ぽこぽこ動く胎動に感動!赤ちゃんはお腹の中で何してる?【産婦人科医監修】
ぽこぽこ、もぞもぞと元気に動く赤ちゃんの胎動は、赤ちゃんの存在を強く感じさせてくれますね。初産で妊娠18週~20週、経産婦で16週くらいから感じ始める胎動ですが、初めての胎動はガスの移動と勘違いしてしまったという声も聞かれます。赤ちゃんがお腹の中で何してるのか、どのような動きをするのかをチェックしてみましょう。
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この記事の監修
目次
ママにしかわからない特別な感触!
胎動を感じるのは早くて妊娠16週頃から
ママのお腹の中ですくすく育つ赤ちゃんは、いつも同じ姿勢で静かにしているわけではありません。身体や筋肉の発達にあわせ、もぞもぞと動き回っています。この赤ちゃんの動きは「胎動(たいどう)」と呼ばれます。初めての胎動を感じた日は、赤ちゃんの命をじかに感じて感動もひとしおでしょう。
胎動は赤ちゃんの動きに応じてさまざまに表現されます。ぽこぽこ、もぞもぞ、ぐにょぐにょ、ぴょこんと、お腹の中で何をしているのか想像するだけでも愛おしさがつのりますね。胎動は超音波検査で妊娠7週頃から確認することができますが、ママが胎動を感じられるようになるのは16~20週頃です。
胎動は女の子の方が多いという報告も
胎動は蹴る動作、身をよじるような動作、しゃっくりのような動作に大きく分類されます。回転をともなうような大きく激しい動作か、手足を動かすだけの小さい動作かを区別した研究では、ママが感じることができないほどの胎動が多く見られたそうです。
胎動には性別によって差があることも報告されています。北海道大学の「胎動と新生児の活動能力」にまとめられている研究結果では、蹴る動作と回転する動作は男の子より女の子の方が多かったことがわかります(※1)。
また海外では顎を動かす動作や大きな音に反応する動作が女の子に多く見られたという報告もあります。兄弟姉妹で胎動の感じ方が違う場合は、こうした特徴も関係しているのかもしれませんね。
胎動が少ないときは主治医に連絡を
赤ちゃんが成長すると、ときには痛いと感じるほど力強い胎動へと変化します。一方で胎動が少なかったり弱いなと感じたりするときもあります。赤ちゃんがお腹の中で寝ていて静かにしているときは問題がありませんが、1日のうちに感じる胎動が極端に少なくなったときや今までと比べ弱くなったと感じるときは注意が必要です。
妊娠週数が28週頃になると、赤ちゃんの状態を知る手掛かりとして、産婦人科から胎動をカウントするように指導される場合があります。1日のうちに赤ちゃんがもっとも活発に動く時間帯に、10回の胎動を感じるのにかかった時間を記録するものです。10回のカウントにかかる平均時間は15分で、全体の90%が35分以内に10回を数えます(※2)。
10回カウントするのに2時間以上かかったとき、ほかの言い方をすれば2時間かかっても10回に満たないときは赤ちゃんになんらかの問題が起こっている可能性があります。気づいた時点ですぐに主治医に連絡するようにしましょう。胎動数だけではなく、エコー検査や胎児の心音を検査して胎児の状態を確認したほうが良いかもしれません。
お腹を蹴られたかも!?「キッキング」
赤ちゃんの手足は妊娠8週頃には形成され、手足を動かす様子が見られます。妊娠中期となる5~7ヶ月頃には、脳が発達することで手足の動きはさらに活発になります。妊娠20週となる6ヶ月頃には骨格がしっかりとしてくるため、ママのお腹を蹴る「キッキング」の動きを感じられるようになりますよ。
キッキングの動作がでてくると、お腹の外にあてた手を蹴るように赤ちゃんに話しかけながら胎動を待つ、キックゲームにチャレンジする妊婦さんも見られます。お腹の外からも赤ちゃんの動きを感じられるため、パパが赤ちゃんとコミュニケーションをとる手段としても行われているようです。思うように蹴ってくれないこともよくあることなので、蹴ってくれたらラッキーですね。
赤ちゃんがママのお腹を蹴る感覚は、ぽこぽこやギューという擬音であらわされます。ぽこぽこのうちはかわいいものですが、足の形がわかるほど押されて苦しい、痛いという声も聞かれますよ。
ぐるぐる動く!?「ローリング」
胎動を始めたころの赤ちゃんは、ママのお腹の中でぐるぐる回る動きが多いものです。これをローリングと言います。全身を使って動く胎動は妊娠初期に多い動作です。
妊娠初期の14週頃までの赤ちゃんは身長が11~15cmと小さく、赤ちゃんがローリングをしていても胎動かどうか判断しづらいこともあります。初めての胎動はお腹の中でガスが移動しているのかなと感じるほどわずかなものなので、腸がぐにょぐにょと波打つようだったり、空気が移動した感覚だったりしたときは赤ちゃんがローリングをしていたのかもしれません。
