【耳鼻科医監修】妊娠性鼻炎はいつから?妊娠超初期症状?症状と対処法、薬の服用の可否
【耳鼻科医監修】妊娠してから鼻炎や花粉症の症状がひどくなることを俗に「妊娠性鼻炎」と呼ぶことがあります。くしゃみ・鼻水・鼻づまりに代表される不快症状に悩まされている妊婦さんは少なくないかもしれません。妊娠性鼻炎がいつから発症するのか、どのような症状や対処法があるのか、薬を服用できるのかどうかについて解説します。
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目次
妊娠性鼻炎とは
妊婦のアレルギー性鼻炎の発症・悪化
妊娠してから急に鼻がむずむずするようになり、くしゃみや鼻水に悩まされるようになったという人はいませんか。あるいは妊娠前からアレルギー性鼻炎だったものの、症状が妊娠を期に悪化してしまったという人もいるかもしれませんね。
妊娠によってアレルギー性鼻炎を発症したり、もともとあったアレルギー性鼻炎が悪化したりすることを俗に「妊娠性鼻炎」と呼ぶことがあります。女性ホルモンの働きによる自律神経の変化や血液量・水分量の増加といったさまざまな要素が重なることで、アレルギー性鼻炎の症状を発生させ、助長することがあるためです。
通年性と季節性の2種類がある
妊娠性鼻炎に限らず、アレルギー性鼻炎には通年性のものと季節性のものがあります。通年性のアレルギー性鼻炎は、主に室内のダニや、ペットの毛・フケなどを含む塵(=ちり、ハウスダスト)によって引き起こされる鼻炎です。そのため時期を問わず発生します。一方、季節性のアレルギー性鼻炎はいわゆる「花粉症」のことで、スギやヒノキ、ブタクサ、シラカバ、カモガヤといったアレルギーの原因となる植物の花粉が飛んでいる時期にだけ発生します。
どのアレルギー性鼻炎にかかるかは人によってさまざまで、通年性・季節性のどちらか片方のみを発症する人もいれば、両方を発症する人もいるでしょう。アレルギー反応を示す対象についても、ネコの毛のみに反応する人、スギやヒノキには反応してもブタクサには反応しない人など、さまざまなタイプの人がいます。住んでいる地域や年齢によっても傾向が異なるようです。
自分が何に対してアレルギー反応を示すのか知りたい人は、一度耳鼻科で調べてもらうと良いかもしれませんね。
快適な生活を送るために上手に対処しよう
妊娠性鼻炎によるくしゃみ・鼻水といった不快症状は、直接的にお腹の赤ちゃんに影響を与えることはまずありません。しかし症状がひどい場合には、妊婦さん自身の不眠やストレスにつながることが考えられます。実際にさまざまなアレルギー症状に悩まされている妊婦さんも多いことでしょう。できるだけ快適な生活を送るためにも、しっかりと対処したいですね。
妊娠性鼻炎はいつから?妊娠超初期でも発症する?
妊娠性鼻炎はいつからいつまで続くのでしょうか。妊娠が判明していない妊娠超初期には、妊娠しているのかどうかを判断する材料のひとつとして鼻炎症状が気になる人もいるかもしれません。妊娠性鼻炎にすでに悩まされている妊婦さんの場合は、妊娠後期になれば終わるのではないか、終わってほしい、という期待や願いがある人もいるのではないでしょうか。
「いつから」「いつまで」は明確には言えない
妊娠性鼻炎が始まる時期や終わる時期は、「いつから」「いつまで」と明確に示すことはできず、ケースバイケースとしか言いようがありません。そのため、妊娠超初期にくしゃみや鼻水の鼻炎症状がひどくなったからといって必ずしも妊娠しているとは断定できませんし、鼻炎症状が軽くなったからといって「そろそろ産まれる」と判断することもできないということになります。鼻炎症状はあくまで妊娠中のひとつの傾向としてとらえるようにしましょう。
妊娠超初期にはほかの症状も確認しよう
妊娠超初期には着床出血や着床痛、胸の張り、微熱など、さまざまな妊娠超初期症状があらわれることがあります。くしゃみや鼻水といった鼻炎症状だけでなく、身体全体の変化に注意することで、妊娠しているかどうかを判断する手がかりを得られると良いですね。最終的には妊娠検査薬で反応を確認し、必ず病院で確定診断をしてもらいましょう。
くしゃみ・鼻水が止まらない!妊娠性鼻炎の特徴
妊娠性鼻炎は妊娠中にアレルギー性鼻炎が発症・悪化することを意味するため、アレルギー性鼻炎と同様に代表的な症状は「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」です。鼻水は水っぽく、色は透明な場合が多いでしょう。
ダニやハウスダストに反応する通年性のアレルギー性鼻炎にかかっている人においては、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの基本的な症状に加え、喘息やアトピー性皮膚炎を発症しているケースもみられます。
どの症状も、ひどい場合には仕事や日常生活に支障をおよぼしたり、寝不足による体調不良のような弊害をもたらしたりすることがあります。妊娠性鼻炎の影響で数分おきに鼻をかまなければならず、集中力が欠如することもあるかもしれません。アレルギー症状によってストレスが増大し、イライラしたことがある人は多いかもしれませんね。
妊娠性鼻炎で喉の痛みが出ることも?
