【産婦人科医監修】胎動を感じる位置・時期は?下の方でも大丈夫?逆子の心配と胎児の状態
妊娠中期以降になると、赤ちゃんの胎動を強く感じ始めます。妊娠後期ごろまでは赤ちゃんが自由に動き回ることができるため、胎動の位置が変わることは珍しくありません。逆子かどうかわかる方法も気になりますね。妊娠初期から臨月までの胎動を感じる位置、片側・同じ場所からばかり胎動を感じるケースや逆子の可能性など医師監修で解説します。
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この記事の監修
目次
胎動を感じ始める時期
赤ちゃんの胎動は、一般的に妊娠19週頃から感じるといわれています。もちろん個人差もあることなので、19週よりも早く感じる人や、21週を過ぎてから感じる人もいます。通常は、妊娠20週以降になると、胎動をお腹の上から確認したり、触ったりすることができますよ。
胎動を感じる位置
妊娠初期(妊娠2ヶ月・3ヶ月・4ヶ月)
初産婦の方は特に、胎動を感じられる時期に近づいたら、胎動があるかどうか毎日楽しみですよね。しかし初期の胎動は、胎動かどうかわかりくい場合もあります。胎動の感じ方は人それぞれですが、ビクビクする感じがしたり、ニョロニョロと感じたり、腸が動いているような感じや、ポコポコと小さな気泡が動いているように感じる人が多いようです。
最初は、恥骨の上あたりからおへその下のほうで胎動を感じることが多くなります。初めのうちは毎日胎動を感じられないということもあるようですが、それは赤ちゃんがまだ小さいからです。家事をしていたり、忙しくしていたりすると胎動を感じるのが遅くなる傾向にあります。
夜寝る前など、下腹部のあたりに手を置いて、ゆったりした気持ちでお腹に集中すると、胎動を早く感じることができるかもしれません。
妊娠中期(妊娠5ヶ月・6ヶ月・7ヶ月)
妊娠中期になると、赤ちゃんが大きくなるのに従い、胎動も徐々に強くなってきます。妊娠7ヶ月頃からは、いろいろな種類の動きを感じることができるようになりますよ。蹴られる感じがする「キッキング」、身体をぐるりと回す「ローリング」、しゃっくりのように胸をヒックヒックと動かす「しゃっくり様運動」などです。
まだ赤ちゃんが自由に動き回る時期のため、おしりに響くような胎動を感じる人もいれば脇腹のあたりで胎動を感じる人もいます。
妊娠8ヶ月から9ヶ月に入るころになると、胎動が外から見てもわかるようになります。お腹の中で自由に動き回り、ボコボコと激しく動く様子が見られますよ。赤ちゃんの手や足がくっきりと浮かび上がり、まるで出てきそうだと錯覚するほど力強く押されることも。胎動の動きで今赤ちゃんがどっちを向いているか、この動きは足の蹴りだなと想像ができ、コミュニケーションが楽しくなります。
一方で、胎動を左側ばかり感じるなどほとんど位置が変わらないことも珍しくありません。また、赤ちゃんがよく動き回る妊娠7ヶ月後半くらいまでは、赤ちゃんの三人にひとりは逆子だといわれています。この時期の逆子は、神経質に心配する必要はないでしょう。
妊娠後期(妊娠8ヶ月・9ヶ月・10ヶ月)
妊娠後期になり、10ヶ月に入っても、赤ちゃんがお腹の中で何回かぐるりと回ることがあります。動き方の変化により、赤ちゃんの様子を伺うことができるので、普段から注意して胎動の様子を覚えておきましょう。妊娠8ヶ月・9ヶ月にあたる妊娠30週から32週ぐらいまでは、お腹の中で赤ちゃんは自由に移動しているので、胎動の位置が変わることも少なくありません。
特に今まで赤ちゃんがお腹の上のほう(胃からおへそあたりの位置)で動いていたのが、下のほう(おへその下から膀胱・足の付け根あたりの位置)でよく動く・勢いよく蹴られるようになった場合、逆子になった可能性が考えられます。
妊娠後期に入り逆子になると焦りますが、この時期は健診の回数も増えるので、産婦人科医の指示に従いましょう。産院によっては、すぐに診察はせず、次の健診まで様子を見るようにすすめることがほとんどです。
赤ちゃんの動きは赤ちゃんの成長とともに小さくなり、胎動の感じ方、位置も少しは変わってくるものです。しかし、半日以上、お腹のどの位置でも胎動を感じない場合は、何らかのトラブルが発生している可能性もあるので、すぐに産院へ連絡し受診しましょう。
臨月でも向きが変わることはある
臨月ごろには出産に向けて、赤ちゃんが骨盤の方に少しずつ下がってきます。このため臨月に胎動の位置が変わったなと感じたら、お産が近い可能性があるでしょう。なお出産間近の臨月でも、赤ちゃんが左右に向きを変える場合があります。
妊娠初期には胎動がよくわかりませんでした。思い返してみると、おへそあたりでポコポコしているような感覚があったような気もします。妊娠中期になると、よくしゃっくりをするようになったので胎動がわかりやすくなりました。私の場合は、右の足の付け根あたりで感じることが多かったです。
妊娠後期になるとお気に入りの位置が見つかったのか、左右の脇腹で胎動を感じることが多くなりました。おそらく向きを変えることが多くて、臨月まで激しい胎動をよく感じていました。
片側または同じ場所から胎動を感じることが多いのは大丈夫?
