陣痛中の激しい胎動は大丈夫?陣痛と胎動の違いは判断できる?陣痛の兆候は?|産婦人科医監修
産婦人科医監修|臨月には胎動も減り、前駆陣痛やおしるしといった兆候がみられると、いよいよお産がやってきます。いざお産が始まったら、陣痛の痛みで赤ちゃんの胎動に気づけるか、不安に感じるママもいるでしょう。ここでは、陣痛中の激しい胎動や、陣痛と胎動の違いについて解説します。
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目次
胎動とは?
胎動とは
赤ちゃんが身体を動かしたときに、子宮壁にぶつかって感じる動きが胎動です。最初は赤ちゃんはまだ小さいので、ボコボコとわずかな胎動しか感じることができません。しかし、大きくなるとしゃっくりや手足の曲げ伸ばし、キックをしたときに胎動を感じることができます。
赤ちゃんは胎動によってお腹の中でママに自分の存在を知らせているのです。胎動を感じた部分に手を当ててみたり、話しかけたりして、赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでくださいね。
時期による胎動の強さ・頻度の変化
胎動を感じ始める時期には個人差がありますが、一般的には妊娠16〜20週頃だといわれています。妊娠20週頃には赤ちゃんも大きくなり、胎動が激しくなってきます。赤ちゃんの筋肉が発達すると、手足の力が強くなるので、元気な赤ちゃんだと痛むほどの強い胎動を感じることもあります。
出産が近づく36週頃には、赤ちゃんは頭を下にママの身体の下の方に降りてきて、頭を骨盤に固定していくため、以前よりも自由に動くことができなくなります。そのため、胎動を感じる頻度が減ったり弱くなったりするのですが、胎動は出産のときまで続くものなので、まったく感じなくなるということは基本的にはありません。
陣痛とは?胎動との違いは?
赤ちゃんの身体の動きを教えてくれる胎動。出産の兆候となる陣痛とはどう違うのでしょうか。陣痛を大きくふたつに分けると「前駆陣痛」と「本陣痛」があります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
前駆陣痛とは
前駆陣痛とは、出産前に起こる子宮収縮のことで、お腹の痛みや張りなどの痛みを指します。前駆陣痛はお産の準備に必要な過程です。本陣痛が起こる前に子宮収縮を起こすことで、子宮の下の部分や子宮頸管を柔らかくしているのです。
前駆陣痛は一般的に妊娠36〜40週に起こるといわれています。しかし、前駆陣痛の時期や痛みの感じ方には個人差があり、初産婦か経産婦でも変わります。なかには、胎動と勘違いするママもいるようです。
前駆陣痛は、本陣痛のような一定間隔の痛みではなく、強さ・長さ・間隔が不規則です。しばらく安静にすると徐々に痛みが遠のく場合がほとんどです。また、前駆陣痛は痛みの感じ方もそれぞれで、「生理痛のような痛み」「下痢のような痛み」など、さまざまな痛みの感じ方があります。
本陣痛とは
本陣痛とは、出産時に赤ちゃんを外へ押し出すために、子宮が収縮するときの痛みのことで、正式には分娩陣痛と言います。子宮口が広がり、強く収縮するため、規則的に激しい痛みに襲われます。
本陣痛は、前駆陣痛と違って痛みの間隔が規則的で、徐々に短くなっていきます。陣痛がきたと感じたら、まずは安静になれる場所に移動して、痛みのピークから次の痛みピークまでの時間の間隔を計測しましょう。陣痛の間隔が初産婦は10分、経産婦は15分になったら病院に連絡されるように指示されることが一般的です。最近では陣痛の間隔を測定するアプリもあるので、事前にダウンロードしておくと安心ですね。