妊娠性鼻炎では、くしゃみや鼻水が止まらないだけでなく、喉がチクチクするような痛みやかゆみを感じる人もいます。喉の痛み・かゆみは季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)のケースでみられることが多い症状です。
ただし、喉の痛みが強い場合や高熱が出た場合には、妊娠性鼻炎ではなく鼻や喉からくる風邪などほかの病気の可能性が高いと考えられます。喉の痛みや違和感があるからといってただちに妊娠性鼻炎の影響だと考えるのは少し気が早いかもしれません。油断しすぎず心配しすぎず、様子をみましょう。
季節性のアレルギー性鼻炎では、ほかにも目のかゆみや充血、熱っぽさ・だるさ、下痢といった症状があらわれることがあります。またアレルギー反応を示す花粉の種類によっては、りんご、トマト、キウイ、スイカ、モモなど特定の果物を食べると口の中がかゆくなったりはれたりする人もいます。「口腔アレルギー症候群」という一種のアレルギー反応なので、気になる場合は病院で調べてもらうと良いでしょう。
妊娠性鼻炎の予防・対策は毎日のセルフケアから
妊娠性鼻炎に対処するために最初にやっておきたいことは、ダニや花粉、ペットの毛といったアレルギー反応の対象となるもの(=抗原)を減らすための対策です。症状が比較的軽い人の場合は、病院で治療をする前にセルフケアから試してみると良いかもしれませんね。
症状があまりにもひどい場合や、ある程度のセルフケアに取り組んでもつらい症状が改善されない場合は、病院での治療とセルフケアを同時並行で行ってくださいね。
妊娠性鼻炎の対処法【ダニ対策】
妊娠性鼻炎のうち、通年性アレルギー性鼻炎において代表的な抗原はダニです。ダニ対策のためには、室内や寝具を常に清潔に保つことが大切になります。
掃除はゆっくり丁寧に
掃除機は週に複数回かけるようにし、ゆっくり動かすように心がけましょう。1畳あたり30秒以上の時間をかけることが必要だといわれています。とくにほこりっぽい場所は拭き掃除も同時に行いましょう。
洗濯・布団干しを欠かさずに
枕カバーやシーツは週に1回は洗濯し、布団は週に複数回干しましょう。天候が良くない場合は室内で干すと同時に、布団乾燥機を使用して除湿すると良いでしょう。ダニを直接吸い取りたい場合には、布団用の掃除機の使用を検討してみるのも良いかもしれませんね。通常の部屋用掃除機に専用のノズルを装着して使用している人もいるようです。
家具・ファブリック用品の選び方も大事
布のカバーをつけたソファーやカーペットはできるだけ使用しないようにしましょう。畳もダニが繁殖しやすいので注意が必要です。布団や枕、シーツやマットはダニを通さない仕様のものを選んで使用すると良いでしょう。
高温多湿を避ける
ダニの繁殖や活動の活発さは湿度や温度によっても変わってきます。ダニは高温多湿な環境で繁殖しやすくなるので、湿度は50%程度、室温は25℃未満に保つようにすると良いでしょう。
妊娠性鼻炎の対処法【花粉症対策】
毎年2月~3月になると、多くの人が悩まされる花粉症。代表的なスギやヒノキだけでなく、イネやブタクサなどの花粉に対してもアレルギー反応を示す人もいますよね。春に加えて秋も花粉症に悩まされているという人も珍しくありません。花粉症の患者は近年増加傾向にあります。つらい花粉症の症状を少しでも和らげるため、できる限りの対策を行いたいですね。
花粉情報に敏感に
毎年2月を過ぎると、テレビ・ネットのニュースでは花粉の飛散量についての情報が飛び交いますよね。天気予報で「花粉注意報・花粉警報」の形で紹介されることもあります。こうした情報に敏感になることで、対策を講じやすくなるかもしれません。飛散量が多い日には外出を控える・対策をいつも以上に念入りに行うというように有効活用しましょう。
環境省が運営するサイトや日本気象協会が運営するサイトでは、地域ごとの花粉の飛散量がわかります。利用してみてはいかがでしょうか。
マスク・めがねを着用
マスクやめがねで花粉が体内に侵入しないようにするのも花粉対策として有効な方法です。できればマスクと口のあいだやマスクの布のあいだに濡れたガーゼを挟み込むと良いでしょう。
