妊娠初期に眠れない!不眠の原因と対策は?睡眠不足の影響は?

妊娠初期の不眠は、マイナートラブルの中でも訴えが多い症状のひとつです。眠れないと不安になるものですが、不眠の原因にはどういったものがあるのでしょうか。原因と対策を探り、眠れない苦痛からの解放を目指しましょう。睡眠不足が赤ちゃんに与える影響や身体にあらわれる不調についてもお伝えしていきます。

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この記事の監修

藤東 淳也
産婦人科医
藤東 淳也

目次

  1. 妊娠初期は不眠になりやすい?
  2. 妊娠初期の不眠の原因は?
  3. 妊娠初期に眠れないとどんな影響がある?
  4. 妊娠初期の不眠対策は?
  5. 妊娠初期に睡眠薬を飲んでも大丈夫?
  6. 妊娠初期に眠れないときは心を落ち着かせよう
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妊娠初期は不眠になりやすい?

妊娠は受精卵が子宮に着床したときに成立します。着床が完了するのは、排卵日から数えて12日前後です。排卵があった生理周期の生理開始日を妊娠0日とするため、妊娠が成立した時点ですでに約3週目に突入しています。

妊娠3週目の妊娠超初期段階では、ホルモンの分泌量や代謝機能が大きく変化しています。妊娠によってホルモンバランスが変わることで、気分の落ち込みや、下痢・吐き気といった消化器系の不快症状、のどのイガイガなどさまざまなマイナートラブルがあらわれます。こうした身体の不調・不快症状が影響して、妊娠初期に不眠に悩まされる人がいるのです。

妊娠中に不眠や睡眠障害を訴える人は約30%で、長い時間睡眠ができない、なかなか眠れない、朝起きるのが遅くなるなどといった問題が報告されています。長い時間寝ていても、満足のいく質の良い睡眠がとれないことに悩んでいる人は多いのです。

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妊娠初期の不眠の原因は?

女性ホルモンの作用

女性ホルモンのひとつ、プロゲステロンは子宮内膜を維持するために欠かせないホルモンです。プロゲステロンが分泌されることで、子宮内膜が剥がれ落ちて生理が来るのを阻止しています。

妊娠の継続に対してとても大切な役割をもつプロゲステロンですが、基礎体温が高温のままだったり、倦怠感をもよおしたりする作用もあります。こうしたプロゲステロンの影響で、寝苦しさを感じたり眠りが浅くなったりするのです。

つらいつわり

妊娠5~6週頃からあらわれるつわりが、良質な睡眠を妨げるケースもあります。つわりが起こるのは、ホルモンの影響やストレスが原因といわれており、つらいつわりが不眠症状やストレスを生み、さらなる体調の悪化につながるといった悪循環に陥ってしまうこともあります。

頻尿によるトイレの回数の増加

プロゲステロンは利尿作用を持つことでも知られています。さらに急に大きくなり始めた子宮に膀胱が圧迫され、トイレの回数が増えることがあります。睡眠中にトイレで目が覚めることはなかったのに、妊娠してからトイレに起きる回数が増えたという訴えはよくあります。浅い眠りの中、頻繁に起こる尿意が不眠の原因につながるようです。

妊娠・出産や将来に対する不安

妊娠中は胃部不快感や肩こりなどの身体の不調、イライラや倦怠感などの精神的な不調といったマイナートラブルが良く起こります。妊娠に大きな影響がないものでも、流産につながらないか、これから先どれくらい体調が悪化するのか不安が募るものです。こうした不安やマイナートラブルに対する苦痛度が、不眠の原因となることが研究で明らかにされています。

精神的な不安は、満足のいく睡眠で軽減されることもわかっています。規則正しい生活習慣が睡眠の質の向上につながることから、生活リズムを整えていくことが精神的な安定にもつながっていきますよ。

妊娠は赤ちゃん一人ひとりに対してそれぞれ違う経過が待っているものです。妊娠に関する不安があるならば医師や助産師に相談してみましょう。金銭的な問題や家族の環境に対することは、パートナーや家族と話し合ったり、自治体の窓口で相談したりすることが解決の糸口となることもあります。

妊娠初期に眠れないとどんな影響がある?

胎児への直接的な影響はほとんどない

よく眠れないことで身体のだるさが出ていたとしても、胎児の成長にはほとんど影響がないことがわかっています。また妊娠すると睡眠時にいびきをかく人が半数以上に上りますが、いびきがあっても胎児の成長や分娩の方法、羊水の混濁との明らかな関連性は現在のところ指摘されていません。

夜眠れないのはとてもつらいことですが、睡眠不足が赤ちゃんにストレスを与えることはないと考えられているため、安心して毎日をすごすようにしてくださいね。

体調不良や感染症に注意

睡眠不足で身体のリズムが乱れると、自律神経のバランスも崩れやすくなります。自律神経の乱れは身体の免疫機能を低下させ、感染症にかかるリスクを高めます。妊娠中は免疫が抑制されるため感染症への抵抗力が弱まっていることもあり、病気にかからないための対策が必要です。

妊娠中はできるだけ人込みを避け、マスクの着用やうがい手洗いを徹底するようにしましょう。体調に変化があらわれたら早めに休息をとり、必要に応じて医師による診察を受けてください。

