【産婦人科医監修】妊婦の体重管理!体重増加のリスクとは?体重を減らすための食事や体重管理アプリを紹介!

妊婦の体重管理は一筋縄ではいかないことが多いですよね。毎日体重計に乗って、一喜一憂することもあるでしょう。ここでは、妊婦の体重はどれくらいまで増加してよいのかということについて、おすすめの体重管理アプリや食事とともに紹介します。いろいろな方法を試しながら、自分に合った減量法などを見つけてくださいね。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠中の体重増加はいつから?
  2. 妊婦の理想的な体重増加の目安は?
  3. 妊婦の体重増加のリスク
  4. 体重が増えない場合のリスクも
  5. 「増えすぎ」と言われた場合の体重管理の方法は?アプリを使う?
  6. 妊婦の体重管理で食事のメニューはどうする?
  7. 妊娠中の体重管理は無理なく、自分に合った方法で
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妊娠中の体重増加はいつから?

妊娠初期はママの分だけ

妊娠15週くらいまでは、胎盤が未完成で、胎児は母体からの栄養をほとんどもらっていません。そのため妊婦の体重はまだそれほど増えず、食事についてもママに必要な分だけを摂取すれば良いのです。ただし、ホルモンバランスの変化や食べづわりの影響で体重が増える人もいるようです。

妊娠中期は赤ちゃんがどんどん育つ時期!

妊娠中期は胎盤が形成されることにより、妊娠初期よりも血液が必要になってきます。また、胎児の骨格形成や筋肉増加がされるのもこの時期です。したがって、妊婦は食べる量が自然と増え、体重もどんどん増加する時期といえるでしょう。体重の増えすぎに気をつけ、医師に注意を受けた場合は減量する努力をしましょう。

妊娠後期は特にバランスを心がけて

妊娠後期は胎児の成長が急速に進むため、妊娠中期に引き続き体重増加が起こりやすい時期です。しかし、この時期に体重が増加しすぎると妊娠高血圧症候群などの合併症を引き起こしやすいため、体重管理がますます重要になってきます。栄養素の摂取量や種類に注意しながら、あまり体重を増やしすぎないようにしましょう。

妊婦の理想的な体重増加の目安は?

妊婦の体重の内訳

妊娠中は必然的に約8kgは体重が増加するといわれています。
その内訳として、胎盤が約500g、羊水が約500g、子宮・乳房・血液が計約4kg増加します。これにプラスして、ホルモンバランスの変化で脂肪が増え、水分が蓄積されるため、合計で約8kgの増加となるわけです。ただし、体重増加量の目安は妊娠前のBMIにより異なります。

自分のBMIを知ろう

BMIとはBody Mass Indexの頭文字を取ったもので、体重と身長の数値を使って肥満ややせの度合いを知ることができる体格指数のことを言います。妊娠前のBMIは妊娠中の体重増加量の目安に大きく影響するので、妊婦は自分のBMIをきちんと知っておくことが大切です。

各BMIの判断基準は以下のようになります。
・BMI18.5未満・・・やせ気味
・BMI18.5~25未満・・・標準
・BMI25以上・・・太り気味(※1)

BMIの算出式は【体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))】です。つまり、妊娠前の状態で体重が60kg、身長が160cmの場合、60kg÷(1.60m×1.60m)=23.4 → 標準となります。

時期別の体重増加量の目安

時期別の体重増加量については、妊娠前BMIをもとに決められた目安があります。

全妊娠期間の推奨体重増加量は、一般的に妊娠前の体重と比べて、妊娠した時点で標準体型だった妊婦はプラス10〜13kg、やせ気味だった妊婦はプラス12〜15kg、太り気味だった妊婦はプラス7〜10kgとされています。BMI30以上(太り気味)の妊婦については個別の対応が必要となりますので、医師の指示に従いましょう。(※2)

やせすぎNG?妊婦さんの体重増加目安が引き上げ!今までよりも体重管理がしやすい?
https://mamanoko.jp/articles/31989

妊婦の体重増加のリスク

妊婦の体重管理はさまざまなリスクを避けるためにも大切です。ここでは特に体重の増加にともなうリスクを解説します。

妊娠高血圧症候群

妊娠20週以降〜産後12週までに妊婦が高血圧を発症した場合、妊娠高血圧症候群と言います。これにより引き起こされる可能性のある病気は「HELLP症候群」や「子癇(しかん)」「常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)」などです。

□HELLP症候群
溶血(Hemolysis)、肝酵素上昇(Elevated Liver enzyme)、血小板減少(Low Platelet)という3つの症状を引き起こす病気です。妊娠27〜37週に起こることが多く、上腹部の突然の痛み、疲労感・倦怠感、吐き気・嘔吐などが起こります。

