【産婦人科医監修】胎動の種類・動きの意味は?お腹の中のブルブルで危険なサインがわかる?
妊娠中期に入ると胎動を感じるようになり、ブルブル、ポコポコ、ピクピクとさまざまな種類の胎動を経験することでしょう。胎動を通して赤ちゃんが元気に育っているのだと安心する反面、普段と違った動きに不安を感じることもあるかもしれません。ここでは、胎動の種類や始まる時期、動きの意味、頻度、気をつけるべきポイントを解説します。
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目次
胎動とは?いつから感じるの?
胎動とは
赤ちゃんが身体を動かしたときに、子宮にぶつかって感じる動きが胎動です。最初は赤ちゃんもまだ小さいのでポコポコとわずかな胎動しか感じることができませんが、赤ちゃんが大きくなって力も強くなると、お腹の内側をグイッと押されるような痛みを感じることもあります。
胎動は赤ちゃんとの最初のコミュニケーションであり、赤ちゃんは胎動によってお腹の中でママに自分の存在を知らせているのです。胎動を感じた部分に手を当ててみたり、話しかけたりして、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでくださいね。
胎動を感じる時期
胎動を初めて感じる時期は個人差がありますが、16〜20週頃が一般的です。初産婦の方が経産婦よりも時期が遅く、18〜22週頃に感じ始めるママが多いようです。経産婦は経験によって胎動の感覚がわかるので、初産婦に比べて感じ始める時期が早いのだといわれます。
28週頃になると、お腹の赤ちゃんの睡眠のリズムを感じることができるようになり、週数が進むにつれて赤ちゃんが動いている時間が長くなっていることに気づくようになるでしょう。
なかには、妊娠初期にお腹の中からポコポコといった胎動のような感覚を経験するママもいるようです。この時期にも赤ちゃんは活発に動いているのですが、まだとても小さいため、ママは胎動を感じることはできません。この時期に感じるのは、胎動ではなく脈動や腸のガスの動きであることがほとんどです。
胎動の種類、動きの意味・頻度は?
上下・左右に回転したとき(ゴロンゴロン、グルングルン)
ゴロンゴロン、グルングルンと、赤ちゃんが大きく動いている様子を胎動で感じることがあります。ママのお腹の羊水に浮かんでいる赤ちゃんが、身体を上下・左右に回転させているのです。勢いのある胎動は「ドゥルン」と表現されることもある独特なもの。大きな動きなのでしっかりと胎動を感じることができますよ。
妊娠中期には頻繁に感じることができる胎動です。しかし、妊娠後期に入ると赤ちゃんの身体が大きくなり、赤ちゃんにとって子宮の中が狭くなってしまうため、回転するような胎動を感じることが少なくなります。赤ちゃんが大きく回っている様子を妊娠中期にたくさん感じておきましょう。
手足を伸ばしたり曲げたりしたとき(グニュグニュ)
お腹をグニュグニュと押されるような感覚は、赤ちゃんが手足を伸ばしたり、曲げたりしている胎動です。赤ちゃんの手足の筋肉や骨が発達すると感じるようになる胎動で、赤ちゃんの力が強くなってくる妊娠後期では痛みを感じることもあるようです。
妊娠後期には赤ちゃんが子宮壁を手足で押すと、外から見ても赤ちゃんの様子がわかることもあります。赤ちゃんの足にママのお腹がグーッと強く押されるときに、お腹の突っ張り具合や外からの感触で、「これはかかとかな?」などとわかることも。パパと一緒に観察して、赤ちゃんの元気な様子を感じ取ってもらうのも良いですね。
しゃっくりしたとき(ピクピク)
赤ちゃんが手足を伸ばしたり回転していたりするような胎動とは違い、ピクピクと痙攣のようなものを感じることがあります。赤ちゃんに異常があるのではないかと心配になるママもいますが、一定時間、一定間隔で痙攣のような動きが続く場合は、赤ちゃんのしゃっくりによるものがほとんどです。
妊娠20週(6ヶ月)頃から赤ちゃんはしゃっくりを始めるようになります。しゃっくりは生理現象なので、頻度が高くても低くても心配はいりません。
しゃっくりといったおとなしい胎動はリラックスしているときに感じやすいので、横になっているときにお腹に意識を集中してみると感じることができるかもしれませんよ。
おしっこをしたとき、手足を震わせているとき(ブルブル)
しゃっくりの胎動と同じように、ピクピクと軽い痙攣のような胎動や、ブルブルと震えるような胎動を一時的に感じるときは、赤ちゃんがおしっこをするときの胎動だといわれます。妊娠16週頃から赤ちゃんがママの羊水を飲み込む動作を確認できるようになり、排泄時にブルブルと胎動を感じることがあるようです。
他にも一時的な痙攣のような胎動は、おしっこをするとき以外でも、自然と手足が震えることによって感じることがあります。このような動きは胎児特有の動きなので心配はいりません。
キックやパンチ(ポコポコ)
お腹の中をポコポコと叩かれているような感覚は、赤ちゃんの手足が発達し、子宮の壁を蹴っている胎動です。赤ちゃんの動きがあまりに強くて激しいと、助骨に響くような痛みを感じるママもいるようです。
手足を曲げたり伸ばしたりする動きと同様に、妊娠後期になるとお腹の外からも赤ちゃんの様子がわかることがあります。赤ちゃんの足形がお腹にくっきりと浮き出ている様子を写真や動画に残すママもいるとか。赤ちゃんが生まれて大きくなったときに「こんなに元気だったんだよ」と見せてあげるとびっくりされるかもしれませんね。
胎動は妊娠週数によって強さや位置に違いがあるの?
