【産婦人科医監修】4Dエコーでダウン症はわかる?鼻が低いと可能性あり?ダウン症の特徴が出る時期はいつ?
産婦人科医監修|4Dエコーは胎児の顔や身体の特徴を鮮明に映しますが、4Dエコーだけではダウン症の確定診断はできません。「鼻が低い」「耳が小さい」などの印象を受けても、心配しすぎないことが大切です。妊婦健診や4Dエコーの結果、どのような場合にダウン症が疑われるのか特徴や詳細な検査にはどのようなものがあるのかを解説します。
本ページはプロモーションが含まれています
この記事の監修
目次
4Dエコーでわかることは?
赤ちゃんが動く様子
通常の妊婦健診で行われるエコー検査は、子宮内の様子を縦と横の断面でとらえる「2Dエコー」が使用されています。そして近年、多くの病院で取り入れられるようになったのが、「3Dエコー」や「4Dエコー」による撮影です。
3Dエコーは縦・横・高さ(奥行き)の3つの座標をとらえ、胎児を静止画で映し出します。その3Dエコーよりも、さらに高度な技術で赤ちゃんをとらえるのが「4Dエコー」です。4Dエコーは3Dに時間軸が加わったもので、赤ちゃんが動く様子をリアルタイムに動画として映し出します。
3Dエコーや4Dエコーに適しているのは妊娠17~34週のあいだです。このころにエコーを受けると、タイミングが合えば、赤ちゃんが指をしゃぶったり、臍帯(さいたい)で遊んだりする様子を見ることができますよ。
赤ちゃんの顔立ちや表情
赤ちゃんの顔立ちや輪郭を立体的に映し出せるのも、4Dエコーの特長です。目や鼻、口の様子から、赤ちゃんの表情を垣間見ることができますよ。赤ちゃんはあくびをしたり、舌を出したりと、お腹の中で表情豊かに過ごしています。
妊娠20~30週頃の赤ちゃんは、脂肪がついてふっくらとしてきます。このころに4Dエコーを受けると、赤ちゃんのかわいさをより実感できるかもしれません。ただし、羊水量や赤ちゃんの向き、姿勢によって見え方は大きく変わります。必ずしも思い通りの映像が見られないということは、理解しておきましょう。
4Dエコーでダウン症はわかる?
そもそもダウン症とは
ヒトの細胞には46本の染色体があります。一つひとつがさまざまな遺伝情報を担っており、なんらかの原因で染色体に異常が起こると、その情報を持つ部位に影響があらわれます。ダウン症候群は、21番目の遺伝子がひとつ多いことで起こる遺伝子疾患で「21トリソミー」とも言います。
ダウン症の症状は症候群という名前の通り、ひとつではありません。精神的な症状、身体的な特徴、ふたつが合併した重症度の高い疾患があります。鼻が低い、耳が小さいといった所見は比較的目につきやすいため、広く知られている症状と言えます。
ダウン症は800~1,000人に1人の割合で見られます。染色体異常は加齢によって発生頻度が上がるというデータもあり、決してめずらしい病気ではありません(※1)。医療や療育環境の変化にともない、通常の学校生活を送る患者さんも多くいます。
4Dエコーではダウン症を確定診断できない
ダウン症の症状は、出生後もしばらく気付かないことがあるほど多岐にわたります。そのため、4Dエコーでダウン症に通じる所見が見られても、問題があるかどうかはその場で判断できません。確定診断するためには、詳細な検査が必要となります。
また、4Dエコーは、医師ではなく専門の技師が行う場合があります。技師は障害や奇形、性別に関する質問に答えることはできないため、問題があれば医師にその情報が伝達されます。4Dエコーを受けていて、もしも気になることがあった場合は、次の妊婦健診時に医師に質問するようにしましょう。
4Dエコーでダウン症の特徴が出る時期はいつ?