□子癇(しかん)
脳の血流量が急激に増えることで起こる症状で、最終的には痙攣発作(けいれんほっさ)が起こり昏睡状態に陥るケースもあります。

□常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)
妊娠30~36週に発症することが多い症状で、通常出産後に体内から排出される胎盤が何らかの原因で早期に剥がれて、体外へ出てきてしまうことを言います。

妊娠糖尿病

「妊娠糖尿病」とは、妊娠中の糖代謝異常のことを言います。
これにより出生体重4,000g以上の「巨大児」や「胎児先天奇形」などのリスクが高くなるので、注意しましょう。

微弱陣痛

「微弱陣痛」とは、陣痛の間隔がなかなか狭まらず、強い陣痛がこない状態が持続するものです。妊娠中に体重が増えすぎて子宮周りに余分な脂肪が増えると、赤ちゃんを押し出す筋肉の動きが鈍くなり、微弱陣痛を引き起こすリスクが高まるといわれています。

体重が増えない場合のリスクも

妊娠中は体重増加によりさまざまなリスクが高まるため、体重が増えないように努力する妊婦さんが多いかもしれません。しかし、逆に体重が増えないことでのリスクがあることも知っておきましょう。特に妊娠前および妊娠中の過度なダイエットなどには注意が必要です。

胎児発育不全・低出生体重児

「胎児発育不全」とは、子宮内の赤ちゃんが妊娠週数の基準値(推定時体重)よりも小さい状態を言います。過度のダイエットにより、妊婦の体重増加が不十分な場合、胎児が低栄養状態になり、胎児発育不全のリスクが高まります。また、胎児発育不全の影響で、体重が2,500g未満の「低出生体重児」が生まれることもあります。
胎児発育不全や低出生体重児の赤ちゃんは、将来生活習慣病を発症するリスクが高まるともいわれています。

「増えすぎ」と言われた場合の体重管理の方法は?アプリを使う?

おすすめの体重管理アプリ

妊婦の体重管理の方法はさまざまですが、できれば今までの体重の変化などを俯瞰して、モチベーションに繋げたいですよね。おすすめはアプリを使うことです。ここでは記録した体重をグラフ化してくれるという便利なアプリを3つ紹介します。

□妊婦メモ

□わたしたちの育児日記

□トツキトオカ

おすすめの運動法

安定期(16週)に入ったら、気分転換もかねてさまざまなエクササイズを始めてみるのもおすすめですよ。妊婦向けの運動プログラムは色々とありますので、自分に合った方法を探してみましょう。

□ウォーキング
もし運動に慣れていないのであれば、まずはウォーキングから始めてみましょう。
ただし長時間行うと疲労がたまってしまい、場合によっては切迫早産の原因になることもあるため、5分程度の軽いウォーキングから始めるのをおすすめします。

□マタニティビクス
通常のエアロビクスとは異なる、妊婦向けのエクササイズです。大人数でやるものもあり、気分転換にも良いかもしれませんね。

□マタニティスイミング
水中ウォーキング、水中エクササイズなど、プールの中でできる運動もあります。この場合は、助産師などの看護職員が常駐するところを選びましょう。まず体調チェックをしっかりとし、レッスンに進みます。内容は各スクールによりさまざまなので、自分に合ったエクササイズができるところを見つけてみましょう。

運動で体重が減らない場合の減量法

運動してもなかなか体重が減らないという場合は、食事での減量を試してみましょう。食事が洋食中心なのであれば、和食中心の食生活に変えるのをおすすめします。また、食事中は良く噛んで食べるようにしましょう。これは、満腹中枢が刺激されることにより、満腹感を得やすくなるためです。

クッキーやドーナツなどついつい手が伸びがちなおやつは、減量をしているときは控えたいですね。もしもどうしても甘いものが食べたくなったら、食物繊維が多く含まれるものを選びましょう。特におすすめなのは寒天です。便秘解消にも役立ちますよ。

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妊婦の体重管理で食事のメニューはどうする?

