【産婦人科医監修】破水に気づかないときのリスクは?破水の原因と見分け方
破水にはドバドバと羊水が流れ出る場合や破水と気づかないほど少量ずつ出る場合など、いくつかの種類があります。タイミングも人それぞれで、陣痛後に起こる人もいれば、突然起こる人もいます。破水に気づかなかったらどうなるのか、気になる人もいるでしょう。ここでは、破水の原因や見分け方について産婦人科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
破水とは
破水とは赤ちゃんを覆っている卵膜が破れ、卵膜の中の羊水が体の外に流れ出る状態をいいます。出産において必ず起こる破水ですが、初めから羊水がドバドバ出てくる人もいれば、チョロチョロと流れ出る人もいて、人によってさまざまです。
破水の種類
適時破水
一般的な出産では、陣痛が始まり、子宮口が全開になってから破水が起こります。このときの破水を「適時破水」と呼び、正常な破水だといえるでしょう。
前期破水
陣痛がくる前に突然破水してしまう場合を「前期破水」と呼びます。約30%の妊婦さんが経験する破水です。破水をきっかけとして陣痛が始まってしまうので、時期によっては早産になってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
早期破水
子宮口が全開になる前に起こる破水を「早期破水」と呼びます。陣痛が起こってからの破水であるため、経験する妊婦さんも比較的多い破水です。
高位破水
「高位破水」とは、子宮の上部の卵膜が破れてしまう状態です。通常の破水であれば、ひと目で分かる程の量の羊水がでてくるのですが、高位破水の場合はチョロチョロとしか出ないのが特徴です。
高位破水の場合、卵膜が破れてから陣痛が始まるまでに数日から数週間経過することがあり、破水に気づかないまま過ごしてしまうのも珍しいことではありません。尿漏れやおりものと勘違いするほどの羊水の出方なので、いつもと違う場合は注意が必要です。
破水の原因
重たいものを持つ
重たい荷物を持ちあげたり荷物を持って移動したりするなど、お腹に急激に力が入ってしまうことで破水してしまうことがあります。すでに上のお子様がいる場合は抱っこをせがまれることもあるかと思います。急に抱きあげるとお腹に力が入ってしまいますので、なるべくゆっくり動作を行うよう気をつけましょう。
卵膜の異常
何らかの細菌の感染が起こっている場合は炎症によって卵膜が弱くなっている場合があり、破水の原因となってしまいます。
性行為
性行為が破水を引き起こしてしまう場合があります。深い挿入は避けお腹を圧迫することがないような体位で行うようにしましょう。また感染症や早産を予防するために必ず避妊具を使用するように心がけましょう。
喫煙
妊娠中のママの喫煙も破水の原因となる場合があります。本人の喫煙だけでなく副流煙を吸わないためにも周りの人の協力を得たいですね。
高齢出産
高齢出産で卵膜が弱くなっている場合も破水が起こりやすいといわれています。しかし高齢出産だからといって全ての人が突然破水するわけではありません。生活習慣を見直すことでリスクを減らすことは可能です。
性感染症
「クラミジア」などの性感染症も突然の破水の原因となります。性感染症になっていないか早めに検査をし、治療することが望ましいですね。
羊水過多・多胎妊娠
羊水が多くなる「羊水過多」や「多胎妊娠」も突然の破水の原因となる場合があります。多胎妊娠の場合は子どもが2人以上でさらに羊水も増えているため、子宮内圧が上がり、その圧力で卵膜が破けてしまうと考えられています。
破水に気づかないときのリスク
高位破水の場合は尿漏れやおりもの程度の羊水の出方であるため破水に気づかずにしばらく過ごしてしまうことがあります。そのまま破水に気がつかなかった場合のリスクはあるのでしょうか。
細菌感染
破水に気づかなかった場合のリスクとして細菌感染があります。卵膜により守られている赤ちゃんですが、破水により卵膜が破けたことで子宮頸管から入ってきた細菌に感染してしまうことがあります。赤ちゃんだけではなくママも感染症にかかってしまう場合もありますので母子ともに注意が必要です。
赤ちゃんの成熟障害