陣痛は「スイカを鼻から出すような痛み」とよくいわれますが、最初から大きな痛みに襲われることはありません。突然痛みを感じるとパニックになってしまうこともあるので、陣痛にあわせた呼吸法を学んだり、痛みを和らげる方法を調べてみたりして、陣痛が起こったときの心の準備をしておきましょう。
陣痛と胎動の違い
出産前に感じる痛みには、胎動と前駆陣痛によるものがありますが、両方とも不規則な痛みなので、前駆陣痛は胎動と勘違いしてしまうママも多いようです。前駆陣痛と胎動は、痛みの感じ方から区別することができます。臨月に痛みを感じたら、まずは安静な環境に移動して、痛み方を確認してみましょう。
前駆陣痛は子宮収縮による痛みなので、子宮が張るような生理痛に似た痛みや、ぎゅーと絞られるような胃の痛みを感じる場合が多いです。一方、胎動は赤ちゃんが子宮壁に当たったときに感じるものなので、赤ちゃんが手足を伸ばしたり蹴ったりしたときに、お腹がぐーと押されるような痛みや、胃を蹴られたときなどに、いきなりどんとした痛みを感じます。
また、妊娠後期は胎動が減るといわれていますが、一般に出産までまったくなくなることはありません。そのため、陣痛中も胎動を感じることができます。本陣痛は規則的に感じる痛みであるのに対して、胎動は不規則に起こる痛みなので、判断はつきやすいようです。
陣痛の兆候は?
はじめて出産するママは特に、本陣痛を感じたときに落ち着いて対応できるか不安に感じてしまいますよね。陣痛は突然始まるわけではありません。ママも赤ちゃんもお産に向けて最終準備に入っているので、本陣痛が始まる前にママの身体にはさまざまな変化が現れます。
前駆陣痛
出産2週間〜1ヶ月前頃に子宮あたりがぎゅーと絞られるような痛みを感じる場合は、前駆陣痛の可能性があります。本陣痛が起こる前に子宮収縮を起こすことで、子宮の下の部分や子宮頸管を柔らかくしているのです。痛みを感じる期間には個人差があり、なかには痛みを感じずに出産を迎える人もいます。不規則な痛みであることから、胎動と間違えるママもいるようです。
おしるし
子宮口が開いてくると、赤ちゃんを包んでいる卵膜と子宮壁のあいだに隙間ができて、少量の出血が起こります。この出血を「おしるし」と言い、医学用語で「産徴」と呼ばれます。個人差がありますが、一般的には「おしるし」が見られて数日後に本陣痛がくるといわれています。「おしるし」は全体の約半数の人には見られないそうなので、もしこなくても心配はいりません。
破水
破水とは、お産が近くなることで卵膜が破れ、羊水が外へ流れ出ることを言います。破水の時期や量は人によって異なります。いきなり大量の羊水が流れ出る人もいれば、少量の羊水が少しずつ流れる人もいるでしょう。
いずれにせよ、破水したまま時間が経ってしまうと、赤ちゃんやママの子宮が細菌に感染する可能性が高まるため、適切な対処が必要です。尿とは違う水分が出てきたと感じた場合は、シャワーや入浴はしないで清潔な下着に着替え、大きめのナプキンを当てるなどして、連絡のうえ早めに病院に行きましょう。
お腹の張り
前駆陣痛で子宮が不規則に収縮し、お腹の張りを感じることが多くなってきます。収まるようであれば陣痛ではありませんが、定期的にお腹が張り、徐々に強くなってきている場合は陣痛の可能性があります。お腹の張りを感じるときは、横になって安静にしてくださいね。
お腹のふくらみの位置が下がる
お産の準備として、赤ちゃんが下に移動して骨盤に入るようになると、おへその位置が下がっていることに気づく人もいるでしょう。また、赤ちゃんが下の方に降りると胃の圧迫が減り、食欲が湧いてくるという人も多いようです。自分自身の食欲の変化からも陣痛の兆候を確認することができるかもしれません。
胎動が減る
妊娠後期に入ると胎動が減るといわれていますが、胎動の変化もお産の兆候のひとつです。一般的には赤ちゃんが骨盤まで下がってくることで胎動が減るといわれていますが、個人差があり、下がった状態でも胎動を頻繁に感じることもあります。