最近では花粉症対策専用のマスクやめがね、花粉の付着を抑えるためのスプレーや鼻の粘膜に塗るクリーム、鼻に栓をするように装着する鼻用マスク、鼻を温めたり保湿したりできるマスク・シートなど、さまざまなグッズが販売されています。少しずつ試して自分にあったものをみつけたいですね。
羊毛系のコートは着ないようにする
外出する場合には、着用する衣服にも注意が必要です。花粉が付着しやすい羊毛系のコートやセーターで外出すると、室内に花粉を持ち込んでしまう可能性が高くなります。職場や外出先、帰宅後の自宅に花粉が侵入すると、室内にいるにもかかわらず症状がやまず、余計に悩まされてしまうことになりかねませんよね。
羊毛系の素材は温かく、防寒のために着用する人が多いかもしれませんが、花粉症との兼ね合いも考慮したうえで着るものを選択するようにしてくださいね。
帰宅後は身体からしっかり花粉を除去
花粉の飛散量が多い日に外出した場合は、帰宅時に衣類や毛髪、口や鼻の中に付着した花粉をできる限り除去するようにしましょう。コートは玄関口でブラッシングして花粉を落とし、洗える服はすぐに脱いで洗濯してください。洗髪・洗顔・うがいをし、鼻をかんで身体の表面や体内の花粉を取り除きます。生理食塩水で鼻うがいをし、鼻や喉の奥まで洗浄するのも良いでしょう。
毎日すべてを完璧に行うのは難しいかもしれませんが、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
布団・洗濯物は部屋干し
花粉の飛散量が多い日には、布団や洗濯物を外に干すのは控えましょう。せっかく洗濯した服に花粉が付着し、着用することで症状が出てしまうかもしれません。花粉がたくさん付着した布団に横になることで夜眠れなくなってしまうことも考えられます。花粉が室内に侵入する原因になることも予想できますよね。
布団を干さないとなると、ダニの影響が気になる人もいるかもしれません。ダニ対策として、部屋干しするとともに布団乾燥機でしっかり湿気を取り除いたり、掃除機でダニを吸い取ったりして工夫してくださいね。
窓・戸をできるだけ開けず、開けたら必ず掃除
花粉の飛散量が多い日は、窓や戸を必要以上に開けないようにしましょう。開けた場合は部屋の中を掃除して花粉をできるだけ除去するようにしてください。とくに窓際の掃除は念入りに行うように心がけると良いでしょう。
妊娠性鼻炎の対処法【ペット対策】
ペット、とくにネコの毛に対してアレルギー反応を示す人もよくみられます。あまりにもアレルギーがひどい場合にはペットを飼わないようにするのが一番ですが、それが難しい場合もあるかもしれません。どのような対策があるのでしょうか。
屋外で飼育し、できるだけ室内に入れない
ペットの毛や汚れを室内に持ち込ませないために手っ取り早い方法のひとつが、ペットの屋外飼育です。できるだけペットを室内に入れないようにすることで、家具やカーテン、カーペットなどにペットの影響がおよばないようにします。
マンションやアパートでペットを飼育していて屋外飼育が難しい場合には、せめても寝室にはペットを入れないようにしましょう。布団などのファブリック用品にペットの毛が付着するのを防ぐことができますよ。
ペットをできるだけ清潔に保つ
ペットの身体にダニやノミ、菌が繁殖していたり、ほこりがついていたりすることがあります。ペットの身体を定期的に洗ったり、ペットの飼育環境をこまめに掃除したりすることで、ペットとその周辺を清潔に保ちましょう。
カーペットなど毛が付着しやすいものを避ける
ペットを室内に入れる場合には、ペットの毛が付着しにくい住環境を整えておくことも大切です。カーペットは敷かずフローリングにする、ソファーカバーやカーテンは毛がつきにくい素材を選ぶなど、工夫できると良いですね。
こまめに換気・掃除する
こまめに換気や掃除を行い、室内のさまざまな部分に付着したペットの毛や汚れを除去するようにしましょう。ペットがとくによく歩き回る場所や寝る場所は念入りにきれいにしたいですね。ペットを抱いたとき着用していた服やソファーカバーの洗濯も忘れないようにしましょう。
妊娠性鼻炎で薬は飲める?点鼻薬のスプレーは?
