【産婦人科医監修】妊娠初期の寒気は流産と関係する?ほてりや頭痛も?寒い原因と対策
妊娠初期に寒気を感じる人は少なくありません。寒気とともに、ほてりや微熱、頭痛、吐き気といった風邪の引き始めのような症状を感じる人もいます。妊娠中にとにかく寒く、ゾクゾクと悪寒がすると心配になることもあるでしょう。妊娠初期に寒いと感じる原因や対策、つわりや流産との関係について産婦人科医監修で解説します。
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この記事の監修
目次
妊娠初期とは?「寒い」と感じやすい?
妊娠初期とは一般的に妊娠15週までの期間を指すことが多いですが、最近では妊娠3週までを妊娠超初期と分けることもあるようです。
早い人だと受精卵が着床する妊娠3週頃から、妊娠の兆候とみられるさまざまな症状を感じ始めます。この時期から感じる吐き気や眠気、頻尿、腰痛といった不快な症状は「妊娠初期症状」と呼ばれ、代表的な症状のひとつに寒気も含まれます。
寒気は常に感じる人もいれば、寝る前に寒いと感じる人や身体のほてりと寒気を交互に感じる人もおり、同じ寒気でも個人差があります。暖かい部屋にいるのに寒い、あるいは夏なのに寒いと感じる場合は、風邪以外に妊娠初期症状の可能性を疑ってみても良いかもしれませんね。
妊娠初期に寒気を感じる原因
高温期の微熱
基礎体温を計測している人であれば、「低温期」と「高温期」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。妊娠が成立するとホルモンバランスが変化し、高温期が続きます。
高温期はいつもより0.3~0.6℃高い体温が続き、平熱が36℃台後半の人であれば、高温期は常に微熱が続いている状態という人もいるでしょう。そのため外気との気温差によっては寒気を感じやすくなり、なかには背中がゾクッとなる悪寒がする人もいるようです。
自律神経の乱れ
妊娠初期にはホルモンバランスが大きく変化するため、自律神経が乱れがちです。なかには自律神経の乱れから身体が冷え、寒気を感じる人がいます。身体の芯が冷えてしまうと、冷えから腰痛や腹痛が起こりやすいため、いつもより厚着をするなど身体を温めることを心がけましょう。
低血圧
遺伝的な体質で元々低血圧の人もいますが、妊娠したことで低血圧の症状を感じる人もいます。妊娠すると子宮への血流が増え、脳に十分な血液が行き届かない場合があります。その際にめまいや立ちくらみが起こり、寒気を感じることがあるようです。
また、妊娠初期はつわりの影響で食事や水分の摂取が十分でないため、めまいや立ちくらみが起こることもあります。食事は難しくても水分はしっかり摂るようにして、低血圧の症状を防ぐようにしましょう。
つわり
一般的に妊娠5~6週頃から始まるといわれるつわりは、吐き気や嘔吐、眠気、頭痛、ほてり、においに敏感になるといった不快な症状をさします。つわりはいつまで続くのかというと、一般的に胎盤が完成する妊娠12~16週前後といわれています。
つわりの症状には個人差があり、特に感じない人もいれば、吐き気と頭痛といったようにいくつかの症状があらわれる人もいるでしょう。寒気もつわりの症状のひとつとして考えられており、寒気とほてりの症状が交互にあらわれ、身体が寒くなったり暑くなったりすることでストレスを感じる妊婦さんもいるようです。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎盂腎炎の症状のひとつとして寒気を感じることがあります。腎盂腎炎とは、細菌が尿道から膀胱・尿管へと逆流し、腎臓で作られた尿を集めている「腎盂(じんう)」という場所まで到達して炎症を起こしてしまう感染症です。
腎孟腎炎が起こる前に、すでに膀胱炎になっていることも多いため、膀胱炎の症状である頻尿・排尿時の痛みを感じている場合は、さらに注意が必要です。妊娠中に腎盂腎炎にかかった場合、胎児へ直接影響が出ることはないといわれていますが、細菌が血中にまで到達すると、子宮や羊膜などに炎症が広がって破水してしまう可能性があります。
