防接種を考えている妊婦さんも多いでしょう。インフルエンザワクチンは妊娠中いつから打てるのか、予防接種によるママや赤ちゃんへの影響、夫や子どもと一緒に取り組める予防法について産婦人科医監修でお伝えします。
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目次
妊娠中はインフルエンザに要注意
妊娠前の身体はウイルスや細菌を異物とみなし、身体の外に出す免疫力が備わった状態です。しかし、妊娠すると赤ちゃんを異物だとみなさないようにするために、妊婦さんの身体は免疫力が低くなる傾向があります。
また、妊娠初期はつわりによって体力が低下し、妊娠中期以降はお腹が大きくなることから心肺機能が通常より下がった状態となります。そのため妊婦さんは、インフルエンザにかかりやすく重症化しやすいといわれています。インフルエンザを予防するために、また、もしかかってしまっても重症化させないために、インフルエンザワクチンの積極的な接種が世界的にすすめられているのです。
【2023/24年】インフルエンザワクチンの供給状況
今シーズンのインフルエンザワクチンの供給予定量は、令和5年8月28日時点で、通常年の使用量を超える供給量となる約3,121万本が予定されています。(※)新型コロナウイルス感染症の流行が懸念される中インフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があり、より必要とされている方に確実に届くようにと厚生労働省が呼びかけています。
妊娠中の方も65歳以上の方に次いで優先的に接種するようすすめられているので、あらかじめ医療機関に問い合わせておくと良いでしょう。地域や病院によって確保できるワクチンの数や、予防接種を受けられる時期は異なります。23/24シーズンの流行が始まっている地域もあるため、予防接種を考えている人は早めに病院に問い合わせてみましょう。
(※)2023年8月時点、厚生労働省
インフルエンザの予防接種、妊婦はいつから打てる?
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンと呼ばれる細菌やウイルスを殺して毒性をなくして作られたものです。そのため一般的に妊娠中すべての時期においてインフルエンザワクチンは摂取可能だとされています。
妊活中や妊娠初期に摂取しても重い副作用は起こりにくく、海外の研究においては、妊娠初期にワクチンを接種しても赤ちゃんに異常はみられなかったという報告があります。(※1)しかし、なかには妊婦さんの体力を考えて、つわりが終わる妊娠4ヶ月以降に接種させる方針の医師もいるでしょう。
また、インフルエンザの予防接種を打つことにより、お腹の中の赤ちゃんにも免疫を受け継げることが国立成育医療研究センターの研究でわかっています。出産後の赤ちゃんは生後6ヶ月までインフルエンザの予防接種を打つことはできません。妊娠後期や臨月といった出産が間近な妊婦さんは、生まれてくる赤ちゃんに免疫をわけてあげるためにも予防接種を打つようにしましょう。
インフルエンザの予防接種、妊婦はどこで打てる?
インフルエンザの予防接種を打つと決めたら、まずは産婦人科に相談してみましょう。産婦人科でインフルエンザワクチンの取り扱いがない、もしくは予約がとれなかった場合は、近隣のかかりつけの内科に問い合わせてみてください。それでも予防接種を打つ場所が見つからないときは、各自治体や市町村が提示している予防接種取扱医療機関に問い合わせをしてみましょう。
風邪気味の人が集まっている内科で予防接種を打ったために、風邪をもらってしまったということがないよう、なるべくなら産婦人科での接種がのぞましいですね。
妊娠中のインフルエンザ予防接種の影響
インフルエンザの予防接種の中には、防腐剤としてエチル水銀(チメロサール)がごく少量含まれているものがあります。以前は、赤ちゃんへの影響としてチメロサールと自閉症との関連がささやかれていた時期もあったようですが、現在は自閉症との関連は否定され赤ちゃんにも影響はないと発表されています。(※2)
また、チメロサールが含まれていないインフルエンザワクチンを俗に妊婦用のインフルエンザワクチンと呼ぶことがあるようです。妊婦さんにはチメロサールが含まれていないワクチンを積極的に打っている病院があるからかもしれません。ですが、基本的にチメロサールが含まれたワクチンを接種しても、流産や奇形の発生率は接種前と変わらないため、赤ちゃんへの影響はないと考えられています。
妊娠中にインフルエンザにかかってしまったら?
「インフルエンザかな?」と疑わしい症状を感じたら、すぐに病院を受診しましょう。その場合、かかりつけの産婦人科に電話をして指示を仰ぐか、近隣の内科を受診することが大切です。インフルエンザを発症していた場合、他の妊婦さんに感染してしまうリスクがあるので、医師への確認なく産婦人科を受診することは控えましょう。
また、インフルエンザにかかってしまったときはタミフルやリレンザといった妊婦でない人と同じ薬が処方されます。これらの薬の服用も赤ちゃんへの影響はないと考えられているので、重症化を防ぐためにも処方されたらしっかり服用するようにしましょう。
妊娠中にできるインフルエンザ予防法
手洗い・うがい
基本的な予防法ですが、手指についたウイルスを流すために手洗い・うがいは有効です。外出先から帰宅したときは必ず手洗い・うがいをするようにしましょう。アルコールによる手指の消毒も効果的です。
湿度の管理
空気が乾燥しているとウイルスを防ぐ力が弱くなり、インフルエンザにかかりやすくなります。乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って50~60%の適切な湿度を保つようにしましょう。
休息とバランスの取れた食事
身体の免疫力を上げるためにも妊娠中はしっかりとした休息と食事をとることを心がけましょう。つわりや環境によっては、十分な休息や栄養満点の食事をとることは難しいかもしれませんが、とりあえず横になって身体を休める、軽食やゼリー飲料を用意するなど、無理のない範囲で取り組めると良いですね。
人ごみを避ける
インフルエンザは、感染した人の咳やくしゃみを浴びることによって移ることがあります。人ごみや繁華街に行くことは妊娠中は避けたほうが良いでしょう。どうしても人が集まる場所に行かなければならない場合は、マスクをして予防に努めましょう。
夫・家族の予防も徹底する
ママ自身は予防をがんばっていても、家族がインフルエンザにかかったことで移ってしまうケースがあります。夫・パートナーや上の子にもインフルエンザの予防接種を打ってもらうようにしましょう。
妊娠中のインフルエンザ予防接種体験談
通っていた産婦人科の医師は、慎重派な先生だったのか「妊娠中期以降にインフルエンザの予防接種をするように」と言われました。なので、実際に予防接種を打ったのは妊娠15週頃でした。近隣の内科に行くことなく、産婦人科の健診のついでに打ってもらえたのでありがたかったです。接種後も特に副反応などはなく、元気に過ごすことができました。
インフルエンザの予防接種は早めに打とう
インフルエンザワクチンは接種後、効果が現れるまで2~3週間かかります。予防接種は予約が必要なことがあり、場合によっては予約日が数週間先になることもあるため、感染状況に合わせ早めに準備を進め接種を終えることが望ましいですね。
例年では、インフルエンザの流行は1月にピークを迎えます。23/24シーズンはインフルエンザの流行が続いています。予防接種以外にも、手洗いやうがいといった基本的な予防を徹底してインフルエンザを寄せつけないようにしましょう。夫や子どもと一緒に取り組み、家庭内にインフルエンザウイルスを持ち込ませないようにしたいですね。
※この記事は2023年9月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。