早産期の破水では赤ちゃんの時期によっては成熟障害が起こる場合があります。特に肺機能は妊娠35週頃、妊娠後期に成熟するため、肺機能の障害につながる恐れがありますので注意が必要となります。
臍帯(へその緒)脱出による無酸素症・胎児仮死
破水に気づかず羊水が極端になくなってしまうと臍帯が赤ちゃんよりも先に出てしまう「臍帯脱出」が起きたり、臍帯が圧迫されることによって赤ちゃんへ酸素や栄養分が行き届かなくなってしまい「無酸素症」や「胎児仮死」を引き起こしてしまう恐れもでてきます。
破水の見分け方
破水に気づかないことで恐ろしいリスクもありました。高位破水のように羊水がチョロチョロとしか出ないときには「尿漏れ」なのか「おりもの」なのか「破水」なのか判断がつかない場合も。見分け方を知っておくことで判断がつきやすくなるかもしれません。
色
破水の場合は透明か乳白色、血液が混じっている場合には淡いピンク色をしています。尿の場合は黄色い色をしていたり、おりものの場合は卵白のような白っぽさがあったりしますから、日頃からよく観察しておきましょう。
形状
破水の場合は水っぽくサラサラとしていてあまり粘り気はありません。粘りが強く、ゼリー状のおりものの可能性がありますのでよく観察してみましょう。
匂い
破水の場合の匂いは生臭い匂いだったり精子のような匂いだったりと独特の匂いが特徴です。匂いを感じられなかったという人もまれにいますが、尿であればアンモニア臭がしますし、おりものであれば酸っぱい匂いがありますから判断がつきそうですね。
自分で止められるかどうか
破水の場合は自分の意思で止めることはできません。尿漏れである場合には自分の意思で止めることができますので肛門周辺に意識を集中させて力を入れチェックしてみてください。
出てくるタイミング
横になって安静にしているときや動くたびにちょっとずつ出てくるような場合は破水が考えられます。笑ったりくしゃみをしたりなどお腹に力が入ったときに出る場合は尿漏れの可能性が高いですね。
破水であれば一度出始めたら時間が空いたとしても少しずつ出てきて止まることはありません。次々に出てくる場合は破水の可能性があります。
胎動の減少
破水か尿漏れか判断がつかない場合は胎動の様子もみてみましょう。出産が近づくと胎動は徐々に減ってくるのが普通です。普段よりも胎動が減っていると感じた場合は出産が近づいている可能性があり、もしかすると破水しているかもしれません。
破水に関する体験談
2児の母である筆者は第1子が前期破水から始まった出産でした。筆者の破水のきっかけは自宅でトイレに行こうと思い立ちあがったときに起こりました。自分のお腹の中から風船が割れるような「パンっ」という音がしたのです。
破水の様子は初めのうちはしたたるくらいのもので色は淡いピンク色。次第に2枚重ねにした夜用ナプキンでも追いつかないほどの羊水がでてきました。病院に着くころにはズボンもびっちょりでした。
高位破水のようにおりものなのか尿漏れなのかわからないくらいの破水は分かりづらいかもしれませんね。しかし何かが割れるような音が聞こえたり、何かいつもと違うというような違和感があったりする場合が多いようです。「破水の見分け方」をチェックし破水なのかどうなのか確認して欲しいと思います。
破水かな?と迷ったらとりあえず電話を
破水かもしれない…と思ってももしかして違ったら?と考えるとなかなか病院に電話するかどうか迷うと思います。しかし出産は何が起こるかわかりません。初めての出産でも経産婦さんでもわからないことだらけ。とにかく破水を疑ったら病院へ電話しましょう。
破水すると卵膜に守られていたはずの赤ちゃんが感染症にかかってしまうかもしれません。たとえ破水ではなかったとしても病院だって慣れっこです。赤ちゃんを守れるかどうかはママにかかっています。迷わず電話連絡をして指示を仰ぎましょう。
37週以降の破水はすぐそこまで赤ちゃんに会える時が近づいているということです。10ヶ月間お腹の中で大事に育ててきた赤ちゃんとの対面の時ですね。無事に出産を終えられますように。
※この記事は2023年7月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。