【片側】胎児が横を向いている場合が多い
右側だけ、左側だけと、片側だけにしか胎動を感じない場合は、赤ちゃんが横を向いており、身体の片方に両足、両手があることがほとんどのようです。
赤ちゃんの身体に異常があるのか、と心配する人も多いようですが、赤ちゃんは大きくなってくると狭いお腹の中ではあまり身動きが取れなくなります。いつも同じ方だけを蹴るようになるのは、赤ちゃんが横向きの姿勢から動いていないためです。
【片側】双子の場合は注意
双子を妊娠している場合、片方だけの胎動には注意しましょう。双子といえども、赤ちゃんは別の人間です。お腹の中にいるときから、ひとりは元気いっぱい、もうひとりはおとなしい、ということもよくあります。
日ごろからふたりの赤ちゃんの胎動を注意深く観察しておかないと、片方の赤ちゃんの胎動が感じられなくなったときに気付かないと大変です。双子の場合、胎動が少しでもおかしいと感じたときには、すぐに受診するようにしましょう。
【同じ位置】胎動を感じるのであれば大丈夫
胎動は、赤ちゃんがお腹の中でどのような状態でいるかによって変わります。赤ちゃんの手足の位置や向きによっては、同じ場所でばかり胎動を感じることもあります。
妊娠7ヶ月から8ヶ月のころ、よく左脇腹でばかり胎動を感じていました。妊婦健診のエコーなどで指摘されたことがなかったので、同じ場所で胎動を感じることが多くても特に心配はなかったです。臨月間近のころには、右脇腹を触るといつも背中のようなものがあったのでこの向きが好きなんだろうなぁと思っていました。
胎動の位置で逆子かどうかわかる?