ローリングは子宮の中に余裕がある7ヶ月頃まで行われますが、妊娠後期に突入する8ヶ月頃になると、赤ちゃんが成長して子宮の隙間が少なくなり赤ちゃんの位置も固定されてくるため回数は減少します。
脳神経が発達している証拠かも?「びっくり」
お腹のなかの赤ちゃんの五感は、妊娠24週となる7ヶ月頃には外の世界に順応できるほどに発達しています。そのため、音や光の刺激に対して驚くようなしぐさを見せます。このびっくりする動作は驚愕反応(きょうがくはんのう)とも呼ばれるもので、女の子の胎児に早くあらわれる反応なのだそうです。
驚愕反応は生後1~2ヶ月ほどで消失する、胎児から新生児期特有の反応です。モロー反射と同一とみなされることもあれば、まったく別物だと解釈されることもあります。驚愕反応が起こると、両手足がぶるぶると震えているような感覚や、赤ちゃんが瞬時に動いてびっくりしている気配を感じることでしょう。
目にすることはできませんが、驚いた赤ちゃんはまぶたを開いて瞬きをすることもあるようですよ。びっくりさせてしまって申し訳ない反面、どのような表情になっているのか、対面するのが待ち遠しくなりますね。
リズミカルに動いている?「しゃっくり様運動」
しゃっくり様運動とは、しゃっくりをするようにリズミカルに繰り返される運動を言います。お腹の中の赤ちゃんが、一定のリズムでぴょこんぴょこんと身体を震わせるのを感じるはずですよ。
赤ちゃんがしゃっくりをするのは、横隔膜を鍛えて呼吸の訓練をしていると考えられています。妊娠中にしゃっくり様運動を感じる回数が多いと、出生後、仰向けに寝ている状態から両手をもって座った姿勢に引き起こす動作で、良好な筋力がみとめられたという報告があります。
しゃっくりをしている様子を感じると苦しくないか心配になってしまいますが、生きるための力を身に着けているのだと思うと、赤ちゃんを応援してあげたくなりますね。
お腹の中で呼吸している!?「呼吸様運動」
お腹の中の赤ちゃんは、妊娠10~16週頃には呼吸の練習を始めます。羊水に満たされた子宮の中で呼吸の練習をするというと不思議な気もしますが、胎児のうちは肺の中に羊水を出したり入れたりして、呼吸法を身に着けているのです。
呼吸様運動は赤ちゃんの肺の成熟度によって出現パターンや継続時間が変化してきます。妊娠後期の妊娠30週頃には、1日のうち2~9時間ほど呼吸様運動が確認できるようになります。
臨月となる妊娠36週では30分間に30秒以上続く呼吸が1回以上あれば正常とされています。エコー検査で赤ちゃんの胸がふくらんだりしぼんだりする様子が確認できますが、ママが胎動として実感できる感覚はないかもしれません。
胎動に関する体験談
蹴る動作は女の子に多いといわれる胎動ですが、我が家の子どもでキッキングをしていたのは息子の方です。正確に言うと、逆子だったのでキックだかパンチだかはわからないのですが、とにかく力強く痛いと感じるくらいに子宮を押していたのは覚えています。
娘の胎動はとにかくおとなしいものでした。カリカリと子宮の内側を指でひっかいているような感覚で、痛いというよりもむしろくすぐったいくらいです。息子のときは激しいほどだったのに、お腹の赤ちゃんは元気に育っているのだろうかと心配になりました。
この胎動には後日談があります。娘がたしか、2歳頃だったでしょうか。「私、お腹の中でお砂遊びをしていたの」と言うので、どうやって遊んでいたのか聞いたところ、「手でお砂を集めてお山をつくっていた」と話すのです。そこで、カリカリと感じていた胎動に合点がいきました。娘はきっと子宮の壁をなぞって「お砂」を集めていたのですね。
6歳になる今では、折り紙やブロック遊びなど細かな指先の作業が大好きです。お腹の中でこのように過ごしていたのかとほほえましくなります。子宮をひたすら押していた息子はとにかくやんちゃに育っています。胎動は性格をあらわすものではないという研究報告がありますが、一概には言えないのではないかと感じる今日このごろです。
ぽこぽこ鳴る赤ちゃんの胎動から想像をふくらませよう
お腹の中の赤ちゃんの様子を外からうかがい知ることはできませんが「何してるの?」と話しかけてみるのもおすすめです。胎動を感じると赤ちゃんの機嫌や生活リズムが垣間見えてなんだかうれしくなりますね。力の強さ、身体の大きさ、動きの活発さなどを感じながら、生まれてくる我が子がどんな個性を持っているのか、想像をめぐらせてみてくださいね。
胎動を感じる週数はあくまでも目安であり、25週を過ぎたあたりでやっと感じるようになったという妊婦さんもいます。動きが弱いと心配になりますが、定期健診で順調に成長をしているようなら焦りすぎないことも大切です。
ただし、お腹の張りがあったり不正出血があったりしたとき、胎動が急に弱くなったときは、かかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。