【産婦人科医監修】妊娠うつは他人事じゃない!「私は大丈夫」と油断しないで!
「うつ」というと「自分には関係ない」と思ってしまう人も多いでしょうが、妊娠中はホルモンバランスも崩れ、精神的に不安定になりやすいもの。とくに初めての妊娠の場合は、不安やストレスも大きく、妊娠うつになってしまう可能性が高いようです。ここでは、妊娠による精神不安定やうつについて解説します。
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目次
妊娠うつは身近に潜んでいる
妊娠うつは特別な人がなるもの、と思っている人もいますが、妊婦なら誰でもそのリスクにさらされていると考えた方が良いでしょう。筆者自身、妊娠中は精神的に不安定になり、一人で泣いたり、夫にきつく当ったりしてしまったこともあります。妊娠は喜ばしく幸せなことですが、その反面ストレスも大きいものです。
妊娠中の女性が妊娠うつのような症状になり、どう接したら良いのか迷うパートナーも少なくありません。ある方が体験した妊娠中の妻の様子をご紹介します。
・仕事を終えて自宅に帰ると、朝見た服装と同じ服装で真っ暗の部屋で妻が泣いている
・ため息をしながら行動する
・自分が寝ているときにいきなり殴られる
・理由を聞いても奥様もわからないと言い、病院に行こうと言うと逆切れされる
このような状態が続き、どうすれば良いのかわからず、疲れ果ててしまったようです。妊娠中の妻もつらいですが、夫としてもつらいことですよね。
妊娠うつの症状
妊娠中、自分でもわけがわからずに悲しくなったり、攻撃的になったりしてしまうことはよくあることです。しかしそれをすべて夫にぶつけてしまっていては、夫自身も受け止められずに双方が悪い方向へ進んでいってしまう可能性もあります。
妊娠うつは、妻にとっても夫にとっても大きな問題になってしまいがちです。そうならないためには、妊娠うつについての知識を夫婦ともに知っておくことが大切です。
以下は代表的な妊娠うつの症状です。
・いつもイライラしている
・涙もろい
・何をしても楽しくない
・やる気がなく無気力
・眠れなくなる
以上のように症状は人によって異なります。このような症状がある妊娠うつは、一時的なものであることも多いです。思い詰めてしまうと、反対に悪化してしまう可能性があるため、2週間ほどはリラックスして様子を見てみるようにしましょう。それでも落ち着かず、悪化しているときは一度専門家に相談してみることも必要かもしれませんね。
妊娠初期のうつ
妊娠初期は、妊娠中最も変化が激しく戸惑ってしまう時期だと言います。とくにつわりがひどい場合などは、何度も嘔吐を繰り返し「赤ちゃんの分も栄養をとらなくちゃいけないのに、なんて自分はだめなんだろう」と自分を責めて気分が落ち込み、うつになってしまうケースも少なくありません。
また、妊娠初期にはホルモンの影響から眠気も引き起こしますが、眠ってばかりいて家事が上手くできなかったり、夫や周囲の人に申し訳ないという気持ちで自分を追い詰めてしまう人もいます。
妊娠中期のうつ
妊娠中期はつわりも収まり、安定期に入るため、妊娠初期にうつ状態だった人も回復することが多いようです。ただし、つわりが収まって食事がとれるようになると、次は体重管理に思い悩んでしまう妊婦さんも多いです。
体重管理が上手くいかず「また食べすぎた」「太りすぎた」と落ち込んで、徐々にうつになってしまうこともあります。
妊娠後期のうつ
おなかが大きくなってくる妊娠後期にも、うつになってしまう妊婦さんは多いです。出産が目前に迫ってくることもあり、緊張と不安が一気に押し寄せてうつになってしまう傾向にあります。
とくに初めての妊娠だという方は、インターネットなどで出産体験談を読んでさらに恐怖を募らせる、ということも多いようです。筆者も妊娠中は何度も出産について検索をかけては、余計に怖くなってしまったものです。
うつが悪化してしまったら、最悪のケースも
産後うつが悪化することも
産後うつの悪化による痛ましい事件も多いですが、妊娠うつの悪化も悲しい結果につながることがあります。
子どもがほしくてほしくてたまらなかったのに、妊娠うつによって判断力を失って中絶手術をして、一生残る後悔に苦しんでいるという女性もいます。ホルモンの異常によって脳機能障害を起こしたことが原因にもなったようです。
中絶すると決断したのは自分自身なので余計につらく苦しみ、「どうしてそんなことをしてしまったのか、自分でもわからない」と言います。それほど、妊娠うつは深刻だということが胸に突き刺さります。
また、妊娠うつによって「離婚」を選択してしまうケースも少なくありません。産後クライシスも深刻な問題ですが、この妊娠うつによる離婚も長い間後悔をしてしまう結果につながってしまいます。
筆者も妊娠中、わけもなく悲しくなって「自分は夫のそばにいてもいい人間なのだろうか」と考えては泣いてしまったことがありました。妊娠中、思うようにからだを動かせない筆者のフォローを、激務で疲れている中してくれる夫への申し訳なさが強かったのかもしれません。
幸い、筆者は妊娠うつにまで発展することはなく、すぐに気分が持ち直しましたが、いつ何がきっかけで妊娠うつになってしまっていたかどうかはわからないと今でも思います。
妊娠うつを防ぐために
妊娠うつを防ぐためには、まず悩みや不安をひとりで抱え込まないことが大切です。家族や友人など、信頼できる相手にしっかりと話をしたり、相談したりすることが大切です。出産経験のある母親や友人の話は、不安を和らげるのに役立つかもしれませんよ。
また夫とも積極的にコミュニケーションをとり、自分の不安やからだの変化、つらさについて話をするようにしましょう。女性特有の妊娠についてのあれこれは、男性にはなかなか想像しづらいものです。「どうしてつらいのにわかってくれないの」とやきもきしているだけでなく、きちんと言葉に出さなければ伝わらないこともあります。
筆者の夫も、妊娠中のストレスや身体の不調は口に出さないとわかってはくれませんでした。素直な気持ちをぶつけることで、夫婦としての絆も深まるはずですよ。
また「つらい」と感じたら心療内科などを受診するのもひとつの方法です。カウンセリングや薬の処方などをしてもらうようにしましょう。薬に抵抗のある妊婦さんも多いでしょうが、うつを悪化させたり長引かせたりすることは、ママにも赤ちゃんにも良くありません。
医師に妊娠中であることを伝えたうえで、妊娠中でも問題がないように処方してもらってくださいね。
ひとりで抱え込まないで
産後うつの問題が多く取り上げられ、妊娠うつについてはあまり知らなかったママもいることでしょう。つらい気持ちはひとりで抱え込まずに、きちんと周囲に相談をしてくださいね。何より大切なのは、ママが健康に、元気な赤ちゃんを産むことです。
状態が深刻化する前に、夫や信頼できる相手とじっくり話をするようにしましょう。すっと心が楽になるはずですよ。
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