膀胱や子宮口あたりで胎動を感じる人が多い
おへそよりもかなり低い位置での胎動は、逆子(骨盤位)である可能性が高くなります。足が身体の真下辺りにある場合、膀胱や子宮口の辺りを元気よく蹴られることもあるようです。肛門や腟あたりでしゃっくりを胎動として感じた人もいるようですよ。
なお赤ちゃんが自由に動き回ることができる妊娠30週から32週あたりまでは、自然に正常な位置(頭位)になることも珍しくありません。
あばらや胃を押される感覚がある人も
妊娠後期になり、あばらや胃の近くをグッと押される感覚があるときは、赤ちゃんの頭が上にきている可能性があります。足のように激しい動きではないので、赤ちゃんのお尻かなと思うかもしれませんが、逆子の場合、あばらの下辺りに赤ちゃんの頭がくるようです。
赤ちゃんが大きくなる妊娠後期には、頭が上に向かって押され、お腹の上からでもわかるくらいに頭の丸みを感じることができる場合もあります。あばらや胃への圧迫感の原因がお尻か頭かわからなかったり、胎動の動きが変わったり、何か不安があるときは病院で調べてもらいましょう。
妊娠9ヶ月ごろに分娩方法が決まる
妊娠34週前後で逆子の場合には、普通分娩(自然分娩)になるか帝王切開になるかの説明が医師からあるでしょう。妊娠後期まで赤ちゃんの位置が変わる可能性はあるため、逆子の場合にも必要以上に心配することはありません。
自己判断は禁物
胎動の位置などから逆子かもしれないと心配になり、逆子体操を取り入れる方もいるかもしれません。しかし、本当に逆子かどうかわかる前の自己判断で逆子体操をすることは止めましょう。逆子ではなかった場合、やり方を間違うと逆に逆子になってしまったり、身体に負担がかかってしまったりする可能性もあります。妊娠中は少しでも疑問があれば、主治医に相談するのが賢明です。
胎動の位置の急な変化に注意
妊娠20週頃になると、胎動を感じる位置が急激に低くなったり、子宮が急に低くなったように感じたりする人もいるようです。恥骨のあたりに子宮が触れ、お腹を触ってもわかるほど下がり、出っ張っている場合は子宮下垂の可能性があります。ひどくなると、腟から子宮が出てくる子宮脱といわれる症状になる場合もあります。
急激に胎動の位置が低くなったり、子宮が下がった感じや違和感があったりする場合は、すぐに主治医に相談しましょう。
子宮下垂
子宮が正常な位置から下がる状態を「子宮下垂」と呼びます。子宮が重くなり、周りの筋肉が支えきれずに下がってしまうと、不快感や少量の出血がある場合もあります。
子宮が下がったまま赤ちゃんが大きくなってしまい、子宮がもとに戻れなくなってしまうと大変です。はまりこんで正常な位置に戻れなくなると、20週から24週以上の胎児は骨盤腟に収まり切れないので、早産になってしまう可能性があります。
子宮脱
子宮が子宮下垂よりさらに下がり、腟から外に出ている状態を「子宮脱」と呼びます。もし子宮脱になってしまったとしても、出産に大変な問題が起こるわけではありません。
妊娠時に痛みや不快をひどく感じる人も多いようですが、ぺッサリーと呼ばれるリング状の器具を腟内に挿入し、子宮を人工的に元の位置に戻す処置を行うことにより症状を軽減させられます。また、この器具自体が妊娠に悪影響をおよぼすということはないので、心配することはありません。子宮脱になった場合は、主治医とじっくりと話しあうことが大切です。
胎動の位置で性別がわかる?
胎動と性別の関係について、聞いたことがある妊婦さんもいるかもしれません。胎動が激しいと男の子といった話がありますが、残念ながら胎動の激しさで性別を判断することはできません。
同様に胎動の位置で性別や赤ちゃんの性格・病気を推測することはできません。
胎動に関する筆者の体験談
筆者が胎動を初めて感じたのは、妊娠5ヶ月を過ぎたころだったと思います。初めはすごく違和感がありました。お腹の中で何かにょろにょろしている感じで、正直気持ち悪かったですね。
妊娠後期〜臨月のころは、赤ちゃんはとにかく右向きでした。健診に行ってもいつも横を向いていると言われ、いつも蹴られるのが左上の辺り。さらにしゃっくりが多かったのを覚えています。胎動が少し止まったかと思えばしゃっくりをしていて、多いときは一日で5~6回しゃっくりの胎動を感じていました。そのときは不安に思い、主治医に相談したこともありました。そういえば、いまだにしゃっくりをよくしているかもしれません。
胎動は赤ちゃんが元気な証拠なので、妊娠中の不安をやわらげてくれる一方、胎動の位置や回数では不安になるものです。お腹の赤ちゃんにたくさん話しかけて、リラックスした気持ちでいることが大切かもしれませんね。
胎動は赤ちゃんのサイン
胎動は、赤ちゃんが元気でいてくれていることがママに直接伝わる唯一のサインです。心配なことも多い妊娠生活ですが、赤ちゃんからのサインで赤ちゃんの位置や成長を感じながら、あまり神経質にならずにコミュニケーションをとれると良いですね。
赤ちゃんの状態をリラックスした気持ちで伺い、胎動を感じることができれば良いかもしれません。急激な変化には気をつけ、少しでもいつもと違う様子があれば、かかりつけの産婦人科医に相談してみてくださいね。
※この記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。