感染症の中には、インフルエンザのように予防接種が普及しているものもあります。海外での重症化例から、妊娠中のインフルエンザの予防接種は日本でも推奨されています。一方で妊娠初期に予防接種を受けることのリスクについても議論がなされているため、予防接種を受けるときは主治医の指示をあおぐようにしましょう。

不眠が続くときは病院へ

睡眠時無呼吸症候群の症状があると流産や早産の傾向がみられることから、過度の睡眠障害の場合は医師による診断が求められます。睡眠時無呼吸症候群の症状は妊娠中のマイナートラブルと似ているため、発見が遅れることもあります。日中の眠気が強い場合や睡眠の満足度が低いときは、パートナーに夜間の状態を観察してもらい医師に相談してください。

また足がなにかになでられているような感覚になるむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)も不眠の原因として注目されています。むずむず脚症候群は原因がまだ解明されていませんが、妊娠にともなって発症することが多い疾患です。特定の治療やケアが必要なため、足に違和感があるときは早めに対処しましょう。

妊娠初期の不眠対策は?

散歩や妊婦体操

妊娠にともなって、軽い運動を取り入れている人は睡眠に対する満足度が高いというデータがあります。出血やお腹の張りなどがなければ、睡眠の質をよくするために軽い運動を習慣づけましょう。運動を始める際は、医師や助産師にどういった運動が効果的か確認すると安心です。

自治体が行っているマタニティ講座などに参加すると、身体を動かせるだけではなく妊婦同士の触れ合いを通じて情報を得ることもできますよ。

お風呂でリラックス

末端が冷えたり、腰や肩の痛みを感じたりといったトラブルは、お風呂につかることでやわらぐことがあります。気持ちをリラックスさせるには、お気に入りの入浴剤を使って香りに癒されるのも効果的です。

妊娠中は血液量が増加する傾向があり、また動悸や起立性低血圧などの症状があらわれやすいため入浴するときは40℃の湯温で10分までを目安としましょう。お湯につかるのが難しい場合は、洗面器にお湯を張って足湯をするだけでも気持ち良いですよ。

目を閉じて深呼吸

良い呼吸は効率的に酸素を取り込み、深いリラックス効果を得ることができます。呼吸を意識することで、長い時間眠れなくても疲労回復につながります。疲れたなと感じたときは、休息をとりながら深呼吸をしてみましょう。

深呼吸は口から吐き出し、鼻から息を吸うのが基本です。大切なのは、空気を吐き切ることを意識することです。時間をかけてお腹から押し出すように息を吐いてから、吸った空気はお腹にためる腹式呼吸を行うと効果的です。深呼吸で力みすぎると、お腹が張ってしまうことがあるため注意してください。

昼間の軽い休憩・睡眠

布団の上で横にならなくても、腰を掛けて目を閉じるだけでも効果があります。妊娠初期は赤ちゃんやママの身体を守るために、ホルモンがゆったりと過ごすように仕向けています。日中に眠かったりだるかったりするのはそのためです。

身体が休憩を欲しているときは、ぼうっとする時間を設けたり、昼寝をしたりしてリラックスするように心がけましょう。睡眠リズムを壊さないように、昼寝は1回あたり15分程度に抑えるのが理想です。

テレビや携帯をみすぎない

就寝前にテレビや携帯、ゲームをみすぎると、脳が覚醒しスムーズな入眠が妨げられます。寝室にはできるだけ携帯やゲーム機器を持ち込まないようにしましょう。

睡眠前の考え事も、良い眠りの邪魔になります。メールやSNSなどを頻繁にしていると、どうしても頭を使ってしまいます。眠りの質を良くするためにも、睡眠前には脳を休ませるようにしてください。

妊娠初期に睡眠薬を飲んでも大丈夫?

原則的には睡眠薬は控えるべき

妊娠初期の2~4ヶ月頃は赤ちゃんの身体が作られる重要な時期とされています。そのため、薬の服用には慎重な判断が求められます。睡眠薬が胎児にもたらす影響については実験によって立証できないため、リスクや安全性については確立されていません。不眠でつらくても、睡眠薬や睡眠改善薬を自己判断で服用することは避けたいものです。

もともと睡眠薬を服用していた場合は、妊娠を考慮して妊娠前から服薬をコントロールする必要があります。医師や薬剤師と相談し、妊娠計画を立てていきましょう。

あまりにもひどい不眠には睡眠薬が処方されることも

不眠の影響が薬を服用することのリスクを上回る場合は、薬の投与が検討されることがあります。薬を使用するときは、妊娠週数や胎児の発育状況、ママの重症度などを総合的に判断して薬の量や種類が決められます。自分で勝手に薬を選んだり、量を調整したりしないようにしてください。

妊娠初期に眠れないときは心を落ち着かせよう

妊娠中は初期から中期、後期にかけても不眠が続くものです。慣れてくれば気持ちの余裕もできますが、妊娠初期の目まぐるしい身体の変化も相まって、気分が落ち込んでしまう妊婦さんは多いようです。

寝るときの姿勢や部屋の環境を変えてみると、眠りがスムーズになることもあります。また、バランスの取れた食事、規則正しい生活リズム、軽めの運動で睡眠のリズムが整ってくることがあります。生活習慣を見直しながら、妊娠初期を乗り切っていきましょう。

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