アレルギー性鼻炎がひどい場合に、点鼻薬や飲み薬を服用して治療を行ったことがある人がいるかもしれません。妊娠性鼻炎の場合でも、薬を用いて症状を抑えることはできるのでしょうか。市販の薬を服用してよいのでしょうか。
妊娠性鼻炎もアレルギー性鼻炎には変わりないため、鼻炎の薬や花粉症の薬を使用して治療を行うことはあります。しかし、妊娠中は胎盤を通じて薬が胎児に影響を与えてしまうことがあるため、医師の判断のもと慎重に服用する必要があります。
薬による胎児への影響は、もともとの薬の強さや危険性、胎盤を通過しやすいかどうか、妊娠週数や妊婦さんそれぞれの身体の状況など、さまざまな事情によって変化します。飲み薬であっても点鼻薬であっても、市販のものを自己判断で使用するのは避けましょう。妊娠中も服用可能であるという記載があったとしても、まずは医師に相談するようにしてくださいね。
妊娠が判明する前の妊娠超初期に、鼻水がひどく市販の薬を飲んでしまったママもいるかもしれません。しかし、妊娠の経過が順調であれば、薬の影響は気にしすぎることはないでしょう。心配なことがあれば、一度担当の医師に相談してみましょう。
妊娠性鼻炎では耳鼻科を受診する?治療法は?
妊娠性鼻炎の症状がつらく、病院を受診して治療を行いたいと考えている人もいることでしょう。妊娠性鼻炎になった場合は、基本的には耳鼻科を受診することになります。婦人科で相談して対応してもらえる場合や、医師や病院を紹介してもらえる場合もあるため、先に産婦人科に相談してみても良いかもしれませんね。耳鼻科を受診する場合は、妊娠中であることを必ず伝えましょう。
耳鼻科で行う検査
アレルギー性鼻炎の検査では、問診、鼻の中にカメラを入れて粘膜の状態をみる検査、鼻水を採取して成分を調べる検査、皮膚にパッチを貼ったり少量の血液を採取したりして抗体を調べる検査などが行われることがあります。これらの検査によってアレルギー反応を示す対象やアレルギーの程度、ほかの病気の可能性がないかといった詳細を知ることができます。
耳鼻科で行う治療
一般的に、耳鼻科で行うことができる治療法は「薬物治療」「アレルゲン免疫療法」「手術療法」の3種類です。
アレルギーの種類や症状の程度によって選択される治療法は異なりますが、妊婦さんに対して施行可能な治療には限りがあります。たとえば免疫療法の一種である皮下免疫療法・舌下免疫療法や手術療法は妊娠中には禁忌とされています。
アレルギー症状がもともとひどい人は、妊活を行う前から予防的に治療を行っておくと良いかもしれませんね。
つらい妊娠性鼻炎はセルフケアと必要に応じた治療で乗り越えよう
妊娠中はホルモンバランスの変化によってさまざまな不快症状があらわれ、仕事をするにも家事をするにも一苦労という方も多いのではないでしょうか。
そのような時期にもかかわらず、止まらないくしゃみや鼻水、鼻づまりに悩まされると、ストレスがますます大きくなってしまい、毎日の生活に支障が出ることも十分に考えられます。無理せずできる範囲で対策を行うとともに、つらくなった場合には我慢せずに医師やパートナー、周囲の人に相談しましょう。
アレルギー体質を根本的に改善することは難しく、また妊娠中には治療法が限定されています。とはいえ相談するだけでも楽になったり、検査で原因がわかることで安心できたりするかもしれません。妊娠性鼻炎と上手に付き合い、できるだけ快適に毎日を過ごしていきたいですね。
※この記事は2024年2月時点の情報をもとに作成しています。掲載した時点以降に情報が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。