妊娠初期のイライラの原因と対処法!赤ちゃんに影響はある?| 産婦人科医監修

産婦人科医監修|妊娠初期はなぜかイライラしたりブルーな気持ちになったりとストレスを感じやすい時期でもあります。お腹の中に赤ちゃんがいるので幸せいっぱいの気持ちのはずなのに、なぜイライラしてしまうのでしょう。そこで今回は妊娠初期のイライラの原因やそんなイライラの対処法を紹介します。

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この記事の監修

杉山 太朗
産婦人科医
杉山 太朗

目次

  1. 妊娠初期のイライラはいつからいつまで?
  2. 妊娠初期のイライラの原因
  3. 妊娠初期のイライラの赤ちゃんへの影響
  4. 妊娠初期にストレスをためこむリスク
  5. 妊娠初期のイライラの対処法
  6. 妊娠初期のイライラとは上手につきあおう
  7. あわせて読みたい

妊娠初期のイライラはいつからいつまで?

妊娠初期のイライラはいったいいつから始まりいつまで続くのでしょうか。早い人では着床した直後からイライラを感じ始めるそうです。妊娠初期のイライラの程度は人それぞれ。まったく感じないという人もいれば出産までイライラが続いたと感じている人もいます。

妊娠初期のイライラの原因

ホルモンバランスの変化

妊娠初期のイライラはプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンが最大の原因です。妊娠をすると女性の身体はホルモンバランスが大きく変化します。特に妊娠初期はプロゲステロンが急激に増加します。

赤ちゃんをお腹の中で育む上でとても重要なホルモンなのですが、プロゲステロンの分泌が増加することで心も身体も不安定になりやすくイライラしてしまうのです。妊娠初期のイライラはつわりのひとつとも考えられます。

精神的な不安・プレッシャー

妊娠をすると身体が変化するのはもちろんですが、妊娠に対する不安やプレッシャーも同時に妊婦さんを悩ませます。「流産してしまったらどうしよう」「赤ちゃんは無事に育っているのかしら」「体調が悪くて仕事や家事ができない」などと生活や今後のことで不安でいっぱいになってしまいます。

初めての妊娠であれば何もかもが初めてなので不安感も強いものになりますね。不安やプレッシャーを感じることが多ければイライラするのも当然のことなのかもしれません。

環境の変化

妊娠をすると周りの環境や人間関係の変化でイライラしてしまうことも出てきます。たとえば職場で妊娠前と同僚や上司の態度が変わったり、義理の両親から心配されることすらイライラの原因になってしまうのです。

妊娠していなければ笑って受け流すことができるような事柄も、妊娠中は全て真に受けてイライラを助長させることにつながりかねません。常にイライラしていることにより余計にストレスを感じてしまうことになります。

妊娠初期のイライラの赤ちゃんへの影響

妊娠中のイライラ・ストレスの赤ちゃんへの影響はまだはっきりとはわかっていません。しかし、人はストレスを感じると血管が収縮してしまいます。妊娠初期のイライラでストレスがたまるとお腹の赤ちゃんに酸素や栄養素を十分に送り届けることができなくなる恐れがあります。

早産・低体重児

妊娠初期にイライラがたまりストレスを感じることで早産や低体重児のリスクが高まるかもしれません。ストレスによって血管が収縮し赤ちゃんに十分な酸素や栄養素を届けられないために、胎児がうまく育たなくなってしまうことが考えられます。

喘息・アレルギー

ハーバード大学の研究で妊娠中のストレスが生まれてくる子どものアレルギーや喘息に大きく関わってくることがわかっています。

ストレスを感じるとコルチコステロンというホルモンが分泌されるのですが、このホルモンが母体内で増えると胎盤を通じて胎児にもコルチコステロンが増えることになります。その結果、生まれた子はアレルギーや喘息を引き起こしやすくなると報告されています。

ただし、ストレスによる反応は人それぞれですし、ストレスの客観的な大きさが必ずしも胎児の成長やアレルギーに関連するものではありませんので、ストレスが大きいからといって必要以上に心配するのも良くありません。

情緒不安定・夜泣き

妊娠初期に大きなストレスを感じていた場合、生まれてきた赤ちゃんは心に不安を抱えやすいという研究結果が得られたそうです。

妊娠初期にイライラがたまってコルチゾールというストレスホルモンが分泌されると、胎盤が未熟な場合それが赤ちゃんまで伝わることがあります。高濃度のコルチゾールは赤ちゃんの神経系の発達に影響を与えてしまうことになり、情緒不安定になったり夜泣きがひどい赤ちゃんになったりしてしまう可能性があると言われています。