寒気の他に背中や腰の鈍痛 、尿の濁り、全身の倦怠感 、震え 、38℃以上の高熱といった症状が出ることもあります。思い当たる節があるときには、早めに医師に相談をするようにしましょう。
妊娠初期の寒気とともに感じやすい症状
ほてり
妊娠が成立すると、基礎体温が高い状態の高温期が続きます。そのため人によっては、身体のほてりや暑さを感じる人も多いようです。いつもより少し高い体温のせいで、寝汗をかき寝苦しさに悩まされる妊婦さんもいるでしょう。寝汗が冷えて寒気を感じるケースもあります。風邪につながらないよう、汗をかいた場合はすぐに着替えるようにしましょう。
頭痛
妊娠初期はホルモンバランスの変化や自律神経の乱れ、また、人によっては十分な睡眠がとれていないことから頭痛が起こることがあるようです。
寒気と同時に頭痛・鼻水の症状があらわれると風邪をひいたと思い込み、風邪薬を飲もうとする妊婦さんは少なくありません。妊娠の可能性がある場合は安易に風邪薬を服用することは避け、咳や37.5℃以上の発熱が見られたときは薬を飲む前に医師に相談するようにしましょう。
吐き気
寒気とともに、つわりの代表的な症状である吐き気を感じる人もいます。つわりの吐き気は胎盤が完成する妊娠12~16週前後に自然におさまることが多いものの、まれに強い吐き気や嘔吐が続き、治療が必要な妊娠悪阻(にんしんおそ)になるケースがあります。水分がとれていない場合は、早めに産婦人科に相談するようにしましょう。
腹痛
妊娠すると赤ちゃんを育てるために、子宮は大きくなる準備を始めます。そのため妊娠初期に、恥骨のあたりや下腹部に痛みを感じることがあります。妊娠初期症状としてある程度の腹痛は起こりえるものと心得つつ、我慢できない腹痛や下痢が長期間続いている場合は、食中毒や感染性胃腸炎といった別の病気を疑いましょう。症状が気になる場合は病院を受診することが大切です。
妊娠初期の寒気は流産と関係する?
一部の人のあいだでは「妊娠初期に寒気を感じると流産が起こる」という噂があるようです。しかし、この噂に医学的な根拠はなく、寒気と流産の関連性は低いとされています。ただし寒気以外に、出血や腹痛といった気になる体調の変化があった場合は、早めに産婦人科に相談してみるようにしましょう。
妊娠初期に寒い・寒気がするときの対策
食生活に気をつける
つわりの影響で吐き気や嘔吐の症状がある場合は難しいかもしれませんが、可能であれば根菜類・生姜などの身体を温める食材を積極的に食べるようにしましょう。食事が難しければスープや飲み物でもかまいません。ジンジャーティーやゆず茶、麦茶といったカフェインが含まれていない温かい飲み物もおすすめです。
身体をあたためる
腹巻型の腹帯や吸湿発熱インナーを着たり、寒いときに羽織れるカーディガンやストールを携帯したりするなど、体温調節がすぐにできる工夫をしましょう。カイロは手軽に暖をとれるアイテムですが、同じ場所に長時間当てる、カイロを貼ったまま寝る、サポーターなどでカイロを圧迫するといった行為は低温やけどを引き起こす可能性があります。使用法には十分注意をしましょう。
お風呂に入ることも手軽に身体を温めることができる方法のひとつですが、妊娠中はのぼせやすいため、通常よりぬるめの38~40℃の温度設定にしましょう。さらに長時間の入浴は避け他方が良いでしょう。めまいやふらつきが起こり、入浴が難しい場合は足湯だけでも血流が良くなり、身体が温まりやすくなりますよ。
軽い運動を取り入れる
妊娠初期の緊張や不安によって、身体の血流が悪くなり寒気を感じるケースがあります。身体に無理のない範囲でウォーキングやストレッチなど軽い運動を取り入れてみましょう。血行が良くなることで、気分転換やストレス解消になったり、眠りにつきやすくなったりすることがあります。
妊娠初期の寒気と上手につきあおう
妊娠初期の寒気は、ホルモンバランスの変化やつわりの影響などさまざまな要因で起こります。寒いために厚着をしすぎてしまうと汗をかき、その汗が冷えることで寒気を感じるケースがあります。体温調節がしやすい服装を心がけ、赤ちゃんを冷えから守るようにしましょう。
※この記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。