摂取が特に奨励されている栄養素

妊娠中に悩むことのひとつに「栄養バランス」がありますよね。
ここでは妊婦が摂取を奨励されている栄養素と推奨量、どのような食品に含まれているのかなどを解説します。

□タンパク質
主に胎児の身体を形成するために必要な栄養素です。
必要な摂取量は妊娠初期で50g/日、中期で55g/日、後期で75g/日とされています。目安としては、卵(大)2個にだいたい15gのタンパク質が含まれています。

□カルシウム
骨や歯をつくるのに重要な役割をします。妊娠中は妊娠前と比べて特に多く摂取をする必要はないとされていますが、普段からカルシウム不足の場合もあるため、650mg/日は摂取することを心がけましょう。また、カルシウムについては過剰摂取により健康が害されることはないとされているので、毎日コップ1杯の牛乳を飲むなど心がけたいところですね。

□ビタミンA(レチノール)
胎児の皮膚や粘膜の形成に必要な栄養素です。
必要な摂取量は18〜29歳なら妊娠初期・中期で650μgRE/日、後期で730μgRE/日とされています。30〜49歳であれば、妊娠初期・中期で700μgRE/日、後期で780μgRE/日です。

ビタミンAはしそ、にんじん、鶏レバーなどに多く含まれます。
ただし、ビタミンAについては過剰摂取により胎児に奇形が生じる可能性があるので上限量(2,700μgRE/日)をしっかりと守りましょう。
※μgRE はレチノール活性当量のことを指します

□ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、妊娠中は特に必要とされる栄養素です。日光浴(紫外線)により活性化されます。摂取目安量は7μg/日、上限は50μg/日です。イクラ大さじ1杯(約17g)にだいたい7μgのビタミンDが含まれています。他には、しらすやきくらげにも含まれています。
※μgはマイクログラムのことを指します

□葉酸
DNA合成に必要な水溶性ビタミンのことです。特に、妊娠初期の胎児の発育に欠かせません。また、葉酸はビタミンB12と協調して造血に作用するため、貧血予防にもなります。葉酸は特にほうれん草、アボカド、いちごに多く含まれています。

葉酸は加熱に弱く、調理の過程で栄養価が50%も減ってしまいます。そのため妊娠初期には、食事のほかに、サプリメントなどの栄養補助食品から400μg/日の葉酸を摂取するよう厚生労働省が推奨しています。ただし、葉酸の摂取量が過剰になると、ビタミンB12欠乏症の診断が困難になるため、1000μgを超えて摂取しないようにしましょう。

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□脂質
体重の増えすぎを気にして脂質の摂取を避ける妊婦さんもいるかもしれませんが、実は脂質が不足すると早産のリスクが上昇するといわれています。妊娠中だからといって摂取を避けるのではなく、妊娠前と同じ感覚で摂取し続けることをおすすめします。

□鉄
妊娠中は胎児の成長に伴い、鉄分の需要量が増加します。特に妊娠中期〜後期は積極的に摂取するようにしましょう。各時期の摂取目安量は、18歳〜29歳で初期に8.5mg/日、中〜後期で21mg/日です。30〜49歳の場合は初期に9mg/日、中〜後期で21.5mg/日です。鉄はレバー、赤身魚、ほうれん草に特に多く含まれるので、毎日の食事に加えてみましょう。

時期別の食事メニュー例

基本は「バランスの良い食事」ですが、毎日理想的な献立を考えるのはなかなか大変ですよね。ここでは、時期別のメニュー例を掲載しているHPを紹介します。
食べ方のコツとしては、妊娠初期〜中期は1日3食をきちんと、妊娠後期は大きくなった子宮に内臓が圧迫されて胃もたれが起こりやすいので、少量の食事をこまめに摂るようにしましょう。

□わこちゃんカフェ

□AJINOMOTO PARK

□Bob & Angie

□キッコーマン プレママごはん

□グリコ(アイクレオ株式会社)

控えた方が良いものは?

基本的にアルコールの摂取はやめましょう。カフェインについては、東京都福祉保健局によると現段階では食品からのカフェイン摂取についてのリスク評価をしていません。つまり、日本では妊婦のカフェイン摂取量の上限は特に定められていないということになります。しかし海外では、次の通り妊婦のカフェイン摂取量の上限を定めているところもあります。

□WHO
コーヒー3〜4杯/1日まで

□英国食品基準庁
カフェイン200mg/1日(コーヒー約2杯分)まで

□カナダ保健省
カフェイン300mg/1日(コーヒー約3杯分)まで

最近ではデカフェ(カフェインレス)のコーヒーもあります。コーヒー好きな妊婦さんはコーヒーをがまんするストレスのないように、うまく併用するのも良いかもしれませんね。

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妊娠中の体重管理は無理なく、自分に合った方法で

妊娠中の体重管理は、自分だけの身体ではないゆえに難しいところがありますよね。体重が増えすぎたときにあわてて減量を試みても、なかなか効果があらわれなくて焦ってしまうこともあるでしょう。もし医師に「増えすぎ」と注意されたら、簡単なエクササイズをしたり食事を変えたりするなど、妊娠中の身体に無理がなく、自分に合った方法で減量を試みましょう。

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