妊娠16〜19週(妊娠5ヶ月)
妊娠3ヶ月頃から赤ちゃんはお腹の中で活発に動き回りますが、まだ小さいのでママは胎動を感じにくいかもしれません。しかし赤ちゃんが大きくなると、動いているときに手足が子宮壁に当たり、むずむずするような胎動を感じるママもいるようです。
この時期はまだ胎動を感じられない妊婦さんも多いので、胎動を感じられなくても心配はいりません。初産婦のママだと「腸の調子が悪いのかもしれない」と勘違いして、胎動だと気づかないこともあるようです。
妊娠20〜35週(妊娠6〜9ヶ月)
赤ちゃんの筋肉が発達し、子宮壁に赤ちゃんの手足が当たることが増えて、胎動をよく感じるようになります。力強い胎動を感じることも多くなるので、痛みを感じることもあるかもしれません。また、妊娠6ヶ月以降になると赤ちゃんの聴覚機能がほぼ完成し、お腹の外の音に反応するようになるので、たくさん話しかけてみてくださいね。
赤ちゃんが正常な胎位であれば、へその少し上あたりで胎動を感じることが一般的です。しかし、お腹の中で赤ちゃんは動き回っているので、胎動を感じる位置も日々変化します。
お腹の下の方に向かって思い切り蹴られている感覚がある場合や、しゃっくりをお腹の上の方で感じる場合は逆子の可能性がありますが、妊娠35週までは自然に治ることもあります。万が一逆子と診断されても、過度に心配せず医師の指示に従いましょう。
妊娠36〜39週(妊娠10ヶ月)
出産が近づくと、赤ちゃんは頭を下にしてママの子宮の下の方に降りてきて、頭を骨盤に固定していきます。それに伴って、赤ちゃんは以前よりも自由に動くことができなくなり、胎動を感じる頻度が減ったり弱くなったりします。しかし、胎動は出産のときまで続くものなので、まったく感じなくなるということは通常はありません。
臨月に入ると赤ちゃんが降りてくるので、ママは以前よりも下の位置で胎動を感じるようになります。ただし、臨月になっても胎動が減らなかったママや、陣痛が始まってからも胎動を感じたママなど、臨月からお産までの胎動には個人差が多いようです。
胎動の頻度の目安は?減少は異常のサインなの?
胎動カウント
妊婦健診を受けている途中で、多くの病院が胎動カウントの指導を行います。胎動カウントとは、胎動の状態から赤ちゃんの様子をはかるもので、妊娠20週からはじめるママもいます。胎動カウントをすることによって、赤ちゃんの異常に早く気付いたり、医師に赤ちゃんの様子を正確に伝えたりすることができるかもしれませんよ
胎動カウントの方法としては、胎動を10回感じるまでにかかる時間を計測する「10カウント法」が一般的です。最近はスマートフォンでの無料アプリもあるので、胎動を感じはじめたら、胎動カウントをしてみましょう。
胎動の異常なサインとは
赤ちゃんの異常のサインとして、胎動で気をつけなければならない点があります。
臨月は胎動が少なくなるといわれていますが、急に減少したり、まったく感じなくなったりしたときは危険信号の場合があります。「胎児機能不全」や酸素不足による心拍の低下などのトラブルかもしれません。
妊娠8ヶ月頃の赤ちゃんは20〜30分間隔で寝たり起きたりを繰り返しており、眠っているときは胎動をほとんど感じることができません。また、ママの体型や羊水の量によっても胎動を感じにくい場合があります。ただし、安静にしていても24時間以上胎動を感じないなど、何か異変を感じたら医師に相談しましょう。
胎動があまりに痛いときの対処法は?
妊娠後期には赤ちゃんが起きている時間が長くなり、骨格もしっかりして力も強くなってきているので、赤ちゃんの動きによっては強い痛みを感じることがあります。赤ちゃんの手足の動きがとても大きくて強く、肋骨や膀胱にひびくほどの感覚があると、思わず「痛い!」と声がでてしまうママもいるようです。
激しく感じるほどの痛みは、赤ちゃんが元気に動き回っている証拠です。なかには破水を心配するママもいますが、胎動による破水の可能性はないので心配はいりません。ただし、胎動ではなくお腹の張りによる痛みの場合は子宮収縮を起こしている可能性があるので、注意が必要です。
胎動によってあまりにもお腹が痛む場合は、赤ちゃんはお腹の外の音に反応するといわれているので、「たくさん蹴られたらママ痛いよ」と話しかけてみたり、ゆったりした音楽を聴いたりすると赤ちゃんのリラックス効果が期待できるかもしれません。
抱き枕を使って横になってみるのもひとつの方法です。胎動が激しくてときに気分が悪くなったり、食欲がなくなってしまったりすることに悩まされるママもいるでしょう。食事は無理に一度に食べようとせず、消化しやすいものを何回かに小分けして食べることをおすすめします。
胎動は妊娠中しか体験できない貴重なもの
胎動によって赤ちゃんの様子がわかるようになったからこそ、不安に感じることもあるでしょう。不安になってしまうことは誰にでもあります。妊婦健診などで医師や助産師に相談して、一つひとつ不安を取り除いてお産に臨みたいですね。
胎動はお腹の中で赤ちゃんが元気に育っている証拠であり、ママとのはじめてのコミュニケーションです。妊娠中にしか体験できない貴重なものなので、動画や写真に記録してみたり、間接的に赤ちゃんに触れながら話しかけてみたり、今しかできない体験を思い切り楽しんでくださいね。
※この記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。