4Dエコーの技術は日々進歩しており、産婦人科を含む医療現場で画像診断に用いられるケースは拡大しています。そのため、診断目的で実施されていない4Dエコーでも、得られた画像からダウン症やそのほかの染色体異常が確認されることもあります。
ダウン症の所見としてよく知られているものは、妊娠初期の段階であらわれる「後頸部肥厚(こうけいぶひこう)」です。首の後ろがむくんだ状態で、「NT」もしくは「頸部浮腫(けいぶふしゅ)」とも言います。多くは妊娠中期までに消失しますが、中期以降も厚みが残っているとダウン症が疑われます。
ほかにも、妊娠中期以降に大腿骨(だいたいこつ)が短い、腎臓の中の腎盂(じんう)が大きい、耳が小さい、鼻が低い、足の親指と人差指が離れているといった所見が複数認められると、妊娠後期に詳細なスクリーニング検査を行うよう医師から指示があるかもしれません。
これらの所見は明らかな異常ではなく、染色体異常がある場合に比較的高い頻度で認められることから「ソフトマーカー」と呼ばれています。正常な胎児であっても、身体的な特徴としてしばしば見られるものです。4Dエコーを実施した時期や合併症の有無などを考慮し、その後の対応については総合的に判断する必要があります。
ダウン症の検査方法
母体血清マーカー検査
母体血清マーカー検査は、母体から採取した血液の中にある特定の成分を計測して、染色体異常の確率を算出する検査です。成分の数により、トリプルテスト、クアトロテストとネーミングされています。
検査を実施する時期として推奨されているのは、妊娠15~18週頃です。検査は採血のみで済むため流産のリスクがなく安全とされています。ただし、検査結果は障害がある可能性を確率として示すものなので、確定診断が目的ではないことを十分に理解しておく必要があります。
母体血清マーカー検査は保険適用外で、支払いは自己負担となります。費用は病院によって異なりますが、2~3万円が相場です。
羊水検査
羊水検査はエコー検査で胎児や胎盤の位置を確認しながら、お腹に針を刺して子宮内から羊水を採取して行う検査です。羊水に含まれる胎児の細胞を採取して、染色体異常の有無を調べます。妊娠16~18週に行われ、検査結果は確定診断に用いられます。
針は卵膜を通過するため、破水や流産のリスクがあります。また、0.3%の確率で感染症を合併するという報告もなされています。羊水検査は安全性のリスクもあるため、血清マーカーや新型出生前診断で陽性反応が出た場合の確定診断として用いられるケースが多いようです。
羊水検査も保険適用外で行われる検査です。支払いは自己負担となり、10~20万円の高額な検査費用がかかります。
絨毛検査
絨毛は胎盤の一部を構成する組織で、胎児由来のものです。検査は妊娠11~14週の妊娠初期に行われます。胎盤が形成される前の段階でお腹に針を刺し、細胞を採取する方法がとられています。
検査は羊水検査よりも早い段階で行えます。しかし、妊娠8週以前では赤ちゃんに障害が認められるケースが報告されており、妊娠早期の検査は現在では行われていません。羊水検査と同じくお腹に針を刺して行われるため、流産や感染症のリスクもあります。
いつごろ受けると良いか、ほかの検査を先に受けるべきかなど、医師としっかりと相談してから検討すると良いでしょう。絨毛検査の費用は、羊水検査と同程度の10~20万円ほどが相場です。
新型出生前診断(NIPT)
新型出生前診断は日本国内で2013年から実施されています。従来の羊水検査や絨毛検査のように子宮に針を刺す必要がなく、母体血を採血するのみで安全に検査が行われることから「母体血胎児染色体検査」や「無侵襲的出生前遺伝学的検査」と呼ばれ、これまでの検査と区別されています。
母体血液中には、胎盤から漏れ出る胎児のDNAが微量に含まれています。新型出生前診断では、このDNAを採取することで、胎児の染色体異常の有無を調べます。新型出生前診断でわかるのは、ダウン症(21トリソミー)、パドー症候群(13トリソミー)、エドワード症候群(18トリソミー)です。
検査は妊娠10~22週に実施されます。99%の確率でダウン症を検知するというデータがありますが、新型出生前診断を受けるには高齢妊娠であること、エコー検査や母体血清マーカー検査で染色体異常の可能性が指摘されたこと、過去に染色体異常を持つ子どもを妊娠・出産したことがあることなど細かな指針が設けられています。
なお、新型出生前診断の費用は20~30万円と、ほかの検査と比べても高額です。新型出生前診断を受けられる条件や病院は限られているので、医師と相談しながら事前に情報を確認しておきたいですね。
4Dエコーと実際の顔は違うことも多い
4Dエコーは、お腹の中にいる赤ちゃんの様子を鮮明な映像で見ることができるため、子どもがどのような顔をしているのか興味を持っている方も多いのではないでしょうか。4Dエコーを受けてみて、鼻が低い、耳が小さいといったダウン症に通じる特徴が見られると、心配になってしまうママもいるかもしれません。
しかし、4Dエコーで映し出される顔と生まれてきた子どもの実際の顔立ちは違うことも多いものです。4Dエコーの映像だけでダウン症であると判断することは難しいため、気にしすぎないことが大切です。もしも外見で気になることがあれば、医師に相談してくださいね。
また出生前診断の目的で4Dエコーを受けることは、さまざまな問題をはらんでくるので、慎重な判断が求められます。心配なことはひとりで抱え込まず、パートナーや医師と話し合うようにしましょう。
※この記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。