ADHD

妊娠初期の過度なイライラは胎児の脳に悪影響を及ぼすかもしれません。イライラでストレスがたまりコルチゾールというホルモンが胎盤を通じて赤ちゃんまで伝わり、それが赤ちゃんの脳まで流れてしまうと注意欠陥多動性障害(ADHD)になりやすくなる可能性が指摘されています。

コルチゾールは胎盤を通過しにくいため赤ちゃんに届くのは一部ですが、妊娠初期で胎盤が未熟な場合や胎盤に異常がある場合などは高濃度のコルチゾールが赤ちゃんに影響することもあるそうです。

妊娠初期にストレスをためこむリスク

切迫流産

妊娠初期のイライラでストレスがたまってしまうと、それに対抗するためにストレスホルモンが分泌されます。ストレスホルモンは血管を収縮させ、手足などの血行を悪くしてしまう働きを持っているのですが、血行が悪くなれば子宮の血行も悪くなります。

子宮の血行が悪くなれば子宮の動きが妨げられ妊娠状態を維持できる状態ではないと判断し、お腹の赤ちゃんを排出しようとしてしまいます。このように妊娠初期のイライラが切迫流産のリスクを高めてしまうかもしれません。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは妊娠第20週目から分娩後12週目までに高血圧がを発症することを指すのですが、妊娠初期にイライラがつのってストレスをため過ぎてしまうと妊娠高血圧症候群になってしまうリスクが高くなるかもしれません。

つわりの悪化などの体調不良

妊娠初期にイライラをためこんだ結果、つわりが悪化したり体調不良になったりします。つわりは精神的なものが大きく影響していることがわかっており、神経質な性格の人はつわりがひどくなりやすいと言われているそうです。

妊娠初期のイライラの対処法

妊娠初期のイライラが赤ちゃんにまで影響するのはとても恐ろしいことですね。どうすれば妊娠初期のイライラから解放されるのでしょうか。

周囲へ事前に説明しておく

妊娠すると女性の身体は大きな変化を引き起こします。それと同時に心の変化もあることを周囲に話しておきましょう。妊娠初期はまだ身体の変化は周囲の人からは見えません。見えないからこそ親しい人には妊娠初期のつらさをわかっていて欲しいですよね。

妊娠初期にはホルモンバランスの大きな変化によってイライラしやすくなることを伝えておけば、周囲の対応も違ってくることが多いですし、周りの人が理解してくれている安心感からイライラしにくくなるかもしれません。

ストレスを他人に話す

妊娠初期のイライラはホルモンバランスの変化などが原因なので自分の意志とは関係なく起こります。イライラするようなことを受け流すことができれば一番楽なのですが、そうもいかない場合は不安な気持ちやイライラしていることを家族や友人など誰でも良いので話してみましょう。

自分の中にストレスとしてためこんでしまうことは身体にも赤ちゃんにもよくありません。すぐそばに話す人がいなければノートにイライラを殴り書きし破り捨ててしまうとストレス解消になりますよ。

胎教に良い音楽を聴く

「胎教」とはお腹の赤ちゃんとママのコミュニケーションやママのリラックスを目的として行うものです。胎教にも妊娠初期のイライラにも効果があるのは、胎教に良い音楽を聴くことです。

胎教に良い音楽を聴くことでママはイライラから解放されリラックスすることができます。赤ちゃんの耳にも音楽が伝わりますので脳が刺激され右脳が活性化し赤ちゃんの脳の発達にも効果があるのです。

気分転換をする

妊娠初期のイライラを解消させるために日頃から気分転換することを心がけてみましょう。趣味に没頭するのも良いですし、散歩や友人とランチすることでも気分転換ができますね。体調の良い日は身体に無理のない程度に気分転換することをおすすめします。

妊娠初期のイライラとは上手につきあおう

妊娠初期のイライラはホルモンバランスの変化で誰にでも起こるものです。イライラでストレスがたまりすぎてしまうと赤ちゃんにも悪影響を及ぼすかもしれません。妊娠初期はイライラするものだと割り切って、できるだけ周りの人に協力してもらいながらイライラと上手につきあうのも大切ですね。

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