通常は出産が近づいても胎動がまったくなくなることはないので、もしも胎動を長時間感じない場合は病院に相談しましょう。
下痢・便秘
赤ちゃんが大きくなると、子宮も大きくなるので、周囲の器官を圧迫して便秘になるママもいるようです。また、出産が近くなり、ホルモンバランスの変化によって腸が活発になることで、下痢になることもあります。
下痢と便秘はどちらも出産の兆候なので、普段の様子と比べながら前兆かどうか判断してくださいね。
腰痛
出産が近くなり、赤ちゃんの頭が骨盤に降りてくると、骨盤が広がり、周辺の筋肉に負担がかかることから腰痛を感じるようになります。妊娠中、腰痛に悩まされることは多々あるかもしれませんが、この時期に腰痛が現れるようになった場合はお産の兆候かもしれません。
眠気・だるさ・頭痛
医学的には出産前の兆候とは関係がないとされていますが、出産が近づくと強烈な眠気を感じるようになるママも多いようです。また、自分では気づかなくても、本陣痛が近いことを身体が感じ取り、精神的なストレスから頭痛を感じる場合もあります。
お腹の重さなどから疲れを感じやすい時期なので、眠気や疲れを感じたら無理せずに休憩するようにしましょう。
陣痛中にも胎動はあるの?激しい場合は大丈夫?
一般的には、お産が近づくと赤ちゃんの頭はどんどん下に降りてきて、骨盤に固定されるので胎動が減るといわれていますが、胎動が完全になくなることは通常はありません。そのため、陣痛のあいだにも胎動を感じることができます。
なかには、赤ちゃんが陣痛中にも激しく動いたために強い痛みを感じたというママもいるようです。陣痛中に激しい胎動を感じた場合、赤ちゃんが苦しんでいるのではないかと不安になるかもしれませんが、赤ちゃんは生まれる直前まで動き回っているので、胎動を感じることに心配はいりません。むしろ赤ちゃんが元気な証拠なので、安心してくださいね。
陣痛中に胎動を感じない場合もある?
陣痛中にも胎動を感じることができますが、まったく胎動を感じない場合は、赤ちゃんに何か異変がある可能性があります。陣痛中に胎動をまったく感じないときは、別の対応が必要になるので、すぐに医師や助産師に相談しましょう。
胎動を感じないのに、ずっとお腹の痛みが治まらない場合は「常位胎盤早期剥離」の危険性があるため要注意です。常位胎盤早期剥離とは、胎児がまだ子宮内にいるあいだに、何らかの原因で胎盤が子宮壁から剥がれ落ちてしまう状態です。重症の場合は母子ともに命を落とす危険性があります。常位胎盤早期剥離の痛みは陣痛とは異なり、持続的な強い下腹部痛と強いお腹の張りが特徴です。お腹の痛みに異変を感じた場合はすぐに医師に相談してください。
胎動を感じることは、赤ちゃんの様子を把握する上でとても大切なことですが、本陣痛は胎動どころではない痛みなので、陣痛中に胎動の停止や変化に気づくことができるか心配なママもいるかもしれません。陣痛は一定間隔の痛みであるのに対し、胎動は不規則であるため、陣痛がおさまったときに胎動を感じるかどうか、注意してみると良いかもしれませんよ。
安心してお産を迎えられる準備をしよう
胎動や陣痛の感じ方、お産の前の兆候には個人差があるため、自分の状態が正常かどうか不安になることもあるかもしれません。少しでも心配なことは無理に自己解決しようとせず、医師に相談するなどして不安を取り除くように心がけてください。お産には予想外の急展開もありますが、自分が安心してお産を迎えられるように準備を整えることはとても重要です。
また、この時期はお腹が大きいことやお産が近いことによる緊張やストレスで、疲れを感じやすいかもしれません。お昼寝をしたりあたたかい飲み物を飲んだりして、リラックスしながら残りのマタニティーライフを楽しみましょう。